TSして人生やり直すことになったのでVtuberやる 作:減塩醤油
翌朝
私が朝食を準備していると、ばつが悪そうな表情でミラちゃんがこちらを向いていた。うーん、可愛い!(脳死)
「おはようございます..やっぱり夢じゃなかったんですね....」
夢かぁ。そりゃあれだけ大変な思いをしたら夢だと思っちゃうよね。ここ最近は睡眠すらままならなかったらしいし。
私からすると推しが同じ部屋で寝てたことが夢みたいだけど。
「おはよう、よく眠れた?ちょうど朝ご飯出来たから顔洗って一緒に食べよう」
さて、今朝私たちが頂くのは白ご飯に味噌汁、卵焼きとウインナー、あと冷凍してたひじきの煮物です。
私の前世からの黄金朝食だ。心の中のこういうんでいいんだよおじさんもよう喜んどる。
「え...食べていいんですか..?」
「いいに決まってるよ!お口に合うと良いんだけど」
そうは言っても、どうやらまだ遠慮している様子だ。そんなに緊張しなくていいのに。
なんとか警戒を解くために、私は少しだけ微笑んでさらに畳み掛ける。唸れ私のエロゲ知識!
「あ、あぁ~朝ご飯つくりすぎちゃった~。私こんなに食べられないから、誰か一緒に食べてほしいなぁ~」
チラチラと視線を向けながら迫真の演技でそう伝える。遠慮がちな子は押しに弱い!
初めて役に立ったよ、ありがとうみかんソフト...ありがとうドゥタノバウィッチ...
「じ、じゃあいただきます......」
箸で卵焼きをつかんで、ゆっくりと口に入れる。初めて他人に食べてもらうからドキがムネムネだ。
今世では何故か甘い方が好きになったから、砂糖がちょっと多めのやつなんだけど...
「...美味しい....こんなに暖かいの久しぶりに食べました...」
少し涙ぐんだ声でそう言いながら、さらに箸を進める。
うら若き少女がこんなになるまで食べてなかったなんて。
やはり私が
「うぅ...わ、分かったよ。これからは私が毎朝作ってあげるからね!」
「えっ!そ、それってどういう意味ですか....」
ミラちゃんも嬉しくて顔真っ赤にしながらうつむいてる!やったね!
何言ってるかは小さくて聞こえなかったけど、多分ありがとうございます的な趣旨を伝えたかったのだろう。
ともあれ、やるべきことが一日にして急激に増えたわけだが、どれから手をつけるべきだろうか。
流石にミラちゃんの退職云々の話は本人の気持ちがある程度落ち着くまで待った方が良いだろうし...
「ねぇミラちゃん、何かやりたいことってある?本当に何でも大丈夫だから言ってみて」
すかさず考え込む様子のミラちゃん。しかしその表情には戸惑いが大きい。
「わたしこれまでやりたいことやれたためしがないんです。そんなこと急に言われても....」
そりゃそうか、お金がなかったって言ってたしなぁ。
考え込んでも答えが出なかったのか、部屋の中を見渡し始める。
そして、部屋の隅に積み重なっているゲーム機とソフトの山を見て止まった。
「..わたし、昔からテレビゲームをやってみたかったんです。親からは馬鹿になるって買ってもらえなかったので」
「えっ、一回もやったことないの?」
すぐにミラちゃんのチャンネルを確認したが、確かに投稿動画は自己紹介の1本のみでそのほかにゲーム実況などはまだなかった。
「じゃあ、難しいことはおいといて一旦ゲームしよっか!」
幸いにも私たち二人とも今日の予定はなかったので、時間は十分にある。
まずはどのゲームがいいかなぁ~
「うん、まずはこれが良いかな。ミラちゃんはメリオって知ってる?」
「な、名前だけなら...」
「うんうん、これは私がメリオのなかでも一番好きな作品でねぇ....」
ゲーム録画用の機材をセッティングし終え、さあレッツプレイ!っとその前に...
