3月5日。
この日は、日本一周旅の始まりの日……
時刻は夜の19:00を回っていた。
2人で、京都駅に集まろうと言っていた。
ちなみに、美晴さんの大学院の卒業式はこの日だったからのもあって、美晴さんはすこしふわふわしているようにも感じた。
「あっ、マネージャーさん」
「美晴、卒業おめでとう」
「うふふ、ありがとうございます」
「じゃあホテルにチェックインしよっか?」
「はーい!」
2人で今日のホテルへ。
今回は連泊になるので、少しだけ余裕もある。
「おおお〜」
2人で声を上げる。
その部屋は、すごく綺麗で、すごく京都らしい部屋だった。2人はすぐに移動できる準備をする。
「準備できた?」
「はーい」
じゃあ、行こっか。
そう言って、2人は京都駅へと向かった。
「美晴、京都駅のイルミネーションは季節ごとに違うから、今のイルミネーションを見てみない?」
「はい!是非!」
美晴さんが嬉しそうに答える。
その笑顔を見てると、元気をもらう。
「じゃあ、あの階段に行きましょう」
「うん、そうだね」
2人で京都駅の大階段へ。
そこには……
「わぁ……」
美晴さんはうっとりしている。
僕も見入っていた。
季節ごとに違う雰囲気を見せてくれるから……なおさらいいよね……
そんなことを思いながらも、美晴さんと、一時離れていたから、悲しさよりも、嬉しさの方が勝っていた
2人で空中径路にやってきた。
空中径路は、僕が高所恐怖症だから、またしても美晴さんと手を繋いでいた。
2人だけのゆっくりとした時間が流れていく。
このまま時が止まっていて欲しい。そう思うくらい。
空中径路を渡り終わり、東広場へやってきた。
東広場では、ストリートピアノは置いていなかった……
「あっ、ピアノ、ないですね」
「期間限定の設置だったからね。でも、あの期間の間に予定よりも多くの回数を弾けたから、僕はすごく嬉しかった。それは、美晴さんのおかげ。本当にありがとう」
「うふふ、わたしもたくさん弾けて、嬉しかったです」
美晴さんが楽しいなら、僕は他に何もいらない。
そんなふうにさえ思ってしまう。
事実、そう思っているけど。
そして、2人であの日と同じ、結婚式が行われていた場所に乗る。
そこからの眺めは絶景だった。
2人でその景色を眺めている間に……
「マネージャーさん」
美晴さんが静かにそう呟いて……
美晴さんは僕に袋を1つ出す。
「ハッピーバースデー」
優しく、甘く、そう呟いた。
「……!」
僕のの目から涙が零れ落ちる。
美晴さんが本音を口にした。
「わたしね、あの日、マネージャーさんに『結婚してください』って言われて、少し戸惑ったの。マネージャーさんはずるいし、わたしだけ得するのもなとか思ったり、本当に幸せになれるのかって思ったり……実は少し考えていたんです。でも、今回、マネージャーさんと一緒に行ってわかったことがあって、マネージャーさんがわたしのことを愛してくれている気持ちは本物だし、わたしのことを尽くしてくれるし……わたしも自然と幸せになってたんです……」
「……」
僕は何を言えばいいのかわからなかった。
それでも、美晴さんが僕のことを『好き』でいてくれていることが何より嬉しかった。
「わたしね、マネージャーさんはこんなにもわたしのことを好きでいてくれるし、わたしが知らない秘密をたくさん知ってる。だから、わたしはマネージャーさんのことがずるいって思ってます……」
「……!」
それは意識したことがなかったから、驚いた。
美晴さんが続ける。
「わたし、マネージャーさんがわたしに尽くしてくれているから、いつしか、マネージャーさんに溺れちゃっていたのかも……でも、その時にわかったんです。マネージャーさんとなら、幸せになれるって。だから……」
美晴さんの目からは涙がとまらなくなっていた。
「だから、マネージャーさん……わたしも口からも……言わせてください……」
「うん、いいよ」
そう素直に答える。
「マネージャーさん……わたしと……結婚してください……」
美晴さんが涙を流しながらそう言った。
僕も、嬉しくて、涙が零れ落ちていた。
「はい……」
そうしっかり答えた。
嬉しさのあまり、美晴さんをぎゅっと抱きしめた。
「美晴さんの口から聞けて、僕は本当に嬉しい……ありがとう……」
