夢魔からエロ同人みたいな力貰ったので悪用してみた   作:覇王ドゥーチェ

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僕の眼鏡が壊れちゃった

「うぅ……」

 

 僕は無残な姿になってしまった眼鏡におもわず呻く。母さんに買って貰った大事な眼鏡だった。朝に眼鏡を着けた時は、こうなるなんて考えもしなかったのに……。

 

「ぶつかってごっめーん。あたし今日急いでてさー。ばいばーい」

 

 僕とぶつかった長瀬さんは、校則違反すれすれの茶髪と短いスカートをなびかせながら走り去った。どうやらぶつかった相手が衝撃で眼鏡を落とし、勢い余って眼鏡を踏み壊した事には気が付かなかったようだ。女子とぶつかってたたらを踏んでしまった僕の貧弱な体が悪いとも言えるが……。

 

「母さんになんて言えば……」

 

 僕はそのまま数分は校門のところで立ち尽くしていたが、気を取り直して家へ帰る事にした。僕の裸眼視力では人の人相は判別できないが、電柱と人影は見分けられる。ゆっくり壁沿いに歩けば人や物とぶつかる事はないだろう。

 

「母さんが帰ってきたら、ありのまま話そう……」

 

 僕は気落ちしたまま、ぼやけた視界で普段とは違う印象になった帰路についた。

 

 

 

 家の近くにあるコンビニが見えた事で安心したからか、僕は電柱をかわしたつもりでぶつかってしまった。しかしその感触は電柱というには柔らかすぎた。というか明らかに女性。……その、豊満な部分に顔をうずめる形でぶつかってしまっていたのだ。

 

「えっ、わっ、す、すみません!」

 

 僕は急いで後ずさり、女性から離れた。電柱と人影を見間違える事はない、と自負していた僕だが、僕が思っているよりずっと視力が悪かったらしい。コンビニの特徴的な配色をした看板に気を取られ、女性に気付かずぶつかってしまうなんて……。これじゃ長瀬さんを責められないな。

 

「…………」

 

 女性は何も言わずにこちらを見つめている。今の僕にはその顔色を察する事はできないが、キャー痴漢、なんて言いだす雰囲気ではなさそうだ。

 

「……? ああ、なるほど」

 

 すっ、と女性が僕の胸に手を出した。僕のブレザーの胸ポケットには、長瀬さんとぶつかった時に壊れた眼鏡が入っている。女性はその眼鏡を手に取ると、しげしげと眼鏡を確認しているようだ。

 

「そういう事ですか。うーん、肉体的接触があった以上……放置する訳には……困りました」

 

 あまりにも自然に取られてしまったから咎める隙すらなかった。こちらからぶつかってしまった手前、文句は付けづらいがもう一度謝って眼鏡を返して貰おう。

 

「あ、あの、ぶつかってすみませんでした。……その、僕の眼鏡、返してくれませんか? 壊れているけど、大事な物なんです」

 

「大事な物、なんですね。そうですか。それは良い事を聞きました」

 

 女性の言葉に返してくれるか不安になったが、ちゃんと眼鏡を返してくれた。それも顔に直接。フレームは歪みレンズもひびが入って、修理せずに装着する事が難しくなった眼鏡を、だ。

 眼鏡越しに見た女性は、絶世の美女と言うべき美貌の持ち主だった。カラスの濡れ羽色とでも言うべき綺麗な黒髪を腰まで伸ばし、理知的な印象を与える切れ長の瞳。服装は……なんだっけ、童貞を殺す服? みたいなニット生地で胸の谷間が上から確認できる物だ。ひょっとすると背中側はざっくりと開いているのかも。

 女性の美しさに気を取られたが、眼鏡越しの視界に違和感はない。眼鏡が、直っている。レンズも、フレームも。

 

「それでは失礼します。良い夢を」

 

 女性は踵を返して颯爽と去ってしまった。その背中は、お尻の谷間まではっきりと分かる過激さだった。というかありていに言って痴女だった。ありがとうございます、と叫びたくなったが今叫んでは背中の事なのか眼鏡の事なのか自分でもはっきりしなくなってしまう。それはいけない。彼女の背中には、もっとこう、真摯に向き合うべきで……。

 彼女の背中に思いを馳せている内に、気が付けば彼女は居なくなっていた。

 

「お礼、言いそびれたな」

 

 いかなる手段を用いたのか分からないが、彼女が眼鏡を直してくれたのだろう。彼女は眼鏡の女神だったりしたのだろうか。余りにも現実離れした経験に頭がどうにかなりそうだったが、女性とは神秘なのだと結論付けた。美女には秘密が付き物なのだ、と。

 僕はこれまでより明らかに軽くなった足取りで、改めて帰路についたのだった。

 

 

 

 その日の夜、僕は不思議な夢を見た。学校から帰る途中、道端でぶつかった美女の夢だ。夢の中の美女曰く、彼女は夢魔であり僕の眼鏡には不思議な力が宿った、と。

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