迷える魂は安眠を求める   作:ハリボー

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感想お待ちしています。

ヒロイン作ろうかどうか迷ってます。


大海の魔女

まさか、二度手間をする羽目になるとは思わなかった。

 

人魚の踵がある街に、再び戻って来てギルドの場所を探す。

 

人魚と言うだけあり、海辺にあるのだとか。

 

情報を元に、海岸沿いを歩いているとチラホラと人魚の踵のギルドマークをつけた女性達が多くなっていく。

 

そしてようやく魔導士ギルド人魚の踵に着いた。

 

さて

 

 

 

 

 

 

 

眠れ

 

 

 

 

 

 

 

 

バタバタと建物内部から人が倒れていく音が聞こえてくる。

 

しかし、周囲からは何も反応がない。

 

今回は用心として、ギルドだけでなく周囲一帯を含め眠り魔法を施す。

 

そして俺は、人魚の踵に足を踏み入れ・・・・・・()()()()()()()‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

ブワッ‼︎

 

カンッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

強大な魔力がぶつかり合いギルドが揺れる。

 

 

 

「これだけ、強力な魔力同士のぶつかりが起きたっていうのに、誰一人として目を覚まさないなんてねぇ。マカロフさんから聞いてはいたけど、それ以上ね坊や。」

 

話しかけながら近づいてくる女性。

 

歳は30代後半、それとも40代前半だろうか?

 

スレンダーながらも、出るところはハッキリと出ていて、メリハリのあるボディ。そして、それを惜しみなく強調するドレス。二十代、そう言われても信じてしまいそうになるきめ細やかな肌。化粧は薄め。しかし逆に化粧が邪魔になるであろう美貌。顔に負っている、痛々しい傷を差し引いても街を歩けば、十人中十人が振り返るであろう。

 

若くして現役を退き、今やフィオーレの魔導士ギルドで1番の若手マスター。

 

 

魔導士ギルド人魚の踵のマスター ダフネ

 

 

「こちらから呼び出したのは申し訳ないと思っているけれど、流石にウチの娘達だけじゃなく街の人達まで眠らせる必要があったの?」

 

「・・・不慣れな土地な為、用心をしたに過ぎない。」

 

「そう・・・フゥー」

 

煙管をふかし、一服する様は彼女の魅力を引き立てる。

 

「・・・ナナは?」

 

「ん」

 

ダフネが顎で刺した方向を見ると、テーブルに突っ伏して眠っているナナ。

 

そこに近づきテーブルにお土産を置く。

 

ダフネの元に戻り

 

「・・・気にいるといいが。」

 

「あら?気が利くわね。後でいただくわ。」

 

ダフネにも土産を渡す。

 

「・・・」

 

背を向け出口に向かう。が、止められる。

 

「ちょっと、呼びつけて終わりなわけないじゃない。少し話しましょう?」

 

この街に来る途中で、受けた依頼は達成している為、急ぐ用事もない為、ダフネの誘いに乗る。

 

カウンター席に二人並んで座る。

 

「本当なら、礼の意味も込めてウチの娘達にお酌させようと思ってたのに、坊やが全員眠らせちゃうんだもん。こんなおばさんで我慢してね。」

 

「・・・礼?」

 

「ナナよ。助けてくれてありがとうね。」

 

「・・・俺が何もしなくとも、彼女なら解決には至っていた。」

 

「それでも・・・よ。」

 

憂に満ちた瞳。なるほど、事の顛末・・・彼女の幼馴染が犯人であった事を聞いたのか。彼女のを送り届けた時、大丈夫と虚勢を張っていた事を指摘してもよかった。しかし、それでは彼女の気高さを汚してしまう事だと思った。何より、たまたま居合わせただけの俺が何かを言う資格がない。

 

「あの子は我慢強いからねえ。はいどうぞ。」

 

グラスに酒を注ぎ俺に差し出す。

 

ダフネが置いたボトルを手に取ると、彼女のグラスに注ぎ返す。

 

「あら、ありがとう。」

 

「「乾杯」」

 

 

カチンッ

 

 

「・・・」

 

「ふぅ、おいしい。」

 

互いにペースはゆっくりと、味わいながら飲む。

 

 

「・・・」

 

「無口なのね。それともシャイなの?」

 

「・・・多くを語るのが苦手なだけだ。」

 

「ふふ、・・・それにしても、マカロフさんが羨ましいわ。S級魔導士でもここまで差があるなんてね。それが四人も・・・ウチは一人だけ。あーあエルザちゃんウチに来てくれないかしら。」

 

「・・・そちらのS級も腕は立つのだろう。」

 

「まぁね。けれど、まだまだよ。」

 

「・・・では、あなたが鍛えればいい。」

 

「私が?無理無理、もう現役を引退して長いのよ?現役バリバリの若い子に技術で負けるつもりはないけれど、体力が持たないわよ。」

 

「・・・体力など・・・・・・相手は使う暇さえないだろう。」

 

 

 

 

大海の魔女(ウィッチ・オブ・オーシャン)

 

 

 

 

「その二つ名で呼ばれたのは久し振りだわ。」

 

「・・・今でも現役で通用するでしょう?」

 

「フェアリーテイル最強候補の一人にそう言われるとは、年甲斐もなくはしゃいでしまいそう。」

 

「・・・十分にお若い。」

 

「ふーん、女の扱いには慣れてそうね?」

 

「・・・」

 

「ああ、勘違いはしないで、この場合の女の扱いは、女性に対するマナーの事よ。」

 

すると、いきなりミストガンから漂う雰囲気に揺らぎを感じた。

 

「その様子だと、相当厳しく仕込まれたようね。良いお師匠様じゃない。」

 

その言葉で、昔を思い出す。あの頃は生意気で、反抗的な部分も少なからずあった為か、よく[クソババア]だの[若造ビッチ]などと言っていた。その後は、お仕置きと言う名の拷問じみた修行をやらされた。今思い出しても恐ろしくなり、魔力が多少乱れた。

 

「・・・質問しても?」

 

「ええ、私ばかりでは悪いし、何でも聞いてちょうだい。」

 

「・・・なぜ現役を引かれたので?」

 

「こうしてマスターになったからだけど?」

 

「・・・貴女の実力ならば、マスターに選ばれるのは必然。」

 

なら、もう少し現役を続けてから引退しても遅くはないのでは?

