りっく司令、提督になる   作:ピギヤンマ

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邂逅

(提督視点)

 

提督「…ぁ」

 

目が覚めると医務室のベッドに寝かされていた。

首を動かし時計を見ると8:40。窓から入る太陽の日が部屋を照らしていた。

 

「……おはよ」

 

その声にハッとなり、反射的に反対側を見る。

 

……自分はまだ夢を見ているのか……?

 

そこにはあの時死んだはずの松本亜衣瑠が自分と同じようにベッドに横になっていた…!

いや、それだけじゃない……!OH-1改とAH-64D改もいるじゃないか…!!

 

提督「お前達…!?」

 

思わずベッドから飛び起きる。

病み上がりで一瞬だけ頭がぐらついたがそんなことどうでもいい。

 

ただ目の前の光景が幻じゃ無いことを確かめたかった。

 

松本「司令官、ただいま」

OH「お恥ずかしながら、帰って参りました」

64「その、心配掛けさせたわね……」

 

提督「あぁ…!おかえり…おかえり!!」

 

 

3人の声を聞いて思わず3人に抱き付いてしまう。

 

亜衣瑠とOH-1改は恥ずかしそうに顔を赤らめながらもその感触を噛み締めるように受け、AH-64D改も「気持ち悪い!」と悪態をつきながらも振りほどこうとはしなかった。

 

「あら、私には熱いハグは無いのかしら?」

 

提督「え?」

 

 

別のベッドから声が聞こえ、体を起こすと向かい側のベッドでこちらを呆れとも羨ましそうともとれる表情で見ている女性がいた。

 

どっかで会った気がするが…思い出せない…。

 

出浦「私は何時でも大歓迎よ?」

提督「君は確か…特戦群の……」

出浦「出浦信よ。……何度かそっちに出向していたじゃない」

提督「あぁそうだった、すまない。…それはそうといったいなんで君達が……?」

 

出浦達から今迄の経緯を聞いた。

あの数ヶ月よく生きていられたなと感心してしまった。

 

その時扉がノックされ、アルマータが入室する。

 

アルマータ「あぁ閣下!お体の方は大丈夫ですか!?」

 

起きている自分を見て涙目になりながら駆け寄る。

そんなアルマータに笑顔を向け、頭を撫でる。

 

提督「あぁ、心配かけた。それと彼女達を救うために艦隊を指揮してくれたんだってな?ありがとう……お前はやっぱり最高の妻だよ」

 

彼女が判断してくれなかったら今頃彼女達の命は無かった筈だ。

お礼も兼ねておもいっきり抱き締める。

 

アルマータ「あぁっ!ありがとうございます!これ以上無い幸せでございます!!!」

 

あ、絶頂してる。やりすぎた。

 

出浦「全く、人前でお熱い事ね」

64「全くよ!私室でやってなさいよ見境無いんだから!」

松本「……発情期」

 

うっ……確かに64の言う通りだな。いやはや、病み上がりで尚且つ寝起きのせいかここら辺の判断力が鈍ったかなぁ。

 

 

出浦「それはそうと、これから私達はどうなるの?」

 

OH「確かにそうですね…私達は死亡判定になってると思いますし、また軍に戻れるんでしょうか?」

 

確かに当時の戦死者リストに載っていたな。

 

提督「…確かに3人とももう死んだ事になってるな…」

出浦「…ってことわ私もね」

 

面倒な事になったと言わんばかりにため息をつく。

でも妙に他人事に見えるな。

 

提督「だけど生きていたなら復隊出来るはずだ。君達さえ良ければこっちで掛け合ってみるけどどうだ?」

OH「本当ですか!?ぜひお願いします!」

松本「こっちも」

64「まぁアンタがそこまで言うならやってやらない事もないわよ!」

 

良かった、3人ともは快諾してくれた。

出浦は何か考えているようだが…。

 

出浦「……ま、悪くないかもね。じゃ、暫くやっかいになるわ」

提督「ん、それは構わないが特戦群は良いのか?」

 

てっきり彼女は古巣の方に復帰したいと思っていたんだが……。

 

出浦「そっちはきっと生き残ったみんながなんとかしてくれるから大丈夫よ。…それより、ダメかしら?」

 

