魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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魔法科二期が二年前だと言うことに目を逸らしたい今日この頃…



そしてなんでリロメモの温泉イベに雫ちゃんの気配がしないんですか?露骨に胸で金取ろうとしてんじゃねぞ運営…!雫ちゃんのタオル姿見せろオラ…!(激怒)


横浜騒乱編 その十一

論文コンペ当日、横浜の会場に司波兄妹と総司、雫ペアの姿があった。

 

 

「…総司お前、雫は連れてこないんじゃなかったのか?」

 

「バカ野郎お前俺と雫ちゃんが喧嘩になったら俺が勝てる訳ないだろいい加減にしろ!」

 

「早口で言い過ぎだ。聞き取りづらい」

 

「スマン」

 

 

どうやら総司は雫と論文コンペに連れて行くか行かないかでもめたらしい。そうなったら総司はもう負けが確定している。情けない…と思いながら自分も同じ状況になったら勝ち目が無い事を棚に置いて総司を非難する達也。

 

 

「でもそういうお前だって深雪ちゃん連れてきてるじゃないか」

 

「バカ野郎お前俺と深雪が喧嘩したら俺が勝てる理由なんてないだろいい加減にしろ!」

 

「お前も早口で聞き取りづらいぞ」

 

「すまない」

 

 

達也も深雪に押し切られたらしい。情けない…と思いながら自分も雫に完全敗北を喫している事を棚に上げて達也を非難する総司。同じ穴の狢である。情けない…

 

 

「お兄様!私は大丈夫ですから安心してください!自分の身は自分で守れますし、先輩方も付いています!」

 

「そうだよ総司君。深雪の言う通り、私達はそう簡単には負けないし、二人が守ってくれるなら絶対に大丈夫だから」

 

「「……」」

 

 

そう深雪と雫に言われて何も言い返せない達也と総司。二人の表情からはありありと『不安です』という感情が伝わってくる。

 

 

「ほらお兄様?そろそろ控え室に向かわなくてはならないのでは?」

 

「…ああ、それもそうだな。じゃあ総司、雫。また後で」

 

「おうよ」「うん」

 

 

時計を確認した深雪の言葉に従って控え室へと向かって行く達也達。その後ろ姿をしばらく眺めていると雫が総司に声をかける。

 

 

「…今日一番気をつけないといけないのは総司君だよ」

 

「…雫ちゃんが俺を心配するなんて珍しいな?いつもは最強だから大丈夫って送り出してくれるのにさ?」

 

「今回は…嫌な予感がするの。それこそ総司君が危険な目に遭うかもしれない…!」

 

「おいおいエスパーじゃないんだし、そんな予感で俺が負けると…」

 

「思ってる。だから気をつけて」

 

「……」

 

 

総司も実のところ今回は非常に嫌な予感がしていた。自分とほぼシンクロしていると言っても過言では無い雫までもが感じたとなれば、いよいよ予感では済まされない気がしてきた総司であった…

 

 


 

数時間後…既に二校の発表が終わった頃…

 

「くっっっっそ暇なんですけど?」

 

「総司君って案外せっかちだよね」

 

「いやこれは単純に内容を一切理解してないからつまらなく感じてるんだと思う」

 

「おお…流石の理解度、北山さんはよく総司の事を見てるよね」

 

「もう見なくても分かるまであるよ」

 

「それはもうエスパーの域だよ雫…」

 

「今誰か遠回しに俺のこと馬鹿って言わなかったか?」

 

「反応遅くない?」

 

「遠回しじゃなくてハッキリ馬鹿って言ったから心配しなくてもいいぞ総司」

 

「ようし達也君表に出なさい殺します」

 

「お兄様を傷つけるおつもりで…?」

 

「あ~もうメチャクチャだよ…」

 

 

レオがこのカオスにツッコミキレなくなった時、総司が端末を取り出す。どうやら誰かから連絡が来たようだ。

 

 

「…俺ちょっと席外すわ」

 

「うん…頑張ってね、総司君」

 

「もちろんだとも」

 

「「「「「?」」」」」

 

「「…」」

 

 

ただ電話をするからと席を外すと言うだけなのに、何故か激励の言葉を総司に贈った雫。その事に事情を知らないメンバーは首を傾げ、司波兄妹は意味ありげな視線で見送る。

会場を出てしばらく歩き、端末に耳を当てる。

 

 

「…で?いつ頃の襲撃か分かったのか烈爺」

 

『ああ。そちらの港に貨物船に偽装された揚陸艦の存在を確認した。動きから見て恐らく攻撃開始時刻は一五〇〇だ』

 

「了解した」

 

 

連絡先は九島烈であった。総司はパレード習得の際に烈に情報を提供しており、その対価として当日の協力を依頼していたのだ。

 

 

『そして厄介な事も判明した』

 

