提督「ん?君達は?」
「おぉ!お主が提督か!」
「執務室にいないから探し回ったんですけどー」
見慣れない2人は敬礼をし、自己紹介を始めた。
利根「利根型重巡の一番艦、利根である!」
鈴谷「最上型重巡、鈴谷だよ。これからよろしくね!」
提督「提督だ、重巡洋艦が2人とは心強い。よろしく頼む!」
その後明日の日程を伝え利根達と食事をしていると、少し離れた席で明石の姿が見えた。
独房での出来事を報告するべきだな
食事を済ませ、明石の元へ向かう。
提督「明石」
明石「あ、提督。今から食事ですか?」
提督「いや、食事はさっき済ませた。それよりも例の説について話がある。あとで執務室に来てくれ」
明石「はい、わかりました」
明石に用件を伝え、自分の食器を片付け始める。
鈴谷「提督食べるの早いね~!」
提督「このあともやることがあるからな」
利根「秘書艦とやらは付けんのか?」
提督「普段はアルマータと、たまに16や大和達とやってるから今のところは大丈夫かな。それに前線で戦う君達に余計な負担をかけたくないってのもある」
アルマータ「それに私がいる限り、執務の方は大丈夫よ。さ、閣下、行きましょう」
提督「あぁ、それじゃ」
アルマータと一緒に食堂を後にする。
鈴谷はその後ろ姿を不思議そうに見つめていた。
鈴谷「ねーねー、あの2人ってデキてんの?」
天龍「あぁ、ケッコンってやつしてるんだとさ」
暁「あと大和さんと歩兵ちゃん達ともしてたわね」
利根「ジュウコン、というやつじゃな。全く…節操の無いヤツじゃのぅ」
鈴谷「ホヘー?誰それ?」
辺りキョロキョロ見回す。
暁「ほらあそこで食べてる子」
暁が指差す方向を見ると歩兵が少し離れた席でちょうど、夕食を食べようとしていた。
鈴谷は彼女を見るなり立ち上がる。
鈴谷「なにあの娘ちょー可愛いんですけど!!」
歩兵「ピギ?」
鈴谷「チィーッス!私、鈴谷って言うんだ!よろしくね!!」
歩兵「は、はぁ……よ、よろしく…」
歩兵の元に駆け寄り挨拶する。歩兵もそのテンションの高さに少し困惑しながら返事をすると、その姿がさらに可愛く見えたのか、歩兵に抱き付く。
鈴谷「あぁー可愛いなぁーもう!!!」
歩兵「な、なんなんだこいつはーー!!」
利根「やれやれ…」
ピギィィィィイイイイイイイイイ…………
提督「ん、なんか聞こえなかったか?」
アルマータ「いいえ?気のせいでは?」
執務室に戻ってから数十分後、扉がノックされ明石が入室する。
明石「失礼します」
提督「わざわざすまないな。実は夕食前に独房に行って、この写真を見せたんだ」
明石に改めてプリントアウトした空母の艤装の写真を渡す。
明石「……これを見て彼女は?」
提督「一時的に錯乱したけどすぐに沈静化。その後1人にさせてくれと頼まれたんだが…その姿はとてもじゃないが深海棲艦には見えなかったんだ…」
明石「…まるで、1人の女性…いや、艦娘と話しているようだったと…?」
明石の問いに無言で頷く。
明石「……わかりました。明日、彼女に朝食を持っていく時は同行させてもらえませんか?」
提督「もちろんだ。あと奈良にも声を掛けておく」
明石「お願いします。では失礼します。また明日」
提督「あぁ、おやすみ」
翌日07:00
独房へ向かった自分の代わりにアルマータが日程の確認をしていた。
アルマータ「第一艦隊は天龍旗艦に艦隊、砲撃演習。午後は鎮守府周辺の警戒。そして0900に新たに憲兵が配属予定です。以上」
天龍「なぁ、あの空母はどうなるんだ?」
アルマータ「おそらく本日中に処遇が決まるかもしれないわ」
利根「なんのことじゃ?」
響「2人が来る前の戦闘で、空母級を捕獲したんだ」
鈴谷「まじぃ!?」
天龍「ま、おおかた大本営で実験動物になるか解剖だろうけどな!」
アルマータ(元々貴女達と同じ艦娘と知っても、同じ事が言えるのかしらね…)
同時刻、自分と明石、奈良の3人はヲ級のいる独房にいた。
