転生したらなんかウマ娘に懐かれてる件について 作:和菓子甘味
全く初日から早々に戦闘服がノースリーブになるところだった...。早朝のフジキセキとシンボリルドルフが混ぜるな危険レベルで修羅場と化した時、2人はそれぞれの主張を始めた。
『すまないがフジキセキ、私はこれから樋野トレーナーと話があるんだ』
『偶然だね。私も正君に話があるんだ』
『『あ゛ぁ゛?』』
双方の目付きが鋭くなり、俺の心臓は「ここから出してくれ!国へ返してくれ!」と叫び始める。
『何が「正君」だ。馴れ馴れしく『オレ』のモノに唾付けてんじゃねえぞ小僧』
『おやおや、皇帝とはいえ生徒会長らしくない発言ですね?『ボク』はあくまで友愛の証で呼んでるだけですよ?』
皆さん想像できます?ウマ娘プリティダービーが修羅場アグリーファイトになるなんて。
おっかしいなぁ、シンボリルドルフ号はまだしもフジキセキ号は大人しい性格だったはずなんだけどなぁ...。
結局の所、2人の引っ張り合いで戦闘服の袖がねじ切られて退場しかけた時に、運良くたづなさんが臨場。2人は俺を解放してくれた。そして俺は補給陸曹に殺されずに済んだ。
で、ひとつ分かったことがあり、それは彼女達は基本的には今の性格だが、感情が昂ると前世の性格が顔を出すようだ。...ルドルフだけじゃなくてカレンチャンとかゼンノロブロイとかもやべえじゃん。
オイオイオイ、俺死んだわ。
という訳で、もう既に疲れていても疲れるものは疲れるので...。
「だ、大丈夫ですか樋野トレーナー...?」
「大丈夫です桐生院トレーナー...」
早速トレーナー室で死にかけている自分を心配してくれたのは挨拶に来た桐生院トレーナー。一応俺のトレーナー同期にあたる人で、桐生院家というかなり凄い家の出なのだとか。ただし本人はそこまで接しにくい人間ではなく、同期の俺含めて何人もの人と交流を欠かさないしっかりした人間だ。そこはアプリで知っている通りなのだが、実際会えば確かに好かれる人だと分かる。
但し鋼の意志。テメーは許さん。
「あの...なにか飲み物でも入れましょうか?」
「いえ、エナドリで元気出すんで大丈夫です...」
桐生院トレーナーの申し出を断りつつ、愛用のリュックからモ○スターを取り出して元気を前借りする。やはりこれがないと一日は始まらない。既にエナドリ中毒者街道を驀進中である。
「失礼します!誰かこの学級委員長をお呼びでしょうか!?」
「呼んでないよー」
「そうでしたか!これは失礼しました!」
突然現れ、要件が終わると丁寧に扉を閉めた後、「バクシーン!」と叫びながら去るウマ娘を尻目に記憶を漁る。サクラバクシンオー号って賢い馬だったはずなんだけどな...。そういえば俺は2000年生まれだから、2000年以降の馬には会ってるけどそれ以前に亡くなった馬は会えてないんだよなぁ。安全圏の子達は2000年以前に亡くなってるだろうから多分大丈夫なはず。現役馬とかは親父がパドックに連れてってたから見たかもしんねえけど、流石に俺程度の人間は覚えてへんやろ。
「え?え?」
あ、考え事に集中して放置してた。
桐生院トレーナーはどうやら唐突に始まって終わった事に目を白黒させていた。ここはいっちょ人生の先輩(?)としてアドバイスするか。
「桐生院トレーナー。あんまり考え過ぎないのも上手に生きるコツなんですよ」
「それにしたってあっさりしすぎなんじゃ?」
そう言われるとぐうの音も出ないが、変にバクシンオーに気づかれるよか、あのままアホの子路線を邁進していただきたい所存ではある。
「ところでトレーニングは大丈夫なんですか?そろそろ時間だと思うんですが...」
「本当だ!すみません樋野トレーナー!失礼しました!」
そう言い残して桐生院トレーナーはドタバタ慌てながら部屋を後にする。彼女も大変だなぁと思いながら俺は目の前の仕事から目を背ける。
目の前には陸自...つまりは原隊関係のお仕事が沢山鎮座している。車両や武器装備品管理替え*1に関する書類が大半を占めるが、これを俺がせねばならぬ。なんで原隊*2でやってくれないんですかね?こっちの職務はトレーナーの筈なんだが?
とはいえ、そんなに嘆いていても始まらないので、仕事を始めようとした時、急に視界が暗くなる。まだ網膜炎には早い歳だと思うんだが??
「野生のトレピッピゲットだぜ!」
なるほどなるほど...よぉくわかったぞぉ...。
「ポケ○ンマスター目指す前に俺を降ろせゴールドシップ!」
「ゴルシちゃん号はっしーん!」
「やっぱ話聞かねえこのバーサーカー!」
こうして俺は拉致されたのだった。
「ここで大丈夫だろ。よいしょっと」
「グェ!」
どうやら目的地に着いたらしく、俺は乱雑に投げられた。割れ物注意なんだからもうちょっと丁寧に扱おうぜ?
「よお久しぶりだな正坊!元気だったか!?」
「君に拉致られるまではな...どこだここ?」
「近くの山に決まってんだろ。その目は飾りかぁ?」
すんげー腹立つわァ...これはアニメでマックイーンがキレるのもわかる。
「それとも何か?美少女ゴルシちゃんに見惚れて方向感覚、失っちゃった?」
「可愛く言っても騙されんぞ」
この拉致ウマ娘め...もうちょい話が通じてくれ...。
「んだよノリわりーなぁー。しかもまだ煙草吸ってやがるな?名探偵ゴルシちゃんにはお見通しだぜぇ!」
「別に俺の趣味趣向は構わんだろうが...あの時お気に入りの服に引っ掛けやがって...あっ」
やっべ、口盛大に滑らせたぞ。ほら見ろ!シップの奴、新しい玩具を見つけたクソガキの顔してやがるぞ!
「なーんだよしっかり覚えてんじゃねえかよォ!メビウスオプションパープル1ミリの匂いだからまさかとは思ったけどさぁ!」
いやバレてたんかい...待てよ?こいつ匂いだけで俺の煙草の銘柄当てなかった?控えめに言って怖いんだけど。ウマ娘の嗅覚どないなっとんねん。
「それじゃあこれからよろしくなトレピッピ!私はスピカ所属だから度々遊びに行くから足首洗って待ってろよな!」
そう言い残してゴールドシップはゴルシちゃん号に乗って帰っていった。
「え?放置プレイ?」
結局歩いてトレセンまで帰ったけどたづなさんにすげぇ怒られました。解せぬ。
ゴールドシップ
前世では正樹を1見学者だと思っていたが、自衛官ゆえなのか本人の素質なのか、おもしれーヤツ波動を感じ取り小を引っ掛ける。それ以降の反応が面白かった為、お気に入りの人間となる。
馬の側面が出た時の一人称は「オレ様」、「オレ」等安定しない。