りっく司令、提督になる   作:ピギヤンマ

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演習

響「で、対抗演習することになったと」

提督「あぁ」

 

駒門から電話があった翌朝、天龍達を執務室に呼び演習の事を伝えた。

 

提督「日程は一週間後、場所は向こうの鎮守府だ。演習とは言え、気を抜くなよ」

鈴谷「鈴谷達なら楽勝だよっ!……って言いたいとこだけど鈴谷達全員で5人しかいないんだよね」

利根「流石に6人揃えておきたいところじゃのう…」

 

艦隊は最大6人で運用することが出来るのだが現在天龍、利根、鈴谷、暁、響の5人で枠が1つ空いている状態だ。

 

だがそこは抜かりはない。

 

提督「そう、そこで昨晩1人建造しておいた。入ってくれ!」

 

自分の合図と共に暁や響と同じくらいの背丈の少女が入室する。

 

龍驤「龍驤やっ!これからよろしゅうな!!」

 

快活な笑顔を見せて自己紹介する龍驤をまじまじと見ている一同。

うん、多分皆同じことを思っているんだろうなぁ。

 

そしてそれを口にしたのは暁だった。

 

暁「駆逐艦?聞いたことない子ね?」

龍驤「ちゃうわっ!ウチは軽空母やっ!!」

 

暁の言葉に咄嗟にツッコミを入れる龍驤。

その途端外から誰かが走ってくる音が聞こえてくる。

 

あ、やっべ

 

ミーシャ「何やら西の空気を感じたぞっ!」

 

案の定龍驤のツッコミから発せられた関西オーラを察知して、ミーシャが扉を乱暴に開けて入ってきた。

 

なにしてんねん

 

龍驤「うおっ!?なんやねん自分!?」

ミーシャ「通りすがりのただのたこ焼き屋のオバチャンや」

龍驤「アンタみたいなたこ焼き屋のオバチャンがおるかっ!!!止めさしてもらうわっ!」

ミーシャ「どうも、ありがとうございました~~」

 

一通り漫才を終えたミーシャは満足そうに「ほんわかぱっぱ」と口ずさみながら退出していく。

信太山がこの場にいなくてよかった……いたら龍驤を巻き込んでトリオ漫才が始まるところだった。

 

提督「すまん。彼女は関西に思い入れが強くてな、気にしないでくれ」

 

唖然とする天龍や龍驤達にミーシャの寄行に対し軽く謝った後、本題に戻す。

 

提督「さて、今回から龍驤を入れて航空戦も視野に入れた戦術を行う。各員はこれから哨戒任務をこなしつつ演習で連携をとれるようにしてくれ」

 

自分の言葉に皆は敬礼で返し、退出していく。

その後執務をある程度こなした後、残りを一時的にアルマータと大和に引き継がせ艦娘達が出撃するドックへ向かう。

そこには明石と奈良、そしてヒリュウが自分を待っていた。

 

提督「よう、来たぞ」

明石「提督!お忙しい中ありがとうございます!」

提督「いや、今回の実験は俺も気になるからな」

 

明石の提案で行うことになったとある実験。

それは深海悽艦の身体になってしまったヒリュウが艦娘の艤装を扱えるのかというものであった。

 

上手くいけばこのまま戦力の1人として前線に立たせる事も出来るし、ダメであれば現在開発中の憲兵用対深海悽艦装備を持たせて後方支援出来そうだ。

 

自分と明石、奈良の目線の先には空母用の艤装である弓と矢を持ったヒリュウが何時でも出撃出来る状態になっていた。

 

明石「それでは実験を開始します。出撃お願いします!」

ヒリュウ「はいっ!二航戦ヒリュウ、抜錨します!」

 

ヒリュウが体勢を低くすると同時に水飛沫を上げて発艦する。

 

そしてある程度進んだ所で停止し、弓を構え矢をつがえる。

 

ヒリュウ「お願い……翔んでっ!」

 

放たれた矢は見事に航空機へと姿を変え、ヒリュウの頭上を旋回している。

実験は成功といえた。

 

ヒリュウ「やった…!」

明石「おめでとうございますヒリュウさん!」

提督「おめでとう。今の状況的に滅多に前線へ出すことは無いけど、いざと言う時の切り札として頼りにさせてもらうよ」

ヒリュウ「はいっ!よろしくお願いいたします!」

 

