TSして人生やり直すことになったのでVtuberやる   作:減塩醤油

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第五話 おら東京で活動準備するだ

2007年となりまして、高校生活の始まり始まり。

 

勉強はしっかりしていたので難関の進学校にも行くことはできたが、私が選んだのは私立の工業高校。

 

特に情報系に力を入れているところを選んだ。ここでプログラミング、そしてゆくゆくはモデリングまで学びたい。自分でガワを作るには必須のスキルだ。

 

もちろん学費は高いので、奨学金制度を使ってかなり費用を免除してもらってから入学した。こんなところまで親に迷惑はかけられない。

 

ついでに、バイトもしておこうかなと思っている。大学からVtuber活動を終えるまでは東京にいようと考えているので、まずはお金を貯めなければならない。金、金、金!

 

個人的に、様々な業種を体験することは、幅広い活躍が出来るようになることに直結すると考えている。豊かな社会性、人間性を身につけるためにも、やっておいて損であることは無いはずだ。雑談のネタにもなるしね。

 

私が選んだのは、小さな居酒屋のバイト。理由は単純、家から近いから。

 

将来の身バレも考慮して、声をかなり作りながら働いている。もう今となっては、アニメ声、ロリ声、ショタボイス、何でもござれ。あの七色の声を持つレジェンド男性声優とまではいかないが、かなりの音域になったんじゃなかろうか。

 

バイト中は精一杯ショタボイスで働いている。体型も胸もしょぼいので、幼めな15歳くらいの男子に見えなくもない。流石に顔を見られると女だとわかるが、おっさんたちは基本酔ってる。大丈夫だろう。

 

..完全に女として見られていないのは、それはそれでどうかと思うが。

 

しかし、思わぬ収穫もあった。大将と女将さんは優しいし、大体の客はおっさんだらけだが、この人たちは人生経験というか、肝の据わり方というか、とにかく話が面白い。

 

たまにゲロが飛び散ったりもして本当に汚いが、話のスキルも上達したんじゃなかろうか。家でニヨニヨ生放送を見始めたのも相まって、一人でゲーム中に二時間は余裕で話し続けられるようになった。もっと長時間の配信もする予定なので、まだまだ練習していきたいが。

 

学校の方では、正直そこまで有益な学びとは言えなかった。高校でする内容と言ってもたかが知れてるよな。もうちょっと下調べしてから入学すればよかった。残念無念。

 

気を取り直して、ここでも妥協することなく勉強しよう。きっといつかは、プログラミングが役に立つ時が来るだろうし。絶対に損することは無いだろうから。

 

ちなみに工業高校ということで、同級生は男ばっかりだったが、完全にDQNかオタクかの両極端だった。DQNは他の学校の女とお盛んなようだし、オタクは将来にもしかしたら視聴者やリスナーになるかも知れない人たち。

 

安易にオタクトークをして、デビューした後に某掲示板とかで卒業アルバムをさらされるのは勘弁。前にも言ったけど、私の顔面偏差値は50にもいかないんだ。悲しいね!

 

こうして、私の高校生活は過ぎていくのだった。

 

あっ、教室の隅でオタクがけいおん楽部のアニメの話し始めた。

いいなぁ..私も混ぜてよwとか言いたい。

 

 

2010年になり、ついにわたしも18歳。

 

さあ大学生活だ。そしておら東京さ行くだ。

意外にも、両親からは反対されなかった。薄々私が東京に行こうとしているのに感づいていたようで、少ないと言いながらもかなりの額の餞別をくれた。

 

久しぶりにガチ泣きした。絶対成功させて親孝行します。

 

思えば前世では親に何もできなかったなぁ。たまに何か欲しいものとかないか聞いていたが、孫の顔が見たいって耳にタコができるぐらい聞かされたっけ。

 

それ、今世でも無理じゃね?一応月に一回来るようになったけど、私の精神はまだ男。絶対にメス堕ちなどしない!フリじゃないです。

 

男と付き合うのも嫌だし、突かれるのも嫌だ。

だからごめんおふくろ、孫以外で親孝行します。実家のリフォームぐらいはしたいな。

 

 

 

やっぱり東京は大きいなぁ。前会社に勤めていたときも東京住みだったが、故郷を見てからもう一度来てみると、その大きさは段違いだ。ああ、素晴らしき摩天楼。

 

今も昔も、タワーマンションなんてモノに縁は無いけど。大学近くのオンボロアパートが、しばらくは私の城だ。

 

大学は情報系で有名なところにした。高校の反省を活かして、今回は下調べもバッチリ。プログラミング、モデリング専門の学科があるみたい。

 

いよいよ大詰めだ。これまでも一応、本やネットで独学の勉強をしていたが、これは専門知識も蓄えておいた方がいいだろう。

 

Vtuber活動では2D、3Dまでする予定だ。いまいちなモデルだと、その魅力は半減してしまうだろう。

 

しかし東京、物価がかなり高い。このまま何もせずに暮らしていると、いずれ貯金がつきてゲームオーバーだ。黒服の男に泣きついて、ぐへへされちゃうのは勘弁願う。

 

ということで、ここでもバイトします。今度はコンビニのレジ打ち、品出しのバイトを選んだ。理由は簡単、アパートから近いから。

 

もちろん身バレ防止のため、声をかなりつくった。今回は比較的高めな女声。しかも、ここは東京。前回よりも入念に、化粧までしてる。

 

前世では化粧なんてしたことは無かった。頑張って練習しました。ハイ..

