魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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来訪者編は苦手です(雫ちゃんの出番があまりないから)



今回から新しくアンケートを取ります。質問はカレーかハヤシかどっちを食べたい?っていうつまらん質問ですが、これで来訪者編の展開を決めたいと思います。面白半分で選ぶと展開が明後日の方向にレッツゴーなのでご注意ください。


横浜騒乱編 その十

「総司、お前は一体、何を知っているんだ?」

 

 

アイネブリーゼで達也に問い詰められている総司。こちらをジッと見つめてくる達也に総司が返した答えは。

 

 

「…論文コンペ当日に、大亜連合が兵士や戦車を用いて横浜に攻めてくる…」

 

「何…だと!?」

 

 

正直に打ち明けるという選択肢を選ぶ総司。当然と言えば当然だが、聞かされた達也の目には複雑な意味の驚愕が入り交じっていた。

 

 

「その情報は確かなのか?それが確かだとしてどこで手に入れたんだ?」

 

「情報は確かだが、どこから手に入れたかは言いたくない」

 

「…そうか」

 

 

思わず早口になった達也に総司は冷静に返答する。その総司の冷静さを見た達也は、怒りが沸き上がり一周回って冷静になった。そして達也は総司の襟首を掴んで引き、確かな感情が込められた声で問う。

 

 

「お前!そんな大事を何故黙っていた!?知っていれば俺は深雪を論文コンペの会場には連れて行かないし、お前も雫を戦地に赴かせるような事はしないだろう!?」

 

「…そうだな。事実俺は当日に雫ちゃんには留守番を頼もうとしていた」

 

「自分の愛する者を守って、それ以外は無視か!?一体どういう了見だ…!?」

 

「俺の発言をノータイムで信じてくれるのはお前達だけだ」

 

「…?」

 

 

剣幕を鋭くする達也に負けじと総司も睨み返す。総司の言葉を聞いた達也はしばし口を閉じる。

 

 

「俺が仮に『大亜連合が攻めてきますよ~』と学校中、いや国中に言ったとしてもだ。俺には発言力が無いから誰も信じてはくれないだろう。それこそ親しいお前達以外には」

 

「確かに…俺もお前からでなければ学生がふざけてばらまいたガセである可能性を考慮していただろう」

 

「そうだ。例え十師族が公表したのでも無ければそんな情報を簡単に信じることができないだろう?」

 

「だが、お前は一応九島の関係者ではないか」

 

「だがそれを知っているのもお前達だけだ。他には強いて琢磨が知っているくらいだ。知られていないのならば肩書きに意味は無い」

 

「…だがせめて、俺達には教えてもらいたかった」

 

「はっ、どうせ達也の事だ。当日にも何か起こる事ぐらい予想が付いていただろう?」

 

 

総司からの問いに達也は首肯を示す。事実自身の持つレリックを関本を使ってまで達也から奪い取ろうとしていた何者かがそう簡単には諦めることは無いだろうと思っていた。恐らく関本の背後にいたのは総司の言うように大亜連合なのだろう。

 

 

「…大亜連合は何を目的としているんだ?」

 

「レリックや魔法協会に所蔵されている魔法技術関連の機密情報の奪取だな。魔法後進国である大亜連合にとって先進国の日本の技術は是非ともモノにしたいのだろう」

 

「論文コンペ自体を目的とした侵攻では無いのか?」

 

「確かにそうだが、論文コンペにも最新の技術が集う。会場が魔法協会に近いことも相まって、襲撃される可能性は高いだろう。協会と比べれば警備も薄いし非戦闘員が大量にいるからな」

 

「そうか…」

 

 

達也は俯いてしばし考え込む。その中で一つの疑問にたどり着く。

 

 

「…総司、確かに大亜連合が攻めてくると言う話には理解を示そう。だが、お前は何の為に『仮装行列(パレード)』を習得したんだ?単純な兵力勝負なら姿を偽る魔法は必須という訳でもない気がするのだが…?」

 

「確かにお前の指摘はごもっともだ。…理由は簡単だ、俺は今回『橘総司』として戦えない理由がある。別に禁止されている訳でも無いんだがな、この事は今のところお前と敵さんしか知らないのだから」

 

 

そう言った後、言うかどうか迷ったのか一瞬視線を彷徨わせて、覚悟したかのように告げる。

 

