「・・・・ん。」
窓から朝日が・・・ラウムのやつはまだ寝てるか。
「・・・」
「?」
早朝にも関わらず、外は人通りが多い。
皆同じ方向に歩いていく。
歩いていく方向に視線をやれば・・・。
「・・・朝市か。・・・・・・どおりで買い物かごを持った人が多いはずだ。」
ここから見えるだけでも、パンやとれたて新鮮そうな魚介類、野菜類にフルーツもある。
ああ、飲食店も出店を出しているのか。
仕事に向かう前に出店で朝食を済ませている人も見える。
「・・・」
「・・・ん?装飾品なども売っているのか。」
ハハ、あの店の店主値切られてやがる。
お?朝からよく食べる客がいるな。
すでに品切れの店もいくつか。
なんだか面白そうだ。
気にはなるが、人混みは・・・な。
「・・・」
さて、いい加減現実に向き合うとしようか。
「・・・・・・ん、ん〜」モゾモゾ
「・・・おい」
「あ・・・ら?起きたら隣には良い男♡」
「・・・なぜ隣で寝ている、マスターダフネ。」
この人、昨夜は何処か適当に宿をとろうとしてたら朝まで飲むと連れ回された挙句、飲み足りないと自分家に強制連行。そこから空になっていくワインボトル。付き合いきれず貸していただいた一室で横になったのだが。(※もちろん鍵はかけた。)
「うん?ここは私の家よ。鍵なんて開けられるに決まっているでしょう?」
・・・・・・・そうですね。
ギルドから少し離れた場所にある一軒家。
それがダフネの一軒家と言うか邸宅。
1人で住むにはデカすぎる気が、メイドの1人でも雇ったらどうだ?
と言うか、この人の肝臓どうなってる?
昨日と言うか日付が変わっても飲んでたよな?
酒に強いなんてレベルじゃ無いぞ?
「・・・・それで?朝一から何の用だ?」
「用も何も、朝食作ったから食べましょう。」
「・・・・」
「ふぁ〜あ〜あ〜。オメェは警戒しすぎなんだよバーカ。」
起き抜けの鳥に言われてしまった。
「・・・ふぅ。」
「どうだったかしら?」
朝食を終えて食後のコーヒータイム。
メニューは男性からしたら比較的軽めのモノだったが、女性に当てはめれば中々しっかりとしたものだった。
味もちょうど良い塩梅で、普段からキッチンには立つのがうかがえる。
「・・・ああ、美味かった。」
「お粗末さま。それで今日の予定はどうするの?」
ふむ・・・。
依頼は昨日で完遂。
何か急ぎの仕事も用もない・・・・・・正直なところ暇だな。
ならばここは一宿一飯の礼でもするか。
「・・・予定は特に無い。・・・何か用があるなら聞こう、一宿一飯の礼だ。」
「なら遠慮なくお願いしようかしら。」
女性が男性を必要とすると言うと・・・荷物持ちか?
いや、この家には一人暮らしと言っていたから掃除?
この家を1人で隅々まで掃除するとなると大変だ。
それとも、ギルドで手に余る依頼を俺が代わりに受けると言うことも。
「私と戦ってちょうだい。」
「・・・・・・・・・・・・は?」
「もちろん、ほ・ん・き・で・♡」
「晴れてよかったわね〜。」
「なぁ、何でこうなってるわけ?」
「・・・俺に聞くな。」
朝食後、場所を移し人気のない海岸。
砂浜を見渡す限り人気はないし、これなら問題はないが...。
本当なんで?
「ん〜なんて言うのかしらねぇ?昨日のを見てたら久々に血が騒いだてきな?」
なぜ疑問系?
