さて、不慮の事故のような形でLDS狩りの1人を捕獲してしまいました。もう1人居るはずですが分かれて行動しているのでしょうか。
「どうしましょうかねぇ」
捕縛しておくべきなんでしょうけど手間といいますか。
「ヘルプコールでもしておきましょう。とりあえず1番暇そうな人……ダメですね。この時期、暇な人は少ないですしここまで来るのに時間がかかりそうです」
そういえば街中に監視網のようなものを設置していましたね赤馬社長。一企業なんですよね本当に?となると、捕縛部隊やらなんやらを差し向ける可能性がありますか。
「社長への直通電話が欲しいですね。こういうときは」
持ってても厄介事を頼まれる可能性があるんですが。
「それにもう1人は何処に居るんでしょうか」
奇襲されるリスクとかがあって面倒なんですよね。2人同時に捕らえないと。
「どうしたものでしょう。取れる選択肢は少ないですがどれもいい案とは思えません」
待つか、持ち帰るか、放っておくか。いえまあすごく取りたくない選択肢として命を奪うのもありますがそんなの選択肢とは呼べませんし。
「社長来ないですかねえ……」
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「強力なエクシーズ召喚の反応を感知したらしいな?」
「はい。ですがそれと同等以上のモンスターの召喚反応が3回ありました。エクストラデッキからの召喚でも儀式召喚でもないため、ただの特殊召喚か通常召喚なのは確定と」
「ただの…か。問題はエクシーズ召喚の反応が明らかにスタンダード次元のものよりも大きいということだな。この際もう1つの反応はどうでもいい。推定エクシーズ次元の者を捕らえたい」
「既に部隊を向かわせております」
「ふむ…いや、私も行こう。場所は?」
エクシーズ次元のモンスターを召喚したと思われるデュエリスト。これはおそらくLDS狩りと呼ばれる者だろう。そしてもう1人だが…
(死堂蛍、彼の顔がちらつくな。無論、昨日の今日で隠れ家を突き止めたなどとは思っていないが襲撃を受ける可能性は大いにあり得る)
「行かれるのですか?ですが…」
「問題はない。私の実力であれば対処可能だろう」
私とて有数の実力者だ。ペンデュラム召喚をも手にしたDDDに死角はほぼない。
「あとで理事長に報告させていただきます…」
「それでいい。責任は私に帰結する」
港湾エリアの路地か。しかも狭く人通りも少ない。
(確か、シンクロ次元のものと思われるバイクがあったな。それで急ぐか)
※この社長はバイク免許も持っています。法定速度を守るとは限りません
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「誰か来てくれませんかねえ」
この際もう1人の犯人でもいいです。暇です。みすみす回収させるつもりはありませんが、別に絶対に確保っていうわけでもありません。結局LDSが捜索するのは決まっているわけで、逃がしても捕らえられるでしょう。
「もうそろそろ夜なんですよ。1時間は待ちぼうけですね」
起きられても困りますし目を離すわけにも。というわけでディスクをいじってネットで時間を潰すこともせず、だらだらと独り言を言ってるんですよ。
「……?」
なにか、振動のようなものを感じました。とりあえず後ろに退避ですね。
ズガッ!
いきなり空から不審者が自分の居たところに蹴りを叩き込んできました。危ないですね。アクションデュエルで鍛えられた危機察知能力のおかげです。
「避けられたか」
「貴方は、こちらの少年の友達かなにかですか?」
「LDSの貴様に答える義理などない!」
「なら力付くで答えさせます。覚悟してくださいね」
質問に答えてくれなかったので拳を構えます。暴力を振るおうとしてきたのはあちらなので暴力で答えるのが礼儀ですよね?
「ふっ!」
なかなか鋭い蹴りです。ですが、この狭い路地では遠慮して威力が出にくいです。なので、壁を蹴って跳躍しつつかかと落としですね。
「なっ!?」
「防がれましたね?とはいえ防いだ腕が痺れて使いにくいでしょう」
腕をクロスされて頭には届きませんでしたが、結局初撃を当てた時点から私の有利です。あとは適当にフェイント混じりのボクシングスタイルでごり押します。
「ぐうっ!がっ!?何故だ!何故押される!?うっ!?」
「とにかく制圧してから聞きますね?わざわざ暴力に訴えてくれて良かったです。これが1番得意なので」
あ、あばら骨が折れた感触ありましたね。ボディはあまり狙わないようにしましょう。骨が刺さって死亡とかはしてほしくないので。脚でも狙いますかね?