「厄介な事?」

 

『うむ。どうやらこの騒ぎに乗じて『伝統派』がお前を暗殺しようと目論んでいるようだ』

 

「伝統派とか久々に聞いたわ…」

 

『ここ最近はおとなしかったからの。…それよりも総司、事態の重大さに気づいておるか?』

 

「…九島でも俺の情報提供が無ければ察知出来なかった今回の大亜連合の侵攻を、伝統派が知っていることだな?」

 

『そうだ。慢心している訳では無いが、伝統派が九島の情報収集力を上回っておるとは思えん…』

 

「つまり、伝統派が九島より情報通か、そもそも()()()()()()()()()()()だな」

 

『私は後者だと考察する。いくら騒ぎが大きくなることが確定しているとは言えど、お前を伝統派のみで斃せるはずがない。となれば大亜連合と協力した結果、お前への対抗策を見いだしたのかもしれん』

 

 

総司は僅かに歯噛みする。こちらの掴んだ情報にそのような話は無かった。となれば思い過ごしか、総司の情報源…『フリズスキャルヴ』対策に対面でも条約を交わした上でその痕跡をを何処にも残さなかったということになる。

そして通話を切る前に烈が口を開く。

 

 

『…お前のクローンが生まれたのは元はと言えば九島の責任だ。いくらお前のだとしても、全てを自分で葬り去ろうとして無理を冒すことだけは止しておけ』

 

「どう取り繕っても俺のクローンは実質俺だし、俺も九島の端くれだ。責任を九島が取るなら俺も取ることになる。ご忠告通り無理はしないでおくが、無茶と無謀はさせてもらうぜ」

 

『…帰ってくるのだぞ』

 

 

烈はそう言い残して通話を切った。通話が切れた端末をしばらく見つめた後、総司は再びどこかへと通話をかけた。

 

 

「もしもし、琢磨か?総司だ、お前今どこに居る?」

 

『先輩の言う通りに横浜に来ています。こちらはいつでも戦闘可能です』

 

「オーケー。奴さんは一五〇〇に襲撃をかけてくる。お前は市民に反抗されることなんて微塵も考えてないマヌケ面に横からデカいのお見舞いしてやれ!」

 

『デカいのというと町ごといっても?』

 

「市民が避難してるなら構わないだろ。全部大亜連合に責任押し付けてしまえばいいさ」

 

『それもそうですね』

 

 

その通話相手は七宝琢磨。総司は自身と同レベルの白兵戦を行える琢磨を東京から呼びつけていたらしい。

 

 

「それじゃ、襲撃開始後に駅で合流。その後二人で掃討戦だ」

 

『……』

 

「…琢磨?」

 

 

総司が琢磨に予定の確認をしようとすると、琢磨からの返答がなかった。まさか何かあったのか?総司は訝しんだが…

 

 

『…正直に言って、あの格好の総司先輩と一緒に居たくないです』

 

「…あー」

 

 

そう、今回総司は自身のクローン達を欺く為、パレードで変装しながらの戦闘を行う予定だ。そして明確に達也達に分かるように明らかな不審者スタイルで行くつもりなのだ。となれば琢磨が同行を拒否してもおかしくは無い。

 

 

「そういうことならいいや。お前が義勇兵として戦ってる風を装え。一高のみんなには隠す必要は特段ないがな」

 

『了解です』

 

 

そういって切れた通話。自分も動こうと総司が歩き出した時、ふとした思いつきで総司は再び端末を操作する。相手は九島烈。

 

 

 

ー『お土産何がいい?』ー

 

 

ー『捕らえられればお前のクローンを五体程』ー

 

 

ー『了解。期待しないで待っててくれ』ー

 

 

 

こういうときこそ何時も通りを心がける。総司は笑みを浮かべて横浜の街に向けて跳躍した。

 

 

 


 

 

 

そしてその時は訪れる…

 

 

一高の発表が終わった直後、会場全体が大きく揺れ、爆発音が鳴り響く。

 

 

2095年 10月 30日…この日、魔法師界の歴史の大きな転換点となる、『灼熱のハロウィン』のきっかけとなる、大亜連合の横浜侵攻が始まった…




魔法科世界の秘匿通信


・パートナーに言い負かされる達也と総司:お互いが言い訳を言い合っている場面はどちらもCV中村氏故に声だけ聞くとほぼ一人芝居となる。


・最近ギャグが少ない総司:大丈夫、フリズスキャルヴでも出所を突き止めきれないパラサイト相手なら対策とか立てようがないからその分ギャグに走る。


次回から遂に横浜騒乱が始まります。

後、リロメモで展開されている飛騨遺跡編ですが、おおよそ総司が関わる事柄じゃないんで書きません。

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

  • いいともー!
  • 駄目だね~駄目よ、駄目なのよ~

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