やがて"最強"と呼ばれるウマ娘の話   作:心折れた騎士

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ジュニア級③

 

何か最近、やけに絡んでくる子が増えた。殆どは意味不明な罵詈雑言とか何だけど、時々レースを挑んでくる子もいる。仕方ないからレースに出てあげる事にした。

結果は、圧勝。『アンタを潰す』とか息巻いてたのに私の影すら踏めないで負けてた。何だったんだろ。

そういえば、私のトレーニングにタマモクロス先輩の他にあのオグリキャップ様が来てくれる事になった!本当に嬉しいっ!

 

「メイクデビュー♪ふふふふーんふんふんふーん♪」

 

私はルンルンでトレーニング場に向かう。憧れのオグリキャップ様と一緒にトレーニング出来るなんて、こんな幸福な事がこの世界に他に存在しえるだろうか?いや、無いね!

 

「おや、ヴィクティミア。来たのか。私は先に始めさせてもらっている。タマも後で来ると言っていた、一緒に頑張ろう」

 

「はいっ!オグリキャップ様!」

 

「その…様、というのは辞めないか?なんだかむず痒い。気軽にオグリ、やオグリキャップと呼んでくれ」

 

な、なんと…!?そんな事が、許されるのか!?

 

「あぅ、あの…えっと……オ、オグリ先輩…」

 

「何だ?」

 

大変だ。顔から火が吹き出そう。今鏡をみたら、きっと真っ赤なんだろうなぁ。このだらし無い顔をオグリ先輩に見せるわけにはいけない。オグリ先輩の顔を見たいけれど、ここは苦渋の決断だ。

 

「どうした?何やら顔が赤いが…風邪か?」

 

「ひゃわーっ!」

 

オグリ先輩が私の額に手を当ててくる。やめて下さい、死んでしまいます。ご褒美ですけれども!ご褒美ですけれども!供給過多で、死ぬ…!

 

「二人とも何しとるんや…?ヴィクは顔赤いし、風邪かいな?」

 

「タマ、ヴィクティミアの様子がおかしいんだ。私の名前を呼んだ途端に顔が真っ赤になってしまった。何かの病気だろうか?」

 

「病気やて?そらアカンな。どれ、見してみい。たまに弟達の様子診とったから、多少の心得はあるで!」

 

そう言ってタマモクロス先輩が私に顔を近づけておでこを私の額に当ててくる。まって、顔近い、うわ、かわいいな…じゃない!離れなきゃ…!?

 

 

「おーう、何してんだお前ら。早くトレーニング始めんぞ。」

 

「あ、はい」

 

急にスンってなった。

けど丁度良いや。少し落ち着こう。

 

「で、今日のトレーニングは何ですか?」

 

「うむ、それは私としても気になっている所だ」

 

「おうおうお前ら、随分とやる気じゃねえか。今日やって貰うのは、まずバーベキューからだ。その後本格的な練習を始める。」

 

バーベキュー!?な、なんで…?今まで口を開けばトレーニングトレーニングトレーニングのそればっかりだったのに、今更どういう事だろう?

トレーナーさんはどこかからバーベキューセットを持ってきてニンジンを焼き始めた。うん、いい香り。きっとあのニンジンはお高いヤツなんだろうな。

 

「じゅるり」

 

「……ハッ!あかん、ヴィク!オグリを止めぇ!」

 

気がつくと、オグリ先輩の顔からとんでもない威圧感が放たれていた。その貌は、アイドルウマ娘であるオグリ先輩のもう一つの二つ名【怪物】の名に相応しい程の迫力だった。

 

「オ、オグリ先輩!その飛びかかろうとする体勢をやめて下さい!今は焼いてる最中ですから!触ったら危ないですよ!」

 

「──────ヴィクティミア、私は思うんだ。目の前に美味しそうなニンジンがあるのに、食べられない悲しみはこの世から消えるべきだと。だから、一緒に食べよう?」

 

「あ、はい…♡」

 

オグリ先輩がそういうなら、仕方ない…よね?私は表情をとろん、とさせながらバーベキュー機へ向かっていく。

 

