魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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評価バーが赤くなっていて「ひょえええええ!」となっている作者です。

胃に穴が空きそうですが、どうにか書き上げたので、ご覧ください。


入学編 その三

とある部屋の一室…

 

誰かのパーソナルデータを表示しているモニタを、妙齢の美女と一人の老紳士が見つめていた。

 

 

「失礼ながら、この少年に何かご関心を向ける何かがあるのでしょうか。この老骨の目には、さっぱり分かりませぬ」

 

 

老紳士が美女に非常にかしこまった言葉遣いで質問する。言葉遣いからして彼彼女の関係はさしずめ執事とそのご主人であろう。

 

 

「ええ、あるのですよ()()()()。彼には、達也さんを凌ぐほどの…ね」

 

「なんと…達也殿をこの少年が凌駕するとおっしゃるのですか?()()()

 

 

ここは()()()本邸の一室。現当主である四葉真夜が、自身の側近である葉山に少年の力を説明する。

 

 

「彼は非常に特異な存在です。彼の力を向けられてしまえば、どのような国家でも沈めてしまえるでしょう…この四葉でさえも」

 

「ですが、その点で言えば達也殿も同じではありませんか。それほどまでに警戒する必要が?」

 

「簡単な事です。()()()()()()()()()()()()のですから。警戒は必要です」

 

「なんと…!?」

 

 

この作品をご覧の紳士淑女の皆さんはご存じだろうが、司波達也は後に個人で国家を凌駕するとされるほどの力を持っていると言われるようになる。

しかし、このモニタに映っている少年はその達也も超えるという。にわかには信じられない葉山は冗談か何かだと狼狽する。

 

 

「しかし、この少年は名家の者ですらなく、さらには孤児ではありませんか。そのような者が達也殿を超えるとは信じがたい事です」

 

「私も最初は信じられませんでした…ですが、あのように必死になって警告する我らがスポンサーの様子を見せられては信じるしかありません」

 

「あの方が…!?」

 

 

真夜の言うスポンサーとは、葉山の本来の主人であり、日本政界の黒幕である東道青波のことである。黒幕と呼ばれるだけはあり、日本を裏から牛耳っていると言っても過言ではないだろう。そんな東道がわざわざ一人の子供に警戒心をあらわにするなど、葉山の経験にはなかった出来事だ。

 

 

「達也さんには既に、彼を警戒するようにと言い含めました…接触済みだったのか幾度も首をひねられましたが」

 

「ともかく、達也さんには期待をするところです」

 

 

そう締めくくる真夜の表情には微かな不安が見て取れる…

そしてその肝心な少年の名はー

 

 

「橘…総司…」

 

 

あのバカ(総司)だったのである。

 

ではそのバカは今何をしているのかというと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「カロリーメイトフルーツ味を、食えー!」

 

「何だよその食べ物!?おっおいやめろ、フガフガ…!うめぇ!何だコレ!?」

 

「ヨシ!」

 

 

新たに出来た学友に謎の食べ物を食させ、指さし確認のポーズ…っていうか現場猫のポーズをとっていたのだった。

 

 


 

司波達也は困惑していた。

昨日、学校から帰宅すると叔母である真夜から「橘総司に気をつけろ」という旨の電話が来たのだ。達也にはわざわざ真夜が連絡を寄越すほどなのか?そもそもあんなヤツが?と疑問符で頭がいっぱいだったのだ。

今目の前で繰り広げられているのは総司が新たな学友、西城レオンハルト通称レオに対し奇妙な行動をとっているだけだ。それはレオからしてみれば、「おもしれーヤツ」扱いなので特段問題は無いが、やはり警戒する必要性には疑問を呈さなければならない。

 

だがやはり昨日…入学式前に見せた魔法なしの高速移動は常軌を逸していた。確かにそこは警戒する必要があるだろう。

 

 

「おい、達也!コレ結構うまいぞ!食ってみろよ!」

 

「い、いや俺は遠慮しよう」

 

「フタエノキワミアー!」

 

「フガッ!?」

 

 

レオが先程食べさせられていた食品を達也に勧める。達也は一応警戒して、ついでに言えば今から食堂に行こうと思っているので食べ物を今入れる必要は無いと考えたからだ。総司によってその考えは潰されてしまったが。

謎の奇声を発しながら達也の口に無理矢理食品をねじ込む総司。食べた瞬間、達也はコレがフルーツ風味であることと、なぜだか知らないがコレの元々はバランス栄養食だと言うこと、一時期自分がそのバランス栄養食に()()()()()ことを感じ取る。前者はまだしも後者は達也にとっては一切身に覚えのないことである。まあ中身(声優)には覚えはあるだろうが。

