りっく司令、提督になる   作:ピギヤンマ

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外伝 失意 その2

(木曾視点)

 

オレは自室へ戻ろうとする最中に長門とバッタリ出会ってしまった。

 

長門「木曾…」

 

オレの面を見て心配する長門。

けどオレはそんな彼女に対して怒りを感じてしまっていた。

 

木曾「…なんで」

長門「え…っ!?」

 

オレの肩に手を置こうとした長門であったが、思わず呟いてしまった一言でピクリと一瞬動きが止まる。

 

あぁ、もう我慢出来ない……。

 

その瞬間オレは長門の胸ぐらを掴み壁へ追い込んでいた。

 

木曾「なんで来てくれなかったんだよぉ!!??お前が!お前が居てくれたら!!」

長門「っ!」

 

気付いたら涙を流していた。

それでも構わず長門を睨み付ける。

 

完全な八つ当たりだってわかってる。

だけどもし、こいつがいてくれたら……この結果が変わっていたんじゃないか……?そう思うといてもたってもいられなかった。

 

そんなオレに反論出来ずコイツはオレから目を逸らしていた。

 

木曾「何がビッグセブンだっ!何が戦艦だっ!!お前が…お前が…!!」

長門「…すまない」

木曾「謝んじゃねぇ…!……いつまで迷ってんだよ…!?お前の信念は…こんな事の為にあんのかよ…!?」

長門「……すまない」

木曾「っ……もういい……!」

 

これ以上無駄だ…………。

 

そう思い、反論出来ず黙りこくっている長門から手を離し、トボトボと部屋へ歩く始める。

 

後ろから壁を殴る音が聞こえたが、オレにはもう興味がなかった。

 

長門「私は…!」

 

 

(加賀視点)

 

同時刻、蒼龍の部屋の前。

 

何度か扉をノックするが、返事がない。

けど彼女がここにいるのはわかっていました。

 

返事を待たず強引に入室するとそこにはやはり彼女がいた。

 

加賀「入るわよ」

蒼龍「勝手に入らないでよ……」

 

何処か自棄になってベッドに座っている蒼龍に対し、すこし呆れた表情をしてしまう。…どうせ彼女にはいつもの仏頂面に見えているのでしょうけど。

 

加賀「いつまでそうしてるつもりかしら?」

蒼龍「…はぁ?」

 

私はあまり会話が上手くないから率直に本題に入る。

私がくる前の経緯は粗方提督達から聞いた。

 

彼女に同情はします。けれどいつまでもこうして逃げて良い理由にはならないわ。

そして今、少しでも戦力が欲しい。

 

……なにより、今の彼女が心配でならなかった。

 

加賀「いつまでそうやって逃げているのと聞いているの。深海悽艦との戦いから、そしてヒリュウから」

蒼龍「…何よ…!」

 

立ち上がって私を睨み付ける。

 

怒る元気と気力はあるようね。

 

蒼龍「あんたに何がわかるのよ…!」

加賀「そうね、確かにわからないわ。目の前の現実から目を背けるだけでなく逃げてしまった艦娘の気持ちなんて」

蒼龍「あんただって!大事な相方を深海悽艦にされれば良いのよっ!!そうすればそんな顔していられなくなるわっ!!!」

 

感情に任せて私の胸ぐらを掴んでくる。

……全く五航戦でもここまで駄々をこねないわよ。

 

それに赤城さんが敵になっても私のやるべき事は変わらない。

 

加賀「いいえ」

蒼龍「…はぁ!?」

加賀「例え赤城さんが深海悽艦として立ち塞がったなら、私は彼女を沈めるわ」

蒼龍「口先ではなんとでも!」

加賀「恐らく逆の立場になったとしても赤城さんは私を沈めてくれると思うわ。これが私達の…一航戦としての誇りと使命だから」

蒼龍「っ!」

加賀「貴女には無いのかしら…二航戦としての誇りが」

 

私の問いに答えられず、悔しそうに黙ってしまう蒼龍。

 

きっと貴女にもあるはずよ。

それを思い出してほしい。

 

加賀「今の貴女は五航戦以下よ。誇りと使命がない空母なんて先が知れてるわ」

蒼龍「…うるさい…!」

加賀「だったら立ち上がってみなさい。二航戦の誇りはそんなもので」

蒼龍「うるさいうるさいうるさい!!!!」

 

もう聞きたくないと言わんばかりに私の話を強引に止めて、力任せに私を部屋から追い出した。

 

加賀「………」

 

…ダメね、私は…。

後輩の為にと思ってやっているけれど、口下手なせいで逆効果になってしまっている。

 

それが悔しくて、私はしばらくそこに立ち尽くしていた。

 

ーーーーーーーーーー

(加古視点)

 

