壊れた少年のマーチ   作:オリの中のカナリア

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いやー前回は申し訳ない。悪いのは休日出勤デース!()

ウマ娘新シナリオいいですね。育成時間はさておきライブが非常に楽しいです。
91世代や逃げシスでライブできるのは普通に嬉しい。こういうのでいいんだよサイゲ!

・・シービーよ。早くしないとジュエル(諭吉)が無くなっちまうぞ?


異変

いつも通りに起きた。彼はもう既に起きていた。

 

「今日は自分で作れますか?」

「作ることはできますが・・」

「なら1人分でいいです。自分で作っておいてください」

 

今日は作ってくれないようだ。残念。

自分で料理するのも久しぶりだ。

自分が作らないのは火が怖いからである。昔のようにはならないと分かっていても怖い。

 

「何であの人は『料理』を知っているんでしょう?」

 

いつも謎だった。

何故『常識』を知らないのに『料理』はできるのか。

受け入れる余裕がないのに受け入れられるのか。

 

頭の中を覗いてみたい。

何故その行動を取るのか。

 

どうして『私』を認めるのか。

 

「『型はずれ』とは言い切れにくいんですよね」

 

全てがずれている訳ではない。むしろ道理にすらあっていることもある。

ただ社会に対して何かが欠損しているだけなのだろう。

 

「ならば私はなぜ彼を認めた?」

 

わかんなくなってきた。もうやめておこう。

 

§

 

「・・これでもダメですね」

 

バルバトスのスペックを見ながら考える。

 

バルバトスのスペックは限界まで『格闘能力と機動性』に振ってある。

これはバルバトスの戦い方自体が格闘を好むからであり、接近までのロスを限界まで減らし、混戦に持ち込むためだ。

 

しかし、バエルの場合、『自衛能力』を求められている。

 

当然ながら回避能力も装甲も厚くしなければならない。武器射程、威力共にある程度必要である。ただし『自衛』の範囲を超えてはならない。

 

この自衛の範囲をどこまでにするかが問題である。やろうと思えば射程を長距離にして狙撃もできるようにすればそもそも攻撃を受けない。しかしそれは『攻撃能力』に属する。

逆にマシンガン2丁のみで迎撃しても自衛しきれるかどうかは怪しい。ましてや長物を持って来られると蜂の巣にされるだろう。

バルバトスのスペックをいじって流用すれば簡単に作れるのだが自衛能力を超えてしまう。

 

「どこまでなら許される?」

 

最悪バルバトスをモデルに追加装甲つけて武器なしにしようかな。

 

「いや・・武器だけ壊すはアリか」

 

武器を壊すという概念ならばいけるかもしれない。かなり細かい作業だが。

 

「・・まぁアイツだしやれるだろ」

 

それで採用ということでこれは終わりだ。

 

「次に出力計算だが・・もうそろそろ学校に行かなければ」

 

着替えて荷物の中に紙を15枚ほど入れておく。まぁ足りるでしょ。

いつもより鞄は多少重くなったがさほど変わりはない。学校に行くだけだ。

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

学校には間に合った。正門も通った。

ついたところは教室だった。うん、正常。

教室はざわめいていたが問題ない。ジュークは何故か渋い顔をしていた。

 

程なくして担任の先生も来た。問題ナッシング。

 

「朝の連絡だ。ヴァルフ、校長室と職員室に来い。以上だ」

「優先順位は如何なるものか教えていただきたく」

「悪い方から聞きたければ職員室、そうでなければ校長室だ」

「了解いたしました。早急に向かいます」

「話は以上だ。1限の準備を忘れるなよ」

「ありがたきお言葉感謝いたします」

 

担任の先生が帰っていく。教室のざわめきが戻る・・ことはなかった。

何故か僕の方を見ている。

 

「・・何か悪いことしたっけ」

「ああ、十分にな」

 

ジュークが答える。

 

