以前の内容に自分自身でも異常な点を見つけ、修正よりも新しく書き直した方が早いと判断しました。
本当に申し訳ありません。
九校戦八日目。この日は新人戦モノリス・コードの決勝トーナメントが行われる。
そんな中、昨日はミラージ・バットに出場していたことにより観戦に来れなかった深雪、ほのか、スバルの三人や、ミラージの方を観戦していた生徒達も、今日はモノリスの観客席に集まっていた。
「雫、総司さんの所に行かなくて良いの?」
「大丈夫、朝のうちに総司君パワーは貰ってきたから」
「なんだそのパワー…」
ほのかからの質問を受けた雫はどこかツヤツヤした顔で答え、横にいた達也は思わず突っ込まずにはいられなかった。
「総司君と達也君って同室よね?雫が来たの知らないの?」
「総司は毎朝五時に起きて部屋を出て行くからな。むしろほのかが見ていそうなものだが」
そう向けられたほのかは途端に顔を赤くして俯く。見ていないようだが、どうやら理由が言いたくないらしい。
「ほのかは見てないよ。だって『達也さん…ふへへ』って言いながらヨダレ垂らして熟睡してたんだもん」
「雫…!?」
唐突な親友からの裏切り。ほのかは慌てふためき、達也に「違うんですこれはあのそのえっと…!」と必死に弁解している。
他の面々は雫の今の暴露が総司と雫が出会った日に下着の色を暴露していたのに似ていると感じ、「本当に好きなんだなぁ…」と雫を生暖かい目で見ていた。
「そう言えば、深雪さんは総司さんの試合を見るのは初めてではないですか?」
「ええ、今まで競技が被っていて、ログでしか彼の試合を見ることは無かったわね」
「総司君の圧倒劇は必見だよ…!」
「圧倒すぎて理不尽だろアレ。魔法効かないんだし」
美月が深雪に問い、そこに雫が茶々を入れる。その雫にレオがツッコミを入れた。
そうやって各々が会話を続けていると…
「…そろそろ始まる!ほのか、達也さんも勘違いしてないからもう弁解はいいと思うよ」
「えっ!?そ、それなら…で、でもあながち勘違いって訳でも…」
「いいから」
「う、うん」
総司の試合に集中したい雫は先程からずっと達也に弁解していたほのかにやめるように言いつけた。
そして試合開始のサイレンが鳴り響き、一高対九高の試合が始まった。
ステージは渓谷ステージ。くの字型に湾曲した人口の池を中心に両岸には高い崖と低い草地が広がり、他のステージと比べて複雑な地形を活かした戦術を取る必要があるステージだ。
そうなってくると、一高有利の雰囲気が若干傾く。九州の第九高校は大亜連合に近いという地政学上の理由から三高と同様に戦闘に関連する魔法や技能の養成に力を入れている。
これまでの戦法を見ると一高は森崎達がモノリスを開けてから総司が移動を開始するという戦法だ。そこから考察されるに、総司はモノリスの『鍵』となる魔法すら使えないのではないか?と推測されていた。仮にそうだとすれば、森崎達がモノリスを開けなければ総司はコード入力が出来ず、相手を全滅させるという手段を執るしか無くなる。しかし、それだと物理で攻撃できない総司では渓谷ステージの性質を利用してくるだろう九高に手こずる結果になってしまうだろう。
「…さて、どうやって攻略するのかしら」
天幕内でモニターを見つめながら真由美が呟く。
すると…
「…えっ!?」
「…なるほど、その手があったか」
真由美が驚愕し、克人が納得したように頷く。
モニターの向こうでは、総司が森崎と五十嵐の二人を
高低差が明確で、人工物が少ない渓谷ステージでは高いところに上れば下を見渡すことで索敵が可能だ。
一気に登り切った総司は周囲を見渡し、九高の陣地を発見する。そしてそこめがけて飛び降りた。見事モノリスの目の前に躍り出た総司達。九高側の選手はポカンと口を開けている。
それに構わず森崎がモノリスを開けた時、やっと九高選手達は我を取り戻し、総司達に攻撃を仕掛けた。
脇から飛び出た森崎達は、引きながら、しかしモノリスには向かわせないように牽制を行う。
