魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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では、隣のホテルで朝まで語り明かそうか…(ヒゲ並)

デスフェニ皆使ってて草。まあ、作者も使ってるんですがね。HERO最高!


九校戦編 その四

総司が外を走っていたからこその偶然により、衝突事故を回避することが出来た一高のバス。しかし魔法の形跡を見た達也と総司は車の運転手自らの突撃だった事に気づき、達也はまだ見ぬ敵を警戒し、総司は適当にゴリゴリタイムをしていた。

 

そんなこんなでホテルに到着した達也一行及び付属品のバカの前に、本来ならばここにいるはずのない友人が立っていた。

 

 

「エリカ?どうしてここにいるの?」

 

「ハイ深雪、一週間ぶりね」

 

 

そこにいたのは一行の共通の友人…どころか普段は一行のメンバーでもある千葉エリカだった。このお堅い21世紀末にしては少々過激な服装をしている。事実一高一年の何人かが鼻を押さえながらお手洗いに向かっていた。並の男子高校生ならば直視すら不可能なほどだろう。しかし前回も言ったが、ここにいる二人の男は残念ながら並ではなかった。

 

 

「深雪、エンジニアの先輩方が待ってるから俺は先に行くよ。エリカもまたな」

 

「え、ええ…達也君忙しそうだねぇ」

 

 

妹以外に興味を持つことすらない達也にはエリカの服装は「こんな公共の場でよくそんな格好ができるな…」ぐらいの感想しかない。対して総司はと言うと…

 

 

「My醤油ペイペイ二元論…」

 

 

虚ろな目をしながら何もないところをみてうわごとを呟いていた。因みにここに来るまで彼は変わらず元気だったのでいきなりの落差には他のメンバーも驚いている。驚いていないのは「分かる、分かるよ」と言いたげにうなずく雫ぐらいだった。君は何を理解しているんだ…?

 

 

「それで、どうしてここにエリカがいるの?一般生徒はまだ此処には来ないはずよ?」

 

「勿論応援に決まってるじゃない!それに今日は懇親会でしょ?」

 

「そうだけど、関係者以外は入れないわよ?」

 

「大丈夫よ!」

 

 

何やら企んでいそうなエリカのことをメンバーが眺めていると、その背後からこれまた友人が駆け寄ってきていた。

 

 

「エリカちゃん、コレ部屋のキー…って深雪さん」

 

「美月…随分と派手な服装ね」

 

「えっと…そうでしょうか?」

 

 

美月の服装はエリカと比べれば抑えめだが、持ち前のナイスバディと肉感的な感じがベストマッチ!しすぎていて正直エリカよりエロい。

 

 

「悪いことは言わないから、TPOにあった服に着替えたら如何かしら?」

 

「エリカちゃんに堅苦しいのは良くないって言われたんですが、やっぱり深雪さんの言う通りかもしれませんね」

 

「えー、いいじゃ~ん」

 

「そういえば、部屋のキーって言っていたけど、此処に止まるんですか?よく部屋が取れましたね?」

 

「ふふーん、嘗めないでよほのか!家のコネって奴は使いまくってナンボよ!」

 

「エリカってそういうの苦手そうだけど…」

 

「嫌いなのは『千葉家の娘』って色眼鏡よ」

 

「My醤油ペイペイ二元論…(コネは使いすぎるとよくないよ)」

 

「なんて?」

 

 

快活に笑ったエリカ達を見て、深雪は先の事故に対する不安が取り除かれていた。

 

 

「じゃあ私達ももう行くわね」

 

「はい、深雪さん、ほのかさん、雫さん、総司さん、また」

 

「じゃーねー!」

 

また会おう(キリッ)(My醤油ペイペイ二元論…)

 

「だからさっきからなんなのその言葉!?」

 

 


 

 

九校戦の懇親会は選手だけでも360人を超え、裏方も会わせると400の大所帯となる。何かと理由を付けて欠席する隠キャもいるので全員参加というわけにはいかないが、それでも300は超えるだろう。