 

「…以前、旧第九研から俺のDNA情報が盗まれたんだ。犯人は大亜連合で奴ら、どうやら急増のクローンで俺を大量生産したらしい」

 

「…世界の終わりか?」

 

「心配するな、俺と同レベルの性能を持つクローンを製造することは出来なかったらしい。…本当か疑わしいがな」

 

「ちょっと待て。お前の情報源は確かなのだろう?何故疑わしいんだ?」

 

「…勘だよ、ただのな。だが、もし俺の『異能』に相当する力を持つ存在が現れたのなら、研究員共を欺く事も出来るのでは無いかとな」

 

「…クローンが意思を持って自身の性能を隠していると言いたいのか?」

 

「ただの勘だって、確実性はない。だけど念頭に置いておいても問題は無いはずだ」

 

「本当に悪夢のようだな…」

 

 

頭を抱える達也を見ながら、総司はやはり情報源からは得られなかった自分と同格の出力を持つクローンの存在をほぼ確信した。勘だと達也には言ったが真っ赤な嘘だ。総司は自分が無意識下に占術の行使を行っていると予想していた。だが自由に使える訳では無く、『嫌な予感がする』程度の予知しか出来ないが、総司にとってはそれだけで充分だった。

 

 

「…それで、そのクローンと『仮装行列(パレード)』に何の関連性が?」

 

「どうやら奴さん方は俺と同レベルのクローンを作れなかった事が結構キツかったらしくてな。俺を見かけたら逃げるように指示を出してあるらしいんだ」

 

「なるほど、だから姿を変えるというのか。だが、わざわざお前が戦う必要があるのか?」

 

「あるだろ、俺のDNAから生まれたんだぞ?ってことは科学的には同一人物になる。自分の失態は自分で何とかするさ」

 

「そうか…では、お前は当日どんな姿になるつもりだ?」

 

 

その達也の問いには総司はハッキリとした答えを返さなかった。

 

 

「そんな事教えたら面白くないだろ?まあ安心しろ、明らかに不審者っぽくて外国絶対許さないって雰囲気ビシバシだして行くから分かると思う」

 

「おいおい…そんな時までふざけるつもりか?」

 

「だってそれがこの作品のさくふ「それ以上言ったら口を縫い合わせるぞ」オニイサンユルシテ…」

 

 

危うく世界の崩壊を招きかねない総司の発言を阻止した達也は、最後にこう聞いた。

 

 

「…お前は、俺と深雪の事をどこまで知っているんだ?」

 

「…というと?仲の良さの事か?戦闘力の事か?」

 

「どちらかと言えば戦闘力という分類だな。…それで、どこまでだ?」

 

 

総司は席を立って、自分の分のお代を置いてからこう返した。

 

 

「お前が深雪ちゃんの為に居るんじゃなくて、深雪ちゃんがお前の為に居ることぐらいまでは」

 

「…!」

 

「じゃあな。また明日」

 

「…ああ。また明日」

 

 

別れを告げて店を出て行く総司を見送りながら、達也は独りごちる。

 

 

「…『トライデント』の開発を急ぐか…」

 

 

 


 

 

翌日、総司、達也、真由美、摩利は関本の面会の為八王子特殊鑑別所を訪れていた。

 

 

「悪いな総司君。君にまで付き合わせてもらって」

 

「いえいえ、帰ったら一緒に昼食を取れなかった雫ちゃんの機嫌を取るぐらいしか問題ありませんし」

 

「それはいえいえって言っていいのか?」

 

 

四人はそれぞれ看守にCADを預けている…総司はあくまで持ってきただけで何も記録されていない物だが。このようにCADが無い状況では、もし尋問中に襲撃を受けると達也はともかく真由美と摩利が危ない。そう言った場面の護衛という意味で総司は今回呼ばれたのだった。

 

 

「というか一日の昼を一緒に居られなかったからって雫はそこまで拗ねるような事は無かったはずだが?」

 

「いや今日は俺の誕生日だから、一日中一緒に居るって言って聞かなかったんだよ」

 

 

その言葉を聞いた時、三人が硬直した。

 

 

「…?どうした三人とも」

 

「お前…今日誕生日だったのか?」

 

「言ってくれればお祝いぐらいしたのに!」

 

