「・・・こちらミストガン。・・・感度はどうだ?」
『ラハールです。通信に問題はありません。そちらは如何ですか?』
小型の携帯用通信ラクラマ。
通常の通信ラクラマでも一つ買うのにそれなりの値段になるのに、流石は評議院だな。
いいな。個人的には欲しいな。買うか?
でも、連絡取る相手なんて師匠くらいしかいないな。
「・・・問題ない。」
『了解です。では、あらためて今回の捜索の最終確認を行います。』
『私達の拘束部隊を二つに分け、一つを支援と随時我々の情報を整理する役割として後方待機。もう一つは私が率いて対象の捜索に当たります。そして、ミストガン殿と使い魔で一部隊と換算し捜索に当たっていただきます。』
「・・・了解した。・・・すまないな、ワガママを通してもらって。」
『いえ、お気になさらず。慣れない部隊を指揮するよりも、貴方が単独で動かれた方が良い結果を得られる確率が高いと踏んだまでのこと。期待しています。』
「・・・それ相応の働きはしよう。・・・それと殿はいらない」
『ふふ、分かりました。ゴホンッ・・・それでは作戦を開始します。』
ラハールの合図と同時に、俺たちはジェラールが潜伏していると思われる森へと、それぞれ事前決めた各自のルートから足を踏み入れた。
「さて、どうやって探すつもりだ?」
「・・・お前は上から探せ。」
「言うと思った。」
ラウムはそう言ってすぐに飛び立ち、上空からジェラールを探す。
「・・・影法師」
「おお?」
俺とラウムの距離はある程度まで行くと意思を問わず離れることができなくなる。なら、影法師を使ってラウムの数を増やす。
正確には上下から探す目を増やす。
「・・・頼むぞ」
「「「「「「あいよ!」」」」」
さて、俺は魔法トラップがないか注意しつつサンドウィッチを食べながら進むとするか。
「「「「「1人で食ってんじゃねぇ!」」」」」
後でやるから今は黙って探せ。
「うめ!うめ!このフルーツサンド最高‼︎」
「・・・頼むから服にクリームを落としてくれるなよ?」
「分かってるって。・・・あ」
「・・・殺す。」
「マジのトーン!ごめんて!嘘だから!」
かれこれ探し始めて3時間が経とうとしていた。
全くと言っていいほど、気配も野宿だったり人がいた形跡が見当たらない。
まぁ、この広大な森の中からたった1人を探し出すのは困難だが、上空からも空振りとは。
「影法師も時間経過で魔力が切れて消滅しちまったし。連発すれば、いざ戦闘って時に魔力が足りないので負けました。なんて無様な真似は出来ねぇしな。」
「・・・全くまだ。・・・お前に負担をかけることになるが。」
「気にすんな。もう一回、周囲を飛んでくる。」
「たの『ミストガン!』ん・・・なんだラハール」
もしやジェラールを発見したか?
『今し方、後方支援部隊から連絡が』
「奴が見つかったか?・・・ん?」
『いいえ、実はあなたの所属ギルドがどうやらこの森に来ているそうです。他にもブルーペガサス、ケットシー、ラミアスケイルの3ギルド。加えてラミアからは聖十のジェラが来ていると情報が。』
まさか
「・・・・・・・理由は?」
『バラム同盟の一角、
「何やってんの?」
「・・・まったくだ。」
ダフネから聞いていたとはいえ、場所が被るなんて。
「それでメガネよ。そのオラシオンセイスとかいう奴らの目的ってなんなわけ?」
『魔法です!古代の人々が封印した魔法[ニルヴァーナ]。私も詳しくわ分かりませんが、それを狙っていると。』
「・・・噂ではオラシオンセイスは6人。それでも一人一人が一騎当千と言われている。・・・だとしても数の不利は厄介だろう。」
『ええ、だからでしょう。どうやら奴等、自分たちの傘下に入っている闇ギルドを引き連れて来たようです。』
「・・・まぁ、そのくらいはするだろうな。」
『どうか気をつけて下さい。我々も急ぎそちらに合流をしますので。』
ふむ。
ラウムと顔を見合わせ再度ラクラマに話しかける。
「・・・なるほど合点がいった。」
『え?』
「その事なんだがよメガネ」
「・・・もう接敵している。」
『なっ!』
ラハールが未だ何かを騒いでいたが無視して通信を切り、目の前の奴らに目を向ける。
あのマークは名は忘れたが闇ギルドに部類されたものだとは覚えていた。
バラム同盟の一角の傘下か。
たった四つのギルド同盟では心許ないな。
「・・・これ追加報酬でるんだろうな?」
「出さないってんならこの依頼キャンスルすればいいんじゃね?ケケケ」
「・・・それもそうか。」
向こうもやる気満々だな。
「・・・ラウム」
「アイヨ」
「「・・・夢か現か/お前らにわかるかな?」」
ー闇ギルドー
「クソッ!なんだこれ!」
「鎖が体に・・・巻きついて動けねぇ!」
「落ち着け幻術だ!」
そこらじゅうから鎖が襲って来る。
意思があるかのような動き、捕え、薙ぎ払い、何にもの仲間の意識を落としていく。
(焦るな!焦れば奴の思う壺だ。魔力を高めて跳ね除ける!)