「アカーン!ヴィクが丸め込まれおったー!待ちぃなオグリン!ヴィク!ええか、よく聞き。今兄サンが焼いとるニンジンはな、一本ウン十万する奴やねん!ウチは前にトレーナーに食わしてもろたからわかる。それを一口で食うんは、勿体無い!せやから、ゆーっくり食べるんが良え!量より質なんや!」

 

はぁ…♡オグリ先輩、カッコいい…♡

 

「駄目や、ヴィクは聞く耳持っとらん。こうなったら…あれや!ウチとしても嫌やけど、背に腹は変えられん。来てくれーーーっ!クリークママ…」

 

私が夢見心地でジリジリバーベキュー機に迫るオグリ先輩に追従してると、突然脚が地面から離れる。な、何事!?

 

「あら?あらあらあら?タマちゃん、わたしをママと呼んだのかしら?まぁっ、うふふっ!よしよししてあげまちゅからね!」

 

目が覚めた私が初めに見た光景は、ヤバめの表情を浮かべながら私とオグリ先輩を小脇に抱えるスーパークリーク先輩だった。え、何…その表情は?

 

「うふふ、皆可愛がってあげまちゅよ〜っ!」

 

「アカン…ウチは呼んではアカン奴を呼び込んでしもたんや……すまん、皆。ウチらはこれから赤ちゃんにされる。」

 

 

────⏰────

 

 

「……さっきクリークと何してたんだ?」

 

「──────ばぶ。」

 

魔王の圧力で赤ちゃんにされていた私たちは(クリークママはあの後帰った)5時間に渡るスパルタトレーニングの後、幼児退行しかけていた。オグリ先輩やタマモクロス先輩の参加で張り切った様子のトレーナーさんが1日で3日分の密度のトレーニングを指示してきたのだ。当然、普段の三分の一の時間で疲れ果てる。でも、トレーナーさんは鬼畜メガネだから続けさせた。

 

その結果が幼児退行(これ)である。

 

「仕方ないな…ヴィク、これ飲め。」

 

トレーナーさんはクーラーボックスから緑色の液体が入ったペットボトルを取り出して渡してきた。うぇ…見るからに不味そう。でも、案外甘いかもしれないし。

 

「お、おいヴィクティミア…それを飲むのは流石の私でもどうかと思うのだが…」

 

「せや、やめとき。そん飲み物は色合いからしてアカンやつや」

 

二人の先輩が止めてくれたけど、この地獄の疲労感が無くなるならそれで良いや。

 

「いただきます……ッ!?ゲホッ!ゲホッ!?な、何これ…!?うぷ……こ、れは…」

 

飲んだ瞬間、鼻中にエグみが充満する。舌にはボンドみたいな味がして嘔吐感を刺激してくる。喉越しも最悪だ。ネバネバしてるし、喉に絡まって中々胃に入らない。

だけど、身体はドンドン元気になっていくのを感じる。全身にエネルギーが充満していくみたいだ。でも、身体は元気になったけどやる気は確実に下がった。

 

「ヴィ、ヴィク…?顔色が、青白通り越して土気色になっとるで…?兄サン!何飲ませたんや!?毒やないやろな!?」

 

「いやあ、トレセンの購買に売られてた最高級エナジードリンクなんだが…そんなに不味いのか?試しに舐めてみるか。」

 

間抜けが一人、地獄へエントリーした。

 

「うっ!?ぐっ、は、吐いちゃダメだ…ヴゥッ!」

 

トレーナーさん(間抜け)は地面をのたうち回りながら苦しんでいる。私と同じ体勢だ。師弟併せて地獄を見た事になる。

 

────⏰────

 

暫くして、漸く喉が落ち着いてきたので甘いものを食べて喉を労ろうと思い私達は食堂に来ていた。

丁度夕ご飯時だったのでオグリ先輩達とご一緒させて貰う事にした。トレーナーさんも誘ったけど、取材があるとか言ってどこかに行ってしまった。

食事はつつがなく進行して、デザートが欲しくなってきたその時、秩序が崩壊した。

 

