【完結】炎ぺらーと行くナザリックの侵略日記   作:目此

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お待たせしました(ジャンピング土下座

.5話でやや短いです。



26.5

26.5 炎ぺらーと行くナザリックの侵略日記

 

【ほうこく】

 

 スレイン法国の上層部はかつてない窮地に沈黙が支配する。

「陽光聖典の件から立て続けに……」

「なんなのだ、一体!?」

 沈黙に耐えきれず漏れた一言をきっかけに堰を切ったように溢れだす怒号。

「陽光聖典は壊滅、風花聖典のほとんどと最高戦力である漆黒聖典が軒並み消息不明……半数の部隊が事実上の機能不全」

 羅列される事実は法国の長い歴史において類を見ない異常事態だ。

 スレイン法国は六百年の昔に実在した六柱の超常なる力を振るう神が絶滅の危機に瀕していた人間を救い、国の礎を与えられた選ばれし国である。

 彼らの為した人類の守護者たる理念を胸に研鑽と発展を繰り返した強国であった。

 しかし、その意思は今揺れ動かされている。

「静まりなさい、一度整理するのです」

 整理したところで窮地に晒されていることに変わりはないが、上が現状を正しく認識しなければ組織は正しく機能しない。

「陽光聖典から始めましょう」

「はっ、陽光聖典のほとんどはガゼフの殺害計画の途中、王国の領土の端にて消息不明。現在は治療等の理由で作戦への参加を見送られた者と訓練中、そして予備役を合わせても━━」

「風花聖典は各地で諜報活動を行っておりましたが、〈叡者の額冠〉の行方を追っていた部隊はエ・ランテルのアンデッド騒ぎの際に用いられた可能性が高いという報告を最後に行方知れず。念の為増援を送りましたがエ・ランテルへ侵入した辺りから定時連絡が来ないことを鑑みて━━」

 各部署より上げられる情報。現在戦争中のエルフの森に住むエルフたちとの戦線押し上げに火滅聖典が投入され、土塵聖典は聖地の守護を務めている。

「そして、漆黒聖典は第一席次を含め八名名と〈ケイ・セケ・コゥク〉を持ったカイレ様が〈破滅の竜王〉の調査に向かい……全員が消息不明」

 改めて整理された内容はとても受け入れ難いことであった。

 だが、だからとはいえ現状を受け入れなければ先へと進まないのも事実である。

「残りは?」

「第三席次と第四席次は別命で帝国領に潜入させておりましたが、緊急事態につき〈伝言(メッセージ)〉とほとんどの侍従官を用いた〈魔法上昇(オーバーマジック)〉で転移魔法を使える姫巫女によって強制帰還させ、現在は第一種待機命令状態」

 報告をする神官長の言葉は喉が詰まったように一度切られ、他の参加者の目が一斉に集まった。

「陽光聖典の監視を行っていた土の姫巫女の()()()()を鑑みて、現在各地で活動中の部隊の()()を控えさせていた第七席次〈占星千里〉ですが、部屋に引きこもりこちらとのコンタクトを一切受け付けません。経緯を調査したところ、錯綜している情報を鵜呑みにして逸ってしまい()()()監視を始めた結果、『見えない翼』の一言を最後に部屋から出てこないようです」

 元々まとめたからといって好転することの無い状況。しかし、上げられた情報はそれだけで法国史上類を見ない窮地であることをまざまざと理解させられる。

「見えない翼……とは、さすがに信用できんな」

「第七席次の力を疑うのか?」

「そうでは無い!だが、信用するとした場合、〈破滅の竜王〉とは〈聖ジュノーヴィアス〉の章に登場した魔王のことだと言うのだろう!?」

 〈聖ジュノーヴィアス〉。六大神が伝えたもうた“国造り”に登場するエピソードの一つだ。

 六大神のひとり(諸説あるため特定が困難)が旅の途中、〈聖ジュノーヴィアス〉の旅団(パーティ)と出会い、共に行動する。

 強大な敵を倒した時、旅団の一人である矮躯の男が〈聖ジュノーヴィアス〉を攫ってしまう。

 その男は世界を炎で焼き尽くすことを目的とする()()()()()の魔王であったのだ。

 果敢に挑み〈聖ジュノーヴィアス〉を救出したのだという。

━━なお、顛末や一部登場人物については諸説あり、矮躯の男性ではなく金床のような胸の()()だという話もある。

 あの話が真実だとするなら、魔王は六大神を相手に逃げ延び、もしかするとスレイン法国が彼の六大神の加護を受けていることに気付き、破滅へと追いやろうとしている可能性が浮上するのだ。

「しかし、それならばあまりに……」

 陽光聖典に始まり、虎の子の漆黒聖典が未だ帰らないとするなら既に魔王の手にかかっているということになる。

 陽光聖典の主な任務は獣人(ビースト)の殲滅であり、第三位階信仰系魔法を修める強者集団だ。念の為渡した魔封じの水晶には魔人も封じられているから、爪痕も残さず散ったとは考えにくい。

 そして、その手傷を負った状態で更に漆黒聖典ともやりあったのだ。

 我が国が誇る強者を集めた国の最高戦力。それこそ、こういった事態において最も力を発揮する。

 まさか一方的にやられたなどということは絶対にない。

 なにせ彼らは法国が誇る絶対守護の象徴。

 隊長である第一席次は番外席次を除けば最強。それもぷれいやー(プレイヤー)の先祖返りである“神人”なのだ。

 だとするなら相打ちか、連絡も困難なほどの傷を負ったのだろう。

 

━━“そうであってくれ”

 

 どれほど、言葉を重ね思考をめぐらせようとしても憶測でしかない。

「……現状、情報不足なのはハッキリしています。各所より隠密と情報収集に長けた隊員や神官たちを集め、複数部隊による人海戦術を用いるというので如何か?」

 神官長のひとりの提案に方法を思い浮かばない者たちが賛同し、細かい人員や任務をまとめていく。

 

 まとめきる前に事が起きるのは儘あるが。

 

「ほ、報告します!」

 

 最低限しか整っていない駆け込むような━━服装から見て漆黒聖典の予備役だろう━━隊員が入室する。

 その様子からまたか……(厄介ごと)だと察する上司たちはひとまず説明できるよう双方の落ち着きを取り持つ。

 

「番外席次様が法国を出奔!『そろそろ子作りができるはず。私はモテないのでない、相手を選んでいたのだ』と言って国を飛び出ました!」

 

“そんな馬鹿なこと言って飛び出す奴がいるかぁああああ!”

 

 

 




聖ジュノーヴィアス→せいじゅーのう゛ぃあす→せいゆー、のみ(ここから先は読めない


番外席次の性格が違う?ハハッ、さらばっ☆
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