「結果通知が届きましたよ!」
ルーナが朝から外に出て行ったと思いきやいきなり元気な声で僕に話しかけてきた。
「朝弱いのに元気だったのはそういうことか」
「そりゃ目が覚めますよ!ついに結果が見れるのですから!」
元気なのは良いことだと思う。ただし彼女の声はよく通るため今日は頭が痛い。
「少し声のボリュームを落としてくれ、朝からそのテンションはきつい」
「むぅ・・はっ!」
「お前今なんか悪いこと考えただろ」
「貴様ぁ〜。このフォーマルハウテ家の女王位継承者に命令するのかぁ〜?」
「・・朝ごはんなしにしましょうか?」
「ごめんなさいもうしませんから許してください」
・・こいつ意外とちょろいのでは?
「む!こいつちょろいとか考えたでしょ!」
何故気付けるのだ!?言ってないだろ!
「練習するとある程度は身に付くのだよ」
うぉう、縦社会怖い。
「ところで私の食事はまだか?」
「・・はいはい、今用意しますよ」
「よし、私の勝ちだな」
・・明日から兵糧攻めしようかな。
今日はいつもよりテンションが高い朝だ。他にも何か隠していそうだなと思いつつ朝食を食べる。うん、我ながら料理上手だ。
彼女も料理を食べる手が少し早い。食欲があることはいいことだ。
§
「さて、今回の本題に入りましょう」
朝食を食べたルーナはいつも通りのテンションになって書類を一つ僕に渡した。
「これは?」
「五日前に受けたテストの合否ですよ」
そういえばそんなテストがあったような気がする。新しい魔法の実験を兼ねつつ受けたテストだったはずだ。
あれ以来感覚がだいぶ身について安定して発動・着弾するようになったなぁと思いつつ、書類を見る。
「・・何か僕の方が分厚くない?」
「そうですよねぇ・・」
彼女は目に見えてしょげているような気がする。
「・・あなたは受かっていると思いますよ」
「根拠は?」
「経験則です」
「経験は評価に入らないわ」
「いざというときには経験の方が重視されますよ」
「・・そんなに評価してもらえるなんてありがたいわ」
「と、とりあえず開けてみましょうよ」
だめだ。完全に落ち込んでいる。おそらく結果を見せるのが一番良さそうだ。
「私なんてどうせ・・あれ?」
「どうでした?」
「・・合格しているわね」
「良かったじゃないですか。実力があるということですよ」
「で、でも」
「僕のことなんて今は考えないで今のあなたの結果に満足してください。そうでないと不合格の人の申し分がありませんよ」
「・・ええそうね、今は私を褒めましょう」
・・さて問題は僕なんだよなぁ。なんか分厚いし。
第一に中に何が入っているか。第二に合格しているのかを考えよう。
取り敢えず中身を開けてみる。
「この封筒一個分多いようですね」
「合否はどうですか?」
結果の書かれている紙を開く。そこには「特殊合格」と赤の手書きでで書かれていた。
「『特殊合格』とは何なんでしょうかねぇ」
「私も初めて見ましたよ、そんな手書きの合格サイン」
同封されたもう一個の封筒を開く。一枚の紙が出てきた。達筆な文字だ。手書きだろうか。
「内容は・・えー」
今回のテストにおいて不合格となっていましたが理事長・校長・監督者との協議で特殊合格となったことをお伝えいたします。今回の協議での特殊合格と判断した根拠をここに記載します。
1、無属性魔法使用者でありながら属性魔法使用者と何ら変わらない能力を確認したこと。
2、学校に通うことにより更なる能力の向上を期待できること。
3、不正等がなかったこと。また、相手への妨害がなかったこと。
4、複数の証人から確認を得られたこと。
以上の判断の結果より特殊合格と判断いたしましたのでここに記載します。
本学校はフォーマルハウテ・ヴァルフの入学する権利を付与します。
ジルヴェスト魔法学校 校長 カトランディア・デウス
教頭 クルエンティラ・アプラ
「ということらしい」
「特待生として呼ばれているじゃない」
「いや、どちらかというと補欠合格みたいなものだと思うよ」
恐らく基準点に満たなかった者が多かったのだろう。そもそも皆はどのような試験を受けたのだろうか。
「ルーナはどんな実技だったんだ?」
「的の破壊と魔力量調査よ、なかなかにしんどかったわ」
「どういうことだ?」
「魔力が切れるまで魔法を撃てってことよ、的の破壊をしているっていうのにまだ魔法を撃たせようってどういう考えかしら」
「なるほどな」
「?」
彼女は頭に疑問符を浮かべつつ僕を見る。
「そう言うあなたはどんな試験を?」
「的の破壊を三秒で済ませたらもういいって言われました」
「・・よく分からないわ、あなたのやっていることが」
「行動を否定されるとは意外と心にきますねぇ・・自作魔法を使っただけです」
「どんな魔法よそれ!?」
「魔力の吸い取りを行いつつ球が分裂してくだけですよ」
「・・分からないわ、あなたの存在が」
「遂に人格攻撃を始めましたね。魔法に付加能力を加えるんですよ」
「・・そんな方法よく思いついたわね」
「ただし代償として三分の一ぐらい魔力を持っていかれます」
「あっそれ私たちに無理なやつだ」
「魔法を解析してみると意外と面白いものですよ」
「その解析どのようにやるのよ」
「魔法陣を書いて欲しいところを切って貼るだけの簡単なお仕事です。ちなみに私は一つの魔法陣に1日以上かかりました」
「・・それ簡単じゃ無いわよ」
他愛もない会話をしつつ神に感謝する。前までは過酷すぎて神を恨んでいたが今回は感謝する必要があるようだ。
「とりあえず」彼女が言う。
「二人領主コース合格通知がもらえたのだし夜は少し豪華な物でも食べませんか?」
「まぁたまにならいいだろう。ただし」
彼女がこっちを向く。
「その前に学校の準備をしなければならないがな」
そうですね、と彼女は同意する。
「とりあえず制服のサイズを取りましょう」
「制服があるのか。服を新しくたくさん必要としないのはありがたいな」
「今日の昼からサイズを取りに仕立て屋へ行きましょう」
「そうだな」
少し間ができた。今のうちに違和感を伝えておくか。
「・・なぁ、お前他になんか隠しているよな」
「・・隠してませんよ?」
嘘が下手すぎる。バレバレだ。
「とりあえず怒らないから出せ」
「ちっ」
この子僕に向かって舌打ちしたよ!
「これですよ」
手に乗っていたのは機械類のついたチョーカーだった。
「前みたいな暴走を学校でやったら危険でしょ。だからこれで制御しようっていう考えですよ」
「これぐらい教えてくれてもよかったじゃないか」
「合格プレゼントに渡そうかと思いまして」
だから外食に誘ったのか。行動が分かった。と同時に申し訳なくなった。
「・・なんかすまないな」
「いいのよ、向こうで渡せたとは思えないし」
「・・周りが気になるか?」
「そりゃそうよ、ましてやこんないかがわしいもの」
「それがいかがわしいということを理解していて僕に付けさせるんだな」
周りに気を遣いやすいことと明らかに彼女は自分に合わせているを理解した。
午後からはサイズを取るために街の近くの仕立て屋へと行きサイズをとり制服を頼んだ。ちゃんと夕食は豪華な外食にした。
結構彼女の評価は良かったらしい。彼女が良いならいいか。
数日かけ取り敢えず学校に必要なものは揃えた。後日制服が届きまた頭が痛い思いをすることになってしまったが。
次回!いざ学校へ登校じゃぁ!
どっかでキャラ説明入れよっかなぁ