転生したらなんかウマ娘に懐かれてる件について   作:和菓子甘味

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正直もうちょいネタ練った方が良いかなと思いましたが、時間が無いので投下します。


第14R「BNW」

朝日が登り始めた午前4時過ぎ。

俺はトレセン学園のコース付近の道路で天を見上げていた。

 

「どうしてこうなった...」

 

俺の目の前には抱きついてきて泣き続けるウイニングチケットになにやら考え込むビワハヤヒデ、執拗に足を踏んでくるナリタタイシンというBNWが完成していた。

いや、俺ばったりコース準備しようとして出くわしただけなんだが。

 

「とりあえず離してくれない?俺もやる事が...」

「やだああああ!もう正樹と離れたくないんだァ!」

「まず落ち着こうかチケット。タイシンはそろそろ足が感覚無くなるから止めてもろて」

「うっさいバカ!」

「...なあハヤヒデ」

「なるほどこれが人間の体と馬の体の違い...ならば走法を...」

「ウマ娘って言う事聞かないのがメジャーな種族?」

 

なんだか会うウマ娘皆俺の話を聞いてくれません...誰か助けて...。

 

 

 

 

 

 

 

 

「で...久しぶりって判定でいいのかな?」

「そうなるね!また会えて嬉しいよ正樹!」

「わかったから体ごと擦り付けるなチケット...」

「えぇ〜...馬の時は喜んでたじゃん。それに男同士なんだから今更だよ」

「中身の問題じゃないんだよなぁ...今君女の子よ?」

「ほらチケット。さっさと離れるよ」

「気にしないでいいのに〜」

 

馬の時のように俺に体を擦り付けてきたチケットをタイシンが引き剥がした。こっちは気にするんよ...。

 

「そういえばアンタ、あの後どうだったのさ?」

「どうって?」

「アンタ私が前世終える前は死にそうな顔してたじゃん」

 

タイシンに言われて記憶を探る。トータル30年前位になるが...確か2020年の春頃だったよな?ってことは...。

 

「ああ...2020年頃だから陸教終わったぐらいか...単に自衛隊辞めたくて鬱になってただけだから」

「そういえば私の晩年も死にそうな顔をしていなかったか?」

「それは陸曹なって仕事が嫌すぎて死んでた」

「大丈夫だったのか...?」

「でもハヤヒデ、正樹は2023年位まで来てくれてたよ。でもある時以降は最期まで来てくれなかったね?どうして来なかったの?」

 

チケットが純粋な目でこちらに問いかける。

...正直言いたくないんだけどな。

 

「あ、嘘ついたら引きちぎるからね」

「おっそろしいなタイシン!」

 

こんな所でリアルバラバラの実の能力者はごめんだ。命には変えられないので正直に俺に何があったかを伝えたのだが...。

 

「なんだそんなことがあったのかぁ〜」

 

おや?チケットなら号泣して悲しんでくれると思ったが案外平気...。

 

「そんな事あったんだったら、柵から逃げて犯人をすり潰せばよかったな。なあタイシン」

「ああ、『俺』も同じ事を考えてた。今の体なら余裕で八つ裂きにしてやれるな」

「2人とも感情的になるな。『私』は社会的にも追い詰めるべきだと考える。法を味方にして合法的にやればいい」

 

じゃねえや物騒だなこのBNW!!

...いやこいつら牡馬だから考えが恐ろしいのか...?

 

「とりあえず、今世では生きてるんだから気にする事はないぞ。今も自衛隊でブラック企業真っ青勤務だが」

「じゃあ何連勤してるんだ?」

「聞いて驚けタイシン。現在32連勤突入だ」

「今度こそ過労で死んじまうって!」

 

まさかチケットから突っ込まれる日が来るとは...タマの役割が消えちゃうじゃないか!

