転生したらなんかウマ娘に懐かれてる件について   作:和菓子甘味

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最近、私が月桂樹に囲まれた金剛石のバッチ取得の教育に放り込まれる話がちょこちょこ出てて生きた心地がしません。助けて下さい。下手に現実味ある立場の人が冗談気味に言うので生きた心地がしません...。(›´ω`‹ )


第20R「メジロ家」

「それでは大奥様をお呼びいたしますので、こちらで暫しお待ち下さいませ」

「はい、ありがとうございます...」

 

ウヒー...何が悲しくて腹ペコのライオンの檻に自ら入る阿呆がいるのか...俺か。

というわけで俺はあのロリ...ゲフンゲフン理事長の指示でトレセン学園の入学案内の為にメジロ家へとやって来ていた。

一応名家でも有名なメジロ家相手なので、しっかりアイロンや靴磨きを施した91式制服の第1種夏服に身を包んでいる。防衛記念章とか徽章はほぼ無いので寂しいが気にしたら負けである。

何をとち狂ったかは知らんが、なんで俺がこんな仕事してるんだ...?俺はあくまで1人の自衛官でトレーナーなだけで、こういう仕事は陸幕広報とかそれこそ理事長やミノルの仕事だろうに...。

まあ、悪態をついても仕方ないのでスマホの内カメで最終的な身だしなみのチェックを行う。

そんなことをしているとノックの後にドアが開けられて執事さんが入ってきた。

 

「樋野様、大奥様がいらっしゃいました」

「ありがとうございます」

 

執事さんにお礼を言い終わると奥から鍔の大きい帽子をかぶったご婦人が入って来て向かいの椅子の前に立った。

アニメのウマ娘に出てきたメジロのおばあ様そのままで正直ビックリしたが、それを出さないように脱帽時の敬礼をして自己紹介をする。

 

「お初にお目にかかります。陸上自衛隊公益施設警護派遣隊日本ウマ娘トレーニングセンター学園派遣員兼ねてチーム『スピカ』サブトレーナーを務めさせて頂いています。樋野正樹3等陸曹です。こちらは名刺になります」

「お忙しい中わざわざありがとうございます。本日はトレセン学園の入学案内についてとの話と聞いていますが...」

「はい、早速ですがこちらが入学案内の資料となっております。注意して頂く事項としては...」

 

そこからは先方も大体の内容を掌握していた為、説明は順調に進んだ。

付け加える事といえば前年度から変わった試験範囲とかの類でその他はほぼなかった。

 

「以上で説明を終了させて頂きます。何か確認事項等はありますか?」

「...いえ、特にはありません。この様子であればマックイーンも大丈夫でしょう」

「そうですか。であれば問題はありませんね」

 

マックイーンか...よし、とりあえず俺はその猛獣から逃れなければならない。

これは望成目標ではなく、必成目標である。

 

「では私はこれで...」

「樋野様。この後孫達を交えたお茶会をするのですが、せっかくなので参加されませんか?」

「え?いえ、大変光栄なのですが...自分はそこまで関係が...」

「いえいえ、かつてメジロ家に尽くして下さった樋野家の人間に大したことが出来なかった事を償う...とまではいきませんが、私は今後良好な関係を築き直したいと考えています。なのでその1歩として樋野様には是非参加頂きたいのです」

「うっ...」

 

正直なところ、先祖のゴタゴタなんざ知ったこっちゃないし、そんなのお上でどうにかしてくれってのが本音だが、そんな事を言えば俺は確実に狩られる未来が見える。

 

おばあ様の後ろの窓に張り付いて俺をガン見するマックイーンによって。

 

 

 

 

 

 

「はぁ...」

「あら、正樹様。溜息をつくと幸せが逃げますわよ?」

「絶賛オメーらのせいなんだがな...!」

 

何故か俺の足の上に陣取って紅茶を嗜むクソガ...お嬢様ことメジロマックイーンに対しておばあ様に聞こえないように悪態をつく。

窓に張り付いてる時から思ったがこいつも記憶取り戻してやがんな...。

横にいるライアンやドーベル、パーマー、アルダン、ブライト、ラモーヌもそうなのかずっとマックイーンを睨んでるんよね...もうヤダこの修羅バ。

 

「しかしマックイーンがここまで好意を見せるとは...やはりトレーナーが向いているのでは?」

「ハハハ...一応陸曹ですので転職は難しいですね...」

「うっそだー。班長ってばずっと辞めたいって言ってたくせにー」

「それ以上言うな」

 

俺の後ろでいらんことを言うメイドの「天利サキ」に対して少々言い方をきつくする。

実はこの天然メイド、俺が陸士長時代に班付として面倒を見た新隊員だったりする。そのせいで当時の俺が辞めたがっているのをよく知っているという訳だ。

 

「でも、班長がちゃんと自衛官続けてるの見て安心しました」

「俺もだよ。あれだけドジやらかして中堅陸曹にキレられてた奴がよくメジロ家のメイドが続いたもんだ」

 

当時は就職援護が尽く不合格で不憫に思った俺が父さんに掛け合って紹介してもらったのがこのメジロ家の使用人だった。

正直俺も天利がここまで長続きするとは思っていなかったので大変驚かされた。...今思えば、父さんはよくまあ因縁のある家の雇用枠を得たもんだ。曾祖父さんとか煩かっただろうに。

 

「あっ!すみません。大変失礼しました...」

「いえ、気にする事はありません。貴方がそういう子だということは重々承知しています」

 

こいつメジロ家で余計なことしでかしてねえだろうな...いや、やってるんだろうな...。

 

「頭が痛い...」

「筋トレすればいいですよ!」

「ちょっと何言ってるか分かんない」

 

俺が頭を抱えながら呟けばライアンが謎理論を振りかざす。俺は陸上自衛官だが脳筋じゃないぞ。

 

「ちょっと『お父さん』!何くっついてるのよ...!」

「そうですわ『お父様』!ここは娘に譲るべきです...!」

「いいじゃないか!『父さん』だって甘い恋ぐらいしたって!」

「何この小声カオス」

 

目の前で始まるライアンとドーベル、ブライトの父子の小声での野郎の取り合いなんてとんでもない状況。そのど真ん中で悠々と紅茶を飲むマックイーンはマックイーンで随分図太い...。

 

「お前この状況で良く紅茶飲めるな...」

「あら、正樹は将来私の旦那になるのですからこの程度で慌てることはありませんわ」

『あ゛?』

「ヒェッ」

 

なんでこの暴れ馬は爆弾発言を堂々としやがるんだ...おかげでライアン達が凡そバトル漫画でキレたキャラがするような顔してるんだが...。

ついでとばかりにラモーヌとパーマー、アルダンもヤバい目をしてるんですが...!

 

「...つまらない人」

「ブツブツ...」

「正樹様...」

 

訳わかんねぇよ...ラモーヌとアルダンはまだしもパーマーに至ってはずっとなんかブツブツ言っててキャラ崩壊なんてレベルじゃねえぞ。天真爛漫なウブギャルパーマーを返してくれ。

 

「あぁ...お茶が美味いなー...」

 

現実逃避して紅茶を飲むが、全く生きた心地がしない。もうヤダ、陸上幕僚長や防衛大臣に何言われようがぜってぇ年次休暇取得してやるからな!




次回から第2章「栄光への軌道」開幕予定です。
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