りっく司令、提督になる   作:ピギヤンマ

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外伝 失意

(駒門視点)

 

鎮守府、執務室にて

夕陽が差し込める室内は重苦しい雰囲気が漂っていました。

来賓用に置かれた椅子には木曾、五十鈴、阿賀野、加古、雪風ちゃん、海風ちゃん、不知火ちゃんが暗い表情で座っていて、私も執務椅子に腰掛けていました。

 

駒門「そう…比叡が…」

五十鈴「間に合わなかったのね…」

海風「こんなのって…あんまりです…!」

 

涙を拭う海風ちゃん。

雪風ちゃんもまた涙を流して、不知火ちゃんがそれをハンカチで拭って慰めていました。

 

そんな中執務室の扉が乱暴に開かれ、金剛と彼女を引き留めていたであろう74式と16式が入ってきました。

 

16「金剛さんいくら高速修理材を使ったとはいえ無茶です!!」

74「落ち着きやがれ紅茶狂い!!」

 

2人の静止を無言で振り切り私の前に立つ金剛。

 

その表情はいつもの明るい快活な表情ではなく、鬼をも殺してしまいそうな威圧感のある表情でしたわ。

 

金剛「出撃許可を下サイ」

駒門「そんなの許可出来るわけありませんわ」

 

彼女が入ってきた時点で何を言いに来るのかわかっていました。

ここを指揮する提督として、彼女の進言を即刻却下すると、険しい表情がより一掃恐ろしくなっていきました。

 

金剛「ならワタシ1人で行きます……っ!!!」

 

怒気を孕みながらそう言い捨て、部屋を後にしようとする金剛。

そこへ遅れて入室してきた90式が彼女の行く手を阻みました。

 

今の金剛にはわからないでしょうけど、90式は彼女に対して臨戦態勢をとっていましたわ。

 

金剛「退いて下サイ」

90「メイド長として、それは出来ないザマス」

金剛「ならっ!」

 

90式に掴み掛かろうとする金剛ですが、90式がそれを払いのけ逆に金剛を組伏せます。

 

90「陸で私に勝とうだなんて100年早いザマス!」

金剛「離しテッ!!こうしている間に比叡はっ!!!!」

 

組伏せられてもなお暴れる金剛。

いえ、それどころかどんどんヒートアップしていき、16式と74式も彼女を抑えるのに加わる始末。

 

金剛「邪魔しないデッ!!!これ以上手を子招いているなんて嫌デスッ!!!!」

16「だからって1人で向かってどうするんですかっ!」

74「そうだぜ沈むだけだっ!!!」

金剛「貴女達に妹が敵になったワタシの気持ちがわかるんですかっ!!!!!!!!!!!!!!!」

16·74「っ!!!」

 

金剛の迫力に思わず黙り込んでしまう2人。

 

金剛「貴女達に姉妹なんていないから家族を失う恐怖なんて知らないだけデスッ!!!!それともマグマアーミーとの戦争でも同じ事をしたんデスカッ!?仲間が闇墜ちになってもっ!!!平然としていられたんデスカッ!!!!」

 

 

駒門「…っ」

 

 

ドォォン!

 

金剛の口から発せられる呪詛を止めるかのような轟音が鳴ったと思ったら、彼女の顔の真横に大きな銃痕が出来ていました。

 

そして、今の金剛と同じ…いえ、それ以上の殺気を発するメイド達3人の機関銃が彼女を捉えていました……。

 

74「おい…それ以上言ってみろ…」

16「その先は解体じゃ済まされませんわよ……」

90「私達ならいざ知らず、麗香様によくそのような戯れ言を言えたザマスね……」

金剛「っ!」

駒門「お止めなさいっ!!!」

 

ここで止めなければ確実に金剛を撃ち殺していたでしょう…。

3人は渋々機関銃をしまい金剛を開放しました。

 

駒門「金剛、貴女に今日一日自室での謹慎を言い渡します。艤装の稼働も提督権限で停止します」

金剛「でもっ」

 

パァン!

