Chu!筆遅すぎでごめ~ん!ムカついちゃうよねマジですいませんでした…
「しまッ…!?ガッ!?」
ドゴォン!と強烈な爆発音が大阪の空に響く。それは騰蛇の尾の叩きつけ攻撃によって吹き飛ばされてしまった零次がビルに激突してしまったことによる音だった。
その威力は凄まじく、激突されたビルはバランスを崩して崩壊を始めてしまう。幸いにもビル内に人はおらず、既に避難済みだったのだが、ビルの破片が落下していく先には未だ大勢の人々がいた。自分たちや目の前の人の末路を想像して絶叫してしまう人々。
しかしその末路を実際に辿ることはなかった。人々の頭一つ上に、まるで透明な壁ができたかのように障壁魔法が張られていた。周囲を見渡すと、破片が落ちてくる可能性のある範囲を四角形に囲う様に式が展開されていた。これは紛れもなく零次の放った式であり、彼が未だ健在であることの証明でった。命を拾い上げた人々はそれを知ることはないが、遠くから第三チェックポイントから第四に移動する途中であった束は少し胸をなでおろした。
人々が完全に崩壊したビルの被害が出ない位置まで離れた瞬間、結界を発動させていた四枚の式が再起動し、その姿を光の矢に変えて騰蛇にへと突貫していく。その矢は騰蛇に傷を負わせることこそなかったが…その意識を僅かにだが反らした。
「どこみてんだデカブツゥ!」
声に反応して騰蛇は火球を放つ用意をしながら背後へと向き直る。しかし、そこにあったのは零次の姿ではなく、一枚の式であった。そこから零次の声が放たれているのだ。言葉こそ発せないがそれを理解した騰蛇は、では零次はどこにいるかと困惑する。
その隙を逃す零次ではなかった。彼はブラフをしっかりと活用し、騰蛇の上を完全にとって、その大きな頭蓋に様々な魔法をかけ合わせた拳を放つ。
「(『重力制御』に『高速移動』…!更に拳に結界を張って一時的に世界の修正力を誤魔化し、通常よりも遥かに強力な『強化』を掛ける…!)」
「GYAAAAAAA!?」
零次が放った拳は、騰蛇を地面に叩きつけ周囲に甚大な被害を出すほどの高出力な一撃だった。しかし、そこは流石の零次。その被害を人々が受けないように、先ほど倒壊したビルの辺り…つまり既に十分な避難が行われたであろう場所に向けているので物的被害はともかく、人的被害は最小限に抑えられたと言える。
だが、それ程強力な一撃を見舞われたにも関わらず、騰蛇はすぐに体勢を立て直す。零次は脳内でその堅さに舌打ちするが、これは目論見通りではあった。
「(こいつはあのバカの戦力になりうる存在だ…ここまで強力なら、そのメリットはでかい…!)」
そう、騰蛇が突如現れた理由、それは他の十二天将の復活に合わせたからである。十二天将最強の騰蛇をここで殺害してしまえば、その分十二天将を味方にする理由が少し減ってしまう…騰蛇ともあろう存在が死ぬのかは定かではないが。
つまり、零次達がとるべき最善は…
「…束!『封魔結界』の式の展開はどうなってる!?」
『今第四チェックポイントに打ち込んだところ!最後の一つを設置しに行くわ!』
二人が狙っているのは騰蛇の封印であった。ここで騰蛇を沈めたとしても、それで必ず元の式に戻っているとは限らない。ならばこの場で封印してしまうことを彼らは選択した。
二人の言うチェックポイントとは、ある一点を中心として、まるで五芒星を描くかのように式を設置できるポイントの事であった。そして束の言葉から、後一つで封印の魔法が発動できることを確認した零次は、予定する位置まで騰蛇を移動させるべく行動を開始し始めたのだった。
「…早く次のポイントに行かないと…!」
束は魔法をかけて全力疾走していた。騰蛇と零次の戦闘が激化したことによる被害を心配する心はあるのだが、なにより今現在零次が騰蛇を抑え込んている位置は、発動しようとしている術式の効果範囲で、最も理想的と言える位置だったからだ。いかに零次が実力者と言えど、騰蛇を長時間同じところにはとどめておけないだろう。成ればこそ、一刻も早く次のポイントに向かわなければならないのだが…
「…っ!?貴方たちは…!?」
束の前に立ちふさがるエージェント達。こんな状況で束の妨害をしようなどと考えるのは、おそらく四葉家の人間だろう。おおよそ、零次が騰蛇を討伐すること自体には異論はないが、そのまま騰蛇が消滅する可能性を考慮して、再封印をされるのは阻止したい…そんな思惑で派遣されたエージェント達だろう。
自身の前に立ちふさがる集団に、束は非常に困っていた。
束は知る人ぞ知る強力な『言霊』使いの魔法師だ。そんな強力無比な魔法師相手に挑みかかってくるにしても、多少の対策はつきものだろう。恐らくは目の前の集団も何かしらの対策はしている。だが、普段の束ならそれすら強引に突破して勝利することができるだろう。だが今回は一刻を争っている、突破できるとはいえ時間はどうしてもかかってしまう。
どうやったらこの集団をかわすことができるのか、束が悩んでいるとき…!
