壊れた少年のマーチ   作:オリの中のカナリア

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神のセンベツ

ついにこの時が来た。

ある者はこの扉に触れられなかった。またある者はこの扉に合う鍵を持たなかった。

その結果、数々の者がこの扉の前で倒れた。

その扉の前へ“想定外のもの”が辿り着いた。

そのものはこれから神によるセンベツを受けることとなるー

 

 

「ついに事前能力検査の日ですね」

「だな」

 

今日は待ちに待った事前能力検査である。

 

ーと言いたいところだが正直来てほしくなかった。

何せ出来上がった無属性固有魔法や 属性魔法もどき(発展型無属性魔法)の質が悪いのだ。命中率についてはもどきが50-50、固有に至っては3発のみ、命中率約11%と酷い出来である。

・・まぁゴリ押し(脳筋)戦法のためしょうがないと言えばしょうがないのだが。

 

会場は魔法学校だ。非常に大きい学舎に驚愕する。入学することとなればこの学校となる。非常に広いため迷ってしまいそうだ。

 

「とりあえず無作法がなければ実技最低点数の三分の一は取れて、魔法の属性や操作を()()()()()やれば合格できます」

「・・その肝心の属性がないのだが?」

「その分の穴埋めはどこかでやればいいでしょう?それに筆記もあるのですから」

「こいつさらっと僕が万能だと思ってやがる」

「事実そうでしょうに。魔法の基礎だけから新しい魔法を作れるような化け物が普通の判定で堪りますか」

 

・・もしかしてあれもっと理解してからやるべきものだった?

 

「・・領主コースだが本当にあれでいいのか?」

「各分類において最低基準点は決まっていますから」

「自作の無属性魔法幾つかしか持っていないぞ?」

「そもそも自作魔法を作れる時点ですごいです。それに」

 

彼女が悪魔的な笑みを浮かべる。

 

「最悪実技最低基準点でも筆記で満点を取れば大丈夫ですから」

「そんな無茶なこと・・でも流石にそこまで悪くはない・・と思う」

「そこは言い切ってください」

 

まぁ自分としてもそこまで悪くはないと思う。ただしどんな問題が出るか分からないのだ。

以前の試験では真偽は分からないが国の形を全て記憶から描く問題が出たことや自分が使えるデバフ(妨害)を自分にかけさせ持久力を調べたことがあるらしい。

 

()()()()()()()()()()世界。

天才はこの扉を叩き、運命に蹴飛ばされるか神に愛されるかを判定される。

この世界にただの天才は要らない。要るのはバケモノのような天才なのだ。

 

まぁ今までの練習量から言って最低点以上は獲れるだろう。

 

 

そう思っていた時が僕にもありました。

 

§

 

正直に言おう、筆記は全然無理だった。

頑張ってできたのは基礎計算と4択と国の名前、そして戦術指揮知識だけだった。

・・とは言っても四択も半分ほどカンなのだが。

ここで一つ弁明の余地をいただきたい。

 

いや分かんねぇよ!前期国王の名前とか聞かれても流石に無理だって!

僕が知ってんの八年前の国王の名前とその息子だぜ?その息子の第二王子の名前なんて知るか!

それになんだよあの変な記述!自陣配置を点で示すならそう書いてくれ!わざわざ回りくどくしなくていいだろ!問題数もおかしいし!

 

とまぁこんな悪態を吐いてもしょうがないので次の実技に専念する。

ちなみに彼女は結構嬉しそうだった。相当解けたのだろう。

何が来るだろうか。超火力魔法をぶちかますのだろうか。それとも素手バトルのサドンデスだろうか。

どちらが来ても嫌だと思いつつも実技の時間が始まった。

 

 

 

実技のテストは個室で行われる。そこには監督官と記録係がおり、その二人には生徒の属性の守秘義務が課されている。生徒たちにとって属性は自分の手の内を明かす様なものであるためだ。

 

待合室で待っていると奥にあった部屋のドアがが開かれた。

ドアの先には番号の書かれた空間転移装置があった。

全員同時に行われるようだ。それぞれの番号の空間転移装置に乗る。

目の前の視界が飴細工のように歪むと同時に見ていた景色が変わる。

細長い無機質な空間が現れ、二人の人間がいた。

 