スススとこちらにすり寄って上目遣いでこちらを見てくる。

…なんかイヤに調子が狂うな。

 

提督「いや、構わないが…」

出浦「ふふ、良かった。じゃあ早速お願いがあるのだけど?」

提督「なんだい?」

出浦「ケッコンしてくれないかしら?」

提督「へっ?」

アルマータ「あ゛?」

大和「は?」

16「……コロス」

ソーニャ「ドロボウ猫の臭いがしたっ!」

 

出浦から発せられたとんでもない単語で平和だった医務室が突如戦場の最前線にいるようなピリピリとした空気になった。

というかアルマータはともかく3人はどっから来たの?いつからいたの?居るなら言ってよ怖いから。

 

提督「え、えーっと…」

出浦「ふふ、限界突破の方よ。可愛いんだから」

 

そう言いつつも更にすり寄って来るのはなんでかなぁ!?

後ろ見てアルマータ達が人前じゃ見せられない表情してるよ!!!!

 

提督「と、とりあえずわかったから!し、申請しておく……」

出浦「ありがと、届くのを心待ちにしてるわ」

 

ようやく離れてくれた……これで少しは平和に

 

出浦「あ、そうそう。彼女達じゃ物足りなくなったら私がいつでもお相手するわよ?」

 

そう言ってどこから出したのか数着のコスプレ衣装を見せてくる。ナースに忍者服、バニースーツに黒いドレス…いやウエディングドレスか?それに水着……どれも彼女が着たらスゴく魅力的になりそうな服ばかりだ。

 

というか最後にとんでもない爆弾置いていくな!アルマータと16式はともかく大和とソーニャがとんでもないダメージ受けてるから!!!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

その日の夜。

灯りも付けず薄暗い演習場に佇む天龍の姿があった。

 

(天龍視点)

 

天龍「ハァ……ハァ……」

 

冷や汗を拭い震える足をひっぱたきながらゆっくりと的が設置されている場所へ前進する。

 

天龍「フゥーッ……!フゥーッ…!」

 

別に立ち直った訳じゃない……だけど夜中に部屋にいるとあの日の光景がフラッシュバックして思わず部屋から飛び出して来ちまった……。

 

それから特にあてもなかったオレは暇潰しで演習場に来て、久し振りに艤装を起動した訳だが……。

 

天龍「くそっ……海に立つだけで、こんなに震えるなんて……」

 

牛歩のようにゆっくりと前進し、月明かりに照らされた射撃訓練用の的の前に立つ。

 

天龍「……」

 

深呼吸を何回かして、単装砲を動かす。

狙いが定まるにつれて身体の震えが強くなって、息遣いが荒くなっていくのがわかる。

 

天龍「フーッ……フーッ……い、いくぞ…!」

 

 

そして狙いをつけたその瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-----テンリュウチャン……-------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天龍「ヒッ…!」

 

 

 

クソ、またこれか…!

 

龍田の最期の言葉が鮮明にフラッシュバックして、反射的に頭を抱えその場にしゃがみこんじまう。

 

あの言葉の後に

 

アナタヲユルサナイ

 

と恨み言が続いていたんじゃないんだろうか……そんな気がしてならなかった。

オレは最期までアイツに気付いてやれなかった…そんなアホな姉を怨むのは当然だ…!

 

だからその後オレがすることは部屋にいた時から変わらなかった。

 

天龍「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい………」

 

 

ただひたすらあの日にやってしまった過ちを誰もいない空間にただひたすら謝る事。

 

そして謝り続けてその記憶が薄らぐのをひたすら待ち続ける。

 

それがオレに出来る唯一の行動だった。

けどあの日の光景は薄らぐどころか更に鮮明になってきやがった。……いつもなら消え去っても良いのに…!

 

まるで死んだ龍田が忘れることは赦さないと言っているように感じた。

 

それでもオレはもう既にいない龍田に謝り続けるしか出来なかった。

 

天龍「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

ちくしょう……あの光景が全然消えやがらねえ…!

オレは……もうどうすれば良いんだよ…………。

こんな思いを続けるくらいなら……いっそ……。

 

 

 

 

 

「そこには、誰も居ないよ?」

 

 

 

 

突然背後から聞こえた声に思わず振り向く。

そこにはピンクの髪をした女の子がオレを見つめていた。

 

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