そして総司は妨害を完全に無視して一心不乱にコードを打ち込む。総司が何も出来ないよう先に他二人を落としてからの作戦を主にしていた九高は出鼻をくじかれ、そのまま総司がコードを入力し終わって試合が終了した。
「…あんな事をするなら先に言え。恐怖で足がすくむところだったぞ」
「いや~ゴメンゴメン!アレが一番確実で手っ取り早いと思ったからさ!」
次の試合まで時間があるため天幕まで引き返してきた森崎と総司。どうやら先程の総司の行動は作戦に無かったらしく、森崎が不満を述べていた。しかし、その後なんだかんだで対応できていたのはひとえに森崎達も総司に染まってきたということなのだろうか。
「総司君!」
「…僕は早めの昼食を取ってくるよ」
「?おう、またな」
戻ってきた総司を見つけた雫が名前を呼びながら近づいてきた。カップルの間に挟まるのは勘弁願いたい森崎は時間的に昼なのを利用して離脱する。急な森崎の発言に疑問符を浮かべながら別れを告げて雫に近づく。
「…?どうしたの雫ちゃん、何かいやなことあった?」
「総司君…それは、その…」
近づいてきた雫の表情がイマイチ優れない事に気づいた総司。何かあったのかと問いかけると雫はどこか目を伏せながら言った。
「総司君の試合を見た深雪が…倒れたの」
「…何?熱中症か?」
「分からない。でも、達也さんが一瞬、『魔法演算領域のキャパシティオーバーだと…!?』って言ってたから、熱中症ではないと思う」
「キャパシティオーバー?なんでだ、深雪ちゃん体感温度を涼しくする魔法でも使ってたのか?」
「いや、魔法なんて使ってなかった。でも達也さんはそう言って…」
「深雪ちゃんは今どこに?」
「部屋に達也さんが連れて行った」
「…なら安心か」
「???」
総司はとある理由により達也が『再生』を持つことを知っている。深雪を完全に治療する為に部屋に連れて行って、目撃者がいない場所で行うつもりなのだろう。
そう合点して総司は雫と昼食を取りに行った。
総司達が昼食を取りに行った時、森崎と行き先が同じで、尚且つ総司達の到着が早すぎた為にブッキングし、三人で食べることとなって結局ラブコメ時空から退避できなかった可哀想な森崎は放っておいて、とうとうモノリスの決勝が始まった。
どうやら相手の一条将輝は強敵であると、克人から聞かされた総司は、先程言われた将輝の戦術の特徴を思い返していた。
『一条は十師族の中でも最強の魔法師たり得る男』、『爆裂と身体強化を得意とし、トップスピードは総司にも匹敵する』。
正直言ってこの二つだ。一つ目に関しては特徴ですら無い。しかしそう評価されていると言うことはなかなかの強者だ。そして二つ目のスピードが総司と同レベル、と他でもない克人が言ったのだ。機動力勝負では五分五分。もし一対一になれば、物理禁止、魔法の有無で将輝が有利だろう。
ここまでの試合、三高はずっと相手をノックダウンさせて全滅させる戦術をとっていた。その脅威的な機動力は見せていないが、いざとなれば開帳してくるだろう。
情報共有を終え、いざ試合直前。ステージは平原ステージ。見通しが良く、遮蔽物の存在しないこのステージでは、普通なら三高有利だ…しかし、今回は総司がいる。最初からお互いのモノリスの位置が分かっているので、一高は先程の準決勝のときのように、総司が二人を抱えて突貫、そのままコードを入力するという作戦に決定した。
そして試合開始のサイレンが鳴ったと同時、総司が二人を抱えようとして…
一高のモノリスが開いた。
「なっ!?」
思わず驚愕の声を漏らす森崎。そして、その付近に降り立つ一人の男…
「…他の試合では、彼らは実に素晴らしい戦術を練って挑んできた。それを真正面から叩くのが、勝負というものだ…だが、君たちの試合は、相手をただ一方的に叩きのめすものだった。相手とぶつかり合う気のない、対話をする気のない君たち相手には、同じ戦法で相手をしようと思ってね…」
その男は一条将輝。三高の絶対的エースにして十師族最強の魔法師とされる者。
「さあ、一高諸君、勝負と行こうか!」
「…因果応報ってこういうことなのかな」
