魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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パラサイドールを達也が発見する云々の話は丸々カット。なぜなら九島じゃなくて藤原が動いているので、情報統制が完璧すぎて外部に一切漏れてないからですね。しかも連絡方法は伝書鳩とかなので、電子情報にアクセスするフリズスキャルヴでも情報が出ないので、完全に不意打ちになります。怖いね~


スティープル・チェース編 その三

「馬鹿な…今日は何も起こらなかった…だと?」

 

「そんなに何かが起こっても困るんだが」

 

 

九校戦に出場する選手達が宿泊するホテルでの前夜祭パーティーで、驚愕したような表情で驚いている総司。去年が異常だっただけだと突っ込む達也。その達也の横で達也の制服の魔工科の刺繍をみてニマニマしている深雪と、その頭に乗っかって、息をフンスフンスさせて総司を見つめている雫(SD)がいた。

 

 

「総司先輩の感覚はバグってますからね。司波先輩はそろそろツッコミをやめないと過労死しますよ」

 

「流石は一番付き合いの長い七宝だな。参考になる」

 

「ぶっ飛ばすぞお前ら」

 

 

総司の言うお前らとは、総司を貶した琢磨と達也だけでなく、その会話を聞いて爆笑している範蔵や桐原などのイツメン(言う程いつもでてるワケじゃない)も合せている。

 

 

「…おかわりお持ちしました」

 

「ああ、ありがとう」

 

「すいません、ちょっと俺にももらえないですかね?」

 

「…かしこまりました」

 

 

空になった達也のグラスを目ざとく見つけたのか、ウェイターが新しいグラスを持ってきた。そのウェイターに謝辞を述べる達也を見ながら、自分にもと要求する総司。それを了承したウェイターは総司にもグラスを手渡…さなかった。グラスを持ったまま、総司の近くに来たのだ。

 

 

「…ん?」

 

「それでは失礼致します」

 

 

ガシャアン!

と音を立てながら、ウェイターが総司にグラスを叩きつける。グラスの中のドリンクが派手に飛び散る…事は無く、総司の制服にすら掛からず、総司の顔面だけを濡らす。あまりに突然の出来事に女性陣は硬直、男性陣は大爆笑していた(達也含めて)。

 

 

「…え?どゆこと?」

 

「失礼、あまりにもアホ面を晒されていたので、思わず叩きつけてしまいました」

 

「え、ああ、うん。それは別に良いんだけど」

 

「「「「良いんかい!」」」」

 

「…何でお前が此処にいるわけ?零次」

 

「「は?」」

 

「…お嬢達ぐらいは気づいててくれよ」

 

 

総司が困惑の言葉をこぼす。ただしその困惑の原因は、ウェイターの奇行ではなく、そのウェイターの正体であった。そう、その正体とは何を隠そう名倉に名を変えた零次であった。大亜連合で製造されたときに叩き込まれたのか、完璧な変装術であったために数ヶ月共に過ごしている香澄や泉美でも見抜くことができなかったらしい。まだまだ精進の余地がありそうである(雫は総司がどんな姿でも見分けることができるため)。

 

そして本来九校戦選手以外が入ることができないこの会場に零次がいる理由を、幹比古は懐かしく思い返していた。どうやら今年度もエリカ達は部屋を取っているらしいが、去年の二番煎じは面白くないと普通に部屋で過ごしているらしい。それを知っていたからと言うのもあるが、だからこそ零次の不意打ちは完璧であった。

 

 

「つーか、お前なんでこっちいるんだよ。お前の顔と俺の顔が瓜二つなの気づかれるとマズいのはお前だろ?」

 

「俺の目的はお前達の意識を引きつける事だよ…お前達に来客だ、色々言いたいことがあるだろうが、同じ選手として、学生として話がしたいらしいぞ」

 

 

そう言って零次は踵を返して、厨房内に引っ込んでいく。

 

 

「待てって言ってるだろうが!」

 

「今始めて言ったし、そこまで引き留める必要もないだろう」

 

 

何故か一瞬だけ鉄華団団長になりかけた総司だが、達也が無事引き戻す。そして零次が言っていた来客という人物に目を向けると、その人物を知っている者は目を見開いた。

 

 

「皆さん、お初にお目に掛かります。本年度から魔法大学附属第二高校に入学して参りました、不二原束と申します」

 

 

その人物を知らない者はその容姿に感服した表情を見せる。深雪にすら負けず劣らない美貌。魔法力が高いほど顔が左右対称になる傾向がある事から、非常に高い魔法力を持つことが窺える(尚、曲がりなりにも神の肉体を持ち、いっそ不気味なぐらい完璧に左右対称な総司を無視するとする)。そして魔法科高校の女子の中でも随一なのではないかと思えるほどの長身(身長190近く)、そして昔のオヤジが見ればボン、キュッ、ボン!と口に出していそうなスタイルを持つ、端的に言えば超が付くほど美人で、ケツもタッパも胸もデカくてウエストだけ細い女生徒であった。

そんな彼女は、今年の三月ごろに総司を殺しかけた程の身体能力を一時的にだが発揮できるほどの使い手でもある。その事実を知る者、知らない者もそれぞれの理由で口を開けない中、総司が真っ先に言葉を紡いだ。

 

 

「…アンタ、年下だったんだな」

 

「「「「「いやツッコむとこそこ!?」」」」」

 

「…うふふふ」

 

 

先程も述べたとおり、束のスタイルはトップモデルもかくやという勢いで男が寄りつくであろう美貌を誇っていた。そしてお互いに自己紹介すらすることが無かった三月の一件では、総司には束が年上の女性に見えていたのだ。あの一件を共に乗り越えた面子からのツッコミが入った後、一人から疑問の声が挙がった。

 

 

