迷える魂は安眠を求める   作:ハリボー

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ヒロイン作ろうか作らないでおこうか。


戦争の裏で

ーフェアリーテイルー

 

「カナ、どう?」

 

「クソッ!ダメだ!ミストガンの居場所がどれだけ占っても分からない!」

 

「・・・そう。」

 

ファントムとのギルド同士の抗争。初手で甚大的な被害を負ったフェアリーテイル。

マカロフもエレメント4の一人、大空のアリアの魔法によって魔力を空にされ倒れてしまう。魔力とは魔導士にとっては生命エネルギーそのもの。魔法の使用で『魔力が残っていない』と表現が多く使われる。

しかし、正確には完全になくなってしまったわけではなく、魔法を発動する為に、最低限必要な魔力量が残っていないと言う事が正しい。その為、魔法が使えなくなろうと死ぬ事はなく、微弱に残っている魔力は本人の生命維持の為に使われるよう脳が強制的にリミッターをかけているに過ぎない。今回の場合は、その生命維持活動に回るはずの魔力さえ失ってしまった。

それは、マカロフの生命の危機を表していた。

 

「マスターも倒れて、ポーリュシカさんの所に運ばれたわ。それにさっきの聞いていたでしょう?ミストガンともコンタクトを取れない、ギルダーツも無理。お願いよラクサス!ギルドに戻って来て。」

 

通信用ラクリマ、遠方の相手と会話を可能にする魔道具。そこに映っていたのは、フェアリーテイルS級魔導士ラクサス・ドレアー。

 

『そもそも、ジジイが勝手に始めた戦争だろうが、テメーの尻はテメーで拭けってんだ。』

 

「ルーシィが・・・仲間が狙われてるの。」

 

『ルーシィ?・・・・・・あぁ、あの新入りかぁ。ハハ、どうでも良いな。だが、どうしてもって言うらならミラ、お前が俺の女になるって言うなら考えてやって良いぜ?」

 

「ラクサスアンタねえ!?」

 

『ウルセェなカナ。今話してんのはミラだ。どうする?まぁ嫌だってんならそれまでだ。自力で頑張んな。ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

 

 

 

 

 

 

バリンっ‼︎

 

 

 

 

 

「!・・・ミラ。」

 

「信じられない。本当にあんな人が、フェアリーテイルの仲間なの?」

 

涙を流しながら、心からの叫びを口にする。

 

「とにかく、エルザ以外のS級はこの場に来ない。私達でなんとかするしかないよ。」

 

「ええ、いざとなれば私も。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーミストガンー

 

「・・・あった。」

 

マスターの空中に漂う魔力をかき集めながら、ファントムの支部を潰して回る。

 

しかし、アリアの魔法を受けて大分時間が経ってあるのだろう。魔力が広範囲に散って、集めるのは困難を極めていた。

 

「・・・間に合うか?」

 

マスターの魔力を集める時間、残りの支部、マグノリアまでの距離。

悠長にしている時間はない。

 

その時、

 

「・・・!」

 

 

 

 

 

バガーンッ!

 

 

 

 

 

突如として、数多の魔法を受ける。

 

 

「やったか!?」

 

「あれだけの魔法を不意打ちで喰らわせたのよ?生きてるはずないわ。」

 

ゾロゾロと隠れていたファントムの魔導士達が出てくる。

 

「クソッ!一体コイツに幾つ支部を潰されたんだ?」

 

「S級って言っても、限度ってもんがあるだろうがよ。」

 

支部の襲撃して回っていると、情報をどこかから聞きつけた残りの支部者達が、合流し全員でミストガンを襲撃したのだった。

不意打ちによる数十を超える魔法攻撃。肉片一つ残らない。

 

 

 

攻撃で舞い上がる土煙が晴れる

 

 

 

「ハハッ!ザマ見ろってんだ!跡形も残ってねぇ!」

 

「私達、ファントムに対して調子に乗るからよハエが!」

 

「よっしゃ!このままマスター達と合流だ!」

 

 

 

 

オオオオオオオッ!

