りっく司令、提督になる   作:ピギヤンマ

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目覚め

(提督視点)

 

提督「っはぁ……!」

 

飛び起きるとそこは鎮守府の自室。

時計を見ると午前4:40。汗だくになった自分の体の隣には大和が寝息をたてていた。

あぁ、そうだ……昨日は彼女と寝たんだっけ…。

 

そんなことよりまた…あの夢だ……深海悽艦と戦闘したときの……。

 

あの時の悪夢が未だに鮮明に思い出してしまい思わず頭を抱えてしまう。

 

あの演習から1週間……あの日から、またこの夢にうなされる事になるとは……。

 

 

大和「んぅ……司令…君…?」

 

 

自分が動いた事で起こしてしまったのか、大和が目を覚まして、目を擦りながら自分を見つめていた。

 

大和「どうしたの…?」

 

……彼女には嘘がすぐバレてしまうから嘘はつけない…正直に話すしかないか。

 

提督「…最近、またあの夢を見るんだ……」

 

まだ日が完全に昇っておらず部屋が薄暗かった為、彼女に表情を視られる事はなかったが、どうやら声で察してしまったらしい。

 

大和「そう、あの日の…」

 

何も言わずそっと自分を抱き締める。

抱き締められて初めて気付いたが、自分の身体が震えていた。

 

提督「…情けない……天龍達に覚悟を聞いておきながら、当の自分はあの日の惨劇に怯えてる……なんてざまだ…」

大和「……」

 

この時間がずっと続けば良かったのだが、生憎こうしている内に起床時間となってしまった。

 

大和にお礼を言ってベッドから立った瞬間、突如視界が歪んで真っ暗になった。

 

大和「司令君っ!!!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(大和視点)

 

突然倒れた司令君を急いで医務室に運んで医療スタッフに診てもらった結果『過労と精神的疲労』で倒れたみたい。

 

確かにあの日以降、司令君の仕事量は目に見えて増えていたわ。

おおかた天龍を筆頭に艦娘のケアに関する試行錯誤とか深海棲艦に関するレポートの作成が原因ね。

 

そしてそこに、あの夢……倒れちゃうのは当然だわ…。

私が傍に居ながらなんて不甲斐ない…!

 

司令君の『正妻』としてしっかり彼を支えなきゃいけないのに…!

 

 

その時どこで嗅ぎ付けたのか、司令君の容態を知った例の虫達が群がってきた。

 

アルマータ「閣下!ご容態は大丈夫なのでしょうか!?」

ソーニャ「我が君ぃっ!ワタシを置いて逝っちゃ嫌ぁっ!!!」

16「しししし司令!!誰にヤられたんですか!?そこのメスですか!?」

 

 

 

はぁ……。

 

殺してやろうかしら?

 

 

おっと、いけないいけない!一応…いっっっちおうこれも司令君の妻(笑)だもんね!殺しちゃったら司令君が悲しんじゃうもんねっ!雪子~?正妻の余裕を見せるのよ~?

 

 

 

アルマータ「『正妻』である私がお傍に居ればこんな事には…!」

ソーニャ「ここは我が君の『正妻』のワタシが看病してあげますからねっ!」

16「フヒッ!これからは…し、司令の『正妻』のわ、私がずっと憑いてますからねぇ……!」

 

 

はぁ~~~~殺す。

絶対殺す。

 

正妻は私だから。あんた達は練度の限界突破の為に司令君が仕方な~~~~く指輪渡しただけなのに、なに勘違いしてるのやら。

 

 

っと、いけない……今回ばかりはそれどころじゃないのよね。

 

 

 

 

 

大和「またあの日の夢、見たらしいのよ」

 

 

このたった一言で、3人の動きがピタリと止まった。

 

 

大和「体調の事は私だって心配だけど、原因があれだから…そっとしておきましょう」

アルマータ「…そうね」

ソーニャ「司令、何かありましたらすぐに呼んで下さいね?」

16「しれぇ~……」

 

私も含めて、司令君が寝ている部屋から退散する。

 

 

あの日、私達は背中を預けあった仲間を、司令君を巡って争った恋敵をたくさん喪った。

 

生き残った娘達も大なり小なりトラウマを抱えてしまったのだけれど、一番重症だったのが司令君だった。

 

 

