当たりました(隙自語)
はよ新しくキャラをプレイアブルにしないとガチャの面子が代わり映え無くて面白くないのよ、範蔵君だせ範蔵君。
「…達也が不審者に付けられてたって?」
「ああ。しかも相手は当校の制服を着用していたと千代田委員長が言っていた」
「敵は身内ってか」
「あまり考えたくないのだがな…」
「達也は本当に事件性の高い案件しか持ってこないよな」
「逆にお前は全く事件性のない案件しか持ってこないがな」
「一般生徒の俺がそれなのは問題ないでしょ」
「そうだなお前一般だったなってなる訳ないだろ!お前は最早みなし公務員ならぬみなし風紀委員だ!」
「めんど…」
「おい」
先日達也が後を付けられていた。という話題で食堂にいる総司と森崎は盛り上がっていた。今日は話す予定は無かったのだが、雫が退席したところにたまたま森崎が来た為、森崎は雫が戻るまでの話し相手となっていた。
「ああそうだ。今回の件、あんまり首突っ込まない方がいいぞ。お前の身の安全を保証できない」
「随分と物騒なんだな?」
「実際物騒なんだよ」
「具体的には?」
「戦争が起こる」
「……は?」
「雫ちゃんが戻ってきた。お前は早く仕事に戻れ」
「おいおい、その話詳しく…」
「早く戻れ」
「…ああ」
これ以上話す気は無いと森崎に言外に伝えて帰らせた総司。そこに席を外していた雫が戻ってきた。
「県境君と何話してたの?」
「前の間違い引っ張ってるぞ」
「それはいいとしてさ。何話してたの?」
「訂正してやってくれ…」
雫は意外と入学当初のあの事件を引きずっているのかもと考えた総司であった。
「何でも達也が昨日不審者に付けられてたらしくてな。しかもこの学校の制服を着用してたんだと」
「ウチの学校にスパイが居るって事?」
「なんのスパイだよ…」
「別の高校のだよ」
「仮にそうだとしたら大問題だろ」
「それもそっか」
「…スパイってのはあながち間違いでも無さそうだがな…」
「何か言った?」
「いや何も?」
総司は雫を誤魔化そうとしたが、総司の事を全て理解していると言っても過言では無い雫が相手だ。明らかに隠し事をしていると気づかれているのかジトッ…とした目線を向けてくる。
「…大体そういうときの総司君は何か隠し事してるんだよね…」
「…やっぱ敵わないなぁ」
「何隠してたの?浮気?」
「まさか。それこそあり得ないのは雫ちゃんが一番分かってるだろ?」
「でも一応確認しとかないと。深雪とかに取られるかもしれないし」
「深雪ちゃんはお兄様にゾッコンすぎてこっちに見向きもしないだろ…」
「は?深雪絶許」
「どうどうどうどう。落ち着きあそばせ?」
もしこの会話を森崎が聞いていたら、「やっぱ似たもの同士だよなぁ…」とため息混じりにぼやくことだろう。それぐらい今の雫は以前森崎に詰め寄った総司に似た言動をしていた。
「ふー!ふー!」
「止まってくれたか…」
「…それで何を隠してるの?」
「無かったことにしたな…まあ、近々俺達に危機が訪れるのは確実なんだ」
「音ズレでも起きるの?」
「音ズレの訪れじゃないんだよ…とにかく危険な状況に陥ることは確定しているんだ」
「それはいつ頃?」
「論文コンペ当日だ」
「テロリストでもやってくるの?」
「…それぐらいの規模なら良かったんだがな…」
「そこまでの大事が…?」
いくら最強の総司と共にいるという感覚がある雫でも、その総司本人が危機感を示していると流石に戦慄した様子だ。
「結構大規模な戦闘が起きるのは目に見えてる。そして問題なのが…」
「なのが?」
「敵さんが俺のクローンを使ってくることだ」
「持って帰って良いの?」
「本人がいるのに更に欲するのか…」
総司のクローン、というワードを聞いた瞬間に雫の様子が恐れを抱くいたいけな女子学生から獲物を見つけたときのような表情を浮かべたハンターに変貌したのを感じ取った総司は本気でツッコむ気も起きなかったようだ。
「それで雫ちゃんに頼みたいのは、本物とクローンの区別が付かない奴らに「遠慮無くぶっ飛ばしていい」って発破をかけることなんだ」
「みんな喜んで魔法を打ち込みそうだね」
「もしかして俺嫌われてる?」
総司を嬉々として攻撃しそうな人が多いのはひとえに総司が生徒達に与える胃痛のせいだと言うことに総司は気づくことは無い。
「…でも総司君をクローンだと思って攻撃する人もいるかも」
「大丈夫、俺には異能があるからな。クローン共に俺の異能を持つ奴はいないのは確定している。それに攻撃されることも無いような秘策があるんだ」
「総司君のことだからまた変なことしだすんでしょ」