 

尚も食い下がろうとする金剛の前まで行き、彼女の頬に平手打ちをしました。

 

きっと、あの方なら言葉で止められたかもしれません……けど私にはこうするしかありませんでした…。

 

 

駒門「頭を冷やしなさいっ!!!!!!」

 

金剛「…っ」

 

90「さぁ、来るザマス」

 

90式と74式に引っ張られるように執務室から出ていく金剛。

 

先程の喧騒が消え、執務室内がシンと静まり返る。

 

木曾「その……これからどうするんだ…?」

 

木曾の声を聞いて彼女達がこの部屋にいることに気が付きました。

失態ですわね……駆逐艦達が恐がっていますわ……。

 

駒門「……明日迄には考えをまとめておきますわ…。皆さん今日はもう休んで下さいまし…」

五十鈴「…わかったわ。行くわよ、皆」

 

五十鈴と木曾が駆逐艦達を執務室から出していき、その後自身も部屋から静かに出ていきました。

 

先程の殺伐とした空気から解放された私は、大きなため息と共に執務椅子にどっと腰掛けました。

 

16「麗香様、差し出がましい事をしてしまい申し訳ございませんでした!」

駒門「……いえ、あそこで貴女達が動いてくれなかったらと思うと…むしろ感謝しますわ。流石私のメイドですわね」

 

土下座をする16式を宥めつつ、今後の事を考えていました。

救出するにしても倒すにしても、もう猶予はないですわ。

 

やるなら明日、再び艦隊を動かすしかありませんでした。

 

しかし、現状の戦力では今日のような結果になることはわかりきっています。

かと言って、この間のように司令官の艦隊の力を借りるわけにもいきません。彼の艦隊にも攻略するべき海域があるのに私の都合で振り回す訳にもいきませんわ。

 

そう考えている内にとある考えが思い浮かぶと同時に、あの人物の顔が思い浮かんできました。

 

電話を取り番号を打っていく。

 

正直あの方が苦手ですし、なによりあの戦い以降会うことはありませんでしたから、電話に出てくれるかどうか……

 

1コール

 

 

 

2コール

 

 

 

3コール

 

 

 

用心深いあの方の事です、もうこの番号は使っていないのでしょうか……諦めかけたその時、コール音が途切れました。

 

 

『この番号を知っているとは、誰だ…?』

 

 

あぁ、出てくれました…!

しかしある意味ここからが本番でもありますわ。

 

駒門「お久し振りですわね。駒門麗香ですわ」

 

『おやおや、これは珍しいお相手だ…。それでなんの用だい?』

 

駒門「そちらのツテで、至急明日迄に調達してきて欲しいモノがありますの」

 

『ほぅ…何が欲しいんだい?』

 

駒門「ーーーーーーー」

 

私が欲しているモノを告げると受話器から大きな笑い声が聴こえました。

 

『ハッハッハ!こいつぁとんでもない要求だな!!!……高く付くぞ?』

 

さぁ、ここですわ。

法外な値段を吹っ掛ける彼女を納得させるだけの報酬を提示させなくては。

 

駒門「報酬は対深海棲艦用装備のデータで如何です?私達でも奴らに対抗できるようになりますわよ」

 

『ほう、悪くはないがあれだけの代物を速達させるには足りないなぁ……?』

 

ほんっっとガメツイですわね…!なら奥の手でしてよ…!!

 

駒門「彼の直近の様子を映した映像」

 

『OK、成立だ』

 

相変わらず彼にゾッコンですのね……でも、お陰で安く済みそうですわ。

 

『あ、料金は別だからな?』

 

そう言い残しガチャリと電話が切れました。

……やはり彼女が苦手ですわ。

 

しかし、あの様子ですと調達してくれそうですわね。

残る問題は、私の作戦……皆さんの為、なにより金剛の為に……絶対に成功させますわ…!

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