「ミラちゃん!私のことはそのままサクラって呼んで!今から動画用の録画を撮りまーす」
「えっ、いきなり動画撮るんですか?でもまだモデリングとかその辺が...」
「大丈夫大丈夫、その辺は何も考えなくていいよ。後でパパッとやるし。今は私の呼び方とこのカメラの前でプレイすることを意識するだけで良いから!」
モーションキャプチャー用のカメラを目の前に持ってくる。モーションのデータさえあれば、私が後から編集することだってできるからね。
「で、でも、わたしサクラさんみたく出来ないと思います...本当に全部分からないし...」
あらら自信なさげなご様子。そこまで気にすることないのに。
無理に上手なプレイを見せる必要はない。リスナー視点からすると楽しそうにわちゃわちゃしてる様子が一番需要あるだろう。
「そこなんだよ。ミラちゃんって生まれたてのAIなんでしょ。視聴者はゲームで戸惑ってる様子が見たいはずだよ!」
しかしまだ乗る気ではない様子だ。...それもそうか。いきなり配信用に動画撮るなんて言われても混乱しちゃうか。少し強引すぎたかも。
でも、急がないといけない理由もある。
先ほどツブヤイターで検索したところ、ここ一週間で『サイミライ』とのつぶやきが結構見られた。ネットのまとめ記事も多くて、掲示板とかでも大盛り上がりだ。
なんなら『初風サクラ』より多いくらいに。
謎のUtuber、しかもVtuberを名乗るAIの登場に大盛り上がりらしい。
私の初登場時はこれほど話題にならなかっただろ!とジェラシーを感じるが、最推し相手なので複雑なところだ。
まあそんなわけで、話題性を逃さないためにもミラちゃんは早急に次の一手を打つべきである。
どうすればやる気を持ってもらえるのか....
はっ! ピカっと ひらめいた!
「じゃあ私予言しまーす。この動画はすっごく再生されて、たった1本でチャンネルの収益化が通るよ!こう言うの良くないかもだけど、お金めっちゃ入るよ!」
私はいつもの配信のテンションで、おどけた口調で言い聞かせる。
その名もお金で釣る作戦!相当失礼な作戦だけど、これでやる気になってくれたりは...
「うわぁ本当にサクラちゃんだすごー...じゃなくて!また未来が分かるってヤツですか」
ジト目で見つめ返してくる、どうやらまだ半信半疑のようだ。くそぉ、お金にも釣られないか....
いやガチで本当なんだって!確か初投稿動画は後々百万再生とかされてたんだし。
「信じてくれないかぁ。収益化も、私がミラちゃんのこと大好きなのも本当なんだけど...」
「な゛っ゛......そ、それ本当だったんですか...」
顔を真っ赤にしてそっぽを向くミラちゃん。
どうしたんだろ、私変なこと言ったっけ?
その視線の先を見ると、ゲーム機とメリオのパッケージ。
....なるほど!早くやりたかったんだね!(名推理)
「なぁんだ、顔真っ赤にして見つめちゃって!そんなにメリオしたかったんだね!早く言ってくれればいいのにぃ~」
ゲームハードにディスクを入れつつカメラの電源を入れ、録画の準備をする。
「え、いやちが....あの!サクラさん!」
振り向けば、何か言いたげなミラちゃん。
「どしたのミラちゃん。ほら言ったでしょ、サクラでいいよ!一緒にゲームしようよ!」
推しに「サクラ」って呼んでもらえる様子を想像して私の表情はにっこにこにーだ。
やば、キモい顔になってないかな。
「調子が狂います....」
ミラちゃんがぼそっとつぶやくが聞き取れない。
ヤバいな年のせいかな...
「?何か言った?.....おーいミラちゃーん?」
さっきよりももっとそっぽを向いてしまった。むぅ、年頃の女の子の気持ちはよく分からん。
今なら日本中の父親の悩みが分かる気がする。
「な、なんでもありません!早くゲームしましょう!」
初めてメリオをやってみる!#1【NewメリWii】
「皆さんどうもーこんにちは!サイミライと」
「バーチャル世界からこんにちは!初風サクラです。本日から何日間か、ミラちゃんのチャンネルにお邪魔しますよ!」
ミラちゃんは動画投稿が二回目でまだ慣れてないので、今回だけはカンペを用意して読んでもらっている。
それでも流石はミラちゃん、棒読みになることなくしっかりとした抑揚で話せてるな。
「今回は初のメリオをやっていこうと思います!サクラさんは案内役です」
結局さん付けはやめてくれないか。遠慮なんてしなくていいんだけど、まあ仕方ないよね。
「ちなみにミラちゃんがメリオで私がルーインだね。敵は私が全部ぶちころがすから、ミラちゃんは安全にゴールにむかってね」
「そ、それだとミラがいる意味なくなっちゃうじゃないですか!」
困ったような表情で私の方を向きながら抗議してくる。あぁ^~推しが尊いんじゃぁ^~
この声を聞くだけでも脳が蕩けて笑顔になっちゃうな。
「ごめんごめん、一緒に行こうね!あっ、ほら、始まったよ!」
「わっ、ホントです!茶色のキノコが歩いて来ますよ!見て、なんだか踊ってるみたいです。可愛いですね!」
「クリゾー見て可愛いって言えるAI初めて見たよ。でもそいつ敵だから当たると」
マンマミーヤ...
