「しかし、ラクリマを6つ。しかも同時にとはなぁ〜、当然だけど敵さんらもそれを分かってるだろうし妨害してくるだろうな。」
「・・・ああ。・・・だが全員がラクラマの前で待ち構えているとは限らん。・・・言ってしまえば一つでも守りきればいいわけだからな。・・・極端な話、六魔が1つのラクリマに集まっていれば苦戦は避けられん。」
「チッ、そっかそうだよな。中々にハードだなこりゃ。」
ニルヴァーナの足元にまでたどり着く。
さて、どうやって登ろうかと考えるミストガンの両肩を脚でしっかりと掴む。
「・・・ん?」
「レクイエム!・・・おれの羽ばたきは嵐を生む!」
「・・・うぉっ!」
その風に乗りグングン上昇。
数秒とたたずニルヴァーナよりも高く飛翔した。
「・・・やるなら先に言え。」
「戦闘とかでもか?馬鹿言え、その間が命取りだぜ。」
そしてそのまま上空を漂いながら観察するが、やはり内部に入らない限りニルヴァーナを止められない。
「とりあえずあのデケェ建物に行くしかねぇか。」
「・・・影法師でオレとお前を必要数作ってラクリマを「おい、あれ」ん?」
視線をむけると、倒れ伏す男。
その周りは戦闘がつい先程まで行われていたであろう痕跡。
「ありゃ味方か?敵か?」
「・・・おそらくだが、六魔の1人だろう。・・・だが朗報だな。・・・これで6人全員がラクリマ1つに集中していると言う事態は避けられた。」
さて、降りたはいいがどうするか。
内部に入る入り口にはついたが、ここに着くまでにギルド連合の者に会っていない。
既に内部に入っているのは分かるが、どの脚だ?
どこに六魔は待ち構えている?
戦力が必要なのはどこだ?
どのラクラマに向かうべきか、そう考えるミストガン達の背後。
「・・・鎖よ!」
「グッ!」
突如として感じた気配に振り向きざまに幻影の鎖で拘束する。
「これは・・・幻術⁉︎だが、それを理解出来ていてなぜ解けない!?」
「・・・オレのファンタズムは幻を現実にする。・・・拘束したと言う幻を現実にした。」
「なるほど、物質を現実にするのではなく、拘束という概念のみを・・・見事だ。」
「・・・まさか、六魔の前に本来の目的を達成できるなんてな。・・・なぁ?ジェラール」
「君は、オレを知っているのか?」
「・・・は?」
「すまない、この拘束を解いてくれ。この先に行かなければ」
「・・・冗談。・・・せっかく捕らえたターゲットをみすみす逃すおもうか?」
「この先に行かなければ、ゼロに殺されてしまう。」
「ケケケッ、聞いてるぜ?お前の悪行。相当やらかしてるらしいじゃん?それに元は聖十の1人なんだろう?そんな男がたかだか闇ギルドの奴に怯えるタマじゃねぇだろうがよぉ。年貢の納め時だ、諦めな。」
「行かなければナツが殺される!」
「「!?」」
何を・・・言っている?
「・・・なぜ、お前がナツの心配をする。」
「頼む、行かせてくれ。・・・・・・その後なら、好きにしてくれて構わない。」
「答えになってねぇよ顔面タトゥー。」
「・・・ゼレフ復活を目論んだお前を止めた・・・言わば、憎き相手のナツをなぜ助けようとする?・・・お前が行く必要はない。」
「ゼ・・・レフ。それが誰なのかは分からないが、オレは過去に取り返しがつかない事をするところだったんだな。」
「・・・何を?」
「オレには、記憶がない。完全にではないが、思い出すことができない。」
「「!」」
「微睡の中、奴らの会話が聞こえてきた。ニルヴァーナ、この単語だけはかすかにだが危険だということだけは憶えていた。」
「・・・おそらく、評議院に潜入していた時の記憶がかすかに引っかかっていたんだろう。」
「そんな事あんの?」
「・・・おそらくは脳が強い衝撃を受け・・・記憶がなくなったと言うよりも・・・混乱し、記憶の整理ができていないのだろうな。・・・例えるなら、続きモノの本を本棚に戻す時にバラバラに戻す感じか。」
「ああ、だからニルヴァーナの危険性だけは憶えてたのね。俺様納得。」
「頼む。」
なぜだろうか?ジェラールはゼレフ復活を目論み、評議院に潜入、他にも裏で暗躍していたと事前の情報で聞かされている。
それなのに
この目には・・・偽りではない正義がある。
「・・・まさか、お前。」
「?」
「・・・行け」
「ハァッ!?」
「すまない!」
壁を支えにしながらしかし、しっかりとした一歩を奥へと進めて行った。
焼きが回ったか。
「お前何考えてんだよ!」
「・・・分かってる。・・・何かあればオレが責任を取る。」
「当たり前だ!」
