魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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横浜騒乱編 その三

ここは魔法大学付属第一高校。一科生と二科生、合計して200名が在籍する魔法師を育成する為の学び舎である。

そんな学校には、魔法科高校の生徒にあるまじきレベルで魔法が使えない男が在籍している。この学校の食堂にて、その男は簡単に見つけることができる。何故ならばその男が座る席の周辺に座りたくない者が多く、逆ドーナツのようになっているからである。しかしてその男は別に嫌われている訳では無い。入学した当初は毛嫌いしたり噂だけで忌避する者もいたが、今では他生徒からの好感度は高くなっている。

では何故その男を避けるようにしているのか。それはひとえに、その男が何かしらをしでかして周囲を巻き込む台風のような存在だからである。絡むこと自体を拒否する者は居ないが、長時間関わっていられるかと言われると大抵が、「自分の身が持たないから無理」と言われてしまう。

 

その男の名は橘総司。「うまい」を連呼しながら机と同じ幅のトランプタワーを前に、食事をしつつ残像を使いながら一人チューチュートレインをしている馬鹿だ。

普段であれば、華奢だが「可愛い、美しい、最強」可愛らしい…何かが地の文に乱入してきたがヨシとしよう。ともかくどこに出しても恥ずかしくないどころかむしろ見せた上で「あげませ~ん!」して全人類がぐぬぬ顔になる程の最強の彼女がいるのだが、今この場には居ない。周囲は「別れたのか?」「お前の目は節穴を通り越して大穴だよ」「そこだ!行け!差せ!差せ!」と、何か不自然な言葉が紛れていたような気もするが、彼ら二人の破局を疑う声も僅かに上がる。実際はその彼女と言われた少女、北山雫は親友である光井ほのかと昼食を取っていた。どうも最近はずっと総司にベッタリでほのかとご無沙汰だったからとの事であるが、そんなことを知っているのは当人達だけであり、他の生徒は知るよしも無い。

となれば、そこを気にした者が質問に行く可能性は低くなかった。と言うか行った。

 

 

「おい、総司」

 

「うま…うん?どうしたガンダム?」

 

「ガンダムじゃない!森崎だ!お前絶対俺のイニシャルがMSだからそう呼びやがったな!」

 

「すまなかった…」

 

「分かればいいんだよ」

 

「ああ、次からは気をつけるぜ、オルガ!」

 

「ってまた間違えてるじゃ無いか!俺の名前は森崎駿だ!決して希望の花をBGMにして死にはしない!と言うかそれさっきのガンダム繋がりだろ!?それならせめて操縦できるミカって呼べよ!」

 

「そう怒るなってミカ」

 

「森崎駿だ!」

 

「でもお前が呼べって言ったじゃん」

 

「俺はお前の意図的な呼び間違いに文句を言っただけだ!そもそもからして普通に名前を呼べ!」

 

「悪い悪い、それで何の用なんだ?」

 

「いや、いつも北山と一緒に居るのに今日はどうしたのか気になってな」

 

「あ?何だお前、俺の雫ちゃんを取ろうってのか殺すぞ!?」

 

「な、何でそうなる!?俺は一度も北山をそう言った目で見たことは無い!」

 

「はぁ!?お前雫ちゃんをそう言った目で見たこと無いとかアッチの気があるかEDかどっちかだぞ!?大丈夫か!?」

 

「何故!?と言うか俺があるって言ったらお前どうするんだよ!」

 

「殺すよ?」

 

「だろうな!」

 

 

彼の名前は森崎駿。ついこの間まで高くなっていたプライドの鼻を総司にたたき折られてからはそれまでと一変し、一科生二科生関係なく接するようになった1ーA男子最強の男。その成長はとんでもなく、最近では魔法の速度ならばこの高校の中でもトップクラスに躍り出るほどだ。そして今では数少ない総司と長時間接していられる人物である。

 

 

「まったく…少し気になっただけだというのに…」

 

「いやいや、他の男が自分の彼女の名前出したら警戒するに決まってんだろ?」

 

「そういうものなのか…?」

 

「まあ童貞の駿には分からないか」

 

「おい、決闘しろよ」

 

「決闘☆!」

 

 

総司の発言にぶち切れた森崎がジャンドを握ってウキウキしている総司をパンダエグゾで絶望の淵に叩き込んだところで、森崎が問いかける。

 

