夢魔からエロ同人みたいな力貰ったので悪用してみた   作:覇王ドゥーチェ

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初めての

 今回、僕は学びを得た。人間とは、いや、男とは……いやいや、男子高校生とは愚かな生き物なのだ、と。

 

「最低だ、僕……」

 

 これまでの種の進化と肉体の成長によりもたらされた脳の発達と思考能力の向上。それらは思春期により無為となる。何故ならば、思考に用いられる器官が頭から股間に切り替わるからだ。特に思春期の男子高校生なんてオナニーとセックスの事しか考えていないと言って過言。

 

「いや、過言なんかい……セルフツッコミ寒いな……」

 

 どのくらい寒いのかというと、陽が昇る前の時間に股間丸出しでお風呂場でパンツを洗うくらい……寒い。肉体的にも精神的にも。

 とにかく、今回の経験により性欲により支配された男子高校生とは愚の骨頂であり、性欲からの解放を目指すべきだと理解できた。なんだよ夢魔って。なんだよ催眠術って。僕の眼鏡にそんな力が宿る訳────

 

「あったよ……いやいや、ある訳……いやでも……まだ夢でも見てるのかな」

 

 洗い終わりぐっしょりと濡れたパンツと、湯が跳ね返り冷めた雫が下半身を濡らしている感覚。これが夢ならおねしょが心配になって飛び起きると思う。つまりこれは夢ではない……?

 

「……もっかい寝よ」

 

 お風呂場から出て替えのパンツに足を通した。今日の洗濯当番は僕なので、洗ったパンツは脱衣籠に放り込む。この現実を受け止めるには、少しの覚悟が必要だった。眠くてよくわからなかった、とも言う。

 

 

 

「たもつーっ! 朝! もう朝よー! 起きる時間よー!」

 

 母さんの声で目が……いや、夢から覚めた。時計を見る。時計の短針は、7の所に。長針は20の所にある。7時20分……朝のショートホームルームが8時30分からで、徒歩で20分の距離に学校はある。もうちょっと寝れる、と一瞬考えたが起きる事にした。そして、眼鏡を、着けた。

 

「……ああ、うん。夢じゃない。これは、夢じゃないんだ」

 

 力の使い方は理解した。後は実践あるのみ、だ。

 

 

 

「……おはよう、母さん」

 

「はい、おはよう、たもつ。もうご飯できてるからさっさと顔を洗ってきなさいな」

 

 女手一つで僕をここまで育ててくれた母さんにはとても感謝している。どれほど親孝行をしても足りるという事は一生ないだろう。

 

「『今日は日曜日だよ』」

 

 不思議と罪悪感はなかった。母さんを催眠術の実験台に使う事に躊躇いすら感じなかった。

 

「──え、あれ? そうだったのね。もうお弁当を二人分用意しちゃったわ……うーん、どうしようかしら」

 

「『さっきの催眠術を取り消す』……今日は水曜日だよ」

 

「……? 急にどうしたのよ。水曜日の朝って何かあったかしら」

 

「いや、ただの確認。母さんが今日を日曜日だと勘違いしてるかも、と思って」

 

「あのねぇ……ま、いいわ。ご飯よそっておくから、早く顔洗ってきなさい」

 

「分かった」

 

 催眠術による影響は確認できた。後はもう一つの力だ。

 

 

 

 洗面所の鏡の前で、鏡像の自分に視線を集中させる。より正確には、眼鏡越しに見える自分の姿に。目に焼き付けた後、目を閉じて眼鏡に意識を向けた。自分の中から眼鏡を通じて自分を出す事をイメージすると、ずるりと何かが体から抜け落ちる感覚。あまりの脱力感に膝を付きそうになったが、肩を掴む事でなんとか堪えた。

 

「せ、成功……」

 

 目を開くと、僕は自分と瓜二つの存在の肩を掴んでいた。うわ、僕ってこうしてみるとなかなか……イケてないな……。じろじろと僕は目の前の僕を見たが、もうひとりの僕は何も反応を返さなかった。呼吸は……している。生理的反応はしているようだが、自発的な意志は感じられなかった。

 夢の中から人を引き出す力。それが催眠術とは別に、眼鏡に宿った力だった。

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