 

 

「…確かにうまいな」

 

「だろ?」

 

「あたりまえ体操」

 

「そんな体操は存在しない」

 

 

達也は普通にうまいことに若干イラッときたので総司に無言の腹パンをお見舞いする。崩れ落ちる総司はその瞬間、「お前もLDSか…?」と言っていたが達也は完璧に無視した。

 


 

 

その後秒で立ち上がった総司と共に、達也ご一行様は食堂に来ていた。料理を一口口にするたびに「うまい、うまい」とまるで煉獄さんのように連呼する総司が非常にうるさい。

 

 

「お兄様、ご一緒してもよろしいでしょうか?」

 

「深雪…」

 

「うまい、うまい」

 

 

そこに合流ように深雪がやってきた。やはりブラコン、愛するお兄様と昼ご飯を共にしたいらしい。それを待っていたかのように迎える達也は仲睦まじい兄妹として実に絵になる。総司がいなければ百点満点であった。

だがやはり、新入生総代の美少女にはいつも追っかけのファンがいるようで、彼女の後ろには相変わらず一科生が多く群がっていた。

 

 

「では皆さん、私はお兄様とご一緒に…」

 

「君たちこの席を譲ってくれ」

 

「っ!」

 

「うまい」

 

 

出たよ森崎、やっぱクズやな!と作者は思うがやはりいい踏み台だとも思う。いいだけで高くはないが。

 

 

「はあ!?あたし達まだ使ってんのよ!というかいきなりそんなこと行ってくるやつの言うことなんて聞けないわよ!」

 

 

森崎の物言いにエリカが抗議すると、森崎が更に語気を強めて言い放つ。

 

 

「出来損ないの二科生の分際で何を言う。ここは魔法科高校だ、実力が全ての世界で、補欠ごときが粋がるな!」

 

「ちょっと!」

 

「言い過ぎ…」

 

「うまい」

 

 

一科生の中からも批判が飛んでくる程の発言にエリカとレオはキレてしまった。総司は状況に気がつかず、一心不乱に食事している。

 

 

「そもそもだ!「うまい」お前達のような補欠は「うまい」この高校に入学できただけでも「うまい」幸運なんだ!「うまい」自分達の「うまい」身分をわきまえ「うまい」ろ二科生ど「うまい」もが!「うまい」…」

 

 

森崎は更に罵倒を続けたが、総司の食事がラストスパートに入り、ペースが速まったため台詞を思いっきり邪魔されている。

 

 

「…さっきからお前、うるさいんだよ!」

 

「うま…え?」

 

 

森崎に指摘され初めて状況を理解した総司。彼の目線は、森崎達一科生、それらをにらみつけるエリカ達、一科生の、特に森崎に強い不快感を示している深雪が目に入る(深雪はごまかしているが)。

一瞬で状況を理解した総司は森崎に問う。

 

 

「あー、ゴメンゴメン。で?何の用?」

 

「ふざけるなよ!俺達に席を譲れと言っているんだ!俺達に対して、劣っている貴様らウィードが文句を言うな!」

 

「ふーん、劣ってる、ねえ…」

 

 

総司の表情は今までで一番険悪になる。これ以上はまずいと達也が退席を進言しようとした時、総司が口を開いた。手遅れだった。

 

 

「劣ってるってんなら、総代である深雪ちゃんより君たちは劣ってるよね」

 

「…な、何の話だ」

 

「今君が言ったんだよ?劣っている奴が文句言うなってさ…君たち気づいてないかもだけど、深雪ちゃん嫌がってるよ?」

 

「何だと!?」

 

 

深雪が隠していた感情をあっさりと見抜いた総司。コレには気づかなかった森崎達はモチロン、本人の深雪や妹の外の顔の完成度を理解している達也も驚いた。

 

 

「君の理論だと、劣ってる人間は優れている人間に文句を言ってはいけないんだよね?ならこの状況、君たちより優れている深雪ちゃんに対して、君が文句を言っていることになる」

 

「な…な…!」

 

「優秀な人間に劣等は逆らっちゃダメなんだろ?深雪ちゃんは俺達…正確には兄貴と一緒に居たがってる。正義はこっちにあるぞ?」

 

「ふざけるな!」

 