場所は変わり、鎮守府から少し離れた場所。

執務室を後にしたあたしは、普段昼寝をする場所へ向かっていた。

鎮守府から少し離れたところに広場があって、そこに植えられている木々の内の1本の下。そこは海辺と鎮守府を一望できて、あたしにとってちょっとした特等席だった。

 

だけど、木の近くまで行くと既に先客が横たわっていた。

 

加古「北上…?」

北上「よっ」

 

北上はあたしを見るなり手をヒラヒラさせて挨拶する。

なんで彼女がこの場所を知っているんだろう…。そんな疑問を抱きながらも彼女の隣に寝転ぶ。

 

加古「入渠終わってからずっといたのか?」

北上「ん、まぁね。皆執務室に行く様子無かったし、いいかなーって」

 

お互いに顔を見ることなく、空を眺めながら話す。

北上は口調は変わらないけれど、声のトーンが少し低く感じた。

 

やっぱり、今回の事引き摺ってるのかな?

 

北上「私ねぇ~今まで色んな深海悽艦を沈めてきたわけよ。金剛や木曾達も」

加古「まぁ…だろうな」

北上「けどあの事件があってからさ。皆何処か深海悽艦を沈めるのを躊躇ってるんだよねぇ。それまでその戦果を自慢してたのにさ~?」

加古「……」

 

あたしがくる前に起こった出来事…。

正直あたしは実感がわかなくって、人型相手でも普通に戦っていたつもりだった。

 

けど北上や金剛達は、やっぱり辛かったんだろうか?

 

北上「そんで今度は身内が深海悽艦になったら撃てませんときた……。これってさ、今まで沈めた相手にすごく失礼じゃないかなって…思うわけよ」

加古「…何となく、言いたいことは…わかるかな…?」

北上「だから…私は沈める覚悟で行く。金剛達に恨まれたって構わない。…だって、これ以上手を子招いていたら比叡は…誰かを沈める。それだけは絶対させたくないから」

 

なるほど、北上は北上なりの覚悟があるってことね。

確かにこの戦いは甘いものじゃない。そういう覚悟もないとこっちが危ないしね。

 

加古「…良いんじゃねーの?ま、提督がどんな作戦を立てるかによるけど」

北上「ま、そ~なんだけどねぇ~。でも、誰かに聞いてほしくってさ」

加古「あたしにはそういう覚悟とか決意なんてのはいまいちよくわかんないけど。北上のその思いは間違ってないと思うし、もしそうなったらあたしも援護するよ」

北上「サンキュ~加古っち。やっぱ持つべきモノは友だねぇ~!」

 

北上の声のトーンがいつもの調子に戻っていく。

あたしはそんな調子に戻った北上の声を聞いて思わず微笑んでいた。

 

加古「ははっ、ふあぁ~~……ったく、真面目な話聞いてたから眠くなってきたぜ…」

北上「風も気持ちいいし…ちょっと一眠りと洒落混みますかぁ~…」

 

ーーーーーーーーー

(金剛視点)

 

金剛・比叡の部屋にて

 

金剛「比叡……」

 

部屋に連行されてから動く気力も無くて、ベットに横たわっていまシタ。

 

ふと視線を動かすと、その先には比叡と撮ったツーショット写真が入った写真立て。

 

これを見ていると自然と比叡との思い出が甦ってきマス。

一緒に訓練した思い出、間宮サンのスイーツを一緒に食べた思い出、改二になって一緒に喜んだ思い出…様々な思い出がワタシの脳裏を過っていく。

 

金剛「こんなお別れ、嫌デス……」

 

静かな部屋にワタシの悲痛な思いだけが響き渡る。

 

その時、扉をノックする音が聞こえまシタ。

 

16『金剛さん…?16です…』

 

ヒトロク……なんの用デス…?

またさっきの続きですカ…?

 

気にはなったけど返事をする気力も無くて、ワタシは居留守をしまシタ。

それでも彼女はお構いなしに話を続けマス。

 

16『その、先程は私達も感情的になってしまって申し訳ありませんでした……』

 

さっき……執務室でのやり取り……もう思い出したくもないデス…。

 

16『けどどうしても金剛さんにも麗香様の想いを知って欲しくて……』

 

……そんなの知ったところで、どうなるというんデス……

 

 

16『……麗香様にも…私達にも喪ってしまった方達がいたのです…。だからこそ、麗香様は比叡様を絶対に諦めない筈です…!だからもう少しだけ、信じてついてきて下さいませんか…!?』

 

金剛「……」

 

正直何か言葉を返そうとしまシタ。

 

……けれど、今どんな返事をしても、自分の思いではない言葉が出てしまうような気がして何も言えませんでシタ。

 

そしてワタシからの反応が無いせいか、足音が遠ざかっていく……帰ったのでしょうカ。

 

レーカを信じる……そうすれば比叡は、無事戻ってくるのでしょうカ……?

 




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