 

「そういえば総司、司波が今度の論文コンペの代表に選ばれたのは知っているか?」

 

「エグゾはズルいて…達也が?初耳だな」

 

「まさか論文コンペ自体が初耳とは言わないだろうな?」

 

「流石に無いな。論文コンペ自体は知ってる、確か全国の魔法科高校の代表がテーマを決めて研究した結果を発表する、いわば文化祭みたいなもんだろ?」

 

「文化祭のようとは言えないな。九校戦は確かに一般の高校における体育祭のような立ち位置だが、論文コンペには実際の魔法研究でも有用な論文が多数輩出される重要なものだ。正直言って九校戦と比べてお前が楽しめるようなものではないぞ」

 

「お前暗に俺の事馬鹿って言ってる?」

 

「はて?暗に隠した覚えなどなく直球に伝えたつもりだが?」

 

「よ~しお前表出ろ、俺は裏に出る」

 

「よし分かった…ってお前は裏に行くのかよ!?」

 

 

総司が論文コンペを知らない故に一から説明するという最悪の事は起こらなかったので、森崎は若干安心しながら話を戻す。

 

 

「それで、司波が代表に選ばれたという話なんだが」

 

「凄いね!…で済む話題じゃ無いのかそれ?」

 

「ああ。どうやら元々は三年の平河先輩が選ばれる予定だったんだが、急遽入院したらしいんだ」

 

「…へぇ、なるほど?」

 

「意識が戻った平河先輩は最低でも二ヶ月は入院しなくてはならなくなってな。それで本人の了承も得て代表から外されたんだと」

 

「それで、代役が達也になったと」

 

「そうだ。…そして、ここからが問題なんだ」

 

「ほう?」

 

「…例年では、論文コンペの代表者達には、その情報の機密性から護衛が付くことになっているんだ」

 

「…は?」

 

「メインの発表者である市原先輩には渡辺委員ちょ…元委員長が、五十里先輩には千代田委員長が付くことになったんだが…司波に護衛を付ける必要があるか?と話題になったらしく「俺はやらんぞ」てお前に…っち、だと思ったよ」

 

「達也に護衛とか要らないだろ、花音ちゃんは何考えてんだ?」

 

「先輩にちゃん付けかよ…まあその点は俺も進言したが、千代田委員長曰く、「司波君は厄介事を持ってくる天才だから絶対に護衛が必要」と返されてな…」

 

「確かに達也はよく面倒くさい奴…特に深雪ちゃんとかに絡まれているからな、気持ちは分かるぜ。何だったらお前が護衛やったらどうだ?」

 

「じゃあお前は入学してからすぐに見下した態度を取った奴を護衛として付けるのか?」

 

「気持ち的には付けたくないが、お前だったら話は別だ。達也だってお前が変わったことぐらい気づいてるだろ。問題ないんじゃね?」

 

「お前や司波に認められても、周囲の奴らが認めるとは思えないんだよ」

 

「ああ…確かにレオとかエリカとかまだお前の事嫌ってそうだな」

 

「そうなんだよ、だからお前に頼もうとしたんだが…」

 

「何度も言うが俺はやらん」

 

「どうしてもか?」

 

「ああ。俺はここ最近忙しいからな」

 

「忙しい?さっき奇妙な動きで飯を食っていたお前に似つかわしくない言葉だが…」

 

「ちょっと小バエの駆除をせねばならんのよ」

 

「小バエ?」

 

 

そう言って疑問符を浮かべた森崎を余所に、総司はつい先日の出来事を振り返る…

 

 


 

 

2095年、10月10日。司波達也が論文コンペの代表に選ばれた日であり、同時に戸籍上の母である司波小百合に勾玉系統のレリックの解析を求められた日。この日総司はなんとなく散歩がしたい気分になって、雫を連れずに一人でちょっと離れた町中まで来ていた。

 

 

「う~ん、やっぱり秋の気候は素晴らしいな。散歩がしたくなるのも納得だぜ…でも、嫌な予感までするのは何故だ?」

 

 

総司は外出前に嫌な予感を感じていた。それ故に雫を連れてこなかったのだ。

何なんだ…?と首をひねりながら歩く総司。その横の道路をコミューターが横切っていく。それだけならば総司も注目はしなかっただろうが、そのコミューターを追いかけるように走り抜ける黒い車には少しの違和感を抱いたのだ。