 

 

 

 

S級と言ってもこの程度。フェアリーテイルなんて大したことはない。

ミストガンを倒した事で、指揮は爆上がりした。

 

 

 

はずだった。

 

 

 

 

「・・・手間が・・・・・・省けた。」

 

まさか、そんなはずはない。

あれだけの魔法を受けていながら!?

聞こえないはずの声に、一気に緊張が広がる。

 

 

 

すると、舞い上がっていた土煙が集まり人の形をとる。

紛れもなくミストガンガンその場に立っていた。

 

 

 

誰もが動けない。

死んだはずの人間が、生きていた。

 

いや

 

「幻術か!」

 

「・・・答える義理はない。」

 

 

言葉はもういらない。

ここに、我が友の敵が集結しているのだから。

 

「けど、この数で押し切るぞ!」

 

何かを喚いているが関係ない。

 

始めよう。

 

「・・・悪夢を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やっちまえ‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

暗逆転夢

 

 

 

 

 

 

 

 

ーファントムー

 

「なんだこりゃ!」

 

さっきまで、ハエを取り囲んでいたのに、周りを見渡しても誰もいない。それに、支部を襲撃しまくっていたハエすらも!

 

奴の幻術か!

 

視界を奪った!?

 

いや、それはない。現に見えてる。

 

幻だな。辺りに誰もいない様に見せてはいるが、実際には元の場所にいて戸惑ってる俺たちをヤルっ感じか?

 

「€%5=:9○$88÷☆6-<\」

 

「は?」

 

魔獣・・・なのか?

 

頭はあるが、口のみで目と鼻それに耳も無い。

体はやせ細りっている。しかし、腕の足がその何十倍も膨張しているかの様に膨れ上がっている。二本足で立っているのを見るに、二足歩行は出来るのだろう。

 

極め付けは…。

 

「¥¥1*%☆6×|-〆8÷€/@#」

 

これだ。

 

獣の雄叫びを上げるのでもなく、人語を喋るのではなく、意味不明な言葉。

 

「なんなんだよ!コイツ…ら?」

 

気が付けば、目の前にいる奴と同じ様な化物がいつの間にか周りを取り囲んでいた。

 

「さっきまでいなかったろうが!いや、落ち着け!これは幻術・・・一々驚いていたら相手の思う壺だ。」

 

男は必死に己の心を鎮める。何度も何度も、これは幻術だと己自身に言い聞かせる。

 

「€$335<:-○♪¥ヂ5$$^>カxo><ウ」

 

「!」

 

なんだ?あの化物は・・・今、言葉を喋らなかったか?

 

「ヂヂヂ・・・ガガガガガガ・・・・・・ヴ」

 

 

 

 

 

『ヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴヂガヴ』

 

 

 

 

 

「      」

 

 

 

恐怖で開いた口が塞がらない。

 

呼吸も苦しい。

 

目の前の化物が、「ヂガヴ」と言った。恐らく違うと言ったのだろう。発音はつたないが、さっきまで喋ることができなかった筈なのに。

 

そこで男は、ありえない。しかし、それしか合う答えがない結論を導き出す。

 

(ま、まさか!この数分の間に、俺の言葉を聞いて学習したっていうのか!)

 

「ヂ・・・んんっ!失礼、その考えは正しい。そして、幻術と言う考えを否定しよう。コレは夢であり現実だ。」

 

「!」

 

頭の中で考えている事を見抜かれるばかりか、目の前の化物はコレは幻術ではないと言う。

 

「暗逆転夢。発動させた者の状況を、そっくりそのまま相手に返す魔法。」

 

「・・・は?」

 

(なんだそりゃ?そんなもの、危機に陥れば陥るほど、有利になるカウンター魔法って事じゃないか!)

