世界のまわし方
うん、朝だ。
誰がどう言おうと朝だ。
で・・
「絶対この状況を知らない人に見られたら
この状況、明らかに「昨晩はお楽しみでしたね」コースである。
「どうしようか。無理に起こすのは悪いし・・」
正直なところルーナが問題ないと言ったからこうなったのだ。きっと大丈夫。きっと。
どうにか自分が逃げれる逃げ道を確保しなければと画策しているとその時が来た。
「うー・・うにゃ?」
うん、なんか鳴いてる。
「なんだ・・ヴァルですか・・は!?何で!?」
あっ、この対応。
「ま、え、ま、ちょ、え、どういうこと?・・はっ!まさか私を寝ている間に私を・・」
「いやしてないからね。君、ここで寝る意思を言ったからね」
「うわぁ・・私をお嫁に行けないようにしたんですね、私を常に愛したいから。ひどーい」
「そんなことしてないし」
「ダメです!近づいてはなりません!このケダモノ!」
さすがにケダモノ呼びは傷つく。
「・・証拠、あるよね、バルバトス」
「何を言ってるのです・・なんか怖いです!」
「とりあえず見てみ。ここのカメラだから」
「まさか盗撮?」
「・・とりあえず黙って見ろ」
落ち着かせるためには客観的な様子を見せるのが一番だ。
§
彼女の顔色は早朝とはだいぶ変わっていた。
「本当にごめんなさい!」
「まぁ良いけど・・ケダモノ呼ばわりは少し傷ついたな」
「な!ならば何を代償に・・そうだ!私の身体で・・いたっ!」
「あんた女の子でしょーが。自分から身体差し出したりしてはいけません!」
本当にこいつ自分のことをどう思ってんだ?普通自分の身体を代償に決めるか?
「むぅ・・ならば何をご所望ですか?」
「え?」
「え?」
・・どうやら考え方の違いがあるようだ。聞いてやろう。じっくりと。
「・・まずお前は何をされると思った?」
「軽く食われるぐらいは覚悟していました」
「・・あのさぁ、そんな極悪人に見える?」
「少なくとも怒り心頭なのだと」
「・・そんな些細なことで怒っていたら頭の血管何本か切れているよ」
「では何をすれば良いのでしょうか?」
「何でもやってくれるの?」
「まぁ実現可能な域でですが」
どうしようか。ルーナを困らせてやってもいいな。
「じゃあ・・明日こっちの家で寝るから抱き枕になって」
「・・!つまり明日は夜のお相手をしろと!」
「そうは言ってないね、ちゃんと聞きな」
「大変です、明日は・・大丈夫な日ではありますが、でも可能性からは・・」
コイツ・・自分の世界に入って暴走してやがる。
あんまりこういった方法を取りたくないんだけどなぁ。
「おい」
「アッ、ハイ」
「聞け」
「ハイ」
「遠回しに言いすぎたね。色々やりたいことがあるから君が必要だ」
「ハイ」
「だから帰ってくるように言った。それだけだ。あとなんかある?」
「イエ、ナニモ」
理解したみたいだし威圧を解いて言ってやる。
「じゃ、朝食をとりましょう」
「ハイ、アリガトウゴザイマス」
「・・もしかして怖かった?」
ルーナが首を縦に振る。
「ごめんよ。ただ君にはそれだけは覚えて欲しかったんだ。君を守るために大事なことだから」
「・・だからといってあんなに怖くならなくても。それに私はあなただから言えるんです」
「じゃあさ、付き合ってもいない相手との子供を見せられたら親はどう思う?」
「・・流石に傷付きますね、特にお父様はかなりショックを受けると思います」
「それはしたくないんだ。できれば全員幸せになれるようにしないといけない。だから今はダメ」
もう僕は誰も悲しませたくはない。
「今は、ってことは・・?」
「ああ、君はかなり魅力的だからね。君の前なら今すぐ獣になってしまう気がする」
「・・絶対私を見てください。あなたは私のものですから」
「ふん、言われなくとも。こんな美しき者から目を離せるわけがない」
「言いましたね。絶対に待ってますよ」
「ええ、必ず迎えに行きます」
ルーナに朝食を作ってやる。ルーナがここに立つ時が来るのだろうか。
そんなことを想像すると鼻血を出しながら吐血する図が見えたのでやめた。
「そういえばもうコードなしでいいんですね」
「バルバトスに『急ピッチで細胞を治した。激甘生活楽しめよ』と言われた」
「・・そんなに良いやつじゃないですね」
「ええ、良くはないです。悪くもありませんが」
「仲は?」
「微妙です。仕事仲間としては良いんですが人間関係だとちょっとぶっきらぼうなので」
「まぁそういうものです。っていうか妙に人間に近いような・・」
「さぁ、食べちゃってください。ちょっとバルバトスに礼を言ってきます」
「