「....えっ、今ので死んだんですか?キノコにあたっただけなのに?」
「このおじさん元配管工の一般人だからね。それが姫様救いに行くなんて相当だよ。..じゃあ気を取り直して出発しよう!」
「わぁ!今度は水の中のステージです!最近のゲームは凄いですね!」
「実はこのゲーム結構昔の作品なんだ。最近のゲームのグラフィックはもっときれいだよ」
「本当ですか!?今から楽しみです!さあ、行きましょう!」
熱中している内にいつの間にか夜になり、ミラちゃんは興奮しすぎた反動で眠ってしまったようだ。初めてのゲームではしゃぐミラちゃん、可愛かったなぁ...ぐへへ。
思い出すだけでもご飯3杯はいけるな!間違いない(確信)。
だが、私にはやることがまだ残っている。緩々になった表情筋に喝を入れつつパソコンの前に座って、いつも使っているモデリング用ソフトを立ち上げる。
現状ミラちゃんの話題性は最高潮だ。このチャンスを逃すわけにはいかないので即刻取りかかろう。
これまでに何度か短期間で私の衣装チェンジを行ってはいるが、それは最初のモデリングを流用して時短したからだ。
ミラちゃんは私と等身が少し違うので、ズルをすることが出来ずに1から作ることとなる。
昼にやるべきか迷ったが、なんとなくミラちゃんに一人でゲームさせたくなかった。
これは偏に私のイケメン心によるもので、決して一緒にゲームしたいという下心のせいではない。ないったらない。
よって、夜にやるという決断に至ったのだ。冷蔵庫から魔剤を取り出して、早速作り始めよう。
あかんわ、バグが多くて負荷がめっちゃかかるわ。バグ潰そうにも時間ないしなぁ。
...いや、1時間で10個ぐらい潰せばいけるか。大体三徹すればなんとか完成しそう。
一つ潰しては推しのため、二つ潰しては推しのため...
いざジャングルへ!#5【NewメリWii】
「わわ、またでっかい芋虫が来ましたよ!どこに星コインがあるんですか!」
「あれぇーおかしい..確かこの辺だったはずなんだけど」
前にやったのがもう6年以上前だからユルシテ、ユルシテ...
「もういいです!そろそろ行きますよ!」
「あぁ待って~私この収集アイテムそろえたい派なのぉ」
いよいよ最終決戦!#8【NewメリWii】
私たちのドタバタ珍道中もそろそろ終わり、終盤の最終マップまでやってきたのだが...
「み、ミラちゃん!こんな狭い足場でヒップドロップしないで!」
「ちょ、耳元で叫ばないでください!この脆そうな骨のジェットコースターみたらついやりたくなっちゃったんですよ」
「気持ちは分かるけど落ち着いて!下マグマだから!落ちると即死だから!」
「す、すみません。はしゃぎすぎました....あっ、サクラさんを担いじゃいましたよ!こ、これどうやって下ろすんでしたっけ!?」
操作方法が分からずにリモコンを振るミラちゃん。可愛いなぁ(脳死)。
でもダメだよミラちゃん、その状態でリモコンを振ると担がれてるキャラは振り落とされるんだ...
「落ちちゃう!私マグマに落ちちゃうって!ミ゛ラ゛ち゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん!」
「はぁ、はぁ...なんとか姫様を救出できたね。これでゲームクリアだよミラちゃん。クリアした感想はどう?」
そう言って隣を見ると、初めて海を見た子供のようにワクワクした雰囲気でご満悦の様子。
「ゲームってこんなに楽しかったんですね!早く次もやりたいです!」
アニメキャラだったら絶対に目がしいたけになってそうな表情だ。数日前のミラちゃんからは想像も出来ない。
「....良かった。じゃ、ミラちゃん最後締めてよ。最終回にふさわしい良い感じのやつ頼むね!」
「あっ、これ動画なんでしたね。えぇっと..」
「もしかしてミラちゃん、忘れてたの...?ミラちゃんって実はポンコツAIだったりしない?」
私はジト目で見つめる。もちろん本気ではないぞ!夢中になって撮影を忘れちゃったミラちゃんも可愛いなぁ(脳死)
「なんだとぉ...サクラさんだって案内するって言ってたのに途中で道分かんなくなってたじゃないですか!このポンコツ!」
そう言って、負けじとジト目で見つめ返してきた。
互いにジト目で見つめ合って、なんだかにらめっこみたいだ。
それがなんだかおかしくて、私たちは自然と笑い出してしまった。
「あっはは、...また一緒にやってくれませんか?」
「ふふっ、もちろん。よろこんで案内させてもらうよ!」
うわぁー、声が良い、性格が良い、おまけに笑顔も良い。私はその顔が見たかった....