「遅れるからと()()()()()()()()奴は初めてだ」

「最短だから取ったけど・・ダメだった?」

「なら何故お前以外は昇降口に回って入っているんだ?」

「入口は概念だからどこでも入口判定になる。でも正門は通らないといけないらしい」

「その概念も初めて聞いたな。とりあえず聞いておけ。全員昇降口から入るようにしているんだ。お前も倣った方がいい」

「なるほど、地雷があっても前の奴に踏ませるって感じですか。確かにそれなら納得です。次からそうしますね」

「違うが・・まぁいい。覚えておけ」

「しっかり覚えました」

「ところで・・」

「どうした?」

「どちらを先に行くといいでしょうか?」

「自分で判断しろ。俺は知らん」

 

しょうがないので校長室から行くことにした。

 

§

 

校長室までの間取りは覚えている。初日で覚えた。

 

「確かそこを左に行くと・・あった」

 

校長室はあった。結構堅そうなドアだ。蹴破るには難しそうだ。

 

「ノックは4回、だったはず」

 

教え込まれた記憶を辿りノックを4回する。中から声が聞こえた。

 

「名前とご用件を」

 

若い女性だ。

 

「フォーマルハウテ・ヴァルフと申します。個別のお声掛けがありましたので伺いに参りました」

「お話は校長より伺っています。入室を許可します」

 

ドアはセルフサービスなのか。まぁそちらの方が楽だが。

ドアを開け、後手にならないようドアを閉める。

 

「貴重なお時間を取っていただき感謝します。フォーマルハウテ・ヴァルフ、今ここに参りました」

「そこに掛けたまえ」

「寛大なお心遣い感謝いたします」

 

・・なんかすごい感じはする。

 

「・・さて。話をしようか」

「誠に私事ながらこちらの魔道具をご使用ください。盗聴対策用でございます」

「・・本当に君はいろんなことを知っているな。問題ない。この部屋は防音仕様だからな」

「申し訳ございません、私の調査不足でした」

「大丈夫じゃ、このことを知るのも限られた人だけだからな」

「私に教えてしまってもよろしいのでしょうか?」

「君では私を殺せないからな」

「・・なるほど、納得いたしました」

「君は賢いな。戦力までわかってしまうとは。普通の人は試すと思うのだが」

「わざわざ猛獣に肉を見せびらかしたりしませんよ、特に負けるとわかっていれば」

 

手を見ればわかる。恐らく両手利きだろう。わざわざここまでしなくても。

 

「さて、呼び出した本題だが。君はわかるかね?」

「いいえ」

「そうか・・未確認の侵攻があったのは知っているかい?」

「はい」

「その相手を倒したのは君である。そうかい?」

「ごく一部ではありますが違います」

「ならば聞こう。君はどう()()

 

・・『思う』なのか。ということは逃げても無駄だな。

 

「私の力のみでは倒すことは不可能だったと思っております」

「誰が協力したのだ?」

「ヴェリア・リーゼ、ジューク・ライアス、フォーマルハウテ・ルーナの3名でございます」

「その功績を述べてみよ」

「ヴェリア・リーゼは敵の攻撃に反応し防御を行いました。それにより敵の攻撃の特性の一部を知ることができました。

ジューク・ライアスは想定より早い2回目の攻撃に対し市民を守る行動を取りました。それにより敵の動きに関する特徴を得られました。

フォーマルハウテ・ルーナは暴走に対し対処、2次被害の拡大を抑えました。また負傷者の適切な処理、保護により死傷者を最小に留めました。

以上が今回の活躍における功績でございます」

「功績に順をつけるならばどうする?」

「私ならばヴェリア・リーゼを1番に、ジューク・ライアスとフォーマルハウテを同率2番にします」

「1番に選んだ者の理由は何だ?」

「戦場において情報は1番重要です。死ぬ可能性を理解しながら素早く防御を行い、情報収集と共に凌ぎ切ったという点が評価を高くしました」

「理解した。そしてお主の業績を見込んで1つ打診が入った」

「お話しください」

「騎士団より連絡でお主を入れてくれという話があってな。こちらとしては決定は本人に尋ねるということで保留にしていたがどうする?」

 