「口に物を入れてしゃべらない。
ほんと、可愛がりがいがある奴だ。
アリーナの方へ行く。バルバトスに会うためだ。
「バルバトス、ありがとな」
バルバトスが目を光らせる。
「これから一人増えて騒がしくなるかもしれない。その時はよろしく」
指を握り親指を下に向ける。ダメらしい。
「まぁ確定事項だから」
目の光が消えた。
「じゃ」
ルーナが保護してくれた子の元にいく。
首筋には報告通り例のモノがあった。
「やっぱりこれか。あんたも痛かっただろうね。どこの所属なんだい。仲間はいる?」
回答は返ってこない。まぁしょうがない。予定では帰る頃に肉体の修復ができるはずだ。
「もう、他の奴は苦しませない」
そう、皆に言ったのだから。
§
学校は遠い。
でも僕は行かなくてはならない。
だって、僕は・・
「何をぼーっとしているんです?」
「すまないな、ルーナ。ちょっとだけ昔を思い出してな」
「昔、と言うと
「ああ、それもまだバルバトスを持っていない時だ」
「となると・・まだ1人ですか」
「ああ。知り合いを作って次の日に死亡届を見、我が友と遊んで騙されたとかがあった頃だ」
あの頃はかなりきつかった。すぐ慣れたが。
「僕らっていうのはほぼゴミと一緒なんだって気づいてな」
「そんなことはないです」
「いいや、事実さ。本来
「・・」
「背中についてんのはそのせい。実験段階だからたくさんのデータが必要だった。もちろん、個数の比較や信号のパターンとかを調べるためにね」
「じゃあ、その背中についてるのは・・」
「僕たちの系列はそうさ。まぁ、僕以外はみんな死んだが」
それもかなり残虐な方法で。
「で、あなた達は貴重なデータサンプルだと?」
「ああ。だから人よりも特異な点が多い。例えば背の機械を器具に繋げばハッキングできるし、眼は弄り回されて視野が広く、視力が高くなってる」
「でもそれなら人よりも優れてしかいないじゃない。ゴミではないわ」
「それだけならな。ただ害もあった。それも致命的な」
「それは何?」
「寝られないんだ。その結果、重度の睡眠障害が発生した」
「つまり不眠症かしら」
「それだけならマシさ。こっちは狩る側であり狩られる側である
「・・」
「ほんと、しょうもねぇよな。まぁゴミがゴミ以上の価値で死んだだけマシだが」
それ以外讃賞すらできないが。
「なんか、すごく悲しいです」
「その結果から僕の改良が進められた。薬物投与、人体改造、洗脳、感情操作・・もう上げたらキリがないな」
「・・身体がよく持ったわね」
「死んだ方がまだマシなんですよ。ただここで呪いが自分にかかっていたたんです」
「どんな?」
「『絶対に死ねない』呪いです。苦しくても、痛くても、熱くても痛みだけで死ねないんです」
「そんな・・」
「どれだけ経っても死なない。それに気がついた研究者は僕を究極のモルモットとして実験を続けたんです。それもハードなものをあえて入れて」
「・・苦しくないの?」
「苦しいですよ。でも僕はそれをそういう役目として受け入れていました」
「そんなことはないと分かっていなかったんですか?」
「分かっていましたよ。でもそれをしたところで逃げられないんです。他の奴に全く同じことを1からやらせるのですから。それぐらいなら自分が全部受けたほうがましだと思ったんです」
本当にあの時はバカだった。嫌なら逃げれば良いものを理性のために受けたから。
あの世界に仲間なんていない。そう理解した時にはもうあの"施設"にいないと生きられない身体だった。
「だから決めたんです。もう誰も悲しませない、苦しまない世界を作れば良いんじゃないかって」
「それで今に至るのかしら?」
「根本的なところだけですが。救うだけじゃできないと理解したので今は原因を潰す路線です」
「・・賢い子ね。あなたは」
「そうでしょうか?」
僕は本当に正しい道を歩いているのか不安になった。
「さぁ、学校へ行きましょうよ。あなたの理想を叶えるために」
「理想と現実ですか・・うまく合えば良いのですが」
「大丈夫ですよ。この世界、回り道をしたって良いんですから」
「・・やっぱりこの世界を生き抜いて良かったかもしれないです」
「ほら、行きましょう。新たなる世界を求めて」
そんな選択肢、答えはひとつだ。
「喜んでお供いたします」
もう、迷う必要なんてない。
ども、新型コロナにかかり14日間のうち10日間を潰された人間ことオリの中のカナリアです。
第二章 輝き スタートでございます。
第二章は第一章で姿のみ出てきたあの子が出てきます。
彼の結構深いところまで掘り下がる・・予定。
次回、ひずみ お楽しみに!