私の最推し神なのでは?神すぎて逮捕されたりしない?
「ってそれだけじゃダメだよ!視聴者さんにも何か言わないと!」
「あっ、そうでした。えぇっと、次回もまた見て下さいね。チャンネル登録と高評価お願いします!」
「そう..ここをクリックすると...そうそう!録画された映像にミラちゃんを被せることができてる!後は編集するだけなんだけど...」
新しく借りたアパートの一室、中古の洋風ローテーブルに新品のパソコンという歪な部屋の中で私は編集のアドバイスをしていた。
モデリングはなんとか二日で終わらせました(白目)。多分脳細胞1億個ぐらいは死んだんじゃないのぉ~?
「あっ、編集技術はある程度勉強してます!分からないところを聞いていく感じで良いですか?」
「いいよいいよ、どんどん聞いて!でも編集ソフトまで使いこなせるなんてすごいねぇ」
「そんな、サクラさんのモデリングがあるからこんなにスムーズにできただけです」
ミラちゃんは私が高校大学の7年間でやっとのこと習熟したスキルを、ここ一二年でそこそこ使えるようになったと言う。
いやーすごいっす...本物の天才っているんやな。
もしかしたらミラちゃんは、企業Vになった方が資金も潤沢で不自由なく活動出来たんじゃないかな...
こんなショボい部屋じゃなくて、きれいなスタジオとか、そんな恵まれた環境で活動できたのかも。
...い、いや迷うな私!あのときの決断は後悔していないはずだ。
それにお金なら私が稼げば良いんだ。推しに直接貢げるなんて、これほど有効なお金の使い方なんてないね。
そう思いながらミラちゃんの方を見ると、キラキラした目をしながらディスプレイに向かっている。
こんなクソボロい部屋にも文句一つ言わないその健気な姿に、私にも唐突に
「絶対私が
「え゛っ゛、急に何言い出すんですか!...本当に何言ってるんですか!?私たち女同士なのにそんな...ゴニョゴニョ」
そこからさらに数日後、流石にそろそろ動き出さないとまずいだろうと思い、ネットでの評判がよさげな相談所へ行ってみることにした。
「じゃあ今日は私、バイトの他にも法務事務所へ相談に行ってくるけどやっぱり厳しい?」
「すみません...思い出そうとするとどうしても震えが...もう何日も行ってないので殺されちゃいます...」
しまった、またバッドコミュニケーションだ!目のハイライトがなくなって虚空を見つめている。
このままでは不味い、どうしようどうしよう...
「あっ、ごめんね!ちょっと無神経だった....ほ、ほら、また私の胸を貸してあげる」
この前初対面で私が不審者顔負けの抱きつき&なでなでを噛まして以来、色々思い出しちゃった時は向こうからせがまれるようになっただけなんです。
いや違うんです..あのときは何かテンションがおかしかったんです...
最初の方は遠慮がちだったのに、ここ何日かは一日に3回はするようになっている。
...これが出来るんだったらもう呼び捨てぐらいしてくれてもいいんじゃないの?若い子の距離感わかんねぇわ。
どうやら私の胸が落ち着くらしい。しかし今回はこれまでにないほど顔を私の胸に
え、あの、本当に恥ずかしいンスけど...
「..ハア..ハア...ふう、もう大丈夫です。今日は編集と新しくゲーム実況を撮影しとこうかなと」
どうやら終わったらしい。若干恍惚な表情をしているのが気になるけど。
まぁ18で親元を離れたらしいからな、人肌が恋しいお年頃なのかも。
「そっか。...撮影するなら合鍵使って私の部屋で機材も好きに使ってね。お昼は冷蔵庫に作り置きしてるからそれをレンジで....」
「わ、わたしもう20歳なので!サクラさんはわたしのお母さんですか!?」
今度は顔を少し赤らめながら抗議してくる。あ~ここすき。
それに精神年齢的にはあながち間違いではないかな。でも流石にそんなこと言えばガチで不審者扱いされそうだから言わない。
「あははっ、ごめんごめん。じゃあ行ってくるね」
「はい、いってらっしゃい」
やんわりとした笑顔とともに、そう言葉をかけてくれる。えっ、何このやりとり...
結婚しよう(提案)。....いや、もう結婚してたんだった。
前略お母ちゃん、私、幸せになります。
Mirachan nel. サイミライ
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