ヲ級「おはよう、ございます…」
提督「おはよう。さて、覚えている事を話してくれるかな?」
ヲ級は深呼吸した後、意を決して話し始める。
ヲ級「私の本当の名前は、第二航空戦隊、飛龍」
明石「…っ!そんな…」
奈良「…予想はしていましたが、なんという……」
提督「飛龍……君に何があった?」
ヲ級改めヒリュウ「生まれてすぐ大本営の指示で艤装の試運転で近くの海域に出撃していました」
明石「大本営って事は…貴女は飛龍として初めて建造された個体って事じゃないですか!?」
ヒリュウ「…そう、らしいわね」
奈良「どういう事です?」
提督「武器娘とは違って、艦娘は同じ見た目の娘が何人も存在しているらしいんだ。そしてこのヒリュウは飛龍として世界で1番最初に建造されたってことだ」
奈良「なるほど」
ヒリュウ「そこで補給ワ級と会敵、ヤツに補食されたんです」
明石「補給級って武装が無い筈では」
ヒリュウ「えぇ、私もそれで油断していました。艦載機の攻撃を次々に避けながら接近してきて……」
提督「喰われた、と?」
ヒリュウ「はい、その後の事は覚えていません……」
提督「空母ヲ級に改造されて今まで戦ってきた、か」
明石「提督…どうしますか?天龍さん達に伝えるべきなのか……」
全員の視線が自分に集まる。
伝えるべきなのか……いや、前にも考えたがこれで海域攻略に支障が出てはマズイ。……何より天龍達の命にも関わる。
提督「……これは現時点で天龍達に伝えるべきでは無いな。だが情報提供者として制限付で鎮守府内での生活を許可しようと思うのだが、どうだろうか?」
明石「そうですね…艤装も無く、無力化したと他の艦娘達に伝えれば納得して下さるかと」
奈良「鯖江さん達憲兵にだけ説明して、監視の名目で付き添わせるのもどうでしょう?」
気が付けばヒリュウを差し置いて様々な案を出して盛り上がってしまっていた。そんな自分達にヒリュウはオドオドと声をかけてきた。
ヒリュウ「あの、私……深海棲艦ですよ…?もう艦娘じゃないのに…」
奈良「司令官はおかしな方なのです。敵だった異種でも保護して守ろうとする方なのですよ」
提督「おかしいとか言うなよぉ。ま、そういうことだ。今までマグマ軍だったのが深海棲艦に変わっただけだ。敵意が無いなら保護、協力してくれるならもう仲間。それが俺のやり方さ」
涙を流し始めるヒリュウと目線を合わせるために少し屈みこむ。
提督「ヒリュウ……君は、どうしたい?」
ヒリュウ「私…この部隊に入りたいです……!ヲ級じゃなく、飛龍として生きたい!!」
提督「決まりだ。ようこそ……鎮守府へ…!」
涙を拭い、笑顔で敬礼するヒリュウにつられて自分達も笑顔で敬礼を返す。
奈良「それでは部屋に案内しますね。憲兵用の寮でよろしいですか?」
提督「あぁ、そこで大丈夫か?」
ヒリュウ「えぇ、問題ありません。よろしくお願いします」
各々独房から出てそれぞれの持ち場へ向かう。
この時間だとちょうど彼女達が来ているハズだ。
久し振りの再開だというのに待たせるわけにもいかない。
少し足早に執務室へ向かい、扉を開けた。
「このあたいを待たすなんざ、良い度胸だなおい?」
「司令!ひっさしぶり~!スーパーなアタシが来たからにはもう大丈夫だよっ!」
「元気そうで何よりだ。また貴様の指揮下に入れて嬉しいぞ」
「閣下……この日を待ちわびておりました…!」
提督「あぁ、待たせたな…!皆元気そうで何よりだ!」
今時珍しいスケバン少女、飯塚椿。
スーパーなヘリ娘『AH-1W』ことスーパーコブラ。
元マグマ軍中将、今はたこ焼き屋のオバチャン(自称)のミーシャ。
メイド服と身体の一部からはみ出ているムカデのような触手が特徴の元マグマ軍ベレーザ。
どの娘も共にマグマ軍との戦争を戦い抜いてきた大事な仲間だ。
この先の展開に向けて色々下準備中だよ
次回辺りは物語が進む(かも)