魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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今回からとてつもない改変が起こります。

てーへんだてーへんだ!

それでもいいよ?って方だけご覧ください…


入学編 その十

「アンティナイト、アンティナイトっと…」

 

 

先程仲間達に自身の能力を解説し酷く驚かれてしまった総司。あの後すぐに解散して帰宅した総司は、話題に上がっていたアンティナイトが気になって自宅にて調べていた。

 

 

「何々…?アンティナイトは一種のオーパーツであるレリックに分類され、高山型古代文明が栄えた地域にのみ産出される…か。達也の言うとおり、数が少ないんだな」

 

 

彼が今目を通しているのは民間人でも調べれば出てくるであろう基本的な情報だ。これだけでは普通に検索した結果を見ているだけだろう。しかしだ…

 

 

「なら、なんでこんなに日本に輸入された形跡があるんだ…?えっと、()()()()()?」

 

 

ブランシュとは、魔法師が政治的に優遇されている行政システムに反対し、魔法能力による社会差別を根絶することを目的に活動する反魔法国際政治団体である。ここだけを見れば、ニュースにでも出てきそうな組織だ。

しかしこのブランシュという組織、警察省公安庁から厳重にマークされている組織であり、日本においては報道規制が行われているため、少なくとも日本人は名前も知らないような組織である。

 

その実態は大亜細亜連合に関連するテロリスト集団であるのだが、ここでは割愛させていただく。

さて、このブランシュとアンティナイト、片やテロリスト、片やレリック、関係性がなさそうに見えて関係大ありである。

 

それはアンティナイトが魔法を妨害するサイオンノイズによりキャスト・ジャミングを行えることと、その発動には魔法的才能…所謂魔法演算領域が存在しない非魔法師でも、サイオンさえ保有していれば使えてしまう、という点が問題なのである。

 

総司が今閲覧している情報は、アンティナイトが不法なルートによりこの第一高校近くにかなりの数が輸入されている事を示すデータである。何故このような明らかに出回らないような情報を総司が得ているのかはさておいて、その輸入されたアンティナイトはとある廃墟に運び込まれており、そこは現在のブランシュ日本支部であることも表示されていた。

 

 

「ブランシュ日本支部のリーダー、司一には義理の弟がいて、ソイツの名前は司甲…第一高校の剣道部主将!?その弟が下部組織エガリテ、その構成員を一校の生徒達から集めて、近くその手引きで第一高校を襲撃、国立魔法大学の機密文献の強奪を行う…!?なんてこった、学校がテロリストに侵食されてんじゃねえか!」

 

 

総司は今までに無いほど真面目な顔で戦慄していた。彼はとある事情により、こうした表沙汰にはされない裏の情報を知る事が出来るが、自分から探そうとしなければ見つけることが出来ないのだ。今回達也達の会話にアンティナイトという単語が出ず、自分が興味を引かれていなかったならば高校は手はず通りに襲撃されていただろう。

 

第一高校のみならず、魔法科高校は往々にして小国の一軍隊程度ならば退けられる程の力がある。しかし負傷者が出ないと言うわけでも無い。自分がこうして知ってしまった以上、行動を起こさねばならぬ。そう考えた総司はブランシュが拠点にしている場所の詳細を検索した。

 

 

「よし、あらかたプランは出来たぞ、後は実行だけだな…」

 

 

何のプランかはさておいて、どうやら総司はブランシュに対して何か策を講じるつもりらしい。学校側を説得しての防衛強化であろうか、この時点でそれを知るのは、総司のみ。そして翌日、ある意味可哀想で、ある意味よかったとも言える二人が、このプランの詳細を知る事になるのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまなかった、壬生!」

 

「いいっていいって、ついカッとなっちゃったんでしょ?」

 

 

翌日、桐原は壬生に昨日の自身の行いを謝罪していた。対する壬生も、全く気にしていない様子であり雰囲気は険悪では無い。むしろこの二人はこの高校における「なんで付き合ってないのこの二人?」選手権ぶっちぎりの第一位であるほど親しい間柄だ。だが二人にはその自覚が無いため、カフェテリアで会話している現在、男女問わず此方を見てニヤニヤしている理由が分かっていない。

 

 

「だがお前を傷つけてからでは遅かったんだぞ!?この程度の謝罪では俺の気が済まない!」

 

「そっか…じゃあ、ちょっと悩みを聞いてくれないかな?」

 

「ああ、モチロンだとも!俺で良ければいくらでも力を貸そう!」

 

 

尚も引き下がらない桐原に対し、壬生は悩みを聞いてもらうことで手打ちにしてもらおうとしたのだ。これには贖罪ができると桐原は飛びつく。

そして壬生が話し出した。

 

 

「なんかね、うちの主将の様子が最近…いえ、私が入学してからおかしいのよ」

 

「なんだと?あの男は危険な奴と言うことか!?それはいかん!すぐさま剣術部への転部を…」

 

「待って、落ち着いて桐原君」

 

「す、すまない…それで、どのようにおかしいのだ?」

 

「なんかね?二科生の生徒とかを『エガリテ』って言うちょっとした組織っぽいものに勧誘してるのよ。多分私以外の剣道部の生徒はみんな所属していると思う」

 

「二科生を…?一科生には勧誘しないのか?」

 

「うん。聞いた話だと「魔法ばかりが我々の地位を決めるファクターではない」…って理念らしくて、そんなの一科生には認める人少ないだろうし、だから一科生は勧誘してないんじゃないかな?」

 

 