「こちらこそ、ありがとうございます……ずっとわたしのことを愛してくれて……」
「うん……この気持ちに変わりはないから……」
「やっぱりマネージャーさんは……優しいマネージャーさんですね……」
「そ、そうかな……////」
顔が赤くなる。
だって、そんなこと言われたら……
でも、素直に嬉しかった。
美晴さんへ思いが届いていたことも、そして、美晴さんが僕のことを愛してくれていたことを……
そんな2人だけの特別な時間はゆっくり流れていく。
そして、少し暖かい風が僕らを包む。
その包まれた風がベールとなる。
僕らは唇を合わせた。
あの日と変わらない、あの場所で。
でも、それが一番嬉しいし、幸せ……。
そんな時間を大好きな美晴さんと過ごせてよかったと感じる。
僕らが唇を合わせた時間はとてもゆっくりでこの時間がいつまでも続いてほしいと感じた。
唇を静かに離した。
その目に涙はなかった。
「美晴さん、プレゼント……開けていいかな?」
「もちろんですよ」
「じゃあ、開けるね……」
何が入っているのだろう……僕は紙袋の中の箱を開けた。
その中には……
「……!」
箱の中には、ブランド物の時計が入っていた。
「どう……ですか……?」
「美晴さん……最高のプレゼント……ありがとう……すごく嬉しい……」
「うふふ、良かった〜」
美晴さんも少しほっとした様子だった。
僕はあまり普段から時計を付けるタイプではない。
それに気づいたのだと思う。
いつか買いたいなと思ってたけど、まさかこういう形でもらえるなんて思ってもなかった。
だから、すごく嬉しい。
美晴さんからもらったからなおさら嬉しい。
それなら、僕からもお返ししなきゃね。
「美晴さん」
「なぁに?」
「遅くなってごめん……」
僕は美晴さんに一つの箱を渡す。
「これって……?」
「美晴さん、遅くなってごめんね……お誕生日おめでとう」
「ありがとうございます……」
あの日、ここで渡すはずだった誕生日プレゼント。
それを今日、ここで渡した。
遅くなってしまった。それでも、僕の手で渡したかった。その方が気持ちが伝わると思ったから。
「開けてもいいですか?」
「もちろんだよ」
「じゃあ、開けますね……」
美晴さんは箱を開ける。
「……!」
美晴さんは少し驚いた様子だった。
「マネージャーさん……ずるいよ……」
美晴さんは静かに呟いた。
「どう……かな?」
僕は少し不安になって美晴さんに尋ねる。
すると美晴さんは僕のことを抱きしめた。
「マネージャーさん……大好き……」
急に言われたからドキッとした。
抱きついてきた美晴さんを優しく受け止める。
「うん、僕も美晴さんのこと……大好き……」
優しく、甘く、つぶやいた。
美晴さんの目からは大粒の涙が零れ落ちた。
ずっとこの温もりを感じていたかった。
「今……すごく幸せです……」
「僕も……幸せ……」
それぞれが、幸せだと感じている。
これが、本当の幸せって感じる。
「マネージャー……さん……」
「なぁに?」
美晴さんは僕の頬に唇を合わせる。
何だろう。今日ずっとドキドキしてる……
美晴さんの手のひらの上で転がされてる感じがする。
でも、それだけ美晴さんも嬉しいのかな?
そう思ってる。
「マネージャーさん、わたしのパートナーになってくれて、ありがとございます……」
「こっちこそ、ありがとう……2人で……幸せになろうね……」
美晴さんに約束した。
美晴さんを、必ず幸せにすると。そして、2人で幸せになると。
美晴さんに渡したのは、大きな白い真珠のついたピアス。
そのピアスに付いている純白のパールが、僕らの未来を照らしているかのように輝いていた。
2人でそのパールを見つめる。
2人は、笑顔だった。
皆さんこんにちは。おみです。
この度は「夜峰美晴 Op.1」を読んでいただきありがとうございます。
実はこの1話は2021年のGW旅行記の最終話として書く予定のものをアレンジしています。そこのところご理解ください。
次回は真面目に(?)書いたオリジナルを投稿しますので、是非次回も読んでくださると嬉しいです。
また、このシリーズは動画投稿と併せて投稿するので、長い目で見てくださると嬉しいです。
それでは次話もお楽しみに!