この情報を見たときに、「へえー、結構早めに情報出すんだな」と思って調べてみたら、三期決定したのもう一年前なんですね…ショック受けてます、発表が完全に今年の正月だと思ってた。
「「達也!」君!」
「…どうしたレオ、エリカ」
「どうしたもこうしたもねえよ!」
「いきなりアタシ達をシールド・ダウンの練習に呼んだと思えば、対戦相手はベクトル反転で弾き飛ばしてきたり、水波ちゃんに至っては障壁で浮かせてきたりさぁ!」
「仕方ないだろう、試合を見てお前達を選手に選ばなかった理由を服部会頭が求めていたのだから」
七月七日、土曜日。この日は七夕…ではあるが、専ら今行われているのは九校戦に向けての練習だ。急な競技変更から立て直すのに五日を要したが、何とか選手が決まったので練習を行っているところだ。そしてシールド・ダウンの練習相手として呼ばれたレオとエリカは、彼らが特定の魔法を使った近接戦が強いだけの脳筋である事をバラされて腹を立てているのだ。しかし、レオは硬化魔法、エリカは自己加速術式程度しか使えないのもまた事実、実力があっても一科生になれなかったゆえんである。
「…丁度良いな。ピラーズ・ブレイクの方が準備できたようです。自分はそちらに移動しますので、此処は任せても宜しいでしょうか」
「構わないぞ、ご苦労」
「ねえちょっと今達也君なんて言った?」
「何も言っていないが」
「ウソつけ!絶対言ってただろ!?」
「落ち着け西城、千葉。少なくとも俺は司波が丁度いい等と言ったのは聞いていないぞ」
「聞いてんじゃねえか!?」
「くっ、達也く…いない!?」
賢い男司波達也。彼は引き際を見誤らない…
ピラーズ・ブレイクの練習には毎年、演習林の奥にある五十メートルプールを使っている。去年まではこの準備作業にかなりの時間がかかっていたのだが、今年は例年の四分の一以下まで時間短縮する事に成功した。何故って?今はお兄様が居るからに決まってんじゃん。
「あっ、お兄様。準備は整っております」
「ご苦労様。随分速かったな」
「お兄様をお待たせするわけには参りませんから」
既にプールには氷柱が用意してあった。その種と言えば、達也が深雪に授けた水流制御魔法と、氷結魔法の組み合わせによる、神業と言えるだろう。満面の笑みを向けてくる深雪。その笑顔に癒やされた達也が顔を上げると、彼の頭を悩ませる、ストレスの元がそこに居た。
「いや~悪いね、深雪ちゃん。無理言って先に使わせてもらってさ」
「構いませんよ、総司君。…しかし、凄い戦法でしたね」
「流石は総司君、天下無敵」
「ちょっと相手のペアが可哀想ではあったけどね…」
プールサイドの反対側で未だに息を切らしている本戦男子ペアとは対称的に、炎天下の中にいても汗の一つもかいていない総司。彼が今回のピラーズ・ブレイクで取る予定の戦法は、当初深雪や千代田など、彼の実力を知っていても、魔法力の低さも同時に知っていた者達からしてみれば、彼の戦法は彼の成長と、相変わらずの規格外さを思わせるものだった。
「…後で映像をもらえるか?と言っても、自陣をバカみたいな出力の情報強化で防御して、敵の氷柱を拳圧で破壊するなんて普通はできないぞ」
「って言っても、俺これぐらいしか戦法ないしな」
総司が取った戦術は達也が言ったとおり、単純な情報強化で自陣の氷柱を補強。後はひたすら空中を殴った拳圧で敵陣の氷柱を破壊するだけである。去年のクラウド・ボールと同じで、魔法を添え物にしか見ていないかのような戦術である。よく出禁にならなかったなコイツ。九校戦って魔法力を競い合う場のはずなんだが…
「兎に角、今は深雪達の練習を見よう。…三人とも、準備は?」
「できてるわよ」「できています」「できてる」
「よし…それじゃ始めてくれ」
「頑張れ~!雫ちゃん~!」
模擬戦を五連続で行った結果、ムスッとした顔で折り畳みいすに座り明後日の方へ向けている花音がそこにいた。深雪と雫が立ったままどうしようと困惑した表情を向け、達也はため息を一つ吐いて解決に乗り出した。因みに総司は後ろで見学に来ていたほのかや泉美に対して、壊れた氷柱の欠片を指さしながら、「コレクッテモイイカナ?」と聞いていた。ほのかと泉美は呆れていた(香澄は練習を抜け出して零次とデート中)。
「千代田先輩が攻撃、雫が防御。この戦術は基本的に間違っていないと思います」
「魔法で負けたんじゃないって言うの? じゃあ何が間違ってたのよ」
「間違っていたのではなく連携の練習不足ですね。今日が初日ですから当たり前ですが」
「……何処が悪かったの」
「先輩の魔法発動領域と雫の情報強化領域が少し重なり合っていました」
「先輩のせい…って事ォ!?」
「うっさいわね、ぶっ飛ばすわよ総司!」
「スイマセン先輩、私のミスです」
「大丈夫、北山は何も悪くないわ」(裏声)
「オイ総司、それは私のモノマネのつもり?」
「あれ?そう聞こえるぐらいには俺のモノマネが上手かったって事ですかね?」
「はいブッコロ~ス!」
「火に油を注ぐな総司」