 

そんな中、達也は多大なるストレスを感じていた。一高が嘗められないようにと一科生のブレザーを着せられたところまではよかったのだがそのサイズが若干合っていなかったのだ。だがそんなことは当然だ。あくまで予備の物を着ているだけで彼の物ではないのだから。

しかしストレスの原因はもう一つあった。総司が見当たらないのだ。あのバカの事だからまた何かやらかすだろうと監視する腹づもりだった達也は、そもそも標的が見当たらないことにイライラしていたのだ。

 

 

「大丈夫ですか?お兄様…」

 

「全然大丈夫じゃないな、正直ストレスで胃に穴が空きそうだ」

 

 

感情を失っている達也とは思えない発言。それに深雪は驚くが同時に、兄へは申し訳ないが少し嬉しかった。自分の事以外に強い感情を抱けなくなってしまっている達也が総司に対して感情を持てている事が、深雪に喜びと少しの寂しさを与えた。

 

 

「深雪さん、ちょっといいかしら?」

 

「はい、会長」

 

 

そこに真由美が現れ、深雪を呼びだした。深雪が離れていくと今度は別の来客の姿があった。

 

 

「お客様、飲み物でも如何でしょうか?」

 

「エリカ…?関係者とはこういうことだったのか」

 

「深雪に聞いたの?」

 

 

どうやらエリカの言う関係者とはウエイトレスとして働くという事だったらしい。

 

 

「エリカ、可愛い格好してるじゃない」

 

「でもさー深雪、達也君感想とか何も言わないんだよ?」

 

「急に求められてもな…」

 

 

戻ってきた深雪に愚痴るエリカ。今見たばかりであるため感想も何もないだろうと達也は考えていた。

 

 

「エリカちゃん似合ってるね、可愛いじゃん」

 

「「「!?」」」

 

 

直後三人の背後から声がしたので急いで振り向く達也達。しかしそこには誰もいなかった…が、エリカ程の美少女に気兼ねなく話しかけて服を褒め、なおかつ背後から一瞬で消えたとなれば、先程の声の主は十中八九総司だろう。

その事に気づいた達也は急いで周囲を見渡すと出入り口付近の女子生徒が屋内なのに風が吹いたかのようにスカートを押さえていた。恐らく総司の移動に伴う風の影響だろう。出入り口付近での出来事であれば総司は既に会場を後にした可能性が高い。

 

 

「今のって…多分総司君だよね?」

 

「ええ…あの人ならやりかねませんし…」

 

 

などと少々邪魔が入ったが、達也にコスプレは効かない、と言った話から深雪に幹比古を紹介しようとエリカはどこかに呼びに行ってしまった。

そしてまたまた彼らに声をかけるグループが。

 

 

「深雪、探したよ~」

 

「ほのか…」

 

「総司君見てない?」

 

「雫…」

 

 

ほのかと雫の仲良しコンビだ。因みに二人の名前を呼んだのは深雪であるが、前者は『何か用事?』と言ったニュアンスで、雫には相変わらず総司に対しての気持ちをプッシュしている事に対して呆れていた。深雪がこんな事を考えていたと雫が知れば『言えた義理じゃないでしょ』と呆れるだろう。

ようは恋する乙女かブラコンかの違いしかない。

 

 

「他の皆は?」

 

「あそこ」

 

 

雫が指さすところには一高のメンバー(達也と親しい面々を除く)が固まっていた。その集団はこちらをチラチラと見ており、達也がこちらに気づいたと知ると急いで目を逸らした。

 

 

「彼らは何をやっているんだ…?」

 

「多分、深雪と話したいけど達也さんがいるから近づけないんだと思う」

 

「俺は番犬か何かだと思われているのか?」

 

「そんなことないですよ!皆達也さんとどう接すればいいか分からないだけです」

 

 

事実向けられている目線に殆ど敵意のそれは無かった。あったとしても森崎を始めとした一部だけだ。一科としてのプライドもあるだろうが、彼らには単純に達也との接点がない。

