魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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今回は遅かった上に短いです…


妄執の機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編 その六

「…っく、鬱陶しい戦い方するわね…!」

 

「強い…!こいつ、スターズでも上澄みの戦闘員だな…!」

 

 

京都の町中…風情溢れる街並みではなく、中心街に近い所謂都市部と言える場所にて、光宣とリーナは戦闘していた。

光宣は主に、『スパーク』をはじめとする放出系の魔法で、リーナは主に『分子ディバイダー』を用いた近接戦闘で戦っていた。

 

そしてお互い、防御を『仮装行列(パレード)』による幻術を主にしていた。この戦闘にて、お互いが『仮装行列』を使っていることを悟った二人だが、親戚だから使えている(リーナは光宣の祖父である九島烈の弟の孫である)という思考には全く至っておらず、お互いの技術が盗まれたと相手を悪者前提で考えている。

 

 

「(この男…魔法の強度や精度、戦闘力の高さは目を見張るものがあるけれど…少し体力がないわね。そこを突けるかどうかが、勝敗を分けそう)」

 

「(このまま消耗戦を続けていけば、先にダウンするのは常人より体が弱い僕だ。なるべく速攻で決着を…!)」

 

 

この戦闘のキーは、二人の考え通り光宣の体の弱さにある。魔法の技量は同レベルに高水準な二人だが、体力面を見ると体調を崩しがちな光宣と比べ、現役軍人であるリーナは体力もあれば近接戦の心得もある。

そしてリーナは、最も得意とする放出系魔法を隠している。手札を隠して、ここぞというときに開放する算段なのだ。しかし光宣もリーナが何かしらの切り札を隠していることに気づいていた。

どうにかして吐かせたい…そう考えて、再び『スパーク』を発動する光宣、それを回避しながら『情報強化』した銃弾を撃ち込むリーナ。

 

放たれた銃弾を、再び発動された『スパーク』で撃ち落とす光宣。その光景を見たリーナはすかさず次の手を打つ。

 

 

「(ここっ!)アクティベイト!ダンシング・ブレイズ!」

 

「っ!?遅延術式か!?」

 

 

戦闘中に至る所にばらまいたナイフに仕込まれた術式を発動させるリーナ。驚いた光宣は、体が硬直するも、反射で魔法を発動する。

 

 

「なっ、『疑似瞬間移動』!?」

 

 

光宣が『疑似瞬間移動』を使用して『ダンシング・ブレイズ』を回避する。しかしリーナも驚いたのも束の間に、光宣の出現位置に目を向けて攻撃用意をする。『疑似瞬間移動』は移動に際して、周囲の空気を押し出す気流を作り出す必要があるため、移動先が読まれてしまうのだ。

そうして光宣が姿を現すと同時に攻撃をしようとリーナが構えていると…

 

 

「っ、キャア!?」

 

「なんだ!?」

 

 

二人の立っていた場所に巨大な亀裂が走る。同時に大きな振動が襲ってきた。それに驚愕した二人は足を止める。そして…何者かが二人に向かってきていた。

 

 

「…ソウジ」

 

「総司さん…」

 

「…ははははは排除、排除排除排除。敵生体とおぼしきききき存在を、は排除じょじょじょ」

 

 

焦点の全く合っていない目で、壊れたように何かをつぶやく偽神がそこにいた…

 

 


 

 

京都の町に鳴り響く轟音。その轟音を近くで聞いていたのは、真由美と摩利であった。二人は音がしたその場所まで向かう。到着したとき、二人の眼には…

 

 

「…なんだ、この惨状は」

 

「…!摩利、人が倒れているわ!あれは…シールズさん!?」

 

 

京都の中心街。そこは最早、文明の残った後すらなかった。京都駅を中心に半径200メートル程の大規模なクレーターが発生している。その端に、二人ほど人影が見えていた。内一人は遠くて確認できないが、この距離でも感じるほどの「美」のオーラを感じる。

そして倒れているもう一人は、二人も見覚えがある人物、アンジェリーナ・クドウ・シールズであった。本来彼女は『仮装行列(パレード)』を用いて自身の容姿を偽装しているのだが、ダメージが大きく気絶しているためだろうか、その魔法も解けていた。

 

二人は倒れている顔見知りに駆け寄ろうとする。すると、ふっと二人に影が覆いかぶさる。

その影を横目で確認した二人は、驚愕で目を見開く。

 

 

「ははははははは、排除じょじょじょ!」

 

 

全く生気が感じられない総司…いや偽神が、二人の頭に向かって掌を向けてきている。彼の元々の身体能力を知っている二人からしてみれば、偽神が何をしようとしているのか容易く想像できた。彼は自分たちの頭を引きちぎるつもりなのだと。

唐突に訪れた回避不能の死の気配に、二人は体が動かなくなってしまった。そんな二人をよそに、偽神は二人の頭を掴む…

 

 

「…何やってんだお前ェ!」

 

 

…その直前に、偽神の顔面に高速のキックが叩き込まれた。その勢いで、掴みかけていた二人の頭に指が掠りながら、偽神が途轍もない速度で吹き飛ばされる。

死の危険から一時的に開放された二人は、自分たちを助けた存在にもまた心当たりを持っていた。

 

 

「零次君!間に合ったのね!」

 

「ああ。遅くなってすまないな真由美。…あのバカどもの喧嘩を見てられなくてここを離れたんだが…待っているべきだったかな」

 

 

そういいながら、零次はリーナと遠くの人影…光宣に目を向けた。起こしに行こうかとも考えた零次だが、偽神が激突したビルからガラガラという物音がしたのを見て、戦闘態勢を再びとる。

 

 

「おい、神気取ってる偽善者さんよ!さっさとオリジナルの体返して成仏しちまいな!」

 

 

…北山雫が来ない限り、零次に勝ち目は薄い。結界術と身体能力が取り柄ではあるが、向こうは己を超える速度にパワー、そして得体のしれない魔法を使ってくる可能性も…

 

 

「ははい、排除排除、ははは…驚愕、ここまでの抵抗を見せるとは」

 

 

立ち上がった偽神は、少しの間言葉がおかしかったが、すぐに立ち直って見せる。零次たちの耳に聞こえてきた「抵抗」という単語に、零次は未だに偽神の中で総司が生きているのだと理解した。

まだ勝機はある…零次はそう信じて、偽神との戦闘に臨む…!




魔法科世界の秘匿通信



・偽神がこのタイミングで現れたのは、総司の意識が予想以上に暴れまわったがゆえに、一時的に体の主導権が混同してしまったから。

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