・・要するに引き抜きか。

 

「私に活躍できる場所があるというのであれば、勉学と共に成し遂げてみせましょう」

「了解した。今度の休日に顔を見せておくように。以上だ」

「今回貴重なお時間を使ってしまい申し訳ありません」

「問題ない。むしろお主とならば面白そうじゃ」

「高い評価に敬服いたします。それでは失礼致します」

 

ちゃんと背を向けないように部屋を出る。

 

「身辺に気をつけて」

 

一言だけ若い女性が声を出した。

出る時は開けてくれるのか。

 

「続いて職員室か」

 

何というか・・思ったよりしんどい。

ノックを4回して声をかける。

 

「失礼します。フォーマルハウテ・ヴァルフと申します。担任による呼び出しがありましたので参りました」

「遅かったな」

「校長先生の話が少々長引いたもので」

「そうか。怒られたか?」

「いいえ」

「呼び出された理由は分かるか?」

「いいえ」

「今日学校の正門を通ったか?」

「はい」

「何時だった?」

「遅刻30秒前です。正門の守衛室にある時計を見たので」

「遠回りしたのか」

「時間は常日頃見たくなるものです」

「・・まっすぐ来い。そうすれば間に合う。いいな」

「記憶しました」

「よし。帰れ」

「失礼しました」

 

即帰る。当然だ。というかあそこに居続けたくない。

・・何であんなに警戒されているんだろう?

 

「そこが吹き抜けだったはず・・あった」

 

この吹き抜けは3階までは繋がっている。つまり3階まで一気に登れるということだ。

ただ今回は2階までだ。

 

「よっ・・っと。問題なし。時間は1分前。十分間に合う」

 

流石に廊下は走らない。校則に書いてある。

 

「着いた。時間は問題なし」

 

当然想定していた通り教室のドアを開ければいつも通り全員の視線を獲得した。

 

「どうだった?」

 

近くを歩くとジュークが尋ねる。

 

「どちらもちょっとしたお小言さ。問題はほぼない」

「良かったじゃないか。退学かと思ったぞ」

「流石にそこまでひどいことはしないさ」

 

どちらかというと褒められていた気がする。気のせいだが。

 

「空きがある時間を教えろ」

「一応いつでも」

「放課後についてこい。話がある」

「また?」

「安心しろ。前のやつの疑問点だ」

「変なところありました?」

「大量にな」

 

・・まーたこれだよ。今日はツイてないね。

 

§

 

「・・どうだったかね?」

「魔力使用量も平均と変わらないですね。敢えて問題と言うならば()()()()()()()()()()()()()ということでしょう」

「そうではない。君にとって、どうだったかだ」

「・・畏怖しました。あそこまで(へりくだ)った言い方をする人間は珍しいです。それに言動も行動も年齢に合わないように感じます」

「やはり君もか。あまりにも肉体と精神が乖離(かいり)している。()()()に欲しかったものだ」

「はい。ですが時間は逆行することができません。今悔やんだとしても過去は過去です」

「あの頃に示唆された人類における唯一の『逆行』(イレギュラー)の実現例なのかもしれぬな」

「イレギュラー・・やはり早めに摘み取るべきだったのではないでしょうか?私ならば・・」

「いい。何故か期待したくなってしまってな。ある意味賭けだ。勝つか負けるかは奴次第だ。どうにもならないのが悔やまれるが」




人類における唯一の『逆行』
・・『神の御技』を使える人間が誕生すると預言されたこと。世界は新たなる支配者の存在に怯え、互いに牽制し合うことになった。この年に『厄災』は暴走し討伐された。まだ存在するかどうかすら分かっていない。
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