壊れた少年のマーチ   作:オリの中のカナリア

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新キャラ登場!やったね!
毎日投稿している人って本当にすごいですね。
今かなりしんどいです。続けますが。


介入者

とりあえず対談、という名目の火消しをカフェテリアで行うことにした。

 

「・・んで、ルーナが言いたいことは分かるが契約内容だ。聞いてやってくれ」

「うーん、色々納得いきませんねぇ」

「全くもって俺も同感だ」

 

・・おや、2:1の完全不利構造だ。

 

「どこがですか?」

「逆にどこがおかしくないのですか?」

 

どこが悪い、どこがわるい、どこが・・

 

「うん、わかんねぇ」

 

そう言うと二人して頭を押さえた。

 

「・・その頭の中身を見てみたいな」

「全く同じ意見です」

 

そう言うとどこがおかしいのかの解説に入った。

 

「まず一つ目。なんであの結果からヴァルの勝ちになっているのですか?」

「それは俺の方からから望んだ。実力が足りなかったと思ってな」

「・・十分倒せると思いますけどねぇ」

「そうは思わなかったんだよ」

 

実力を示さない戦いは面白くないと思うが。

 

「続いて二つ目ですがなんでヴァルが私への謝罪で彼の勝利が退学なのです?」

「それは俺も分からなかった」

 

それはあれだ。

 

「ついカッとなってな。まぁ問題ないだろ」

 

「大ありです」

「逆に何で問題ないんだ。高危険度(ハイリスク)かつ 低利益度(ローリターン)だぞ」

「勝てれば問題ないんです。利益は要りませんし」

 

一番大事なのは最終解が合っていることだ。途中式は回りくどくも解答(チェックメイト)までに正解させれば良いのだ。

 

「・・そんなので大丈夫なのか?」

「私個人としての意見はかなり危険だと」

「そうですかねぇ」

「すぐに騙されて利用されそうです」

「確かにそれはあり得るな」

「・・そんな世界は壊しちゃいましょう」

 

何を言っているんだという目で僕を見る二人。

 

そりゃ壊すでしょ。壊さない理由(わけ)ある?

 

「・・壊すと仮定してどうやって壊すんだ?」

「僕が魔力を溢れさせて魔力暴走による爆発の爆心地となります。そしたら僕は爆発と同時に魔力障壁を展開、(つがい)を作った人間四組を残して残りを世界ごと爆散させます。その後子孫の繁栄を築かせ世界の再構築は完了というわけです」

「・・理論値だけでは?」

「ええ、()()()()()()不可能でしょう」

「一人なら・・まさか!」

「ええ、(あいつ)にも手伝ってもらいます」

「おいおい、本当に可能なのか?」

「不確定要素が多いですがほぼ可能かと思います」

「魔力は?」

「回復薬と同時に作用させれば良いのですよ」

「中々に無茶苦茶な理論だが・・」

「実現はできますね・・」

 

そう、これこそが革新を起こす上で大事な力。市民の側から働きかけ、上層部に衝撃を与える。

これまでに起こしたこの動きにより人間は幸福と安心を得た。

そしてその力が実現可能であればあるほど効果は高くなる。

 

昔に教えてもらった「人間は『革命』『戦争』『平和』の三拍子で構成される」というのは正しいようだ。

 

「・・分かりました、彼の元に私がついておきましょう。そうすれば最悪の結末の確率は下がるでしょう」

「確かにな、しかしここまで考えてるとは」

「Civilian control ・・」

「どうされましたか?」

「・・いや、何でもない。それと」

 

自分達の席の斜め左後ろの席にいる人間を指す。

 

「そこで盗み聞きするぐらいならこっちに来い」

「・・ありゃ、気づいてましたか」

 

その者は悪びれることもなく自分の悪行を吐いた。結構図太いものだ。

 

(わたくし)、ヴェリア・リーゼと申します」

「ヴェリア・・?」

「・・家名が記憶にないな」

 

二人は首をかしげる中補足をしてやる。

 

「ヴェリア家はそれなりに強い貴族ではあったんだが十四代目当主が早くに死んでしまって没落しかけている家系だ。十四代目というとお前さんの父親ぐらいか?」

「ご認識の通りです」

「そうか・・大変だったな。いきなりの商談で悪いがうちの所と手を組まないか?」

「ええ、それはもう・・え?」

「ヴァルフ!?」

 

ヴェリアとルーナが驚く。ルーナは驚くまでもないだろうに。

 

「・・まさかうちにある財産を?」

「しないしない。むしろ君の素質について言ってるのさ」

「なぜ彼女を?」

「能力的に必要だから」

「そんな・・突出した能力なんてありませんよ」

「だから必要なんだ」

 

そう。どちらにも傾いていない者が必要なのだ。

 

「魔力量も中の下の方ですし技術もあまりないですし・・」

「魔力は成長時期に差がある。技術はこれから身につければいい」

「ですが・・」

「ならば先に内容に入ろう。君は家系を復活させたいか?」

「それはあります!でもどうしようも・・」

「ない状態を今変えようとしてるんだよ」

 

取り敢えず心の内側は開けてやる。ここからは僕の手腕が輝く。

 

「今お前には二択の分岐道にいる。そこの看板に質問があった。質問はこうだ」

 

目線をヴェリアの目に合わせる。

 

「このまま選択肢のない確約された結末の人生か、僕たちの元で選択肢を見つけながらも迷いつつ生きるか。君はどっちを選ぶかい?、と」

「私は・・」

 

彼女は黙り込み、損得勘定を始める。

答えが出されるまでにはそこまで時間は掛からなかった。

 

「・・組ませて」

「もうちょい声大きくせんと聞こえんぞ」

「その手、組ませてください!」

「よっしゃ契約成立や!よろしくな」

「こちらこそです」

 

互いにしっかりと手を握る。その手は力強く握られた。

 

「やっぱお前さんはこっちの方がええわ」

「?」

「鏡見てみ。ニッコニコやから」

「・・へぇ、そうですか」

「そうふくれんくてもええやろ」

「本当にあなたって面白い人です、からかい甲斐があって」

「それだけはホンマにやめてや」

 

あぁ、これだから迷ってしまう。

自分の役割、そして。

自分の運命(さだめ)に対して。

 




ヴェリア・リーゼ
炎属性の使い手。中級貴族ほどの力はあったが家が衰退、残された希望の一等星として領主コースへと入った。
相手の上級貴族の力を借りつつ自分の家を建て直そうと計画するほど図太く、計算高い。ただし心までは黒くない。
また家の立場上卑屈になりやすい性格である。
なお、My原作(R18指定の黒歴史の文)ではモブだったが今回は準主役である。
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