転生したらなんかウマ娘に懐かれてる件について 作:和菓子甘味
お許しください...。
拳銃を見つけて数日後の休日。
俺は相変わらず事務所に出勤して書類作業をしている。尤も、今日はそれが時間潰しであり、本題は別にある。
「よう、呼ばれて何とやらってやつだな」
「ありがとう涼太伯父さん」
ノックもなく入ってきたガラの悪いスーツ姿の男。それは俺の伯父であり、現在警視庁の捜査一課に所属する現役の警察官でもある樋野涼太だ。
なんでも最近頻発してる拳銃事件を追ってるらしく、今回の拳銃の件で来てもらった。
「で?ブツは?」
「こいつだ」
来るなり物を求める伯父さんに、皮手をして金庫から拳銃を取り出して机の上に置く。
伯父さんも指紋をつけないようにゴム手袋を取り出して手に着けてから拳銃を手に取って確かめる。
「ほうほう...こいつはマジのハジキじゃねえか」
「刻印からして米軍の工廠で作られた官給品だと思う...ただなんでこんな物がウチにあるか分からないんだ」
「場所は確かお前んとこのトラックの腹回りだったよな?」
「ああ、この前返納点検した時に見つかってね...誰かが意図的に隠したんだろう」
「だろうな。関係あるか分からんが...親父どもが言ってたが、今永田町*1の連中が騒ぎまくってるらしい」
「永田町が?なんで...」
永田町が騒ぎまくってるってそんな重大なことあったか?北の人*2がおもちゃ飛ばしまくってるのはよく聞くけども...。
「分かんだろ、今の総理の采配ミスだけじゃなくて公益警派法に拳銃蔓延。周辺国は相変わらずの挑発に内政干渉、台湾有事も目前。そのせいで霞ヶ関*3も大モメだ。今の日本は以前みたいな安全な国なんかじゃない。治安悪化を辿るばかりだ」
「そりゃわかっちゃいるが...」
確かに最近は増税がどうのとかで総理が顰蹙買ってる上に逆ギレしたのが漏れて今大事だってのは聞いてる。お隣さん達がウチの内政干渉も聞いたことがあるし、台湾有事も耳にタコだ。
「正樹、内紛が起こらない日本ってのは幻想だ。今の日本は水面下でそういう動きが何度も確認されてる」
「それで俺にどうしろってんだよ」
「今、自衛隊は良い意味でも悪い意味でも注目されている。各種事案に災害派遣、装備拡充、無意味な規模拡大、賛成反対問わずに誰もが目を奪われてるって訳だ」
「そんなの嫌ってほど分かってるつもりだよ...」
完璧で究極なアイドル(笑)ってかやかましいわ。
「後はこんな状況でも権力争いが耐えない」
「って言うと何さ。桜田門*4の方で何かあったの?」
「そんなの日常茶飯事だ。今回は農水や文科、防衛、財務、外務の他にURAもだよ」
「ふざけんなよマジで...」
財務とウチのゴタゴタは前から聞いていたが...その他も出しゃばったか...。しかもこんだけ問題が山積みなのに権力争いとか馬鹿なの?
「今のとこだと...農水と文科、財務、URAがウマ娘のレース関係だな」
「なんでウマ娘のレース...金か」
「そうだ。ウマ娘のレースは大金が動く。レース運営だけじゃなくてグッズとかも含めな。それ故にその利益を得たいんだろうさ。で、URAはそれを手離したくない。現に表沙汰になってないだけで何人も捕まってるし、ウマ娘に賭ける闇賭博場なんてのもある」
正直闇賭博場は知っている。なんならそこに出入りしているトレーナーすらいるのが現状だ。ただそういう奴が摘発されないのにもそれなりの訳がある。
「それは知ってる。各省庁のお偉いさんとかが関わってるんだろ」
「大正解。1万ポイント進呈しよう。上が握りつぶしてるし、一部の永田町の要人ですら来てるらしいぜ」
「アイルランド国王に知れたらどうなることやら...」
「多分お前が責任負わされるだろうな」
「なんで!?外務が取れよ!」
「悪いが外務じゃ既に何かあった時はお前が生贄になる算段になってるらしいぜ」
「ウッソだろ...」
だから役人は嫌いなんだよ。なんで全く畑違いの俺が責任負わされそうになってるんだよ。
「URAもお前んとこのウマ娘がG1取れないように工作してくるかもな。後財務もきな臭えな」
「ちょいまち...URAだけじゃなくて財務も!?」
「当たり前だろ。ひょっとでの自衛官が担当したウマ娘がG1総ナメとかやってみろ。面目丸つぶれ。財務省も自衛隊の費用削るためにお前がミスるのを楽しみにしてるって訳だ。公益警派で相当な額が動いたからな。どうしてもそれを削りたいんだろうな。噂じゃ既に自衛隊内部にそういう干渉してるらしいぜ」
もうヤダ内臓潰れそう...。
「既に周辺国じゃお前の活動に『日本の軍国主義の再来であり、厳正に対処する』とか言ってる始末だ。まあ、総理はごらんの有様だから直接撤退命じる度胸はないかもだけどな」
「なんでたかが3曹でこんな目に会わないかんの?給料増やして...」
「そういえばお前さん薄給だったな。その上手当もないんだろ?」
涼太伯父さんが痛い所を突いてくる。
それもそうだよなぁ...新人でも1年目で上手く行けば年収600万の世界だもんなぁここ。
因みに俺の場合は出向扱いになるから飯とかは基本自腹。勿論光熱費や寮の家賃も自腹。*5
ボーナスもB判定しか出来ないって言われてるから保険料や携帯代なんか引いて多分...手元に残るのは月1〜2万かな?