「その言い方だと、お前も先輩を火だって思ってたって事になるけど」
「やっべ…」
「おい、司波」
フォローをしようとした達也だが、総司に妨害されて失敗。更に怒りに火を付ける形となってしまい、千代田から達也への君付けが外れる。三十六計逃げるに如かず、二人はダッシュで逃げ出した。しかし残念かな、今この場所はギャグ時空、此処ではどんな強者も展開という神のイタズラの前に敗北するのだ。つまり、二人は捕まってしまったってワケ。ファー!甘い甘い!(煽り)
「…なあ、今誰かから煽られた気がするんだけど」
「気のせいだぞそれ」
「アンタ達、私語厳禁って言ったわよね?」
「「スイマセン…」」
こっぴどく叱られる二人。だがそうやってストレスを解消できたお陰か、ちゃんと競技に向かいあう事ができたようであり、二人を解放した後は雫と深雪と三人で話し合っている。この様子なら大丈夫そうだと別の練習場に移動しようとした達也だが、その足をほのかに止められる。
「達也さん…ハァハァ」
「どうしたほのか、鼻息が荒いぞ。後、できたらそのまま近づかないでもらいたいんだ。なんせ危機感を覚えてしまっているからね」
「達也さんの…滴る汗…!」
「あ、ダメだこりゃ。…助けてくれ総司」
「さ~て、はんぞー先輩や幹比古にしこたま絞られてるだろう琢磨の応援にでも行きますか…」
「おい、ちょっとまっ」
「達也さん…」
「待て、ほのか。落ち着いてくれ!」
「知らない知らない僕は何も知らない…」
炎天下の中で作業を続けたお陰で、流石の達也といえど汗をかいてしまっていた。そしてそれに興奮したほのかが暴走するのも、詮無き事なのである。総司は実に哀れんでいますという表情を達也に向けた後、そっとその場を立ち去るのであった。
京都某所…
縁側から出れば照りつける太陽を目にできるのこの和室で、涼しい顔をして会談を行う男達…実際、この部屋は魔法で完璧な空調操作が行われている。
「…では、パラサイドールに狂化術式を仕込むのは、認めてくださるのですね?」
「もちろん、しかしこちらからも条件がある」
「心得ておりますとも。
「分かっているじゃないか」
その会談を行っていたのは、周公瑾と藤原道長であった。その二人は聞く者が聞けば、恐怖で震え上がってしまいそうな話をしている。何を目的として核爆弾のスイッチを同時押しするような暴挙にでるのか。それについては、公瑾も知りたかったらしく、道長に質問をする。
「…失礼ですが、この未熟者にはあの二人を殺すことは、御身の首を絞める事になるだけだと思うのですが…」
「別に構わないよ。私を殺せば彼らは社会から孤立するし、彼らが世界を滅ぼすというのならそれも一興だ」
「…別に目的があるのではないですか?」
「ハハハ、流石は公瑾法師殿だ、実にご聡明で」
「いえいえ、勿体ないお言葉です」
お互いが人の良い笑みで社交辞令をぶつけ合ったあと、道長が真の目的を語り出す。
「私が狙っているのはね、世界が滅びかねないという事態そのものなんだ」
「…と、言いますと?」
「橘総司…彼の肉体に秘められている術式は、自らの一族を生贄にして、世界を守護する神を降臨させんと安部清明が仕組んだものだ。そんな中で、世界が滅びかけたら、どうなると思う?」
「…もしや、神を完全に覚醒させる為の策ですか?」
「その通りだ。司波達也が暴れて世界を破壊しようとすれば、確実に神は橘総司を支配して、肉体の制御を得ようとするだろう。同時に北山雫を殺すのは簡単な事、橘総司の精神的支柱を破壊して、神の人格が橘総司を屈服させられやすくする為だ」
「おお…、なんと言うご慧眼でしょうか…!」
神を降臨させるため、世界を一度危険にさらす…道長はひょっとすると、大博打を打つギャンブラーの質があるのかもしれない。
「…ですが、宜しいのですか?」
「何がだい?」
「確かご息女は、橘総司の心を欲しがっていたはず。それなのに神の人格で橘総司を塗りつぶしてしまって、宜しいのでしょうか?」
「ご息女…ああ、束の事か。まあ正直、
「…悪い方だ」
悪の大人達の笑いが、京都の空にこだまする…
魔法科世界の秘匿通信
・総司の戦法:本編に付け加えると、情報強化のやり方は領域に掛けるタイプの展開方法なので、深雪の『ニブルヘイム』などにめっぽう強い。自分が雫に授けた『神風』も異能で無効化できる。因みに弱点として、点に干渉してくるタイプの魔法が苦手。例を挙げると一条将輝。よりによってか…(爆裂はピラーズ・ブレイクに置いて最強)
・その後の達也:無事、深雪さんによって救出されたとのことです、ッチ!
・道長の目的:彼の想像の中のフローチャートとしては、達也暴走→神「ちょ、何か世界に危機が訪れとるやん!?どけオラお前ぇ!」→総司の人格を神が屈服させる→神が肉体を得る→神降臨。
こんな感じ
別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?
-
いいともー!
-
駄目だね~駄目よ、駄目なのよ~