「なっ、うああああ!?」
「…『ドライ・ブリザード』!?まさか…!」
「ええ、そのまさかよ。まったく零次君ったら、私をいきなり置いていくんだからひどいわよね?」
氷の弾丸で横槍を入れる人物が現れた。それは日本魔法協会の支部に零次とともに訪れていた真由美であった。彼女は機動力が無いため今の今までこの場に来れなかったが、とうとう追いついたのだ。
勿論状況は詳しく把握できていないのだが、自分の顔見知りとその前を塞ぐ集団。どちらに与するかなど即座に判断できよう。
ウィンクで自分の意図を束に伝えた真由美。それに頷いた束は走り出す。もちろん黒服のエージェント達はそれを妨害しようとするのだが、それを真由美が許すはずもなく、『ドライ・ブリザード』の牽制で彼らを束に近寄らせなかった。
そして、束は目的の場所まで走り出すのであった!
『零次!」
「…!」
判断は一瞬だった。束からの通信が、式の設置終了を知らせるものだと半ば確信した零次は、再封印の為に結界を展開する。
設置された式がまばゆい光の線を伸ばし、それが繋がっていくと、やがてそれは五芒星の形をとる。五芒星の形をとった瞬間、中心にいる騰蛇に向かって無数の鎖状のエネルギーが騰蛇を拘束したのだ!
「GYAAAA!…GAA!?」
「無駄だ、お前の狙いは分かっているからな」
拘束された騰蛇は、自身に備わっている魔法への抵抗力を用いて、この拘束魔法を無効化しようと試みる。しかし、それはなされなかった。なぜなら、その魔法は現在世界に『元からあったルール』として固定されているのだ。
そう零次が対総司に与えられた異能、『魔法を元からあったことにする』という異能だ。これはもともと、総司の『魔法を無かったことにする』異能に対するカウンターとして与えられた。
総司の異能は、魔法の発動をなかったことにして、世界を『元の状態』に戻す異能である。文章だけだとわかりにくいかもしれないが、要するに人が起こした異常を、世界が定めた正常に戻すという異能だ。
だが零次の異能は、世界の定めた正常を、世界を完全に騙すことで正常そのものを歪めることで総司の異能を無効化するものであった。
そしてその副次効果として、他の魔法無効化の手段に対しても強く出れるようになったのだ。だからこそ、騰蛇では、この異能で補強された魔法を無効化できない。
途轍もなく悔しそうな叫びをあげながら、騰蛇は眩い光に飲まれ、一枚の式に戻るのであった…
魔法科世界の秘匿通信
・総司の異能と零次の異能は、魔法の領域を超えた超常の力である。
・束の魔法『言霊』は、耳栓などをしていても無効化できないが、対策用の訓練法で精神を鍛えたら、ある程度は防げるようになる。
別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?
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いいともー!
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駄目だね~駄目よ、駄目なのよ~