りっく司令、提督になる   作:ピギヤンマ

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デ ア イ

(天龍視点)

 

天龍「だ、誰だっ!」

 

思わず尻餅をついて後ずさってしまう。

さっきまで気配なんて感じなかったぞ…!?

 

春雨「春雨は……白露型の春雨。…春雨って言うの」

 

情けない姿を晒しているオレに笑顔を見せる春雨と名乗った女の子。

背格好から見て駆逐艦か…?なんでこんな時間に…。

 

天龍「な、なんでここに居るんだよ!もう消灯時間だろ!」

春雨「消灯時間?そうなの?春雨、ここの艦娘じゃないからわかんない」

 

ここの所属じゃない?だとしたら尚更なんでここに居るんだよ……?

 

天龍「は、はぁ…?じゃあなんでここに」

春雨「迷っちゃった、かな?」

天龍「……はぁ?」

 

な、なんなんだコイツは…?

 

いたずらっ子みたいにエヘヘと笑う春雨。

すると何かを思い付きオレの元へ駆け寄ってきた。

 

春雨「あ、そうだ!春雨に艤装の使い方教えて?」

 

慣れない手付きで駆逐艦用の連装砲や魚雷を取り出してオレに見せてくる。

確かに艤装に使った後は見られないけど……なんでこんなに傷が付いているんだ…?

 

天龍「…は?お前、使い方知らないのか?」

春雨「うん、春雨生まれたばかりなの」

 

建造されたばっかって事か…?

 

次々と疑問が思い浮かび、だんだん彼女に対して不信感が募ってくる。

 

 

春雨「…ダメ?」

 

考え事で無言になっていたオレに首を傾げてみせる春雨。

その仕草でさっき迄の不信感がバカらしくなってきた。……それほど迄に彼女が無防備で無垢に見えた。

 

天龍「ハァ……わかったよ…」

春雨「やった!」

天龍「じゃあ、まずは……」

 

はしゃぐ春雨に艤装の使い方を手取り足取りで丁寧に教えていく。

最初は渋々説明していたオレだったが、気が付けばノリ気になっていた。

 

春雨「こう?」

天龍「おぉっ!そうだっ!飲み込みが早いじゃないか!」

春雨「エヘヘ、やった!」

天龍「ははっ!良いぞぉ!」

 

……今、オレ笑顔になってる…?

 

口元に手を当てて、口角が上がっている事に気が付いた。

…こんな気持ちになるのは久し振りだった。

 

春雨「エヘヘ!どうっ!?」

天龍「お、おう!良い調子だ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

天龍「……魚雷はこんな感じだ!どうだ?なんかわかんねえ事、あるか?」

 

あれから1時間程たった辺りだろうか。

魚雷の扱い方を教えてふと春雨を見ると、彼女はオレの顔をじっと見つめていた。

 

どっかわからない所があったか?

 

天龍「お?どうした?」

春雨「さっきの顔より、今の顔が似合ってるよ」

天龍「っ…」

 

意外な言葉に、表情が固まり言葉が詰まる。

 

春雨「…さっき、誰に謝ってたの?」

天龍「……妹だ……深海悽艦になっちまって、それに気付かねえで……沈めちまったんだ」

春雨「……」

天龍「それまで深海悽艦は只の倒すべき敵としか考えて無くて…それを知った瞬間、武器を構えるのが……怖くなっちまったんだ」

 

今まで抱えてた思いを少しずつ話していく。

春雨もオレの方を見て、親身になって聞いている。

 

今迄誰にも話せなかったのに、何故だか彼女には打ち明けられた。

 

天龍「さっきもあの的に向けようとした瞬間、あの的が、龍田に……妹に見えて…!」

 

言い切る前に涙が溢れてしまい、俯いてしまう。

情けないところを見せるオレを春雨は静かに俺を抱き締めた。

 

春雨「……誰にも言えなかったんだね…?仲間にも、司令官にも」

天龍「うっ…!…くっ…!」

春雨「良いよ?春雨が全部聞くよ?春雨も一緒に考えるよ?」

天龍「…なんで…?なんでそんなに……お前、初めて会ったヤツになんでそこまで…?」

春雨「おねーちゃん優しいから。春雨に艤装の使い方を教えてくれたから」

天龍「あぁ……あぁ…!!」

 

優しく抱き締める春雨を震える手で抱き締め返す。

そのまま声を出して泣き続け、時間が過ぎ空が明るくなりはじめる。

 

春雨「……そろそろ行かなきゃ」

天龍「あぁ…すまん。その、ありがとな…」

春雨「また、会いに来ても良い?」

天龍「もちろん…!待ってるぜ!」

 

涙を拭い、笑顔を見せるオレに手を振ってどこかへ去っていく。

そして春雨が見えなくなったのを確認すると、オレも演習場を後にした。

 

 

何時振りだろうなぁ……明日が楽しみに思えるなんて。

 

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