壬生の相談事はどうやら不穏なものだ。桐原は口にこそ出さなかったが、その『エガリテ』なる組織の理念は、強めに言うと反魔法主義の主張に一致すると考えていた。その『エガリテ』という組織が反魔法的であったとして、魔法科高校から構成員を集める理由は何なのか…そう思案していた桐原。

そんな桐原と壬生に声を掛ける人間が一人。

 

 

「話は聞かせてもらった!」

 

「うおっ、何だお前!?」

 

「いつの間に…!」

 

 

そこにはいつからいたのか、総司が立っていた。一科生内部でもかなり実力が高く、純粋な剣技ならばこの学校の三巨頭の一人、風紀委員長渡辺摩利をも凌ぐ二人に悟られること無く接近してきていた。

二人は総司の肩を見て紋章が無いことに驚愕し、腕につける腕章で合点を示す。

 

 

「なんだ…?最近は二科生を風紀委員にするのが流行ってんのか…?」

 

「昨日の子も二科生だったよね」

 

「いや、自分は臨時なんで」

 

「それでも風紀委員に選ばれてんだ。お前相当な実力だろ?」

 

「いやー、それ以上ですねー」

 

「なんだコイツ」

 

「フフっ、面白い子ね」

 

 

先程まで不穏な会話をしていた二人は、総司の登場でどこか雰囲気が緩んでいた。

 

 

「てか、お前誰だよ。近づいてきたって事は俺達の事は知ってんだよな?」

 

「そうね。でも一応自己紹介しましょうか。私は壬生紗耶香。彼は桐原武明君。あなたは?」

 

「よろしくお願いしますお二方。俺の名前は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徳川家第十四代目将軍・徳川茂茂である」

 

「いや将軍かよォォォォォォォォォ!?」

 

 

突如として叫んだ桐原にカフェテリアにいた全員がギョッとした様子で振り向く。状況に気づいた桐原は居心地悪そうに座り直す。

 

 

「いやビックリしちまったじゃねーか…で?ホントの名前は?」

 

「橘総司です」

 

「総司君ね、よろしく。それで、私達に一体何の用?」

 

「お二人が先程まで話されていたことが気になりまして」

 

「ふーん。だとよ、壬生」

 

「じゃあ、話すね。でも長くなりそうだし…かくかくしかじか、なんちゃって!」

 

「まるまるうまうま、なるほど大体分かりました」

 

「は!?嘘だろ今のでか!?」

 

「えっと、単にふざけてみただけなんだけど…じゃあ、なんて言ったか分かる?」

 

「剣道部の主将が奇妙な団体に二科生を勧誘してたって事ですよね?」

 

「なんであってんだよ…」

 

 

実際は総司は常人より三倍ほどの聴覚を有しており、バレないように聞き耳を立てることが得意であるため、二人の会話を普通に聞いていたのだ。

 

 

「それでですね?そのエガリテという団体、実は…」

 

 

そう話を切り出した総司は昨日調べたことについて話した。

 

 

「つまり、このまま放っておけば、ここが危ないって事か…」

 

「そんな…!どうすればいいの!?」

 

「対処法となるプランは考えました。それを実行すれば襲撃は未然に防げるかと」

 

「そんな方法があるのか!?」

 

「是非とも教えてちょうだい!?」

 

 

危険を回避できる…などと言われては聞きたくなるのは常だ。自分から聞いた、という大義名分を得た総司は顔に怪しい笑みを浮かべながらその案を二人に話す。

 

すると総司にも予想外の事態が発生する。確かに二人とも驚愕こそしたが、意外にもその案に乗り気らしい。これには総司の方が驚いた。

 

 

「なるほど、確かにそれが一番手っ取り早くていいな」

 

「襲撃はもう近いんでしょう?なら早めに行動に移した方がいいわね」

 

「そうですか、では明後日を使って決行します。お二人にも協力していただきますので、学校は休んでください」

 

「仕方ないか…これも学校を守るためだ」

 

「ここまで聞いておいて無関係では居られないわ」

 

「では明後日、オペレーション:SSを実行します!」

 

 

思えばもうこのバカに賛同してしまっている時点で、壬生も桐原も手遅れだったのかもしれない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

作戦当日…ブランシュ日本支部が拠点としている場所にの前に、三人の人影が見える。

 

 

「ここがそのブランシュって組織の隠れ家なのか」

 

「ここからじゃとてもそうには見えないけど…」

 

「そりゃそうでしょ。外から見てバレてたら、とっくに検挙されてますって」

 

「それもそうか…」

 

 

その人影は、橘総司、壬生紗耶香、桐原武明であった。三人はブランシュの拠点を鋭く見つめている。

 

 

「長話もなんですし、さっさと始めましょう!オペレーション:SS!作戦開始!」

 

「「了解!」」

 

 

 

オペレーション:SS…「()面突破で()ばき倒す」の略称である。

 

 

今此処に、人知を超えた超人と、超一流の魔法剣士二名による、テロリストの殲滅作戦の火蓋が切られたのだった!




魔法科世界の秘匿通信


・原作では七名に与えられた権限が、この世界では総司にも与えられている。


・壬生と桐原は総司と出会って頭がハジケてしまった。



ああ~、原作が崩れる音~!


と言うことで、次回入学編最終回です。討論会?そんなもの犬にでも食わせておけ!


先に謝罪をしておきます。壬生、及び桐原ファンの皆さん。誠に申し訳ありませんでした。

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

  • いいともー!
  • 駄目だね~駄目よ、駄目なのよ~

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