魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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リローデッド・メモリがリリース予定を更新しよった!祭りじゃ祭りじゃー!

七月が今から待ち遠しいぜ!


ところでこの話は説明回だ!ぶっちゃけギャグは入ってないから駄文だし読みにくい!そういうのが嫌いなら前までの話を読んで次回からの九校戦開幕まで待つ事をおすすめするぜ!


九校戦編 その六

総司の衝撃のカミングアウトにより、場が凍り付いていた。誰もが驚きのあまり声を上げられないと言ったところだ。

しかし、やっとの思いで口を開いたレオにより、雰囲気は一気に弛緩する。

 

 

「安倍晴明の…一族…!?お前が!?」

 

「オイ、お前がってなんだ」

 

「いやだってお前魔法使えねーじゃん」

 

「使えますー、ちょっとなら使えますー」

 

「でもそんだけだろ?とてもあの安倍晴明の家系とは思えないんだよ」

 

「コレにはマリアナ海溝よりも深い事情がね…」

 

「実はマクラン海溝(世界一浅い海溝)より浅かったりしないか?」

 

「なんかレオ当たり強くない?」

 

 

驚愕で動けなかった者達は二人のいつもと変わらないやりとりを見て顔を破顔させる。その中にはなんと達也も含まれていた。

 

 

「いやいや、ホントに事情があってな…」

 

「事情ねぇ…それは一体何なんだよ?」

 

 

しかし至極真面目に話す総司(いつの間にかペニーワイズの化粧をしている)にレオが聞く姿勢を見せた。

 

 

「俺が魔法があまり使えないのはな、魔法演算領域が閉じてるからなんだよ」

 

「…なんだって?」

 

 

だがギャグ全振りの顔面のまま、総司はかなり重大なことを話し始めた。

 

 

「そのままの意味だよ。俺の魔法演算領域は閉じられてるんだ」

 

「具体的に言ってくれないか?総司」

 

「そうだな~…領域への入り口が鍵の掛かった扉で閉じられてる感じかな」

 

「魔法演算領域が閉じられている…とすれば、お前は一切魔法が使えなくなるのではないのか?」

 

「閉じられてない部分もあるんだよちょっとだけ…医者が言うには本来の0.0001%以下しか使えてないらしいが」

 

「なんだと…!?」

 

 

質問をしていた達也を含めた全員は驚愕をし、中には哀れみを抱く者もいた。しかし、達也は別の可能性を思いついていた。

 

 

「(…もし、こいつが俺にかけられたような手術を受ければ、魔法力が回復するんじゃないのか…?)」

 

 

達也は元々BS魔法師…一部の異能に長けた超能力者であった。『分解』と『再生』、この二つの異能しか使えなかった達也は母親の深夜と叔母の真夜により魔法演算領域を作り出す実験の被験者として手術を受け、感情と引き換えに仮の魔法演算領域を手に入れていた。デメリットの割に大した物ではなかったが。

 

しかし、総司の言からは彼には魔法演算領域が元からあり、使えなくなっているだけだ。もしかすれば、あの手術と似たようなことをすれば彼の魔法力は覚醒するのではないか、と。

だがそれは四葉に刃向かう達也からしては面白くない。そんな奴ではないとは思っているが…もし総司が感謝で四葉に仕えることになったら達也の勝ち目が一気にゼロになってしまう。

 

総司には悪いが、この事は秘密のままで…そう考えた達也であった。

 

 

「…話は変わるが、お前は橘氏の血も引いているのか?」

 

 

橘氏とは、日本における貴族として有名な源氏、平氏、藤原氏に次ぐ四大貴族の一つだ。もしかしたらその家の血も引いているのかもしれないと考えたが…

 

 

「いや?違うぞ。俺の両親は母親はともかく、父親は一般人だからな」

 

「そうなのか?安部といえば魔法師界では注目されそうだが…」

 

「それは、安倍晴明以降、安部家は衰退しているからだね」

 

 

達也の疑問に答えたのは総司では無く幹比古だった。

 

 

「安倍晴明の没後、徐々に衰退した安部家はもはや、古式の家でも話題にならない家系だ。むしろ生き残りがいたことにすら驚愕してるよ」

 

「そうみたいだな。事実烈爺とのコネクション自体は安部ではなく俺の母個人の物だったらしいし」

 

 

どうやらこの世界では安部という家はもはや過去の偉人の家だねー凄いねーぐらいしか思われないほど力を持っていなかったようだ。

 

 

「この名前は烈爺が付けたんだ。俺の両親は名前を付けると俺の運命を決めてしまいそうだったから付けないことにした…って前に烈爺が言ってたな」

 

 

予想以上に重い名前の由来だった。

 