「「お待ちしておりました、フォーマルハウテ・ヴァルフ様」」

「それはどうも」

「まず初めに属性を問わせていただきます」

「無属性です」

「・・はい?」

「僕は無属性です。このテストを受けに来ました」

「・・了解しました。属性の評価はゼロとなりますがよろしいでしょうか?」

「事実なのでしょうがないです」

「今回のテストの内容はあちらの的の破壊と特殊技能測定です」

「承知しました。あちらはどの程度破壊すればよろしいでしょうか?」

「どの程度、とは?」

「的の中心からの誤差十センチとか一発で全て破壊とかですよ」

「ご自分の裁量で判断してください」

「では準備をs「できました」」

「・・では開始します」

 

少し戸惑ってはいたがカウントが十から始まる。集中力を高め全身に魔力を行き渡らせる。

 

「・・二、一、測定開始」

 

カウントゼロと同時に基礎から組み立てる。

 

操縦型拡散弾(スプリット・ファンネル)

 

 

Scriptを構成

 

If you lock the {target:[全ての的の中心部]},hit the[魔弾]into the target, and if the[魔弾] comes off, reduce the[攻撃力]to [0].

 

If hit the {target} , separate the[魔弾]into[3].

 

If break the{target}, separate the[魔弾]into[3]and drain[魔力]of target or drain[魔力]of target.

 

There are control for [フォーマルハウテ・ヴァルフ]

There use [フォーマルハウテ・ヴァルフ]’s [魔力].

If {target}is all broken,come back[フォーマルハウテ・ヴァルフ].

 

以上より スクリプトの実行 を 承認 Y/N  Y

攻撃 を 開始 する Y/N  Y

プロセスを実行しています・・

 

 

§

 

 

六十個全ての的が壊された。それも中心に直径一センチの穴を開けて。五秒で。

見るからに圧倒的だった。数、攻撃力、正確性、実行時間、魔力量、技術。どれを取っても在学中の者を超えるだろう。そしてこれからの実技における歴代最高点も彼だろう。

あの魔法を見た者が真似をできるだろうか。否、出来ないだろう。

流石はフォーマルハウテ家だと思った。

彼は言った。「もうないのですか」と。

私は初めてこの者を恐れた。彼は伸び代がありすぎる。それも恐ろしいほどに。

 

私は言った。

 

「次に特殊技能の測定を行う」

 

すると彼は「承知しました」と返事した。

彼に何を課そうか。正直に言うともうデータは十分だった。むしろあり過ぎるぐらいだ。

 

「君の得意なことは何かね?」

 

取り敢えず得意なことを質問する。すると彼は「・・ありません」と答えた。

得意なことがない?なぜないのかを問う。

 

「僕にとっての“得意”は周りから見れば“普通”ですから」

 

流石にこれには驚いた。どれだけ優秀でも驕らず、どれだけ非凡でも凡人と言い続ける。

このようなことが私たちに出来ただろうか。正直特待生として呼びたいが規則には逆らえない。後で報告することになるだろう。まったく、面倒臭い(面白い)存在が来たものだ。

 

「質問に答えてくれてありがとう。最後に一つだけ質問があるのだが良いだろうか」

 

彼は「勿論です」と言った。

 

「何故そこまでしてこの学校を目指そうと思うのかい?」

 

これは仕事でもなんでもない質問だ。本来こんなことをしてはならないはずなのだが。

彼は答えた。

 

「新しい世界を見たいからです」

 

彼は勉強で来るのではない。人間関係を作りたいわけでもない。新しい世界を見るためにここに来ると言った。

私は彼こそ学校に行くべき人間だと判別できた。これ以上の質問は不要だ。

 

「すまないね、特殊技能の試験を行うと言ったがあれは面談にしたんだ。もう魔力開放状態は解除していいよ」

 

彼は「了解しました」と言い、魔力を収めた。この状態だと年相応の少年に見えるから不思議だ。

 

「今回の試験はこれで終了だ。お疲れ様」

 

彼は「ありがとうございました」と言うと破壊した的を見た。

その時の呟く声が聞こえた。

 

「・・もっと絞れたな」

 

どうやら私の見立ては間違いではなかったらしい。彼の帰りを促すと記録係に点数を伝えた。

 




次回、結果発表!(パッパパパー)
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