 

でも、今世ではいろんなことに挑戦しているなぁ。男の時、何も考えずにゲームや漫画、自家発電をしていたのに比べると、勉強や英語、イラスト、バイトと大忙し。心なしか、精神面でも成長し始めている気がする。これはリア充といっても過言では無い。

 

現時点で友達0人達成してるけど。悪い、やっぱ辛ぇわ。

 

最近ではイラストを描く速度だって上がってきている気がする。某ゆるいゆり漫画の作者の筆の速さにだって負けてないだろう。一万時間の法則とはよく言った物だ。

 

その理論で行くと、私の英語力だってそろそろ達人級になるはず。中学校のALTとしゃべって以来、しばらくネイティブと話してないから、発音は多少怪しいけど。(ALTはassistant language teacherの略。小中学校に一人はいたアレ。)

 

 

やったね、大学は当たりだ。今まではどうしてもテクスチャーがうまくいかず、質感はツルツルなブリキのおもちゃみたいになってしまっていた。

 

ポリゴンを増やしたら今度はバグが多くなって、どうしても踏んだり蹴ったりだったのが、ようやく克服できるようになった。最高のガワまであと少し。

 

完璧に前世のVtuberの動きとまでは言えないが、それでもかなり近しい物にできた自信がある。

 

大学卒業後すぐに活動開始は厳しそうだが、ラストスパートのところまでは来た。頑張れ私!

 

 

 

今は2014年。

親分たちはまだ現れていない。それでも新人として埋もれてしまうよりかは、古参として安定をとりたい。ちょっとよこしまな考えだけど。

 

だが活動しようにも機材が不十分だし、機材のためのお金が足りない。在学中に何度か3Dスタジオを借りに行ったのがよくなかったのかも。アレには毎回お金が吹き飛んだ。

 

配信中の不測の事態が起こることを考慮すると、今使ってるPCとは別にもう一台配信用PCが必要だ。もし個人情報が配信に載ってしまったら一大事だからね。

 

身バレを何より恐れている私としては、そこは妥協できない。

..これだけお金がいるし、しばらくはバイトをしながらの活動になるかな。

 

他にある計画も並行して進めているし、時間もお金も足りない。やっぱり大忙しだ。

 

 

それに、スキルを磨いてはいるが、まだ肝心のガワができていない。もう一度設定を熟考して、活動方針を練り直しつつ、そこからアバターを作っていこう。

 

初期衣装とか、キービジュアルとかは、その後の活動に一生ついてくるものになる。

イラストでもモデリング技術でも、私にできる最高の物を仕上げてみせる!

 

もちろん、話題性だけを狙って酔狂なモノにはしたくない。仮にもVtuber界隈のファーストペンギンになるんだ。私のせいでVtuberに変なイメージがついたら、前世で見ていた彼ら彼女らに顔を向けられない。

 

 

 

 

さて、ようやくをガワ作り上げるときだ。心してかかっていこう。

 

 

髪型はどうしようかな。なるべく特徴のある形にしたい。もしくは、髪留めとかのアクセサリーをつけようか。

 

そのキャラクターだと一瞬でわかるようなワンポイントは、ファンアートだとかイラストを描く上で大きな強みとなる。Vtuberは顔をよく映すので、今回はそれを頭周辺につけるつもりだ。

 

ここにはちょっとだけ私の趣味を入れよう。黒髪ロングをベースにして、前髪に薄桃色のメッシュ。少し頭が寂しくなったので、メッシュとは逆の髪には桜のヘアピンをつけてあげる。

 

 

服装は初音ネギのような電子的なイメージも取り入れつつ、博麗妖夢のように和風チックにもしてみた。

 

白色の生地の中に、所々にブルーを添えた。ピンクと白と青が相まって、全体的に爽やかなイメージでまとまっている。

 

 

完全に無いわけでは無いが、主張しすぎない胸。短めの白スカートに健康そうな足と太もも。ここも私の趣味だ。いいだろう?

 

 

画面の中に映るは、王道ヒロインを意識した、笑顔が咲くとかわいらしく映えそうな18歳ぐらいの少女の顔。

 

マジでかわいい。多少親馬鹿気味かもしれないが、どのアニメにもこんなにかわいい子はいないだろう。まさに最高の出来だ。

 

 

 

次に設定を固めていく。ここにも私の要素を組み込んでみよう。

 

好きなことはイラストを描くこと。長年孤独にさまよい続けたため、友達を作りたがっている。完全に私だね!

 

とにかくゲームが大好き。ゲームは一日24時間まで。ペケモン、メリオ、ゼルドの伝説、なんだって好き。

 

あとは、未来がわかることにちなんで、占いが得意設定も追加してみよう。

ミステリアスな要素は、キャラクターの魅力を引き締めるはず。多分。知らんけど。

 

 

..待てよ、この設定を使えば、Vtuberたちの炎上だとかトラブルを回避できるんじゃないか?

 

私が前世で見ていたVtuberたちは、騒動が起こるたびに何かと過剰に燃やされていた。

そのたびに私は指をくわえて見ていることしか出来なかった。

 

私が占いの体でこっそりとアドバイスして、なんとか炎上フラグを折っていこう。

私はVtuber大好きオタク。なるべく悪いニュースは聞きたくない。私がこの業界を守護る!

 

 

 

全力で作り始めて早11ヶ月。時は2015年の3月だ。

 

ガワもきちんと動くのを確認した。さあ最後の仕上げだ。今のこの子にはVtuberで最も大事な要素の一つ、名前が付いてない。画竜点睛を欠いた状態だ。

 

 

思えば長かった。今までこの子のために一生懸命に自分を磨いてきた。この子のために頑張ってきた。いわば、この子は私の分身。

 

 

 

 

 

「あなたの名前はサクラ。Vtuber界に先駆け、吹き抜ける風。初風サクラよ。」

 

 

さあ、活動開始だ。

 

私がボタンを押すと、広大な電子の海の中に、一本の動画が投稿された。

 

 

 

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