 

「この夢から覚めるための選択は二通り。我々を皆殺しにする事、又は己の死。」

 

「へ、へへ・・・そうかよ。なら簡単じゃねぇか!どっちにしたってこれは夢だ!お前らを皆殺しにする時間!魔力!労力!リスク!それらと、一瞬の恐怖の死!この夢からさっさと覚めて、ビビらせてくれやがったハエを殺してやる!」

 

「・・・」

 

化物は何も喋らない。

 

「いくぜ!」

 

男は持っていたナイフを己に向ける。

しかし、夢であろうと己自身に刃を向けるというのは怖い。

 

「それで良いのだな?」

 

「はっ!黙ってろ化物が!」

 

「良ければ手伝うが?」

 

「誰が化物の・・・!」

 

「どうかしたかな?」

 

男は考える。

 

あの化物はこれを夢だと言っていた。ならば、現実にはあの化物は存在しない。ここで己の死として選択し自殺を図ったとする。すると、現実でも己のナイフが自身を突き刺しているのでは?逆にあの化物は現実にはいない。化物に殺されれば、多少なりともダメージのフィードバックが来るだろうが最悪死ぬことがないのでは?

 

「なら、手伝いやがれ!」

 

「承知」

 

瞬間、男の首が飛ぶ。

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

私は最初に言ったはずだがね?

 

 

()()()()()()()()()()・・・・・・とね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、現実でも首が飛んだ。

 

「・・・え?」

 

 

 

 

 

「・・・暗逆転夢から逃れるには・・・・・・その夢の試練を越えなければならない。」

 

 

ミストガンの言葉と、仲間の多種多様な死に方。

 

それが、男の見て聞いた最後の光景と言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーミストガンー

 

 

「・・・クッ」

 

思わず膝を突きそうになるが、なんとか持ち堪える。

 

「・・・これで最後」

 

なんとかマカロフの魔力をかき集めることが出来た。

 

しかし、ファントムに使用した暗逆転夢。

 

ただでさえ魔力消費が激しい魔法を、残りのファントム全員に使用すれば疲労は極限に近い。

 

だが、これだけの甲斐もあった。

 

マグノリアの東の森。フェアリーテイル専属薬師、ポーリュシカの家に辿り着く。

 

マカロフの魔力を解き放つと、魔力は自然とマカロフに向かって行った。

 

「・・・やる事はやった。」

 

しばらく休むとしよう。

 

大木に寄り掛かり座る。

 

数分後、ポーリュシカの家から飛び出して行くマカロフ。

完全復活ではないだろうに、あれ程の魔力。

 

流石だマスター。

 

そしてそれを見送るかの様に、ポーリュシカまた出て来た。

 

それはいいのだが、何かを喚きながら箒を振り回している。

大方、マスターの文句でも言っているのだろう。

 

箒が近くにあった木箱を倒し、中身のリンゴが足下まで転がって来た。

 

そう言えば何も口にしていなかったな。今更ながら思い出し、リンゴを拾い上げる。

 

「ミストガン!」

 

「・・・頂いても?」

 

「そうか・・・アンタだね?マカロフの魔力をかき集めて来たのは。おかしいとは思ったんだ。あんなに早く魔力が貯まるわけが無い。」

 

「・・・」シャクシャク

 

「勝手に食うんじゃないよ!」

 

 

 

その時、一陣の風が吹く。

 

 

 

そしてミストガンの足元に置いてあった物が、風になって舞い上がる。

 

「ファントムの旗!・・・アンタまさか!マカロフの魔力を集めながら支部を潰して回ってたのかい‼︎」

 

「・・・」

 

ミストガンは立ち上がり

 

「・・・リンゴをもう一つ頂きたい。」

 

「全部食い潰す気じゃないだろうね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖精の律。フェアリーテイル三大魔法の一つ。

 

戦争は間も無く終結する。

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