それ以降私達4人は誰が言い出した訳でもなく、自然と協力して司令君を支えるようになった。

認めたくはないけれど、3人の司令君に対する想いは本物だから信用できた。

 

そして、支えた甲斐あってか司令君も何とか復活してくれた。

そう思っていたのだけど……やっぱりこういうのは中々克服出来ないものね…。

 

大和「…お互い持ち場に着きましょ?私達が動かなきゃ司令君が起きた時また苦労を掛けちゃうわ」

ソーニャ「そう、ね」

 

そして各々動き出す……のだけれど、先ずは今日の日程の確認と朝食を取るためにどちらにしろ全員食堂へ向かうことになる。

 

ソーニャと16が足早に先に向かって、私とアルマータが自然と一緒に向かう事になった。

 

けれど

 

 

大和「……」

アルマータ「……」

 

 

いつもはこんな状況になれば司令君を巡って喧嘩は当たり前だった。…けれど今はそんなことをするような気分にはお互いにならなかった。

 

 

 

 

大和「……あの日の事、覚えてる?」

 

アルマータ「ええ、今でも鮮明に覚えてるわ……」

 

あの日の事を思い出しているのか、ギリリと歯を食いしばって顔をしかめている。

 

大和「病院で目覚めた時は…ほんとに悲惨だったわね」

アルマータ「皆、絶望していたわね…。無理もないわ。SSNOや神装をもってしても防衛戦は完敗、軍の戦力の4分の1が喪失…」

大和「部隊内の戦死者リストを見た時も…市ヶ谷さんや智香が気を失ってたわね」

アルマータ「…」

大和「…」

 

またお互い暫く無言になってしまう。

しかし、次に沈黙を破ったのはアルマータだった。

 

アルマータ「私は…もう閣下にあのような思いをさせたくない」

大和「…そうね。その為にも艦娘も、私達も強くならなくちゃ」

 

そして私達2人は食堂へ到着。

既にほぼ全員集まっていて、司令君を待つだけだったみたい。

 

利根「2人が揃って来るとは珍しいのう」

扶桑「いつもは、提督と一緒に来ますもんねぇ?」

 

アルマータと一緒なのを見るや否や意外といった表情をする。

同席している扶桑も司令君がいない事に疑問を持ったみたい。

 

大和「司令君体調を崩しちゃったから休ませてるわ」

 

 

 

 

「ややっ!?それは一大事ですっ!」

 

 

 

声が聞こえた方を見ると先日新たに建造された艦娘、青葉がカメラを持って立ち上がっていた。

 

アルマータ「私が代理を勤めるから問題ない。それと、今閣下の所に行くようなら……?」

青葉「あわわわわわ……失礼しましたっ!」

 

彼女の気迫に圧され、直ぐ様カメラをしまって着席する。

 

全く……とんでもないパパラッチ娘が建造されたものだわ……凛子を呼んで指導させようかしら?

 

 

その後、天龍以外全員集まり日程の確認を始める。

 

アルマータ「本日閣下が体調を崩された為、私が代理を勤めさせてもらう。前日閣下が伝えた通り鈴谷は青葉に訓練指導を。利根旗艦の第1艦隊は今後行う予定の北方海域攻略の為の航路確保を行ってもらう。そしてヘリ部隊も16、ベレーザ、奈良を残して艦隊と共に出撃。……以上だが質問は?」

 

淡々と日程を伝え終わり、皆を見渡す。

すると利根が手を挙げていた。

 

利根「ヘリ部隊が着いてくるという事は鹵獲もアリと捉えて良いんじゃな?」

アルマータ「航路の確保と全員の無事が保証されるなら。これは現場の判断に任せるわ」

利根「わかった!その時はよろしく頼むぞ?」

コブラ「任せてくださいよ!今度こそスーパーな活躍見せちゃいますから!!」

鯖江「この前の戦闘の後、改めて1から訓練をしたんだもの。やってみせるよ」

明石「装備一式もあかりさんと一緒に改良もしました!」

アルマータ「あーコホン。あくまでチャンスがあったらよ?基本殲滅、これが閣下のご意向でもあるんだから」

 

咳払いし、盛り上がりだした一行に釘を刺す。

 

利根「わかっておる。無計画に鹵獲しようとはせんよ」

アルマータ「期待してるわ。では朝食後、行動開始」

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