休日出勤でpc見たら残ってました!
早朝から腕をすり抜け外へ出る。
腕は多少痺れが残るだろうが・・ある程度は許容してもらおう。
確かこの現象を・・後でいっか、その話は。
「今日は晴れるでしょうか?」
「なんや主人《あるじ》、朝早いなぁ。朝から寝てる嬢ちゃん食ってご満悦って感じか?」
「んなことできるか。こちとら住まわされてる身やぞ」
「せや!呼び方あんちゃんって呼ばれんのとどっちがええか?」
「好きにしろ。というかお前ペットみてーだな」
「どこがじゃい!」
「僕についてくるところとか来た瞬間反応するところとか」
「まぁ・・そうやな・・」
「バルバトスはもっとサバサバしてたぞ。契約して『必要な時呼べ』って言ってどっか行ったぞ」
「それはそれで大丈夫なんかいな・・」
「大丈夫ではないな。何せそういうものだと錯覚したから」
「基本的に主人が駄目ならこっちが監視して1週間以内に殺すからな。まぁバルバトスは良かったんやろ。強いことが分かっていたから殺すまでもないと」
「もしくは弱いからいつでも殺せるっていう感じだったか」
「人に仕えるときには1週間の『試用期間』があるんや。それを過ぎた瞬間所有者の力に依存する。せやから1週間相手の様子を見るねん」
へぇボタンが欲しくなった。後で作ろうかな。
「にしてもあんちゃんの頭ん中はよう分からんわ。人間にある『恐怖』がない。何でや?どんな人間にも感情はあるもんや」
「枠を外せば良いじゃないか」
「随分と遠回しな言い方すんなぁ。直に教えてや」
「それは駄目だ。それを知れば生物でない何かが完成することになる」
「生物の枠を超えてまうんかいな・・」
まぁやったところで大抵うまくいかんが。
「ついでの話やけど・・」
どうした急に。
「あんちゃんが考えとることは危険や。今の内に退いておき。今ならまだ戻れるで」
「それは不可能だ。それでは生きている意味がない。僕はそれを望んでここに生きている」
「・・本気で言うとんのか?」
「ああ。それの為になら僕はこの身を捨てられる。たとえ死んだとしても」
「あんちゃんはケッタイな奴やな。不可能だと言われとることにあんちゃんは身を突っ込む。その意味は分かっているんか?」
「一言だけ言ってやる。ある面白いバカが『俺は不可能を可能にできる』って言ってな。そいつは
「んな訳あるかい」
「まぁそう思うだろう。全員で『遂に目も駄目になったか』って笑い飛ばした」
「まぁそうやろな」
「ただアイツは誰よりもまっすぐに生きてた。愚直なまでにまっすぐにな。だからやりたいことを通してる。多少は力技だがな」
まぁアイツは根っからのバカなのだろう。
「・・にしてもあんちゃんは変な奴に会ってばっかいんなぁ」
「僕も全くもって同感だ。なぜこうなった」
何かしらに巻き込まれなければいけない状態になっている。
原因は何なのだろうか。
「あんちゃんらも気ぃつけや。ふとした所で死んでまうで」
「できるだけ避けているが・・どうしようもないこともある。その時はよろしく」
「よろしくと言われてもどうしようもできへんで?ウチらはあくまで従者やから補助はできてもすり替わりはできへんのや」
「じゃあ死なない程度に補助をしてくれ。たまに『沼に入ったら底なしだった』っていうことがあるから」
「そもそも選択自体が間違ってんちゃうか?そもそも入らなければ問題ナシやで?」
「時には泥臭いことも必要だし、僕も探すためには『沼』に入る必要があるからな・・ある意味しょうがないような運命だ」
「付き合うべき主人を選び間違えたんか、ウチは」
「ある意味正しくて、ある意味間違い、ってとこだろう」
「全てやないだけマシやな」
この間違いは無くせるだろうか。
いや、なくせないだろう。
「ま、あんちゃんが死ぬまでは付き合ったる」
「結構長くなるぞ」
「生物は生きてたら必ず死ぬから大丈夫やで」
「いや、僕は『呪い』持ちだ、って話。死ねなくなるやつを」