「限定カップケーキ入荷しましたー!」

 

その声が聞こえた瞬間、その場にいた全てのウマ娘の顔が飢えた戦士の顔になった。

 

初めに動いたのはオグリ先輩だった。そしてそれに気がついた一人の子がオグリ先輩に抱きついて拘束。それでもなお進むオグリ先輩を抑えるため、十人のウマ娘が取り押さえようとした。奇しくも、全員が不倶戴天の敵でありながら『オグリ先輩にカップケーキを全て食べられる訳にはいかない』と言う目的で神がかったコンビネーションを発揮したのだ。

そして、それを尻目に日本総大将もかくやもいった威圧感の子が地面を抉り取る程の足跡を残して前へと躍り出る。しかし、それを阻むのはまるで軍隊のように動く集団。

 

「シリウス様!今のうちに!」

 

「──────お前達。フッ、感謝する!」

 

イケメンオーラのウマ娘が悠々とカップケーキ売り場に向かう。まずい、止めなきゃ!

 

「させない!」

 

私はテーブルの上に乗り、跳躍してシリウス様と呼ばれていた子の前に立ち塞がる。

 

「………どけよ。怖い目に遭いたくはないだろ?」

 

「私は、この苦しみ(青汁の後味)から解放される為に戦わなければならないんです!」

 

「へぇ、面白え女…いいぜ、後で私の部屋に来いよ」

 

「そうですか。ではっ!」

 

私は踵を返して売り場に走る。途中で何人かがひっついて来たけど、毎日鬼のようなトレーニングをしてる私に勝てる子なんてそうそう居ない。いざ、売り場ギリギリの所に着いた頃には40人の子が私の腕を引っ張っていた。

 

「シリウス様!こいつやべーです!」

「バケモンみたいなパワーです!」

「顔がかわいいです!」

「おてて凄い柔らかいです!」

「お肌すべすべでずっと触れます!」

 

「何言ってんだ…?まぁ良い。よく止めてくれた。さァ、どうするよ?お転婆お嬢ちゃん?」

 

「───────その程度のパワーで…この私を超える事は出来ぬぅ!」

 

「何っ!」

 

私は固定されて動けない腕に力を込め、思いっきり振り払う。すると、面白いように腕に引っ付いた子達が吹き飛ばされていく。これが伝説のスーパーウマ娘のパワー。化け物…?違う、私は悪魔だ…。

 

怪電波を受信した所で、全てを振り払った私はカップケーキを頼んだ。

 

「カップケーキ8つ下さい!友達の分です!」

 

「毎度」

 

限定20個の内、8個を買った。独り占めはしない。

私は席に戻って、何やらしょんぼりしたタマモクロス先輩とオグリ先輩の前に一つずつカップケーキを置いた。

 

「カップケーキ…食いたかったなぁ……ん?こ、これは!カップケーキやないか!ヴィク、お前さんが!?」

 

「…良いのか?食べたら返せなんて言われても困るぞ?」

 

「良いんですよ。トレーニング手伝ってくれたお礼です。私は他のお世話になった人たちに渡して来ますね」

 

「ヴィク〜〜っ!ホンマにええ奴や〜っ!ウチ、いつでもヴィクに協力したるからな!なんか困ったら言うとええで!」

 

「うむ、私もこの恩は忘れないだろう。実は、私は何年も争奪戦に参加しているのだが一度も買えた試しが無かったのだ。ありがとう、ヴィクティミア」

 

その後、タキオンさんの実験室に行ってカップケーキを渡した。カフェさんもいたので一緒に渡した。

 

「……良いんですか?ヴィクティミアさんが沢山食べたいのでは?」

 

「君、お人好しって良く言われないかい?」

 

「あはは、良いんですよ。あと、天井裏にいるだろうシノビちゃんにもこれ、渡しておいて下さい」

 

「…………………(ステルスニンジャ的感謝)」

 

これで、私の手元にあるカップケーキは3つ。一つは私の。もう一つはシャウトちゃんのヤツ、最後の一つはヘリオスさんのヤツだ。探すのに手間が掛かるかなと思ったけど、案外すぐに見つかった。ヘリオスさんとシャウトちゃんは意外と仲が良かったみたいで、一緒にいるのを見つけた。