実験が成功したおかげか、はたまた艦娘の艤装が使えたおかげか今迄見たことのない満面の笑みを見せるヒリュウ。

 

これからもその可愛らしい笑顔を見せられるように自分も頑張らなきゃな。

 

その後帰還したヒリュウは明石と共に艤装の調整を行うという事で工房へ戻っていった。

 

奈良「そう言えば司令官さん。今更なのですけどなぜ駒門さんが提督の座に就くことが出来たのでしょう?」

提督「ん?」

 

唐突な質問に思わずすっとんきょうな返事をしてしまう。

 

奈良「いえ、彼女の器量を疑っている訳ではなくてですね。提督として艦娘を指揮するのであれば師団長クラスや、もっと言えば特戦群の方等……人材は他にもいたはずでは…?」

 

これに関しては結構前に多少なりとも情報が行ってた筈だが……彼女の事だ、月詠機関で研究に忙しくてそれを知る暇がなかったんだろう。

 

提督「戦場が海に変わっても、本土を守るためにある程度戦力を陸に留まらせる必要があったんだ。マグマ軍との戦争は一応終わってはいるけど一部勢力が残党としてゲリラ活動をしてる。それを抑制する為に各師団長が動き回っているんだ。…一部を除いてね……。それと特戦群は陸軍の最重要戦力の1つとして各師団長だけでなく大和や飯塚達憲兵を纏める立場になっているんだ」

奈良「それで駒門さんが提督に…」

提督「おそらくだが彼女の場合彼女の家柄と、彼女が持つ独自の派閥が要因の1つなんじゃないかと思ってる」

奈良「機甲教導連隊ですね?」

提督「そう。クセの強い彼女達を纏め上げる手腕が買われたんだろうさ」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

そして約束の1週間後

 

駒門が指揮している鎮守府にヘリで天龍ら第一艦隊と自分、そして運転手として鯖江が同行し無事到着した。

 

……今朝誰が操縦するかで大和やアルマータ達が揉めそうになって一番無難な彼女を選んだのはここだけの話。

 

ヘリから降りると見覚えのあるメイド服を身に付けた3人組がこちらを出迎えてくれていた。

 

「司令官さまっ!お久しぶりです!!」

 

「ようっ!変わってなさそうで何よりだぜ!……っじゃない、ナニヨリデス」

 

「ようこそ、麗香様の鎮守府へ。歓迎するザマス」

 

出迎えてくれたのは機甲教導連隊の3人。

 

大和とはまた違った明るめの金髪と蒼い瞳が綺麗な少女『16式機動戦闘車』

 

紅いポニーテールと眼帯が特徴で少しガサツな少女『74式戦車』

 

藍色の髪とメガネ、そして何よりザマス口調が特徴の女性『90式戦車』

 

提督「久し振りだな!16、74、90」

 

暁「へ?16さん?」

 

暁が16の名前を聞いて首を傾げる。

そうか、皆は武器娘のこの仕様は知らなかったな。

 

 

提督「ちゃんと説明してなかったな。武器娘は使った建造機や所属している部隊によって見た目や性格が大きく変わっているんだ。今俺たちの鎮守府にいる16も『16式機動戦闘車』だが、ここにいる16も機甲教導連隊所属『16式機動戦闘車』なんだ」

 

暁「えぇぇぇぇっ!?」

龍驤「こりゃ、たまげたでぇ…!」

鈴谷「同じ個体…でいいのよね?こんなに違うなんて……」

 

皆珍しそうに16をまじまじと見ている。

一方見られている16は恥ずかしそうにモジモジしていた。

 

90「そろそろよろしいザマスか?麗香様がお待ちザマス」

 

緩い空気を引き締めるように少し冷たく自分達に声を掛ける90式。

駒門第一なのは相変わらずだな。

 

提督「あぁすまん、案内頼む」

 

90式はくるりと踵を返し歩き始める。

自分達は彼女の後をついていくかたちとなり、16は自分達一行の後ろに、74は自分の隣を歩いている。

 

74「全く、久しぶりの再会だってのにあのザマスメガネは……」

 