「…貴女は結局、何をしに来たの?」

 

「北山雫…」

 

 

そう、雫である。彼女は当時藤原氏の部下であった数字落ち(エクストラ)三人衆をアメリカで撃退している。つまりはイツメンの中で一人だけ、束の存在を知らなかったのだ。そして対する束も雫に厳しい視線を向ける。何を隠そう恋敵だ、敵視するのに充分に値する。

 

 

「…北山雫さん、私は貴女へ宣言します!」

 

「…何を?」

 

「え、え、何いきなり」

 

「「「…くわばらくわばら」」」

 

「服部会頭は、逃げるのではなくて総司の女たらしぶりを参考にしてみたら如何ですか?」

 

「いきなり俺に毒を吐くな司波」

 

 

総司に身を寄せる雫の姿を見て、少しの間ワナワナと震えたかと思うと、いきなり束が声を上げた。大方の目的を察した雫は、相手方の覚悟を問うために敢えて聞き返し、女の戦いの前兆を目の前で見せられ、困惑した総司を隠れ蓑に、三年の男子三人組が修羅場から遠ざかろうとする。その中で唯一彼女も婚約者もいない範蔵に、達也は唐突に口撃した。

 

それはともかく、束は雫に宣言した。

 

 

「私、不二原束は!橘総司様の心を射止めに参りました!」

 

「そういやなんで君は俺の事が好きなんだ?」

 

「うっわ総司君デリカシーなさすぎ…」

 

「流石に引きます…」

 

「私も…」

 

「お兄様はちゃんと答えて差し上げましょうね?」

 

「零次~?零次~?どこ行ったの~?」

 

「香澄ちゃん!今は止してください…!」

 

「俺の扱い酷くね?」

 

「残当」

 

 

やけに見栄を張ったポージングで、ビシィ!と総司を指さして宣言する束。その光景をバックに、女子に自分の何処が好きなの?と聞く男子と全く同じ言葉を吐くレベルの総司のデリカシーの無さを女性陣が批難する。因みに七草の双子は厨房の方に消えた零次を探して回っていた。

後、深雪が達也にアドバイスを向けた際、恐ろしい速度で目を光らせ(心なしか本当に光っているかのように見える。これが光のエレメンツの力…!?(違う))ながら達也の方に顔を向ける。それから目を逸らすかのように勢いよく達也は首を180度回転させた…死んでないか、それ。

 

案の定『再生』で首を元通りにする達也…やっぱ死んでたよね、それ。

そして各々が意見を言った後、宣言された本人…雫に視線が集中した。…心なしか、雫はとてつもなく眠そうであった。そして、そんな中で雫が導き出した返答は…!

 

 

「ふ~ん、エ○チじゃん」

 

「…え?」

 

「「「「「「…!?」」」」」」

 

「私の親友の性癖壊れちゃっ…たぁ」

 

「泣いちゃった!」

 

 

その場の誰も彼も…束ですら困惑するその発言に、雫の親友たるほのかと、総司だけがすぐに反応できていた。

 

 

「…ここ最近の雫は、眠たくなってくるとちょっと意味が分からないこと言い出すんです」

 

「いやほのかちゃん意味分かってたじゃウボァ!?」

 

「ふふふ♪」

 

 

ほのかが親友の変化を説明する。彼女は彼氏と同棲している雫の家に、構うものかと言わんばかりに泊まりに来ていたりしていた。ならば雫のここ最近の変化を知っていてもおかしくない。因みに変化した理由の150%が総司のせいだと思っている。雫の状態の解説の際、達也からの印象を下げないように淑女的に振る舞う…その邪魔をしかけた総司には腹パンをお見舞いしてやった。ギャグ時空かしているこの場でならば、ほのかの非力な力でも総司に膝を付かせる事が可能であった。

 

未だ抗議の言葉を紡ごうとした総司の頭を踏みつけて黙らせたほのかは、ビビりまくっている周囲に申し訳なさそうな笑みで発言する。

 

 

「すいません、雫は眠そうだし、総司さんは体調が悪そうですので、私が部屋まで連れて行っておいて宜しいでしょうか?」

 

「「「「あっ、どうぞ…」」」」

 

「で、でも来賓の方の挨拶が今から…!」

 

「落ち着け中条。総司は九島閣下の息子の様な存在だ。いくら来賓でもケチを付けることなどできんだろう」

 

 

他のメンバーや範蔵の賛同もあり、ほのかは笑顔で雫と総司を抱えてパーティー会場を出て行った。因みに雫はほのかの右腕にお姫様だっこされており、総司は左肩に俵担ぎされていた。

その光景を唖然とした表情で見送った束に、同じく唖然としている…が、もう慣れたとも言いたげな達也が、束に声を掛けた。

 

 

「悪い、総司に用があるならまた日を改めてくれ」

 

「…分かりました」

 

 

一高生達の前に現われた時とは比べものにならないほど意気消沈した様子の束は、すごすごと自分の高校の選手達がいるテーブルの方に向かって行った。




魔法科世界の秘匿通信


・総司達を中心に一高生達の雰囲気は一般の高校に通う学生と同レベルになっているので、周囲は遠巻きに、しかし若干羨ましそうに眺めていた。魔法師は出身によって色々なしがらみなどがあるためだ。


・雫が帰ってしまったので、四校に通う雫の従兄経由で黒羽兄妹と初対面風に接触する事ができなくなった。


・男子と女子を同じ部屋に泊まらせる訳がないので、カップルだろうと婚約者だろうと部屋が同じであるはずがない。部屋割りとしては総司:達也、桐原:五十里、深雪:雫、壬生:千代田である…!(何かに気づく音)。
おいこれってYO!利害の一致ってやつじゃあ…(続きは達也に『分解』されました)

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

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