 

 

「あの車…何か変な感じが…っ!」

 

 

瞬間、更にその車を追いかけるようにバイクが横切っていった。魔法を正常化させる異能の影響でエイドスを直接読み取れる総司は、一瞬だがそのバイクの運転手が達也である事に気づく。

 

 

「達也…?」

 

 

ギュンッ!とその場から姿を消した…かのように見える速度で達也を追いかける総司。達也の横に付いた総司は達也に話しかける。

 

 

「はーい達也。元気してる~?」

 

「っ!?総司、お前何故ここに?」

 

「その前に達也、何か焦ってるみたいだけど大丈夫か?」

 

「…説明は後だ、あのコミューターの横に付いた車に、賊が乗っている」

 

「へ~?じゃあ鎮圧するのか?」

 

「頼めるか?」

 

「任せろ」

 

 

そう言って総司はスピードのギアを上げて、今にもコミューターに車体をぶつけようとしていた車を蹴り抜く。

 

 

「!?な、何!?」

 

 

突如横の車が吹き飛んだ光景を見た司波小百合は、驚愕の表情を浮かべる。

蹴り抜かれた車は近くの街灯に衝突して大爆発を起こした。更に驚愕を覚える小百合だが、乗っているコミューターは自動運転なので平然と横を通り過ぎていく。そのコミューターを護衛するかのように、達也が乗るバイクもそのまま行ってしまった。

 

 

「何だったんだ…?」

 

 

車を吹き飛ばした後に、そもそも何故先程の車に乗る人物が賊かを知らないことに気づいた総司は、頭の上に疑問符を浮かべた。その時である。

ガキンッ!と甲高い音がする。総司はこの音が、自分の背中から発せられた事を理解する。そして近くにはカラカラ…と転がる弾丸のような物。有り体に言えば、総司は今狙撃されたのである。貫通力が足りなさすぎて薄皮一枚も貫通していないが。

 

 

「スナイパー…?」

 

 

衝撃を受けた方向へビル伝いに高速移動で向かう総司。彼が目にしたのは、今にも逃げようとする大型の銃を持った男だった。彼の逃走経路上に移動して、彼の顔をアイアンクローで掴んで持ち上げる。

 

 

「誰だお前、どこの差し金だ?また伝統派か?」

 

 

うんざりしたような表情で質問する総司。すると…

 

 

「は?何て?」

 

 

捕まえた相手からは、聞いたことも無い言語が発せられた。かつてアメリカの友人と会った事がある総司は、彼の顔が英国圏では無く、アジア圏の顔立ちだと推測した。アジア圏と言えば…

 

 

「…大亜連合か?」

 

 

今や中国だけでなく、モンゴルや朝鮮さえ併合した大国、大亜細亜連合。特徴として、現代魔法のノウハウがほぼ欠落し、戦略級魔法師も国家存亡の危機でもなければ用いられない、「魔法後進国」であることだ。だが最近は、エレクトロニクスを利用した魔法工学技術の軍事転用が見られる国だ。

 

何故そんな国が刺客を放っているのか、そもそも国は関係しているのか、総司は全く分からなかった。帰って調べるか…と男を放り投げて帰宅した。なおこの際、投げられた男は勢いで首が折れて死亡している。

 

 

「お帰り総司君。遅かったね?」

 

「ただいま雫ちゃん。ちょっと面倒事がね…」

 

「無理はしないでね?」

 

「ああ勿論。俺に無理があるかは疑問だがな」

 

「ふふ、それもそうだね」

 

 

帰って来た総司を出迎えた雫を見て、総司は「調べるのは明日で良いか…」とこの日はそのまま二人で就寝したのだった。




魔法科世界の秘匿通信


・この後大亜連合は総司にバレたかもしれないとガチでビビる。実際総司にバレている。



・自分で調べて理解した総司は達也に質問をしていない。「まさかアイツ、独自の情報網か何かであの日の事を調べたのか?」と達也に怪しまれている。



申し訳程度の雫ちゃん。

今回から横浜騒乱編が本格的に始まります。また総司君が襲撃の前に相手の本拠を潰してしまわないように大亜連合の方は祈りましょう。

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