壊れた少年のマーチ   作:オリの中のカナリア

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私は子供の頃から親の名を売ることが子供の生き方の『正解』だと思っていました()
一体何が子供にとっての『正解』なのでしょうか?


正しさと愚かさ

威力を確かめるには自分で確かめるのが手っ取り早いと言うことでスタジアムに来た。

 

「取り敢えず僕に向かって魔法をぶつけちゃってください」

「威力は?」

「フルパワーでも数でもどうぞ」

「まぁ数なんて撃てないんでフルパワーしか打ちませんが。それなりには構えといてください」

 

浮遊連爆(クリープ・デュオ)

 

魔力解析をかけて属性を調べる。見た様子属性は炎属性か。

いくつかは彼女らの方に行ったが見えてるだろう。

 

うん。

 

 

中々に面白そうじゃねぇか。

 

取り敢えず見える箇所からの攻撃を避ける。見た目から直撃は危険すぎる。それと同時に背後への配慮も忘れずに一つずつ避ける。

 

にしても・・

 

「狙ってくるところがねちっこすぎるだろ!」

「まぁそういう魔法ですから」

 

首や胸を狙わず動作が遅れやすい腕や脚のぎりぎり当たるかどうかのラインを攻めてくるのだ。中々にうざったい。

それに撃ち落とすにしても数が多い。見える範囲で20個程度はある。

一つ一つはあまり強くはないがこいつは数がめんどくさい上()()()()こちら側に来そうだ。

 

§

 

動けば動くほど可動範囲が狭まる。

人は危険と判断したものに対して回避行動を取る癖が存在する。

ヴェリアの使う魔法はその特性を利用したいわば「騙し討ち」のような魔法である。

何度批判された魔法かは分からない。それでも彼女たちの家が作った魔法だ。誰かが使わなければその魔法が滅び、なかったことになる。

彼女としても好き好んでこれを使うわけでない。使わなければ忘れられるのが常なる世界だから彼女はこの問題(魔法)を示さなければならない。

この魔法には特性がいくつかある。一つ目に今見えている魔法である。

この魔法は見えている分では数が多く見える。しかしそれは増幅させ見える量を増やした一撃だから一発自体は痛くはない。魔力消費ばかりが嵩む中本来の魔法である方を予測軌道の最終地点に向けて撃ち込むのだ。相当な戦闘経験のある者でしか避けられない。しかし彼女は分かっていなかった。

本来の予測軌道とは大きくズレが生じ最終地点が同確率で三か所あることに。

 

 

彼は理解していた。これらが(デコイ)であり、本来の魔法が遅れてくることに。軌道測定をする彼女が自分を熱心に見る姿を見ていることに。

そして。

できるだけ魔法を相殺させないようにすれば魔法を避けられることに。

本来はそのような避け方は不可能である。予測軌道を立てられた瞬間行き着く答えは決まっている。しかし、これには限界が存在する。

 

例えば地図を見るとしよう。地図は地形を正確に載せている。しかし全ての地形を完璧に載せられるわけではない。必ず少しの誤差が発生する。

その誤差が積み重ねられ大きなズレへと変貌することがある。

彼はそれと全く同じことをするのだ。ひたすらに無駄な動きを増やしつつ動きを模範解答からずらす。そうすることで本来の正解からズレが生じ答えの選択肢を広げ続ける。やがてその道は選択肢からなくされ、彼がそこへ行って避ける。それが本来の狙いである。

 

しかし彼は危険な思想を持ってしまった。この魔法を直に食らうとどうなるか、である。

その実験は魔法の火力確実な指標と共に確かめられる。ただし、命の危機と引き換えに。

彼は明らかな意志を持って決断した。

 

自分が死の危機に立つことを。

 

§

 

(もうそろそろかな)

 

自分でも危険すぎる賭けであることは分かっていた。でもやらなければ面白くない。こんなことで後悔するのは嫌である。それに新たな魔法の学習にもなる。

好奇心のみに駆り立てられた感情は止まることを知らなかった。内心歓喜もしていた。

 

爆破(エクスプロージョン)

 

やっと来た。ついに来た。

神よ。これが人間のすばらしさだ。ついに世界を変える時が来た。

そこでじっくり見ておけ。さぁ、美しき世界の始まりだ!