ザマスメガネこと90に聞こえないように小声で話し掛ける。

74の性格のせいか引率されながらこういうやり取りをしていると学生時代の修学旅行を思い出すなぁ。

 

提督「ま、相変わらずで安心したよ。74もまだメイド修行中だってのも分かったし」

74「う、うっせーよ…!いつもはこうじゃねぇし…」

 

とは言うものの目が泳ぎまくってるぞ…。

 

90「さ、着いたザマス。それと74は"お話"があるのでちょっと来るザマス」

74「ヒエッ」

 

グッバイ74フォーエバー74……

 

引き摺られていく74はさておき、海岸を背に1人の少女と6人の艦娘が控えているのが見える。

 

その姿は紛れも無い『駒門麗香』であった。

 

駒門「ごきげんよう、こうして会えて嬉しいですわ」

提督「久し振り、元気そうで何よりだ」

鯖江「元気だった?」

駒門「静香さん!貴女もいらしてたんですね!!」

 

懐かしの仲間に出会えて思わず盛り上がってしまうが、今日はあいにく同窓会じゃないんだよなぁ。

 

提督「紹介するよ、彼女達が今の俺の部下だ」

 

天龍達が駒門に敬礼し各々自分の名前を言っていく。

 

駒門は彼女達を見て何故かしたり顔だ。

 

駒門「龍驤さんがいる以外この間電話で仰っていた通りの構成ですわね」

 

この間の電話のやり取りの際、まだ戦艦や正規空母が居ないから水雷戦隊で攻略している事を言ったが…まさか……

 

駒門「皆さんこれからよろしくお願いいたしますわ。さて、今度はこちらの番ですわね」

 

駒門の合図と共に後ろに控えていた艦娘達が前に1歩出た。

 

長門「戦艦、長門だ。皆、今日はよろしく頼む」

 

金剛「金剛型1番艦金剛デース!」

 

比叡「同じく金剛型2番艦比叡ですっ!」

 

北上「球磨型3番艦、北上だよ~」

 

木曽「球磨型5番艦、木曽だ」

 

蒼龍「二航戦、空母蒼龍です!よろしくお願いいたします!」

 

おいおいおいおい…!

これ見よがしに戦艦と正規空母を編成してるじゃないか!!!

 

何とか表情に出さないように努めていたが、駒門にはすっかり見抜かれているらしくイヤな笑顔をこちらに向けている。

 

駒門「お相手がどんな編成であれ、こちらも全力で相手をしないと…お相手に失礼……でしたわよね?」

 

その言葉どこかで…………

 

あっ

 

 

昔戦競で『FTC評価部隊』に編成された駒門達を全員SSNO装備で固めたメンバーで……その、ボッコボコにした時に自分が言った言葉だ……。

 

駒門「どうされました?まさか、今さら止めるなんて言いませんわよねぇ?」

 

あーこの笑顔めっちゃ根に持ってらっしゃるぅっぅぅぅぅううううううう!!!!

 

ちくしょー!今更取り下げられないし承けるしかねぇ!!!!

 

提督「…まさか。30分のブリーフィングの後に開始で良いか?」

 

駒門「よろしくてよ。あちらの部屋をブリーフィングに使って構いませんわ。ではまた後程」

 

長門や16式達とその場を後にする駒門を見送った後、自分達も彼女が用意した部屋に入る。

 

鈴谷「よりによって戦艦とかぁ~…」

 

暁「強そうな人達だったわね…」

 

提督「……だが、ある意味良い機会だと思う。実際の戦闘だとこちらが不利の状態なんて当たり前だ」

 

天龍「だな、ウダウダ言ったって始まらねえ…やるしかねぇ…!」

 

自分のフォローと天龍の一言で何とか士気を上げる事には成功したものの……これから彼女達に自分の身から出た錆びの尻拭いをさせる事に申し訳なさを感じてしまう。

 

……やる以上勝たせてやりたいが、どう動かせば戦艦相手に立ち回れる…?考えろ……遊撃要塞相手に6人で立ち向かった時どういう作戦をとった…?…地理的に出撃出来るメンバーに制限があった中、どうやって戦死者を出さずに地域を解放した?……自分が出来る最大限の戦術は…………

 

 

提督「皆……これから俺の言う作戦を聞いてほしい」

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