「ふざけてんのは君だ。それに君たちは深雪ちゃんと近づきたいのかもだけどさ、ここで深雪ちゃんの要望どうりにならなかったら、その原因の君たちの評価は相対的に下がってしまう。お近づきどころの話ではないなあ?」

 

「司波さんは俺達一科生と共にあるべきなんだ!お前達劣等の二科生と関われば悪影響がでる!」

 

「それを決めるのは深雪ちゃんであって君じゃない。尊敬してるって割には深雪ちゃんを自分の所有物みたいに言ってるな?」

 

「なッ!?そ、そんなことは…」

 

「どうやら君たちは魔法師としての技術は上かもしれないが、人間としての社交性については俺達の圧勝だな?こんな奴らと一年間も同じクラスだなんて深雪ちゃんが可哀想だ」

 

 

総司の発言がツボに来たレオとエリカは爆笑し、美月はアワアワしている。

 

 

「じゃあこう言えばいいかな?深雪様がご迷惑を被っていらっしゃる。退出願えますか?」

 

「お、お前…!」

 

「出口はあちらですよ?…もしかして目が不自由でいらっしゃる?案内いたしましょうか?」

 

「ふ…ふざけ…!」

 

 

総司に煽られて言葉も出せない森崎。そしてこれ幸いと深雪がとどめを刺す。

 

 

「彼の物言いに賛同するわけではありませんが、今日はお兄様達とご一緒させていだだきます」

 

「あ…」

 

 

かくゆう深雪も兄を罵倒されて気が立っていたのだ。これで彼への仕返しとした。

 

 

「で?返事は?」

 

「…くそっ!」

 

 

悔しがりながら出口に足早に向かう森崎を含めた一科生達。

 

 

「ご利用ありがとうございましたー二度と来んじゃねーぞ」

 

 

最後まで煽る総司。深雪の方を向いて言う。

 

 

「ほら、お兄さんが待ってるよ。早くしないと昼休憩終わっちゃうよ」

 

「ありがとうございます。総司君」

 

「いやいや、当然の事サ!あと敬語はやめてケロ、君もいらんよ」

 

「分かったわ、総司」

 

「よろしい、じゃ俺先に教室戻っとくわ!」

 

 

そう言って総司は去ってゆく。達也はこういった争いがもう起こらないように願ったのだった…

 

 

 

 


 

 

「いい加減にしてください!深雪さんはお兄さんと一緒に帰ると言ってるじゃないですか!」

 

 

しかし人生とは無情である。午後の演習見学に引き続き下校前の校門でのイザコザである。

 

 

「大体、貴方たちに深雪さんとお兄さんを引き裂く権利があるんですか!」

 

「ちょっと美月…そんな、引き裂くだなんて…」

 

「?」

 

「イー↓シャン↑リンチー↓チン↑シャオ↓ラー!」(威嚇)

 

 

一科生達は意見を撤回するつもりはないようだ。総司の威嚇にはかなりビビってるようだが。

 

 

「うるさい!一科生には一科生の話があるんだ!二科生が口を挟むな!」

 

「同じ新入生じゃないですか!今の段階でどれだけの差があるって言うんですか!」

 

「あっおい待てい(江戸っ子)!その発言は奴らのぶち切れポイントやで」

 

 

総司の警告通り、森崎はキレた。今の言葉やはり彼を刺激するには十分だったのだ。

 

 

「そんなに見たいなら見せてやる!才能の差ってヤツをな!」

 

 

キレた森崎が腰のホルスターからCADを取り出す。どうやら随分キレているようだ。

すると総司がおもむろに足を上げた。

森崎が照準を達也に合わせた瞬間、総司は…

 

 

「バトルドーム!」

 

 

と叫びながら地面を踏みしめる。そのあまりの威力に地面が飛び散っていく。

更に総司はその破片で一際大きい物に狙いをつけて、

 

 

「ボールを!相手のゴールに向かって、シュート!」

 

 

思い切り蹴り抜いた。飛んでいった破片は森崎のCADに直撃、()()()()()()CADを弾き飛ばす!

 

 

「…は?」

 

 

誰が漏らした言葉か、総司がしでかした行動に全員度肝を抜かれている。今度は真由美と違ってしっかり見ていたから理解出来ただろう、総司は一切魔法を使わずに今の芸当を行ったと。

そんな総司は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チョンパァ!」(勝利)

 

 

と雄叫びを上げたのだった。




橘君の豆知識

・彼の出生について知っているのは東道青波だけ

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

  • いいともー!
  • 駄目だね~駄目よ、駄目なのよ~
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