「・・また間違いに気づいてまったわ」
「どうぞご期待を」
「しとらん!ちゅうか今死んでまったらウチまで消えんねんで、依代早よ作ってや」
「まぁどうにかなるでしょ」
「他人事やな、実際他人やけど」
設計図、作んなきゃ。
「そーだ。どのくらいの性能にする?戦闘能力は同じくらいで」
「せやな・・速度と反応速度さえ高けりゃええで。自衛さえできればよし」
なら紙装甲で速度800出すか。
「ペラい装甲で速度出したろって考えたやろ。流石に耐久力はいるで?」
「駄目か?」
「そらそうやろ。ショボい魔法で土手っ腹に穴開くような性能で自衛も何もないやろ」
まぁそうか。皆自衛と言いながら結構なモン持ってたしな。
「んでどないすんねん」
「そこらの計画はある。ただし問題が1つある」
「何や?」
「組み立てる場所だ。ここは普段使いする場所だ」
「バルバトスは?」
「置き場がないからそこに安置」
「探さんのか?」
「探してはいる。ただどこかに用意していた場所があったはずなのだが思い出せない」
「それは『なくした』わけやないんか?」
「地下だからな。まず壊れないし入れない」
「それやったらウチに任せてや。宝探しは得意やねん」
「そうか。なら特徴を言う」
「おう。・・なるべく具体的にな」
「120ミリ単装砲、試作太刀『マゴロク』、アンカークロー、移動用擬装、あと・・」
「ちょい待ちぃ!多すぎるて」
「そうか?まだあるがとりあえずこれで探してみてくれ」
「・・了解した、見つからんくても怒らんでや」
こんなもんで見当たるだろ。見つからなければ諦めるが。
「嬢ちゃんの相手もしっかりしや。でないと愛想尽かされるで」
「余計な世話だ」
「言い返せるっちゅう事は大丈夫そうやな。探してくるわ。そっちも頑張れや」
「立場上はこっちが上だけどな」
バエルが飛び去る。真面目に仕事はやるらしい。
「・・微妙に使いにくいな。何かを頼むと余計な二言がついてくる」
さて。
「バルバトス、”片づけ”できる?」
目が光る。可能なようだ。
「ならよろしく。できれば火山の中にして。でないと証拠隠滅が厳しい」
手が前に来る。
「持ってくるわ。ちょい待ち」
§
ステラに似た誰かの体を担ぐ。
人間の体は重い。意識のない身体は特に。
「にしてもわかりやすくやってくれますね」
明らかなまでの組織からの差し金。誰がやろうと思ったのだろうか。
まだ体制が同じだったとしてどこが援助しているのだろう。
そういや何でバルバトスを作ったんだっけ。
「・・まぁいいや。あんまり記憶ないし」
残念ながら辿る気もない。敵かどうか判別するより取り敢えず殴り殺す方が早い。
誤射で殺しても気付かれないことは多々ある。上は数しか見ないからだ。
「でも誤射はやだな。普通に痛いし」
あの組織にいたから良かったが軍ならば今首が無くなっているところだ。
「まぁしょうがないね、誰が悪いかはっきりしている」
何回か誤射されて分かった。
あれは撃つのが悪いわけではない。攻撃射線に入るのが悪い。
「この子も入らなければもっと長く生きられたでしょう、たらればの話ですが」
さっさと潰す必要性がまた生まれてしまった。
これで・・何人目だろう。忘れてしまった。
死んだ奴はさっさと片付けないと。
「バルバトス、よろしく」
バルバトスの手に乗せてやる。きっとこれでどうにかなるだろう。
バルバトスは去る。1人になってしまった。
意外と静かで寂しい気がする。
仕事もたくさんある。飽きることはない。
それでも何か足りない。満足できない。
「・・戦いがない」
人を殴る感覚がないんだ。
骨が折れる音。
肉が切れる音。
臓器が潰れる感覚。
それによるうめき声。
硝煙の匂い。
肉が焼ける匂い。
それらが僕を楽しませていたんだ。
「代わりか、もう一度か」
今日は仕事をやりたくない。でもやらなければならない。
世の中は残酷だ。
次回 異変 次もよろしく!