りっく司令、提督になる   作:ピギヤンマ

15 / 32
前話から数日後のお話


外伝 油断

とある海域にて。

穏やかな海を駆け抜ける艦隊の姿があった。

 

駒門麗香が指揮する鎮守府所属、金剛改二を旗艦とし、比叡改二・那智・木曾改二・北上改二・加賀で構成された主力艦隊だ。

 

 

金剛「こちら第1艦隊!現在順調に進軍中デース!!」

 

無線で駒門に状況を報せる。

辺りを見回すが敵影の姿は今のところ確認出来ない。

 

駒門『奥で陣形を固めて待ち伏せてるかも知れませんわ。艦載機や電探を逐一チェックしてくださいまし』

金剛「了解デース!ヘイ加賀ー!!」

 

隊列最後尾にいる空母、加賀に声を掛ける。

一航戦、加賀。戦線離脱した蒼龍の穴を埋めるべく建造された空母だ。

 

加賀「任せて」

 

弓を構え、艦載機を飛ばす。

それから間もなく艦載機から情報が送られてくる。

 

加賀「いたわ。戦艦級1、軽巡級2、駆逐級2、軽空母級1」

那智「ふむ、戦力的にはこちらに分があると見るか」

 

妙高型重巡洋艦、那智。彼女も戦力増強の為に加賀と同時期に建造された艦娘である。

 

 

金剛「敵艦隊発見!皆サーン、行きますヨー!!」

 

戦闘体勢に入り、主砲をまだ遠くにいる敵艦隊に向けながら接近していく。

加賀も改めて攻撃隊を発進させ、制空権確保に動く。

 

加賀「敵もこちらに気付いたわ。けど、制空権はもうこっちのものよ」

 

深海悽艦がいる場所に水柱が幾つか立っているのが見える。

その中に軽空母級が沈んでいく姿も発見した。

 

金剛「戦艦級は私と比叡が相手しマース!」

北上「じゃ、私達は残り物を片付けますか~。木曾~」

木曾「任せろ!」

 

艦載機の攻撃で陣形が乱れている軽巡級と駆逐級に砲撃で牽制しつつ、北上と木曾は魚雷を発射する。

魚雷は見事命中、大きな水柱が前方に立った。

 

北上「やーりぃ」

那智「いや、まだだ」

 

水柱を突き破って軽巡級が1体飛び出し、攻撃を始める。

 

木曾「くそっ!」

那智「ふん、詰めが甘いぞ?」

 

砲撃を避けて一撃を加えると、軽巡級は煙を上げて今度こそ沈んでいく。

 

比叡「てぇーっ!」

 

一方金剛と比叡も戦艦級を大破にまで追い込んでいた。

 

比叡「お姉様、止めを!」

金剛「バーニングゥ…ラァブ!!!」

 

金剛の掛け声と共に主砲が放たれ、戦艦級は断末魔をあげながら沈んでいった。

 

金剛「…周囲の状況はどうデス?」

加賀「周囲に敵影は無いわ」

木曾「潜水級の反応も無しだ」

 

再び穏やかになった海を見渡しながら、駒門に無線を入れる。

 

金剛「こちら第1艦隊、敵艦隊を撃破」

駒門『お疲れ様でした!帰投してください!』

 

無線を切り、改めて戦艦級が沈んでいった場所を見る。

 

金剛「……せめて安らかに眠ってくださイ」

 

誰にも聞かれないように静かに呟き、帰路につく。

数十分後、木曾の電探に反応が表れる。

 

木曾「敵かっ!?9時の方向に反応あり!」

加賀「偵察させます!」

 

一行は立ち止まり、艦載機からの情報を待つ。

 

加賀「来ました。補給級5です」

比叡「どうします?お姉様…?まだ弾薬と燃料には余裕がありますが…」

 

全員が金剛に注目する。

金剛は目を閉じて数秒考えた後、指揮を下す。

 

金剛「見付けた以上、見逃せないデス。艦隊、戦闘準備!」

 

補給級目掛け前進していく、そして難なく射程内に捉えた。

 

金剛「ファイヤー!!!」

 