 

 

「…深雪、皆のところに行っておいで」

 

「お兄様?」

 

「後で部屋に来ればいい。俺のルームメイトは総司だから心配することはないだろう。ほのかと雫も来て構わないよ」

 

 

イマイチ納得いかなそうな表情の深雪だが、彼女が兄の言いつけに背くはずもなくチームメイトのそばへ移動していった。深雪について行きながら、「ホントだよね?絶対だよ?」と興奮気味に達也に聞いてくる雫にほのかが苦笑いしながらついて行った。

 

 

「連れてきたよーってあれ?深雪は?」

 

「チームメイトのところに行かせた。後で俺の部屋に来るからそこで紹介する」

 

 

タイミング悪くエリカが幹比古を連れてきた。そして後半の台詞を聞いた幹比古はどこか気まずそうだ。

 

 

「別に無理にとは言わないぞ、幹比古」

 

「ち、違うんだ!初対面でこの格好は少し恥ずかしかっただけだよ」

 

「そうか?従業員としては妥当なものだと思うが」

 

「それでも、あの司波さんだよ…?」

 

 

幹比古は現在まで深雪との接触はない。だがこの数ヶ月で大人気となった深雪の噂は腐るほど聞いていた。曰く、完璧な人で優秀じゃない人材を必要としないとか(一年一科生談)曰く、超が付くほどのブラコンで、仲良くなりたいならまず兄と仲良くなれとか(総司談)、様々なものがある。幹比古の友人である総司の言を信じるとすればここ最近だが達也と親しくなった幹比古とのコミュ二ケーションは問題ないと思っている。思ってはいるがやはり初対面はキチンとしておきたいのが幹比古の心情であった。

 

その後幹比古は仕事に戻り、エリカは達也と少し話をした後、逃げるように去って行った。

 

 

 


 

 

一条将輝が深雪に見惚れていたところはバッサリカットして、会場にアナウンスが入る。どうやら今から来賓の挨拶が始まるようだ。

 

達也が舞台に目を向け「老師」と呼ばれる十師族の長老、九島烈の登場を待った…その時!

 

 

「っ!?」

 

 

達也に悪寒が走る。今から何かが起こると彼の直感は叫んでいたのだ。これは一体…?と驚く達也だが、直後その理由を知ることになる…

 

 

「…総司!?」

 

そこにいたのは九島烈ではなく、そう…

 

 

軽快に宝島ステップを踏みながら横移動してきた総司であった!

 

 

総司は思いっきり一高の制服を着ているので「一高ふざけてんのか!?」と言った声が上がる。

しかし、達也には見えていた。総司の奥に九島烈がいることを

 

 

「そこまでにしようか、()()

 

「オッケー」

 

 

なんと総司を名前呼びした烈は、会場にかけていた精神干渉魔法を解き、姿を現す。多くの人は烈がいきなり出てきたことに驚き、烈が奥にいたことに気づいていた面々は総司と親しげにしていた事に驚愕していた。

 

 

「まずは悪ふざけをした事を謝罪しよう。孫のように可愛がっているこの子を見たときに童心が沸いてしまってね。少々遊んでしまったのだよ」

 

 

この言葉に会場は騒然とする。あの一高の生徒が老師が可愛がっている男だと誰が想像できるだろうか。そもそも九島は関西に拠点を置くが、一高は関東に所在している。何故一高生を?二高生ではなく?と言った疑問はつきることはないが、少なくともその意味を理解した森崎他は顔を青くして呆然とするのであった…




魔法科世界の秘匿通信


・総司と老師はかなり昔からの仲


・雫との散歩前編で総司が夜に待ち合わせしていた人物は老師である。



ドライトロンが規正掛かったのが一番嬉しい。白いイボイボがよお…!


次回はまだ競技には入らないぜ!

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

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  • 駄目だね~駄目よ、駄目なのよ~

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