なんて言った日にはどつかれるので言わずに心の中に閉まっておく。

 

「おっさん!」

 

心の中で溜息を吐く。声を掛けてきた男に対してなのだが、正直反応したくない。反応する位ならブチギレてるルドルフを相手にしてる方がマシなレベルだ。

だが、一応は反応しなければ面倒くさいので振り返って挨拶する。

 

「おはようございます角宮(かくみや)トレーナー...」

 

俺が挨拶したのは以前警護輸送任務の時に俺の事を煽り散らしていたトレーナーの片割れである角宮鳴和(かくみや なりかず)トレーナーだ。どうやら親御さんが財務省の人間らしく、文科省下の理事長もそうだし、防衛省下の俺もあまり騒ぎ立てたくない相手である。

現に俺の上官にあたる人間からも以前注意を受けたし、憲哉叔父さんも直々に注意するレベルである。

 

「元気ねぇなぁ〜。ま、底辺の人間ならそうかもなぁ〜いい歳して給料低くてサービス残業お疲れさんで〜す!」

「ハハハ...」

 

過去最高にウザったい感じで接してくる角宮トレーナーに対して愛想笑いで応える。さっさと解放してくれ...。

 

「後、こんな所に物置くなよ。邪魔だろ〜?」

 

そう言うと角宮トレーナーは俺が置いていたリュックを蹴っ飛ばした。

 

「ほーら。これで綺麗に人が通れるだろ?ちょっとは使おうぜ?あ・た・ま」

「申し訳ありません。今後気をつけるようにします」

 

人差し指でトントンと自らの頭を叩いて示す行為は心底腹が立つが、ここは頑張って抑える。

 

「チッ!つまんねー反応すんなよな。あーあシラケた〜。あ、君たちもこんな奴と付き合わない方がいいぞ〜朝練時間を大切にしなよ?それじゃあね〜」

 

こっちの言葉を聞かずに角宮トレーナーは去っていった。3人の方を振り返ると、3人とも耳を絞ってブチ切れていた。特にタイシンとチケットは今すぐにでも殴り掛かりそうな勢いでいたが、後ろのハヤヒデがズボンを掴んで引っ張って止めていた。

 

「なんだあの糞ガキ!『俺』の孫のように可愛い正樹の事言いたい放題言いやがって!てめえなんざ人に気遣いもできねえアホ野郎じゃねえか!正樹は上手く飲み込めない俺の為にスムージーにしてくれたんだぞ!」

「ホントアイツぶっ潰してやりてぇ...ハヤヒデいま離したらレコードタイムで潰しに行くからマジで離すなよ?チケットよりやべえかもしんねえ」

「勿論離す気は無い。『私』も同じ気持ちだが2人とも頭を冷やそう」

「ハヤヒデの言う通りだ。一旦落ち着けお前ら」

 

俺の言葉を合図に2人は抑え無しでその場に立ち止まった。

 

「なんで正樹は言い返さないんだよ!あんな奴...!」

「確かに言ってる事はヤバいかもしれんが、あれでもトレーナー歴で言えば彼の方が上だ。先輩である以上は敬意を払うのが自衛隊流でな。後、アイツの親御さんと面倒になると全国20万以上の自衛官にも迷惑がかかるんだ」

 

そう、大人の世界とは結構汚いのである。まあ、お役所だからってのもあるかもしれんが...。とりあえずそんな事を気にしていたってしゃーない。

 

「さて、こんな気分が悪い日には美味いもん食って忘れるに限る!今からす〇家行くけどお前らも行くか?奢るぞ?」

「...納得いかないけど行く」

「アンタがいいなら」

「私も行こう」

 

という訳で俺とBNWの3人で朝食を摂ることにした。どうせまたどっかから漏れて、ルドルフかグラス辺りに締めあげられるんだろうが知ったこっちゃない。嫌なことがあった時は美味いものを食うに限る。

これは俺が履修前で学んだことだったりする。

人でも馬でもウマ娘でも、イライラしたり不安だったりするとパフォーマンスが落ちて話にならない。

ギャーギャー喚く奴はテキトーに流して美味いもん食って寝ればいいのだ。そこでギャーギャー言われたらそれも流せばいいのだ。

 

「ところで正樹。私達はウマ娘だし、朝練後という状況なのだが...」

「アッ」

 

私有車へ向かう途中でハヤヒデに指摘されて気づいた。

俺の財布死ぬじゃん....。

 

 

 

 

 

その後、案の定BNWと朝食に行った事がバレてルドルフとグラスに締めあげられた上に、タマに「アンタウチの事唯のツッコミ要員や思うとるやろボケェ!」と盛大に蹴りを入れられて1m位飛び上がる事になるのだが...俺って厄年ならぬ厄人だったりする?

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