あと超短いよ今回
「…来たか、作られし神よ」
「悪いが、俺は神になるつもりはない。橘総司という一人の人間だ」
「気づいておらぬとは言わせぬぞ、貴様の肉体は既に変質が始まっている。その状態でも現世に軽く500年は滞在できるようになっているはずだ」
「…」
東京某所で、二人の影が相対していた。一人は我らが総司であり、もう一人は、この日本の影の権力者である『元老院』のトップ、『四大老』の一人、東堂青葉であった。
東堂は総司について異常と言えるほどに詳しく、まさしく影の権力者の底の知れなさをまざまざと見せつけてきた。
「貴様のような不安定な存在をこの国置くことは避けておきたかったのだよ」
「…お前らが下手な動きをしなければ暴れたりしねえよ」
「否。私が言っているのは、貴様の伴侶が没した後の話だ」
「…!」
「貴様はもはや人の領域を超えているが、北山の娘はそうではない。愛する者を失った貴様が、悲しみのままに全てを破壊しつくす暴力の権化となったとき、日本のみならず世界全体が未曽有の危機に陥るだろう」
今回の四葉家の襲撃に関する黒幕は東堂であった。彼は四葉家のスポンサーであり、四葉家は彼に逆らうことは難しい。真夜ならあるいは反抗心を示せるかもしれないが、彼の襲撃に際する要求が、真夜に冷静な心を奪わせた。
「…お前、司波兄妹をどうするつもりだ」
東堂が四葉に要求したのは司波兄妹…正確には司波達也であった。今回の襲撃に失敗、もしくは襲撃を行わなかった場合、ありとあらゆる方法を以て、達也を四葉家から引き抜くとしたのだ。
これに真夜は激しく狼狽した。東堂が今までそう言った要求をしてこなかったこともそうだが、幼い頃に大亜連合による人体実験の影響で生殖能力を失った真夜は、世界を恨み、その後双子の姉であり、現在すでに亡くなっている深夜が生んだ息子である達也の世界を破壊する力を、双子の姉からの贈り物であると解釈していた。
達也の力を以て、やがて世界を破滅に導こうとしていた真夜は、その計画の最重要パーツである達也を奪われることを激しく恐れたのだ。
達也が世界を破滅させられれば、自身の命など最早不要とふんだ真夜は、総司がいなければ死んでいたであろう凶行に走った。自身への過剰強化である。
そこまでして達也を奪われたくなかった真夜は、勝算の薄い総司討伐に乗り出したのだった。
総司はそう言った旨の発言を真夜本人から聞き出した。そして友人であるレイモンドの力を借りて、東堂の居所を突き止めた。そうして今に至るわけである。
「…つまりなんだ、お前はまだ俺を襲い続けるってことか?」
「そうだ。だが…」
「だが?」
「貴様が私の要求に答えれば、これ以上の襲撃をしないという約定に加え、他の元老院から貴様の仲間を守ってやろう」
「…聞かせてみろよ、その要求ってやつをよ」
そして次に東堂が放った言葉に、総司は面食らう。だが、それで仲間の安全が約束されるならと、その要求を呑むのであった…
そして翌日、魔法界に激震が走った。その原因となったのは一つのニュースであった。
『四葉家当主の四葉真夜が、体調不良により当主としての業務を一時休止。そしてその休止中の当主代理を、橘総司とする』
このニュースが、世界を揺るがす。
「ってことで、四葉の当主代理になっちゃった!」(てへぺろ)
「「「「「なっちゃったじゃねえよ馬鹿野郎がああああああ!!!」」」」」
「ぎゃあああああ!」
翌日平然と登校してきた総司に、一同からの怒りの拳が突き刺さった。寸分たがわずすべてが顔面に直撃し、所謂レモン顔になった総司はそのまま生徒会室の窓ガラスを突き破って吹き飛んでいく。そして1秒後に窓とは反対側の入り口から「いきなりはひどない?」といいながらレモン顔のままの総司が生徒会室に戻ってきた。
「ひどいだと?お前がやったことがひどいわ!なんなんだよお前ェ!」
激昂する範蔵。周りの仲間たちは怒りの表情か困惑の表情を浮かべており、平然としているのは事前に聞いていた達也と深雪、雫だけだった。
「い、いやね?代理は代理でも、マジで名ばかりの代理だから!四葉に関する権力とかなんもないから!」
必死に弁明する総司だが、彼が四葉の当主代理になった真の理由を、一部以外の他者に話すことを禁じられてしまった総司は、核心に触れないようにしながら言い訳をしなければならない。
仲間たちの安全を確保するために、実質的な拘束として代理に就任したことは、決して漏らしてはならない。
しかし総司の頭で上手い感じの高度な言い訳を生み出せるわけもなく、総司はしばらく事情を知らない仲間たちからサンドバッグのように扱われるのであった…
四葉本家。総司の当主代理就任により、この世界で最も混乱が渦巻いているこの場所で、当主の席に未だ座る真夜は、憔悴しきりながらも、何かを企んでいるかのように顔を妖しく歪める。
「まだよ…次の一手で、今度こそあの男を…!」
世界は、さらなる混沌を迎えようとしていた…
次章予告!
「達也と」
「深雪が」
「「結婚!?」」
名ばかりの代理と高を括っていた総司に、年明け早々珍妙なトラブルが襲い掛かる!
「結婚するのか…俺以外のやつと…」
「ノーカウント!ノーカウント!」
「「結婚阻止に向かって全速前進DA☆」」
「フフフ…師族会議の会場を爆破して魔法否定の論調を強めてやる!」
「「邪魔!!」」
「あべし!?」
なんか変な奴からの妨害もあるけど、深雪と結婚したい将輝と、嫁の親友にチャンスを与えたい総司が結託して、達也の顔面をぶん殴ってやるZE!
次章!『今夜は(婚約を解消するまで)帰したくない…』編、略して師族会議編!(!?)スタート!
…え?四葉継承編はどうしたって?そこ(物語の舞台)に(総司が居)なければ(やら)ないですね。
別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?
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いいともー!
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駄目だね~駄目よ、駄目なのよ~