 

「じゃあ何故橘の名を?」

 

「橘家は四大貴族の中でも、知名度が比較的低いし橘なんて名字探せばそこら辺にいる。カモフラージュしやすい点から俺の名前を橘にしたらしい」

 

「でも、総司君は結局刺客に追われてるよね?」

 

 

雫が四月に遭遇した刺客のことを思い出し、思わず口に出してしまった。事実雫は「しまった」といった顔で口を抑えているし、他の面々は驚愕している。

 

 

「刺客だって?…総司どう言うことだ?」

 

「スーッ…」

 

 

明らかに目の色を変えて総司を見やる達也。この視線が心配は心配でも、総司では無く深雪に危害が及ぶ可能性を危惧してのものだと気づいた総司は下手打てば殺されるな…と思いながら説明する。

 

 

「…雫ちゃんの言う通り、俺は結局敵に正体がバレたんだよな…アレは単に俺の情報を漏らした奴がいるとしか思えんがな…」

 

「お前を狙う敵とはどう言った組織なんだ?」

 

「俺を狙っているのは所謂『伝統派』って言われてる奴らだ」

 

「なんだって!?」

 

 

総司の発言に思わず叫んでしまった幹比古。

 

 

「幹比古、『伝統派』とは確か…」

 

「伝統派は主に九の家に敵対する古式魔法師が手を組んで結成された組織だ…古式魔法師と言っても、僕の家は伝統派と敵対しているからそこは安心してくれ。でもなんで伝統派が…?」

 

 

伝統派が総司を狙う理由、それが幹比古には理解出来なかった。確かに今の総司は九島の家の人間といっても差し支えないが、元々は関係ない家の出身だ。預けられる前から狙われていたとすると、総司が狙われる理由が無かった。

 

 

「ああそれはだな、何でも『占い』に出たんだってよ」

 

「…『占い』?」

 

「ああ、所謂占星術と言う奴だな。どうやら俺が生まれる時に、『安部の家に古式の、魔法そのものの概念を歪めかねない赤子がうまれるであろう』って占いがあったらしくてな。それを九へのジョーカーだと考えた伝統派は生まれたばかりの俺を捕らえて洗脳して、対九用の兵器に仕立て上げようとしたらしいんだ」

 

「そ、そんな占いが!?聞いたことも無いぞ!」

 

「だろうな、伝統派と敵対しているからこそ知らなかったんだろう」

 

「だが、その洗脳は失敗している訳よね?なんでまだ狙われてんの?」

 

 

エリカからの質問に総司は少し考え込んで答えた。

 

 

「コレは俺の推測も入るんだが…奴らは俺を九の家に対して兵器運用しようとしてた訳で、でもその兵器は敵であるはずの九に奪われている…」

 

「つまり、お前が敵に回ったから始末しようと?」

 

「だろうな。そもそも赤ん坊の時に引っ捕らえようとしてたぐらいだ。奴らからしてみれば今の状況は、逆転の一手となる強化アイテムを敵に奪われたみたいなもんだからな、奪い返せないなら破壊しかないだろ」

 

「なんて幼稚な…」

 

 

深雪は思わずそんな程度の理由で人を殺そうとする伝統派に怒りを露わにした…その怒り方はまるで叔母の真夜のようだ…

 

 

「それで?総司君はどうするの?私…心配だよ」

 

「…大丈夫だよ、雫ちゃん。俺があんな程度の奴らに負ける訳無いだろ?」

 

「…信じてるから」

 

「ああ、是非そうしてくれ」

 

 

いきなり展開された恋人同士(に見える)やりとりに、達也と深雪はほほえましく見つめ、他は全員『またか…』と呆れていた。

 


 

もう遅い時間だからと全員が部屋に引き返した後、二人となった総司と達也。ここで達也は今まで聞けなかった事を聞いてみた。

 

 

「総司、お前のその身体能力はどうやって手に入れたんだ?」

 

「知らん」

 

 

あまりの即答とその意外性に達也は目を剥く。

 

 

「その能力は家系ではないのか?」

 

「違うだろ、多分。安倍晴明がパワー馬鹿だったとか聞いたことねえし」

 

「…それもそうだな」

 

「んじゃ、お休み」

 

「ああ…」

 

 

そうして総司の衝撃の正体が判明したことに達也は、『この事は先輩方には黙っていた方がいいな…』と考えながら眠りにつくのであった。




魔法科世界の秘匿通信


・総司が第二高校ではなく第一高校に通っているのは敵の本丸である関西から離そうという烈の配慮である。


・総司も医者も、総司の魔法が使えない理由を『魔法領域が閉じられている』という認識でいるが、全くの間違いである。

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