一斉に補給級へ砲撃を開始し、武装していない補給級は成す術もなく次々と沈んでいく。

そして5体全て沈め、緊張が解かれ始めたその時だった。

木曾の電探が再び反応を示す。

 

木曾「また反応!?近づいてくるぞ!」

那智「数は!?」

木曾「…1。1体だけだ…!」

北上「…もしかして、あれ…?」

 

北上が指差した方向には補給級が1体、こちらに向かって来ていた。

 

だが先程とは違い、金色のオーラのようなものが身体から発されていた。

 

那智「1体だけで向かってくるとはな…沈め!」

 

接近する補給級に主砲を放つが、紙一重で避けられる。

 

那智「何だと!?」

金剛「全艦攻撃開始デス!」

 

次々と砲撃、雷撃、爆撃していくが全て避けられていく。

 

比叡「当たらない!?」

北上「さっきの奴等とは全然違う…!」

加賀「…頭にきました」

 

弾幕を厚くするが攻撃を次々と避けて接近してくる補給級に一行は怯み始める。

どんどん迫って遂には目の前までくる補給級。

 

金剛「退避!」

 

金剛の叫びと共に左右に別れる。

その間を補給級が凄まじい勢いで通り過ぎた。

 

木曾「アイツ体当りでもする気か!?」

那智「また来るぞ!」

 

スピードを維持したままUターンし、再び金剛達に接近してくる。

 

金剛「補給級は武装は持っていまセン!落ち着いて対処を」

 

その時だった。

補給級は級に立ち止まり自身の下半身、球体になっている部分の左右側面から単装砲を出して金剛に砲撃、一撃で大破に追い込んだ。

 

金剛「っ!?」

比叡「お姉様!!」

加賀「一撃であの威力…!?」

 

更に1発、もう1発と放ち北上と加賀に的確に命中させる。

 

北上「っあぁ!!」

加賀「そんなっ…!」

 

金剛同様一撃で大破された2人。

 

金剛「補給級が武装を持ってるなんて…Shit……総員撤退デス!」

 

異常な強さを持つ補給級にこれ以上は危険と察した金剛が指示を出す。

そして隊列を組み直すと同時に比叡、那智、木曾が大破した3人を庇うように補給級の前に立ち塞がって砲撃をする。

補給級はそれを避けながら単装砲を仕舞うと再び突撃してくる。

その先には最後尾になった比叡がいる。

 

那智「さっきより速い!」

木曾「比叡っ!」

比叡「っ!」

 

比叡の目の前まで迫った途端大きく跳び跳ね、下半身の球体部分が4つに裂ける。

そしてそのまま比叡に覆い被さり一気に呑み込んだ。

 

那智「なっ!?」

加賀「比叡さんが…」

木曾「喰われた…!?」

 

目の前で起きた出来事に全員が固まる。

そして比叡を捕食した補給級は踵を返し、何処かへ去ろうと動き出した。

 

金剛「…待つネー…!比叡を……比叡を返しなさぁい!!!」

那智「金剛っ!」

 

悠々と去ろうとする補給級を単身追い掛ける金剛。

動く砲を動かし、砲撃するがあっさり避けられる。

 

那智「待て金剛!その体じゃ」

金剛「逃がさない!!」

 

怒りで頭に血が上り冷静な判断が出来なくなっている金剛を止めようとするが、そんな那智の制止を振り切って追い掛けようとする。

その時補給級が急に立ち止まり再び単装砲を出し金剛に狙いを定める。

 

那智「まずいっ!」

 

単装砲を向けられているにも関わらず突撃する金剛の体を掴み投げ飛ばす。

だがその反動で単装砲の射線に入り被弾、大破してしまった。

 

那智「がぁぁっ!」

金剛「っ!……那智…!」

 

大破してしまった那智を見てようやく我に帰る金剛。

その時、駒門から無線が入った。

 

麗香『木曾から聞きましたわ!艦隊は即撤退!!これは命令です!撤退しなさい!!!』

 

金剛「っ!……了解デース……」

 

怒りや焦りが混ざったような駒門の大声が金剛の耳に響く。

 

金剛「比叡っ…!」

 

未練がましく補給級が去った方向を見つめながら、金剛は渋々鎮守府の方向へ戻りだした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。