やってしまった。
本来なら否応なく捕らえるべきだ。
「・・・だが、あの目は」
「あぁ?目があんだって⁉︎ええ⁉︎」
一応は、魔力でマーキングはしたから逃げれば分かる。
後は、ナツ達がニルヴァーナを止めるだけ。
「お?」
歩行を続けていたニルヴァーナが止まる。
という事は
「・・・終わったか。」
見逃してやるのはここまでだ。・・・たとえ、お前の本質が...。
「その者をこちらに引き渡していただきます。」
「ふざけんな!」
「・・・まぁ、こうなるとは薄々感じてはいた。」
ナツは情にあついというか、元は敵だったとしても助けられたらジェラールを庇う事は予想は出来てはいた。グレイやルーシィ達はナツが理由もなく庇う訳がないと理解しているからだろう。まぁ・・・分かる。
しかし、他のギルド面々までも・・・ましてやジュラまでもが。
どうするか。・・・・・・このままだと本気で。
「やめろ、お前達‼︎」
「エ、エルザ・・・でも、このままだとジェラールが!」
「ルーシィ」
「アイツは確かに塔では敵だった!けど、今回はアイツに俺は助けられた。アイツが金色の炎をくれなきゃ負けてたかも知れねぇ。」
「ナツ」
「それに黙って聞いてれば連中、ニルヴァーナが危険なのをわかっていながら離れて見てただけだそうじゃねぇか。」
「それは誤解ですね。我々はニルヴァーナをなるべく被害を出さず止める最適なタイミングを見計らっていただけです。」
「要は美味しいとこ取りしたかっただけだろうが。そこが気に入らねぇんだ俺は。」
「グレイ」
・・・まぁ、大体はグレイと同じ考えなんだろなぁ。
今の連合は手負の獣だ。いくら疲弊していようと、実力的にもラハール達に勝ち目はない。
「・・・そもそも評議院は権力を背に現場で強い支配を敷けるだけ。・・・戦えばそこらの弱小ならともかく連合は大手だからな。」
「どうするこのままなら確実にぶつかるぜ?」
「・・・分かってる。」
・・・・・・。
「おい。」
・・・この場は一旦置いておくしかないな。
「・・・行くぞ。」
「あいよ」
そしてミストガンは幻術を解いた。
「・・・いい加減にしておけよ?・・・お前達。」
「メェーン君は!一体どこからっ!」
「いきなり現れやがった!」
「うぉー覆面!アイツ怪し過ぎるんだよー!」
「だな。今回はトビーに同意だ。」
「此奴。(いつの間に両陣営の間に。移動系の魔法・・・いや、幻術か。それもかなりの練度よ)」
「え・・・・・・・・・うそ。」
「ウェンディ?」
「「「「ミ、ミストガン!」」」」
「悪かった、無理を聞いてもらって。」
「・・・結果ニルヴァーナを止めるに至った。」
「ナツが破れるとは思わなかったのか?」
「・・・ナツは諦めが悪いからな。」
「俺が嘘をついたとは?」
「・・・目は口よりも雄弁に物事を語る。」
「そうか。」
「・・・後ろの馬車に乗れ。」
「ああ。・・・ 。」
すれ違い様に何かを言われたがそれは俺だけの内にしまうとしよう。
ああ、忘れるところだった。
「エルザに何か言わなくていいのか?」
あ、ラウムに言葉取られた
「いや、いいんだ。」
さて
「まて!待てよジェラーグッ!」
・・・いい加減にしろと言ったろう。
「ナツ!」
「なんで急に苦しみだちゃったの!?」
「うぎぎぎぃ・・・これ・・・ほどきやがれ!」
「・・・まだ喋れるか。」
俺の幻術をお前にはまだ破れん。まして、手負いではな。
「ぐ、ぐびがじまるるるるるるるぅ!」
「おいナツ!どうなってんだよ!ナツが急に苦しみ出しやがった!」
「ナツ!?ねぇ!ナツってば!」
「ぐ・・・ぐぞ・・・・・・・・・な・・・この・・・・・・・・・ヅナ。」
ナツは今、360度あらゆる方向から綱で縛られ、それぞれの方向に引っ張られる。気道を確保しようと首を必死にかいてはいるが、突然幻術。
「もういい!・・・・・・やめろ・・・ミストガン。」
「・・・」
そのまま黙ったまま睨み合う。
しかし、突然ナツが咳き込みながら崩れ落ちる。
ミストガンはいつの間にか術を解いていた。
そのままエルザの横に立つ。
「・・・一度投獄されれば、2度と日の目を見ることはないだろう。」
「ッ・・・分かっている。」
そのまま並び立ち、馬車へと連行されて行くジェラールを見送る。
だが
ジェラールは振り返りながら
「思い出した。・・・・・・お前の髪の色だった。」
「っ!」
「・・・」
その一言を残し、ジェラールは馬車に乗り込み連行される。
隠して言い表せない何かを抱えながら任務は終了したのだった。