 

ダフネがマスターの座に着いたのは、ここ4〜5年のはず。

 

サッと見渡しても、彼女に匹敵する魔導師がお世辞にもいるとは言えない。ならば、多少なりとも現役を続けた方が、ギルドのためにもなると思うが?

 

「そう・・・ね。天狗になったつもりはないけど、確かに今も現役の時も魔力に関して言えば私は強かったわ。・・・けどね、ちょっとポカをやらかしたのよ。」

 

彼女ほどの魔導士が?一体何を?

 

「10年クエスト」

 

「・・・」

 

「とある港町の沖合の洞窟、そこに棲み付いた海獣を討伐するのが仕事だった。海は私のフィールド、それは向こうも同じだし油断せずに挑んだわ。」

 

「・・・」

 

「さて坊や、ここで問題よ。その洞窟は港町の人達にとってどのような場所だったでしょう?」

 

話の内容から、さらさら答えられない問題を出すつもりがないのは明白

 

「・・・その町にとって何かを信仰、あるいは祀る場所。」

 

「正解・・・ご褒美に熱いベーゼでもかわす?」

 

「・・・」

 

「冗談よ。」

 

よくある三文小説の様な話。海獣が棲家にした洞窟は港町の人達にとって神聖な場所であり、海獣を神の御使いだと思い込んだ。ダフネが海獣との戦闘中、洞窟の神を信仰する者達による背後からの不意打ち。ただの不意打ちならば良かったが、中には元魔導士ギルド所属の魔導士もいた事もあり、深傷を負ってしまう。なんとか海獣を討伐、クエストを完遂するも不意打ちをしてきた者も数人殺した。評議員は、これをダフネに責任は無いとするも、ダフネ自身がそれを拒み引退を決意。そして前々から打診が来ていたマスターへの就任となった。

 

「何が大海の魔女って話よね。」

 

「・・・それでも、貴女に責任があるとは思えない。」

 

「私のケジメ。ようは自己満足よ。坊やが気に病むことはないわ。」

 

そしてまた、二人はグラスを傾ける。

 

酒を飲み干し、時間も頃合いだろう。

 

「・・・失礼する。」

 

「・・・待ちなさい。」

 

魔法を解除し去ろうとするが、ダフネに呼び止められる。

 

「・・・」

 

「坊や、幽鬼の支配者(ファントムロード)に気をつけなさい。」

 

「・・・ファントムに?」

 

幽鬼の支配者と言えば、フェアリーテイルと共にこのフィオーレを代表するギルドだ。

 

「ルーシィ・ハートフィリア」

 

「・・・ハートフィリア。・・・・・・確かハートフィリア鉄道。」

 

「それであってる。コレは私の個人的な伝手で仕入れた情報だから表に出回ってないけど、その財閥のトップがファントムにある依頼をしたそうよ。」

 

「・・・」

 

「娘のルーシィ・ハートフィリアを連れ戻す事。」

 

「・・・それが?」

 

連れ戻せと言うことは、家でか最悪の場合は駆け落ちなどだろうか?

 

「娘のルーシィは精霊魔導士らしいわよ。」

 

精霊魔導士・・・!

 

「・・・まさか」

 

あの新人か!?

 

「ルーシィは今フェアリーテイルに所属してる。気をつけなさい。ジョゼの奴は、元々フェアリーテイルを快く思っちゃいない。コレ幸いと確実に潰しにくるわよ。」

 

「・・・そうなると、エレメントフォーも動かすつもりだろう。」

 

「それに」

 

「・・・鉄の滅竜魔導士」

 

なるほど

 

「・・・礼を言う。」

 

「気にしないで、個人的にも貴方のことは気に入ったわ。またね坊や。」

 

「・・・それでは失礼。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ファントム。

 

覚めることのない眠りが欲しいか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーミストガンが去った後の人魚の踵にてー

 

「う〜ん、何だったの?」

 

「襲撃?」

 

ギルドメンバーが目覚め始め、現状を確認する。

 

「あら、やっと起きたのあんた達?」

 

声の方を向くと、グラスを傾け酒を飲むマスターダフネ。

 

「マスター!!」

 

「一体何が!」

 

「客が来てたのよ。とってもシャイで強い客が・・・ね。」

 

その言葉に疑問符を浮かべる中で、唯一理解した者が一人いた。

 

マスターに言われその本人を手紙で呼び戻したナナである。

 

「ちょっ!マスター、ミストガン来てたんですか⁉︎今どこに!」

 

「帰ったわよ〜。」

 

「ハァアアアアアアアアアア⁉︎」

 

「だってアンタ寝こけてたじゃない。お土産置いて帰ったわよ。」

 

そう言われて、目の前のテーブルには確かに土産が。

 

「一言くらいかけてけこのバカーーーーー!」

 

一人の魔導士の叫びがコダマした。

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