【完結】炎ぺらーと行くナザリックの侵略日記   作:目此

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今回の頭脳戦のために“かぐや様は告らせたい”のアニメを全部見てきました。(完結おめでとうございます)

でも短い……。


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28 炎ぺらーと行くナザリックの侵略日記

 

 白色の集団はジルクニフの前で跪き、そのまま沈黙を貫く。

「よく来た。我が声に応えることを許可する」

「お初にお目にかかります皇帝陛下。シーカー商会代表〈シーカー〉、いと尊き御方の前に」

「尊いと、な?」

「はい、帝国の地の外にも陛下の御噂は届くほど」

「血で染った玉座の愚王、と……か?」

「ご冗談を。血の一滴も滴らぬ玉座や大地などが何処に在りましょうか」

「否定はせんのだな」

「噂は噂。目で見て、耳で聞き、肌で感じ、匂いを覚え、初めて味のわかるもの」

「ははっ、平らげるとでも言うのか?」

「喉元を過ぎないものが身になりましょうか」

 平身低頭。徹頭徹尾下げられた頭より紡がれる言葉。

 異様だ。ただただ異様な場だ。

 シーカーの言葉は丁寧である。丁寧だからこそ、慇懃無礼でしかない。

 ジルクニフはそれを楽しそうに、そして丁寧に丁寧に弄んでいる。

「……っと戯れがすぎたな、許せ。シーカー商会の者達よ、(おもて)を上げよ。俺の顔をよく覚えるがいい」

 皇帝の許可が下りて初めて顔を上げる彼ら。

 息を呑んだのはジルクニフの傍に控える周りの者たちだった。

 

━━美しい、知的な白き虎だ。

━━可憐だ、なんと華やかなんだ。

━━うおっ、おっぱいデッッッッ。

 

 彼らが皇帝の前で跪くまでの間に彼らを見た時、顔立ちの良さに気付いたがじっくりと観察できるからこそ気付くこともある。

 一言で言ってしまえば美形揃い。

 最前列のシーカーはやはり最も()()()。まるで漂白した紙のように真っ白な髪が背中まで伸びていて、前髪は後ろへと流されているからか彼の表情ははっきりと見え、隠しきれない野性味の中に瞳だけが確かな知性を湛えていた。

 その後ろにいる少女達も一人残らず神が直接作ったのではと疑いたくなるほど、多種多様でありながらも社交界で決して目にすることができない見目麗しい女性ばかり━━

 

━━それも()()

 

 服も、それを身につける者たちも、まるで絵の中から飛び出してきたのではと疑いたくなるほど現実離れした存在だ。

(はははっ、これほどの存在が在野に居ただと?)

「あまりこの辺では見かけぬ顔だな」

「ここよりはるか遠くより旅をしながら各地を放浪しておりました」

「ほう、どの辺りからだ?」

「遠くへ飛ぶ魔法の暴走によりエ・ランテル近くへ訪れたので、正確な位置は不確かです」

「遠くへ飛ぶ……確か《転移(テレポーテーション)》だったな、第五位階の使い手がいるのか」

 第五位階、と呟いたジルクニフの言葉に帝国の者達はザワつく。特に魔法詠唱者たちは顕著だ。

 何せ、卓越した魔法の使い手でも第3位階が限度。魔法に関して発展した帝国でも英雄の域に足をかけた第4位階を習得したのはフールーダの高弟たちでも数少なく、それこそ端で気絶している本人(強姦未遂犯)という英雄を超えた逸脱者しか至れない伝説的な存在。

(なるほど、爺が興奮するのも頷ける)

 フールーダ・パラダインは逸脱者であると同時に、“相手の魔法詠唱者としての力量を見る”〈生まれながらの異能(タレント)〉も持っている。

(そういう事か、他の者はまだ気付いていないが随分と煽ってくれるな!)

 これほどの存在が()調()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。皇帝について調べているのなら()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことは明白だ。

 であるなら、フールーダがある種の魔法狂いであることだって知っているだろう。

(あの“爺が師事を願う”?その時点で爺より上?っ!!だ、第7位階だと!?神話の存在ではないか!)

 はっきり言えばジルクニフとて慌てない訳では無い。

 いくら聡明であっても、いくら政務を日頃取り仕切っても、いくら鮮血帝などと言われるほどの過激な人生を歩んでも。

 

 デタラメな(理外の)存在の一挙手一投足にまで予測することなど不可能だ。

 

 だからこそ、この一手は妙手にして最善手だったのだろう。

 

「なるほど、ところでシーカー立ってはくれないだろうか?」

「それが皇帝の意思であるならば」

 スクリと立ち上がるシーカーの動作だけでも様になっていて、ジルクニフは盛大に内心の葛藤を見せることなく玉座より立ち上がりシーカーのいる階下まで足を進めた。

 もちろん反応した周囲の部下たちは一斉に止めようとするが、それをひと睨みで止めたのは皇帝自身。

「私はこの通り、立場がある……が━━」

 

 同じ階に立ち、右手を差し出すジルクニフ。

 

「どうだ、私と友人になってはもらえないだろうか?」

 

 初めて目を見開いたシーカーは一瞬口を引き結んでから、少しばかり諦観に似た色を出して━━

 

「私を卑賤の商人と知ってなおもお望みならば」

 

━━先程までとは全く異なる皇帝の見せていたものに劣らぬ野性味ある獣の見せるような笑顔と握手で答えた。

 

「ではジルと呼んでくれ、シーカー」

「了解した、ジル。少し手順がズレたが……まあいい()、それなら()()()()()()()で贈り物だ」

「ありがとう、もしやそれはリストか?なら、()()()()()()()()

「……こりゃダメだ()、完敗だ。ああ、とても()()()()

 目の前で何が起きているのか皇帝の配下には理解が追いつかない。

「……ほう、随分と揃っているな」

「これでも奮発したんだ。その辺の気遣ってくれると、商人としてはありがたい」

「あっはっは、その辺は国庫と財務担当との相談だな」

「頼みますよ、皇帝陛下」

 商談……なのか?

 見守る皇帝の配下が大量の疑問符を浮かべる中、つい数分前に結ばれた友誼とは思えぬ気安いやり取り。

 皇帝の親しげな態度もそうだが、それに過不足ない友好な対応をする商人(シーカー)もそうだ。

 一応、シーカーの方が一歩引いた立ち振る舞いをしているのは分かる。

 だが、一歩だ。

 事前に調べてきたとしても距離感の取り方が絶妙すぎる。

 話しながらもジルクニフは秘書官の一人、ロウネへ贈り物のリストを渡し、二人へ確認の視線を向けたロウネも二人の許可を得てからリストへ目を通した。

 目を見開いたロウネは丁寧にリストの帳簿を閉じて、この場で唯一の財務担当へ震える手で渡す。

 訝しみながら財務担当が覗けば、突然顎が外れたように目を見開き開いた口が塞がらない。

「あぁ、そうだ、シーカー。この後パーティがあるんだが、参加してくれるか?」

「もちろん、ジルが準備してくれたんだろ?参加しない、なんてことは無いさ」

 いっそ、和やかとすら映る代表二人の会話に嫌な汗の噴き出る皇帝配下たちであった。

 

 

「ところで、このジジイ、ノしてイイ?」

「悪いがやめてくれ」

「……はぁ、パーティまで時間はあるだろうし、少し場所を借りていいかな?」

「こちらで用意しよう」

 いつの間にか目の覚めていたフールーダ(不審者)を足で踏み止めて首を触るシーカーの横顔には哀愁が漂うだけである。

 

 




頭のいい人同士の会話むずかしい(白目
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