 

「えーっ!?良いの?えへへ、ありがと!ね、ウマスタにあげて良い?」

 

「マジあげぽよ侍!三日月的な?ウマッターにもあげちゃお!ウェーイ!錐揉み大回転スペシャル感謝だし!」

 

三人でウマスタ?とかウマッターに投稿した後、私は自分の部屋でじっくり味わう為に寮に戻っていた。とその時。

 

「頂きっ!」

 

「あっ!」

 

背後から現れた刺客に、カップケーキを取られてしまった。いけない、走ったら中身が危ない!

 

「へへっ、これでシリウス様に褒められる!あっ!」

 

「ああっ!?」

 

案の定コケた。校舎内故、大したスピードが出てなかったとは言えウマ娘のスピードでカップケーキが投げ出される。重力に逆らえないカップケーキは箱ごと地面に叩きつけられ無残な姿を露わにする。

 

「いてて、あっ!やっちゃった!……ま、仕方ない!逃げるんだよーっ!」

 

哀れにも誰にも食べられる事は無く泥にまみれたカップケーキを前にして、私は心に深い傷を負った。どうして私だけこんな目に遭わなければならないのか。そのことが悔しくて、涙が出る。

 

「うっ、ぐすっ、ひぐっ…なんで、なんで…」

 

私はカップケーキの箱を開け、その無残な姿を見る度に涙が溢れて来ていた。

ぽつ、ぽつと次第に雨が降り出し、私もカップケーキもずぶ濡れになる。私は蹲り、雨に紛れて涙を流す。

 

 

 

 

「………おい、こんな所で何してる?」

 

ふと声をかけられ、上を向くとそこにはシリウス様と呼ばれていた子が私に傘を差しながら私を見つめていた。

 

「汚されちゃった……私の大切なもの」

 

「………」

 

「ぐすっ…なんで、私だけ……」

 

「──────アイツら。越えちゃいけねえトコ越えやがったな。おい、お前名前は?」

 

「……ヴィクティミア」

 

私が名乗ると、シリウスは優しげな笑みを浮かべて私を背負う。彼女の背中が汚れてしまうにも拘らず、その大きな背中で私を彼女の部屋まで運んだ。

 

────⏰────

 

私がシリウスの部屋に連れ込まれて、シャワーを浴びさせてもらった後、シリウスら高そうなパジャマ姿で私を待っていた。

 

「あの、シリウスさん。シャワーありがと」

 

「良いんだよ。それより、お前に渡さなきゃいけないモンがある。ほら、受け取りな」

 

そう言ってシリウスが私に渡して来たのは、もう食べられないと思っていたカップケーキだった。

 

「こ、これ…良いの?これを逃したら、次食べられないかも知れないんだよ?」

 

「裏ルートを使ったから、私は別に良い。ただ、正当にカップケーキを勝ち取ったお前があんな目に遭うのは、私の性に合わないってだけだ。気にすんな」

 

「なら、さ。一緒に…食べよ?」

 

私がそう言うと、シリウスはきょとんとした顔をした後、大笑いする。

 

「ククッ、アーッハッハッハ!面白え奴だな、お前!なァ、そう言えばお前。あの偉ぶってる会長サマにケンカ売ったらしいじゃねえか。お前、私のモノになれよ」

 

シリウスは私の顎に手をかけて顔を近づけてそういってくる。私が同性愛者だったら惚れてたかも知れないくらい蠱惑な笑みだった。

 

「──────やだ。シリウスが私のものになってよ」

 

でも、私は最強になるんだから。誰かの下だなんて許せない。もし私がシリウスのモノになったら、私は私を許せないだろう。だから、その逆だ。シリウスが私のモノになればいい。

 

「っ、お前…それ私以外にやんじゃないぞ。その顔は…その、刺激が…強い」

 

「?」

 

「だーっ!もう要件は終わりだ!帰れ!」

 

シリウスは何故か顔を赤くして帰れと言う。元はと言えばシリウスの信奉者が私のカップケーキを奪ったのが悪いんだ。だから言う事なんて聞いてやるもんか!