「ふんっ!」
するとどうだろう。今見えているのは何にも縛られていないのに、見えない何かに捕えられているかのような姿で固まる仲間。
「やっぱり幻術か!おい、魔力を高めて抵抗しろ!これは幻術だ、簡単に解けるぞ!」
「ケケケ」
「はっ!」
「俺の羽ばたきは危険だぜ?」
「は?!がああああああああああ」
三つ目の怪鳥が羽ばたくと2つのサイクロンが巻き起こる。
「苦労したんだぜ?相棒と頑張ってそれぞれ分けたんだ、完全にな?」
そう言って不敵に笑う怪鳥
「俺のレクイエムは『真実を操る魔法』だ。本来なら起こり得ないはずのないサイクロン。鳥が羽ばたくとサイクロンは起きないという真実を、巻き起こるという真実に変えたのさ。」
サイクロンはやがて一つになり、木々を岩を闇ギルドの面々を巻き込み巨大になっていく。
鎖に繋がれた幻術に囚われているものは、逃げることに必死になる。
「クッソ!魔力を高めてんのに!」
「いやっ!いやぁぁぁ!」
1人、また1人とのまれていく。
「クソが!鎖に囚われてるやつはほっとけ!撤退だ!早くしろ!」
ここで幻術から抜け出したものたちは気がつく。
また見えているのだ、鎖が。
「またハマってやがる!」
ここで今度も魔力を高めるが解けない。
「ハァッ!?」
「なんでさっきは!」
「・・・それはそうだろう。・・・それは現実なのだから。」
本物の鎖に繋がれている。
「手が空いてる奴これほどけ!いや、破壊しろ!」
やれやれ、闇ギルドと言っても実力は低すぎる。周りをよく見てからしゃべる事だ。もうお前以外立っていないというのに。
視界の端で見えたが
「ギャハハハハハハ!」
ラウムやり過ぎ。
地面が捲れて荒れ放題じゃないか。
「・・・さて。」
「ひっ!」
「・・・少し教えてもらうとしよう。」
「ふぃー暴れた暴れた!」
「・・・やり過ぎだ。・・・自然保護団体に訴えられるぞ。」
「暴れられる機会がないんだからしょうがねぇだろ。」
確かにな。
今度、山岳地帯のモンスターを狩る依頼でも受けるか。
いや、そうするとさっきのような事に。
なら海だ。うん、それなら一時的な海面消失をしても、すぐに海水が穴を埋める。これだな。
「で?このいかにもやばい状態ですって感じで、目が虚で心ここに在らずな感じの奴なに?何した?」
「・・・軍の暗部、それから尋問部隊御用達の自白剤を使った。」
「え?」
「・・・」
「そのお薬の出所をお聞きしても?」
「・・・インベルさんにもらった。」
「ええんかそれ?」
「・・・まぁ、役に立ったし」
「結果論な。これがアイリーンにバレたら問い詰められてたぞ。」
笑顔で逃げ場のない壁際まで追いやられ、入手経路から所持した理由まで問いただされるイメージがリアルに想像できる。
と言うか、時折、親みたいだよなぁ師匠。
「おい、ラクリマ!」
言われてラクラマを取り出すとラハールが通信を送ってきていた。
やっべ、いつからだ?気が付かなかった。
「・・・なんだ?」
『なんだ?じゃありませんよ!今どのあたりにいるんですか⁉︎無事ですか、無事なんですね⁉︎」
「・・・ああ」
「周囲に敵は?」
「・・・いない」
1人を除いて
見せる範囲の奴らは2人でのしてしまったからな。
『我々は今あなたの出発予定だった場所まで引き返してきました。」
「・・・ならそこから数百mほど歩いたら小川がある。そこを超えたところだ。」
『分かりました。そちらに合流しますので動かないで下さい!』
「・・・いや、闇ギルドなら・・・・・ダメだ切れた。」
「じゃあ待つか。」
「・・・聞き出した情報もそこで話す。二度手間は避けたい。」
無事でいろよ。・・・・・・・・・エルザ。