ー ラハールside ー
「ハッ!ハッ!ハッ!」
ラハールはミストガンにいち早く合流する為、自身の率いる部隊を後から追いつくよう指示し、1人先行していた。
(ひと・・・いえ、たったの2人。S級と言えども、ギルド一つを丸々相手にするのはキツイはずだ!連絡を切って20分は経っている。急げ!最悪な事態になる前に!)
そうして見えてくる。
ミストガン達が最後に言っていた目印の場所が。
(もう少し!)
「ミストガン!」
「・・・ん?ああ、遅かったな。」
「怪我はありませ・・・んか⁉︎こ、これは!」
ラハールの目に飛び込んできたのは、倒れ伏す闇ギルドのメンバー。
数にして150〜200といったところ。
「・・・お前との通信の後に・・・・・・追加で二つほど来た。」
「カスばっかだったけどな!ケケケケケケケッ!」
追加で2つ。トータルで3つのギルドを単独で、正確には1人と一羽で潰したのか!?
いくら弱いといっても一つのギルドを丸々相手取って無傷。
「何者なんですか・・・あなた」
「・・・フェアリーテイルの魔導士だ。」
その言葉に、これ以上の詮索は私自身の身を滅ぼしかねない。
何故かそう思った。
ー ミストガンside ー
「・・・以上が聞き出すことができた全てだ。」
「いえ、十分です。そうなるとやはり。」
「・・・そちらの情報通り、ニルヴァーナを狙ってオラシオンセイスが傘下を引き連れてこの森にいる。」
ジェラールにオラシオンセイス。
くそがっ!厄介事が2割いや4割り増しで厄介になりやがった。
「・・・」
「ミ、ミストガン?」
「・・・なんだ?」
「あ、いえその」
「魔力ダダ漏れだぜ」
しまった。無意識のうちに魔力の制御が乱れていた。
これはお師匠からの折檻プラス夕飯抜きの刑レベルのミスじゃないか。
「・・・す、すまない。」
「アイおっとっと、お師匠がこの場にいなくてよかったな。」
全くだ。
「オイッ!メガネ深呼吸しろ〜楽になるぜ。」
「っ!スーハー、スーハー」
「どうよ?」
「ええ、なんとかそれと私のことはメガネではなくラハールと」
「あいあい。」
「・・・すまない、俺の鍛錬不足だ。」
「いえ、漏れ出た魔力に気押されたのは我々の実力不足。やはりS級ともなるとなんと言うか魔力の質からして違ってくるのですね。」
魔力の質ね。
間違ってはいないが、そこまで大袈裟なものではないだろう。
実際、俺達とラハール達の実力差の方が原因。
「・・・それで今後の動きはどうする?」
「最優先はジェラールの確保と言いたいところですが、オラシオンセイス。しかも、古代魔法を狙っているとなれば放っておくこともできません。」
バラム同盟の一角ともなれば当然だな。
「応援を呼びます。一度評議員へ戻り部隊を再編成。魔導士ギルドにも緊急依頼を出します。」
「・・・時間がかかり過ぎだ。そんな悠長にしている時間はないことは分かっているだろう?」
「ですが!」
「・・・おい、冷静に考えろ。・・・双六に例えるなら奴らはゴール手前サイコロを後一度でも振れば上がり・・・対して俺たちが取ろうとしている選択は3マス戻るような事だぞ?」
「分かっています!でも、S級である貴方がいたとしても戦力差は歴然です!」
ふむ、なるほど。
ラハール、お前は何か勘違いをしてはいないか?
「・・・その認識は違う。」
「違うとは?」
やはりか
「・・・この場にいるS級は俺だけではない。」
「他に誰が」
「・・・聖十のジュラ、妖精女王のエルザ他にもS級と遜色のない実力者達が運がいいか悪いか、この森に集まっているだろう。」
「まさか、彼等に協力を仰ぐのですか⁉︎」
「・・・元より彼等は、オラシオンセイスを倒すためにこの森に来ているのだろう?・・・ならばむこうは任せて、俺たちはジェラール捜索に集中すれば良い。」
「ですが、この場に六魔とジェラールが集まっているのは偶然とは思えません。」
「・・・同意見だ。協力関係にあると見た方がいいだろう。」
「ならばやはり」
「・・・しかし、行動を共にしているかどうかは別だ。」
可能性としてはかなり低いと見ていいはず。
互いを利用し出し抜こうと双方共に牽制し合う、そんなところだろう。
だが、もし仮に本当の意味で協力しているのなら話は変わってくる。
「ともかく進みましょう。動かなければ始まりません。」
「なぁ、コイツって意外と色々後に回すタイプか?俺はてっきり見た目通りにインテリメガネかと。」
「・・・まぁ、十人十色というからな。」
インテリメガネには大いに賛同はするが。
同じような人、知ってんだよなぁ。
それからというもの、森の中を進むが闇ギルドやギルド連合手がかりなどを探すも見つからず一時間程彷徨っていた。
「・・・そういえば、ニルヴァーナとは一体どういった魔法だ?」
「単純に考えると大量破壊魔法などでしょうか?古代の魔法は総じて攻撃系統の魔法が多いですから。」
「けど手がかりの一つもねぇのは妙だ。どっかに隠れてんのか?」
「奴らも探している以上、どこかに手がかりはあるはずですが」
「「「!?」」」
突如として起こる地響き。
「じ、地震!揺れが大きすぎる!」
「アババババ!オメーら頭しっかり守れよ!」
「・・・お前は飛べばいいだろう」
「あ、おれ飛べるんだったわ。」
「ボケてる場合ですか!?早く開けた場所へ避難を!」
「・・・そうか?ならおまえは行け。俺たちはあの場へ行く」
ミストガンの見つめる先。
そこには生物のような大地が、6本の足のようなもので立っていた。
「なんですかアレは…」
「・・・さあ?」
「アレがニルヴァーナとか?」
「ありえない話ではありませんね。古代の魔法ですから要塞ごと移動することが出来るのでしょう。」
ふむ、ファントムのギルドを大型にしたようなものか。
となれば核になる物があるはず。
古代の人々が現代までに残すとすれば、ファントムのようにエレメント4達のような人ではなく、物である可能性が高い。
「・・・移動を始めたな。」
「クッ!はやく部隊と合流して向かいましょう。」
「・・・焦るな。ニルヴァーナを見つけたのは先に来ている連合も同じだろう。アレを止めるためにアイツらも動くさ・・・時間は十分にある。・・・それに、確実に止めるためにどうやって止めるかを考える方が優先だ。」
「そうですね。すみません焦ってしまって。」
「おう気にすんなケケケ」
((お前が言うんかい))
「・・・はぁ、めんどくさくなって来たな。・・・ほんと」