「…確かに九校戦の時にそんなことを言っていた覚えも」

 

「誰も知らなかったんだね、お兄さん分かっちゃった」

 

 

どうやら総司は先程同級生や先輩達にも同じ反応をされたらしい。言われずに彼の誕生日を祝ったのは元から把握していた雫、電話で祝った琢磨、メールを送ってきた烈と光宣だけだ。総司は一抹の悲しさを覚えながらも歩みを止めない。

 

 

「というかなんで関本先輩はこんな事を起こしやがったんですかね?おかげでいい迷惑ですよ…ハッ!?ま、まさか殆どの人が俺の誕生日を知らなかったのは関本先輩のせい…!?」

 

「「普通に知らなかった」」

 

「覚えてなかった」

 

「ですよね畜生!」

 

 

そうこうしている内に総司達は目的の部屋までたどり着いた。

 

 

「私達はこっちよ二人とも」

 

 

真由美に言われた通りに関本が居る部屋の隣、警察の取り調べの時に出てくるマジックミラーで見えないようになっているあの部屋だ。そして向こうの部屋には摩利が入ってきた。突如の来客に関本は明らかに狼狽している。摩利と関本がしばらく会話をすると、いきなり関本が口を押さえる。どうやら摩利が匂いを用いた自白剤を使用したようだ。

それを見た総司がいきなり言葉を発する。

 

 

「匂いで自分の思いのままとかAVに出てきてもおかしくないな」

 

「まあ確かにそうだな」

 

「ちょ、ちょっと二人とも!?な、なんて破廉恥なことを!?それに摩利に失礼よ!?」

 

「しかし摩利先輩には調教の才能があるのかもしれないな」

 

「匂いで操るというだけでそう判断するのは早計では?」

 

「ちょ、調教!?ふ、二人とも、なんの話を!?」

 

 

顔を真っ赤にした真由美が問いかけると、二人は顔を見合わせ、一気に悪い顔をするとこう答えた。

 

 

「「勿論アニマル()ビデオ()の事ですが?」」

 

「…?…!ふ、二人とも~!!」

 

 

やっと揶揄われたことに気づいた真由美はお冠だ。今にも二人に飛び掛からんとしている。しかしどうやら摩利の尋問が終了したらしくこちらの部屋に摩利が入ってきた。様子がおかしい真由美を見た摩利は総司達に訳を聞くが二人は口を揃えて「さぁ?」ととぼけて見せた。

 

そうして部屋を四人が出た瞬間…

 

 

「なっ、何!?」

 

「…どうやら侵入者のようですね」

 

 

施設内のアラームがけたたましく鳴り響き、侵入者が現れたことを伝える。そしてその侵入者はすぐに見つかった。狙いが関本だからだろうか、一直線にこちらに向かってくる男、その名は呂剛虎。

 

 

「呂剛虎…!」

 

 

恋人に怪我をさせた敵である呂を睨み付ける摩利。どうやら呂も摩利を見て、病院で一戦交えた相手だと気づいたらしい。そうして他のメンバーに目を向けた呂は、総司を見て明らかに硬直した。顔も気のせいか恐怖の表情に変わっている。

 

 

「二人とも、真由美のガードをドゴォン!っ!?」

 

 

恋人を傷つけた相手を自分で倒そうとしたのか、総司と達也に真由美のガードを指示しようとした摩利だが…

 

 

「…あ、すいません。もうやっちゃいました」

 

 

轟音のした方から総司の声が聞こえる。総司は一瞬で呂の顔面を鷲掴みにすると、そのまま思いっきり床に叩きつけたようだ。証拠として総司は今ヒビが入った床に呂の頭を押し付けている。

 

 

「…それ、死んでるんじゃ無いか?」

 

「まあ、向こうもこっちを殺す気だったみたいですし正当防衛ですよ。それに生きてるみたいですし」

 

「「「……」」」

 

 

そう言って全く気にしていない総司を見て、三人は「(相変わらず脳筋だなぁ)」と思ったのだった。




魔法科世界の秘匿通信


・明らかに不審者っぽくて外国許さないって雰囲気:一体どこの国防仮面なんだ…?



・呂剛虎:ワンパン。相手にならない。



次回から遂に論文コンペ本番ですね。展開が盛り上がって行きますね、頑張らねば…

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

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