ため息をつく総司。後ろからは明らかに普通の魔法師よりも速い速度で迫ってきている他二人の気配もする。自分達の戦術をそっくりそのまま返されたことを理解した総司は、しかし対抗策が無い訳でも無かった。
「俺が一条を相手する!お前達二人で残りを頼んだ!」
「おう!任せろ!」
「…ああ、分かった」
試合を通してかなり打ち解けた五十嵐は景気よく返事をするが、森崎の声は重い。この間の『早撃ち』で真紅郎に完膚なきまでに負けているからだろう。だが今はモノリス・コード。森崎が若干苦手としていた『早撃ち』と違ってここならば真紅郎に勝てるかもしれない。そう思った森崎はなんとか了承の意を出した。
一高対三高の試合は白熱していた。
またも一高のクソ戦術によりつまらない試合が展開されると思っていた観客達はヒートアップしている。
対して一高側は雰囲気が少し悪くなっていた。
「総司君達が押されるなんて…」
「流石は一条家の御曹司と言ったところか」
「この展開は総司達に取ってかなり厳しいだろうな…」
エリカ、達也、レオはそれぞれ所感を述べる。事実、戦闘面では両者拮抗していた。
超人的身体能力を持つ総司が、将輝に対して土を固めた剛速球やら、地面を蹴り抉って面で攻撃したり、拳の風圧で押さえ込めてはいるが、将輝も負けていない。
「あっ!?総司さんが吹き飛ばされた!?」
「そんな!アレって怪我してる威力じゃ…」
「大丈夫、総司君はあれぐらいじゃ傷つかない」
将輝が発動した『偏倚解放』により吹き飛ばされる総司。総司が吹き飛ばされるなど想像もしなかった事だ。美月やほのかが焦るのも無理は無い。だが、雫は総司があの程度の攻撃ではダメージが無い事を理解していた。その雫に続くように達也が告げる。
「そうだな、一条は総司が移動や攻撃のために体勢を変え、踏ん張りがきかなくなった時に魔法を打ち込んでいる。いくら総司が堅くとも、踏ん張れなければ魔法が使えない総司は吹き飛ばされるしか無い」
達也の言う通り、将輝は総司の僅かな隙に攻撃を加えて上手く妨害を行っている。こう言った技術にやはり十師族最強の名は伊達では無いと感じる。
他の二人も、森崎はクイック・ドロウやドロウレスなどの技術で食らいついているが、真紅郎の『不可視の弾丸』に苦戦を強いられている。五十嵐はもう一人の三高選手といい勝負だが、その分膠着状態に陥っている。
こうして見れば、一高と三高が互角の勝負を繰り広げている。だが、
「あっ!また三高がコードを入力した!」
「これでもう100は入力されたんじゃない?」
エリカが叫び、幹比古が不安げに言う。
そう、一高モノリスは将輝によって既に開けられている上、現在の戦闘は一高陣地側で行われている。故に戦闘中、三高のメンバーは隙を見てコードを少しずつ入力しながら、ヒットアンドアウェイでジワジワと一高を追い詰めていた。
「…この状況どう返すつもりだ、総司…」
達也が呟くと同時、反応したかのように、モニターに映る総司がニヤッと笑ったかのようだった。
魔法科世界の秘匿通信
・深雪が倒れたのは、彼女の理解できる範疇を超えた巨大な魔法式を認識してしまった為、脳の防衛本能によって気絶したのだ。
・この将輝は『爆裂』ありなら深雪より強い
いや、ほんっとすいませんでした。
自分つい数時間前まで高熱が出ててですね、昨日も高熱が出たまま小説を書いたものですから、自分が何書いたか忘れててですね。皆さんから批判殺到したので読み返したら、全然書きたいことと違う方向に話が進んでてビックリしました。
特に今回の深雪ちゃんに起こった事はいつかテストに出るところなのに書いてないしで本当に…
という訳で書き直しました。次回でモノリス終了ですね。
別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?
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いいともー!
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駄目だね~駄目よ、駄目なのよ~