だから、一切他に使わずに手元に残るので言えば...年90万ぐらいか。まあそれも担当ウマ娘の問題行動で無くなるんだけどさ。
それに比べて中央トレセンの福利厚生が手厚いのは有名だ。
団体保険も各種ありながら結構お手軽価格。申請を上げれば学園内の施設も無料でかつ私的に使える。有給消化率も高く、寮は無料だし光熱費も無料と来た。
今までざっくりと上げたが、この中で俺が適応されるのは無い。理不尽でしかない。
寮と光熱費は基本的に学園持ちなのだが、俺の場合は陸上自衛隊所属なので給料は自衛隊が払っている。その為、学園持ちにしてしまうと色々と声の大きい方々がやってくるので、俺が住んでいる部屋だけは俺が自腹で支払う事になった。勿論駐車場に関しても同様である。
ボーナスに関しては上級部隊が「トレーナー勤務時は自衛隊としての業務での評価が出来ないため」などと言い出してトレセン出向中はボーナスはB判定のままで行くという事になった。絶対面倒なだけだろふざけんな。
最後にトレーナーとしての給料だが、これを受け取ると副業になり、処罰の対象になるので受け取れない。因みに、本来は担当やチームとの契約の際に決めるのだが、大体は10〜20%程のレース賞金が臨時ボーナスとして入ってくるそうだ。これはサブトレーナーも相談の上であるが同様である。
以上の点から見ても、俺がボロ雑巾の方が好待遇であると思われても仕方ない環境で働いている事はお分かりだろう。その中で休日のお出かけは全部自費。
ウマ娘達は容赦なくドカ食いするし、そうでなくても移動費がかかる。せっかくの休日を謳歌出来ず、貯金もできないという苦しい状況なのである。
真面目に最近は愛車を売り払うことも考えている。
ついでに言えば自衛隊退職も考えてる。誰がやってられるかこんな安月給なのに責任だけはアホみたいに負わされる仕事。
「本当に嫌だこの仕事...なんでこんな給料で隊長や先輩トレーナーのパワハラに耐えて、国際問題スレスレを反復横跳びしながら言うこと聞かない暴れウマ娘に振り回されて、夜遅くまでサービス残業して、各名家のご機嫌取りして、上の権力争いに巻き込まれて...なんでなん?」
「まあ、イバラの道選んだのはお前だからな」
「こんなに理不尽だとは思わないでしょ...更にはこの拳銃だよ」
俺は目の前の拳銃を恨めしそうに睨むが、拳銃は何処吹く風という状態で鎮座している。
「とりあえず、このブツはこっちで預かって調べてみる。お前も気をつけろ。コイツを仕掛けたのがどこぞのクソガキならまだしも、永田町や霞ヶ関の連中だと相当面倒だ」
「もう面倒は起きてるよ」
「それもそうだったな。まあ、死なねえように気をつけな。お前さんの行動一つで大事になりかねないからな」
そう言って涼太伯父さんは拳銃をカバンに入れて帰って行った。
「....もう山で1人で生きようかな」
とは言ってももう引き返せないラインまで来てしまったので、おそらくキタサンブラックのシニアが終わるまでは退職も出来ないだろうな...。
とりあえず、そんなこと考えても無駄なので目の前の書類作業を終わらせるために俺は再びペンを握った。
今回質問返答コーナーはお休みしますが、随時受け付けております。
質問は以下からお願いします。
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