………ィィィィィィイイイイイ!
なんか騒がしい音が近くを通りましたね。高周波数というか、耳に残るやつですね。
「そこまでだ」
「はい?……ああ、社長ですか」
「既に意識はほとんどない。やりすぎだ」
おや?立っているので勘違いしましたが確かに反応がほぼないですね。やりすぎてしまいました。
「必要以上に敵対した相手を攻撃し、デュエリストとして、あるいは精神的に追い詰める。本質はやはり、死神か」
「しょうがないでしょう?暴力に訴えかけてきたのはあちらです。ああ、デュエルで決着を着けようとした方はデュエルで倒したので問題なく。リアルソリッドビジョンを搭載したディスクだったのでダメージで寝ていますが殴ったほうよりも傷は少ないはずです」
とはいえ、気を失うほどの攻撃はやりすぎですよね。すぐに相手も見えなくなるのは悪い癖なので治したいところなのですが、難しいですね。
「とりあえず医療班も呼ぼう。彼らには聞きたいことが山ほどある。骨折と打撲まみれではさすがに何も言ってくれないだろうしな」
「話を聞くときは私はいないほうがいいですよね?」
「暴れられると厄介だが……確かに君がいると話さない可能性が高いな。代わりに他のジュニアユース主席生を同行者としよう」
自分を殺しかけた相手と一緒にいる人間は信用できないですからね。まあ部屋の外に居るくらいはいいんでしょうけど
「にしても……確かに榊遊矢に似ているな」
ゴーグルとマスク代わりの布をずらして確認した社長が呟きました。確かに、髪の毛の色などの差異はあれど顔立ちはほぼ同じです。クローンか一卵性双生児か何かですかね?
「では、私はこっちのリアルファイトしたほうのディスクを探して没収しておきますかね?」
「そうだな。目覚められてモンスターで逃げられても困る」
まあこれは半分建前でデッキを確認しておきたいのですが。襲ってきた以上、きちんとデッキタイプを知っておかないと逃げ出して復讐に来られても対処できませんし。
「RUM…スキップフォースにデス・ダブル・フォースに……ランク3から12のエクシーズですか?明らかにレベル7以上のモンスターはいないのでRUMを使って高ランクエクシーズを重ねていくデッキ……となるとRUMを無効に…いえ、エクシーズには鳥獣族縛りがあるからアンデットワールドを維持しておけばどうにかなりますね」
思っていたよりも癖が強いデッキタイプですね。見たことないRUMというカードに依存した特殊召喚に対するメタモンスター。これだったら普通にシムルグとかミストバレーを組んだほうがやりやすそうですが……まあ魂のデッキなのでそんな野暮なアドバイスはしません。
(デッキを確認している?いや、弱点を探っているのか。同じようなデッキを持つ者がいないとは限らないがそれに対処できる知識があるかどうかで勝敗は決まってくる……そういう考え方は共感するが…彼のデッキならば大抵のデッキには対処できるだろうな)
社長にめちゃくちゃ見られてますがなんででしょうかね?おや?
「天龍雪獄……いいカードですね。貰ってもいいでしょうか?……いえ、さすがにダメですよね。とはいえ実質2枚除外とは……」
強いのですが、他人のを奪うのは社長が見てる手前やめておきましょう。とはいえ作ってもらうのはアリかもしれません。
「社長。このカードの複製、できますか?」
「……いいだろう。アンデットワールドがあればモンスター2体を必ず除外となるカードか」
まあアンデット族にならない、効果を受けないモンスターはたまに居ますがそれくらいならどうにでもなります
「赤馬社長。こちらの2人を搬送ということでよろしいですね?」
おや、救護班も到着しましたか。これで私も帰れますかね?
「ああ。よろしく頼む。それと、まだ君は帰れない。デュエルログを手に入れておきたいからな」
…どうやら帰れないようです
また格闘能力高い主人公になった……