「さあどうだろう?」
二人は笑い合いながら食堂を後にした…
「それでですね達也さん!…聞いてますか達也さん?」
「…ああ、聞いているよほのか」
「…やっぱり昨日の不審者の件で悩み事か?」
「お兄様をつけ回すなんて…!絶対に許せません!とっ捕まえてその時のお兄様の様子を全て聞き出してやります!」
「あたしは深雪を警察に突き出した方が良いかな?」
「さ、流石に深雪さんもそこまでは…し、しませんよね?」
「どうだろう…北山さんがしそうだから、多分司波さんもやるんじゃないかな…?」
放課後、久しぶりに全員集合の帰り道。全員に急ぎの用がない為、行きつけの喫茶店「アイネブリーゼ」でお茶をする事にした一行。そんな中、一部のメンバーの空気が一瞬引き締まる。
「…?吉田君どうかしました?」
「…いや、何でも無いよ柴田さん」
一部のメンバーの一人である幹比古は違和感を覚えた美月に何事かと問われるがはぐらかす。
「…総司君、何かあったの…?」
「…誰かに付けられてる」
「なっ…!?」
そして総司の様子が変わった理由を問うた雫は、総司からの返答を聞いて体を硬直させる。
「もしかして達也さんを…!?」
「…分からない。が、結局こちらを監視する目的ではあるのだろうがな」
警戒しながら喫茶店の中に入った一行。だが追手がまだ近くに居る気配を感じていた武闘派勢はそれぞれが各々の理由で席を外す。総司は直ぐには席を立つことをしなかった。
「吉田君、何をしているんですか?」
「…ああ、これはね。ちょっと事前に札の作成をしておこうと…」
等と幹比古は言うが、彼が書いているのは結界の魔法式であり、彼はその魔法を発動して先に行ったレオとエリカを援護しているのだ。
「総司君は行かないでいいの?」
「ああ。向こうはこっちを監視していた。なら俺の事をある程度知っていてもおかしくない。もし俺が出張ったら逃げの一手を打たれるだけだ」
総司はそう言いながらも、近くの窓を開けていた。何かあった時にそこから飛び出して行くつもりだ。
そしてその時は来た。幹比古の表情が強ばる。どうやら結界を破壊されたか、解除せねばならぬ状況に陥ったようだ。幹比古のその表情を見た瞬間、総司の姿は一陣の風となった。
「…では私はこれでお暇させていただくよ」
一行を尾行していた犯人。ジロー・マーシャルはUSNA情報部の非合法工作員であり、化学的な措置により強化された人間である。故にレオやエリカと互角に戦うことが出来た。そんな彼はレオを人質に幹比古の結界を解除させ、そのまま閃光弾を用いて逃走を図ったのだ。しかし…
「ふっ!」
「…!?き、貴様は…!」
爆発までコンマ数秒といったところで何者かが高速で現れ、そのまま閃光弾をそれ高く蹴り上げた。閃光弾はそのまま空中で起動してしまい十分な効果を発揮することが無かった。そしてジローには介入してきた男を知っていた。
橘総司。異常とも言える脅威的な身体能力を由来にする圧倒的な戦闘力、何かしらの理由で魔法を無効化出来る力も保有する総司はまさしく化け物。今回の達也を監視するという仕事で、最も障害たり得る存在だった。
しかしジローも熟練の工作員だ。動揺は最小限に、即座に逃げの姿勢を取ったが…その瞬間に、蹴り上げた姿勢のままだった総司の高く上がった足がブレて見えた。
「…!?がああああ!」
途端に激痛ともに崩れ落ちるジロー。彼の足は両膝が完璧に折れていた。どうやら総司が足を戻して高速で蹴り壊したようだ。尚も逃げようとするジローに総司は声を掛ける。
「ここで大人しく捕まってた方が、アンタにとってお得だぜ?」
「…何をほざくか!」
「どうせここで逃げてもアンタは今日中に死ぬからだよ」
「なっ!?」
「俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
どこからかぼんち揚を取り出して食べ出した総司に呆気にとられたジローはそのままレオに拘束されたのだった。
魔法科世界の秘匿通信
・実はサイドエフェクト云々は占術の一種を総司が自分でも気づかぬ内に使ってたりするためあながち間違いは無い。実際ジローはこのまま逃げていると呂剛虎に殺されていた。
・勿論のことだが、雫は無条件で総司とクローンを見分けることが出来る。
別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?
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駄目だね~駄目よ、駄目なのよ~