 

遂に本来の責務を全うできる。そう思った。

そして達成された。

そのはずだった。

背中から白く輝く魔力を放出し防御態勢となっていた。

 

「⁉︎」

 

なんなのだろうこれは。そんな考えを持とうとした瞬間体の魔力層が薄くなる。彼女の限界が来たようだ。

 

「こんな・・ものですよ・・私は・・」

 

彼女は魔力切れを起こし体が重くなったように息切れを起こした。

 

「・・素晴らしい」

「へ?」

「ぜひ君は僕の元にいてほしい。僕は君の家の再興の手伝いをしよう」

「そう・・ですか・・」

「取り敢えずこの回復薬をどうぞ」

 

彼女は回復薬を渡す。関係を良くする第一歩だ。

 

「そうだなぁ、明日だ。君に面白いことを教えてあげよう。ルーナたちも一緒に考えてくれ」

「私たちも、ですか?」

「ああ、結構大事なことだ」

「・・かなり大掛かりになる、ということか?」

「勘のいい人がいると早いですね、概ねその考え方でいいかと」

「場所はどこにしますか?」

「なるべく人が来ない空間がいいな、それと外に()()()()()()ことも大事だ。該当箇所はあるか?」

 

どうやらジュークは誰かさんの存在に気づいていたようだ。

 

「私のラボぐらいがいいかと」

「じゃあそこで・・とは言ってもジューク達は知らないか。明日寮のエントランスで待っておいてくれ。案内する」

「距離は?」

加速(ブースト)を使って十五分程度の近いところだ」

「・・それは遠いのではないかな?」

「遠いのか。知らなかったよ」

 

常識的な範囲がないと良く分からないものだ。

 

「ということだ。よろしく頼む」

「まぁ私はあなたの無茶には慣れてますし大丈夫です」

 

うん、さらっと僕に毒を吐いたね。まぁ事実だししょうがない。

 

「俺に問題はない」

 

ジュークも問題なさそう。あとはヴェスタだけだ。

 

「十五分ですか・・魔力が持つでしょうか?」

「なら僕が抱えて運びましょうか?」

「それなら・・いえ、自分で動きます」

「無茶はしないでくれるならそれでいいが・・」

 

・・今背後からちょっとだけ殺意感じたな。

 

「ということだ。皆よろしく頼む。解散!」

 

一時解散するもルーナとジュークが帰ってっくる。

 

「できるわけないじゃないですか」

「むしろ色々聞きたい」

 

・・なんか既視感感じるなぁ。

 

「どこがすごいと感じたのですか?」

「気づかなかったか?」

「何にだい?」

「あんな魔法、()()()()()()()()()()()()()()()

「「・・は?」」

「いやどう見てもそうでしょ。動かした先の腕に当たらないように予測しながら本命の攻撃を確実に当てる作業を魔法で行うのは無理だよ?」

「でもあなたが作った魔法は・・」

「あれは攻撃を確実に当てるための魔法だから。当てるのと当てないのはだいぶ違う」

「つまり魔法だけの能力じゃないと」

「半分正解。もう半分は・・」

「元の魔法の質が非常に高いということね」

「その通り。さすが大貴族さん、僕がその答えに辿り着いた時よりも早いねぇ」

「でもどこで見抜いたんだ?彼女はスタジアムに来ていないだろう」

「あの騒々しいカフェテリアから僕たちの声を確実に聞いていたのですから何かしらの術はあるかと」

「なるほどねぇ・・」

 

そんなわけがない。あの距離から聞いていると理解したのは目線が口にいっていたからだ。

技術に関しては非常にすごいと思う。ただ今のロスが大きすぎるが故に魔力量が少なく感じているだけなのだ。

僕もやろうと思えばできる。ただし精度は落ちるだろう。それだけ優秀な(危険な)魔法を使える人間は少ない。

 

「つまりあれは彼女以外でできるものじゃないと?」

「平たくいうとそんな感じだ。まぁ練習すればできると思うがあの域に達するのは時間がすごく掛かる」

「天賦の能力が高いから仲間にしたってことね?」

「あと家の能力もエグそうだから。あの能力を卑下できるだけ実力があるってことですから」

「・・そうなるともう没落寸前になった理由がわからないな」

 

全くもってそこが腑に落ちない。国家形成ならば女王であっても問題ないはずだ。

 

「そこら辺の詮索はまた後にしましょう」

「ということで明日エントランスに集まってくれ。かなり重要だ」

「分かっている」

 

 

 

・・ああ、やっと見つけられた。これで本来の運命は破壊されるはずだ。




次回予告
世界は変わらず回っていた。
気付きし者と気づかぬ者。この二つの差が大きなズレとなる。
知らぬものは困惑し、知る者は驚愕する。
すれ違う違和感。それはやがて腐食する毒へと変わる。
次回! もし、赦されるのなら 彼は何を見つけるのか・・!!
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