 

「嫌。今晩はここにいるもんね。カップケーキ食べて良い?」

 

「〜〜〜っ!好きにしろ、もう!」

 

「わーい!頂きます!」

 

私はプラスチックのフォークでカップケーキを食べる。口溶けはまるで雪のよう。クリームにかかった苺ソースが甘酸っぱくて美味しい。記事はしっとりとしていて、それでいてベタつかない。スッキリした甘さだ。このカップケーキからは職人の意地を感じる。

 

「ご馳走様でした。シリウス、洗面所借りるね」

 

歯を磨いてからシリウスのベッドに腰掛ける。それと同時に、青汁の効果が切れたのか段々眠くなっていく。私は、気絶するように眠ってしまった。

 

 

──────────────────

 

 

私が裏ルートでカップケーキを購入し、割と上機嫌で雨の中歩いていると、寮への道で何やら泣き崩れている奴がいた。心配になって声をかけてやると、そいつは人形みたいな顔を悲痛に歪ませながら「大切なものが汚された」と言った。

一瞬、最悪の光景が脳裏を過ぎるが地面にぶち撒けられてるカップケーキを見て察した。

 

ヴィクティミアと名乗ったそいつを私の部屋に連れて行く事にした。元々呼んでいたし、それにコイツがヴィクティミアだと言うのなら好都合だ。

以前、妙に滾った目のルドルフの奴が私に語って来たんだ。

 

「今年のジュニア級に、私に勝負を挑もうとしてくる子が居てね。大言壮語なだけかと思ったら、しっかりと実力がある。フフ、楽しみだよ…」

 

何度もそう言ってきた。ルドルフに勝負を挑んだ。それはつまり、勝てる自信があると言う事。そいつを上手い具合に利用して私の力に出来れば、ルドルフの理念とやらを崩せるかもしれない。そう思ってヴィクティミアを勧誘ようと部屋まで連れ込んだ。

 

風呂上がりのヴィクティミアは、とても色っぽかった。瞳を潤ませ、頬は朱に染まり、濡れた髪を惜しげもなく見せつけてくる。これでは勧誘する側も気が入ると言ったものだ。

それに、仕草が一々私の劣情を刺激しかねないものだった。神経が衰弱してるのか、カップケーキ争奪戦の時に見せた気丈な態度ではなく、どこか弱々しく、庇護欲を掻き立てられるモノだった。

 

「お前、私のモノになれよ。」

 

そう言って勧誘したウマ娘は全員私の傘下に入った。だからコイツも、同じ穴の狢だろうと思っていたら意表を突かれた。

 

「──────やだ。シリウスが私のものになってよ」

 

ヴィクティミアは、私の誘いに対してどこか拗ねたような顔でそう言った。危うく何かに目覚めそうになったが、強靭な精神力で耐えた。コイツはヤバい。今は女二人だから良いかも知れないが、男と二人きりだった時、コイツは確実に襲われて涙を流すことになるだろう。それは避けなければ。

 

「っ、お前…それ私以外にやんじゃないぞ。その顔は…その、刺激が…強い」

 

ヴィクティミアは何が何だかわからないみたいな面をしている。あんまりにも純粋に見えて、私は恥ずかしさのあまり帰れと急かす。

だが、ヴィクティミアは断った。何だ、誘ってんのか?ええ?

 

その内、ヴィクティミアは私のベッドに腰掛けた後寝てしまった。その寝顔はとても安らかで、汚していいようなモノでは無かった。私はそっと布団をかけた。

 

 

 

あれ、そういえば私どこで寝ようか。

その事に気づいた時、私の中でイケナイ考えが出てくる。だが、添い寝なら、添い寝ならセーフだろう。そう考え、私はヴィクティミアの隣に寝そべる。すると、ヴィクティミアは私に抱きついてきた。

その夜は、何故だか悶々として眠ることが出来なかった。




シリウスのエミュが難しい
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