「実際のところ、勘を取り戻そうと思ってね。今回のマスター定例会議でも闇ギルドが活発化してる議題が上がったことは教えたでしょう?」
「・・・それで?」
「今回のバラム同盟の一角を相手取るギルド連合。それを皮切りに、闇ギルドとの抗争は激しさを増す。なら、老兵もタバコふかしながらふんぞり帰ってる場合じゃないでしょう。」
「・・・それも」
ダフネの言う通りだ。
下手をすれば一般市民にも被害が出てしまう。
歴戦の強者が何人いても困ることはない。
1番の懸念点は場を離れたブランクというわけか。
魔法は洗練されていようと、その場のとっさの判断力、対応力、何より最新の戦闘の主流遅れてくる。
離れれば離れるほど戦闘の感は薄くなっていく。
「・・・・・・・・・そうだな!」
「!!!!」
アンタの言うとおり、そう遠くない未来大きな抗争は起きるだろう。
そうなれば、マスタークラスの魔導士も必ず必要になってくる。
あんたほどの実力者の力になれるなら、惜しみなく協力しようじゃないか。
手始めに・・・・・・・・
「・・・この状況をどうにかしてみろ老兵。」
「私まだ30代なんだけどっ!(怒)」
この現実と幻術が混じった空間。
攻略してみせろ。
ー ダフネ ー
う〜ん、困ったわね。
「いきなり不意打ちだなんて、なんて言ってもしょうがないわよねぇ。」
もし実戦だったらこの時点でアウト。
はーやだやだ、鈍ってるなんてもんじゃ無いわね。
「さて、反省は終わった後。今はこの空間を何とかしなくちゃねぇ。」
見渡す限りただ暗い空間。
唯一視認出来るのがあの月だけ。
「魔力、身体機能ともに問題なし。」
相手にデバフをかける類の魔法ではない?
視界を封じるだけ?でもそれだけならあんな月はいらない。
虚月。
「偽りの月?虚?」
読めないわね。
「仕方ない。」
辺り一面吹っ飛ばしちゃいましょ♪
「
意思を持ったかのような巨大な水の蛇が無差別に辺りを蹂躙する。
だが、蛇がいくら暴れようと何も起きない。
ただただ蛇が暴れるのみ。
「結界系の魔法なら大抵どうにかできるはずなんだけどっ!」
「・・・お見事」
ダフネの鋭い回し蹴りは、ミストガンの持つバイデントによって防がれる。
「レディの足は拒むのではなくて、優しくキスを落とすのが礼儀よ。坊やならそのくらい知っているでしょう?」
「・・・いや、蹴りは別だろう。」
言い終えるやいなやダフネを蹴って距離を取る。
そうはさせまいと、バイデントの優位性を潰す為距離を詰めるダフネ。
互いの攻防が、息を吐く間さえあたえないせめぎ合いが続く。
「・・・ふっ!」
「っ!」
ミストガンが距離を取ろうとしても、一歩でその距離を詰め離れない。
(リーチを詰める足捌き。・・・体術は本物か。)
「坊やの槍術は我流?それとも誰かに師事したの?」
「・・・基礎は師に、後は独学だ。」
嘘ではない。
まだアイリーンの元で修行に明け暮れていた頃、帝国の城まで連れて行かれ兵士の訓練を間近で見学。その後すぐに実戦を繰り返す(相手は勿論容赦なく強化のエンチャントを自身にかけたアイリーン)修行を行っていた。
「そう。基礎だけと言うことは、お師匠様は槍使いでは無いのかしら?それにしても、惚れ惚れするような槍ね。名はあるの?」
「・・・・。」チラッ
「?」
「・・・・。」
「・・・・。」
「・・・か、考えてなかった」
「まぁいいわ。それにしてもそれ天琥珀よね?それを槍にしかも刃先から全て。でも・・・・っ!」
「・・・・・・・・・・切れ味の心配ならば不要だ。」
短めに持っていたのを横薙ぎ払いをすると同時に緩めリーチを伸ばした。が、紙一重のところでかわされる。結果としてダフネの髪を数本切り落とすに終わる。
「そのようね。うーん、坊やが思っていたよりも近接戦闘が出来るのは誤算だわぁ。意表を突いたつもりだったんだけど。」
「・・・・・・・・・・・・確かに驚きはした・・・が、かつてはS級として名を馳せた者が魔法一辺倒なはずがないと思っていただけだ。」
「ふふ、大抵の人は私の戦闘スタイルを遠距離から大量の水の質量で攻めるものだと思って挑んで来るから、並の相手はいい感じに喰らってくれるんだけどなぁ。」
実際にミストガンの意表はつけていた。だが、ミストガンの予想では何かしらの仕込み武器を使うものと考えていた為、肉弾戦に持ち込まれた事自体に驚いていた。
「ふぅ・・・実戦離れの勘の鈍さは思っていたよりも深刻ね。それじゃあ坊やもう少しお姉さんと楽しみましょう。」
「・・・」
互いに魔力が跳ね上がる。