魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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エリカちゃんに温泉衣装着せて、「エロいなぁ…」とか呟くという、雫ちゃんを裏切るような行為をした俺を誰か罰してくれ…!くそっ、これも全部乾巧って奴の仕業なんだ!


横浜騒乱編 その十三

「それで?こっからどうするつもりなんだ達也?」

 

 

一高生の活躍により、論文コンペ会場に侵入して来た兵士達を制圧する事に成功した達也達。しかしそれでこの場所が安全になったという訳では無い。移動するのか、防衛戦線を張るのか。その辺りの判断をレオは達也に求めた。

 

 

「情報が欲しいな。敵の装備から察するに相手はかなりの規模である可能性が高い。行き当たりばったりでは取り返しの付かない沼に落ちてしまうかもしれない。だがどうやって…」

 

 

どうやって…とは達也は言うが、魔法協会にさえたどり着くことが出来れば必要な情報は手に入る。十師族専用の秘密回線、達也はその回線の四葉家用の物にアクセスすることが出来る。ここで問題になってくるのが、達也だけならまだしも、戦禍の中で此処にいる全員でベイヒルズタワーへたどり着くことが出来るか否かであった。そして答えはノー。いくら実力者揃いとは言えど、魔法師だってまともに銃弾を当てられれば死ぬ。自分含めて死なないのが一高生に二名程居ることを考えても、やはりその二名は例外なのだ。

 

 

「VIP会議室を使ったら?」

 

「VIP会議室?」

 

 

問い返す達也に首肯する雫。

 

 

「あの部屋は閣僚級の政治家や経済団体トップレベルの会合に使われる部屋だから、大抵の情報にはアクセス出来るはず」

 

「そんな部屋が存在するのか?」

 

「一般には公開されていない部屋だからね」

 

「…よく知ってるわね雫」

 

 

エリカの感心した様子に鼻を高くした雫は心なしかドヤ顔で答えた。

 

 

「昔父に連れて行ってもらった事があるの。暗証キーも、まだ見ぬ世界へ繋がる風を掴…アクセスコードも知ってるよ」

 

「途中で挟まった詠唱的なの何?」

 

「知らない。最強のリンク4なんて私知らない」

 

 

ここに総司が居れば、人は彼女を、プレイメーカーと呼ぶ…ぐらいはノっただろうが、生憎と今は出陣してこの場には居ない。

そんな二人の会話を余所に、確かにあの北方潮が使う部屋ならばと雫に案内を頼んだのだった。

 

 


 

 

雫のアクセスフラッ…アクセスコードを使ってVIP会議室のモニターに受信させた警察のマップデータは、海に面する一帯が危険地域を示す真っ赤に染まっていた。そして赤い領域は彼らが見ている間にも内陸部へと拡大していく。二箇所ほど押し返して色が消えている場所があるが、恐らく総司がやったのは確定だろう。だがその二箇所は割と距離があるため、ではもう一つの地域を守っているのは?という疑問が沸いたが、その疑問の答えを考える暇は無かった。

 

 

「みんな、改めて言わなくても分かっているだろうが、状況は一刻を争う。この辺りでグズグズしていたら国防軍の到着より先に敵に補足されてしまうだろう。総司が居れば力押しで脱出出来るかもしれんが、このマップを見た限りでは既に総司は戦闘行動に移っている可能性が高い。アイツがこっちの援軍に来るのは望み薄だろう。俺達は早くここから脱出しなければならない」

 

「だからと言って、この状況じゃ陸路も海も塞がれているぜ?シェルターへ逃げ込むのが一番だろ」

 

「そうですね」

 

「じゃあ地下通路?」

 

「いや、地上から向かうぞ」

 

「…なるほどね?」

 

 

達也が提示した問いに現実的な答えを返す桐原。一瞬地下通路を使わない理由が気になった壬生だが、自分で気づいたのかひとりでに納得している

 

 

「どうしてですか達也さん?」

 

「地下通路は直通ではない、と言うことは他のグループとの鉢合わせも考えられるし、場合によっては」

 

「遭遇戦の可能性があると言うことか!?」

 

 

達也が言い終わる前に驚愕を示した範蔵。達也は「その通りです」と続けて

 

 

「地下通路では行動の自由が狭まります。逃げることも隠れることも出来ず、正面衝突を強いられるでしょう」

 

「確か先程中条達が地下通路からの脱出を考えていたはずだ。服部、沢木を連れてすぐに中条の後を追え」

 

「了解しました!」

 

 

達也の意見を聞いた克人は即座に範蔵に命令を出し、彼と沢木を護衛として地下通路組の元へと向かわせた。流石は十師族と言ったところか。すると入れ替わりで鈴音、啓、花音、摩利、真由美がVIP会議室へと入ってきた。

 

 

「デモ機や他校の機器はデータを消去した上で破壊してきたわ」

 

「流石、仕事が早いですね」

 

「トラブルに強くなったのは何も達也君達だけじゃないのよ?」

 

「…総司め」

 

 

旧生徒会メンバーすらアクシデントに強くなっているのだから、どれほど総司の存在がアクシデントだったのかが窺い知れる。

 

 

「それで、七草である先輩は何か情報を掴んでいらっしゃいますか?」

 

「ええ。港内に侵入して来た敵艦は一隻。東京湾に他の敵艦は見当たらないそうよ。上陸した兵力は具体的な規模は不明だけど、海岸近くは殆ど制圧されていて、でも妙に抵抗力が強い二つの地域では逆に押し返しているようよ」

 

 

妙に抵抗力が強いといった辺りで室内の全員がああ、総司か…と気持ちを一つにした。どんなときでもみんなの胃に住み着いて痛みを与えてくる寄生虫なのかもしれない。

 

 

「そして…一つ異常事態が起こっているの」

 

 

真由美が深刻そうに切り出した言葉に首を傾げる一同。傾げなかった三名は、「あ、絶対あれだ」と思った。

 

 

「…どうやら、敵はクローン兵を使ってきているの」

 

「なんだって!?」

 

「「「…あ~」」」

 

 

驚愕した一同を代表するかのように声を上げた摩利を尻目に頭を抱える三人。まさしく予想通りであった。

 

 

「クローンの元になった人物は分かっているのか?」

 

「…それは、橘総司君よ」

 

「「「知ってた」」」

 

 

克人の問いに予想通りの答えを返した真由美に三名は白目を剥いた。

 

 

「何!?総司君は敵だったってこと!?」

 

「落ち着いて花音!彼がスパイ活動が出来るほど頭がいいわけじゃないのは君も知っているだろう!」

 

「「「「「ブッ!」」」」」

 

 

総司を疑う花音を諫める為に啓から発せられた言葉、それにはこの場のほぼ全ての人間が吹き出す面白さがあった。

 

なお、総司は色々と隠し事をしてはいるが、別にそれは調べた結果を誰にも話さない、友達から「これ二人だけの秘密な!」と言われたことを律儀に守っているようなものだ。故に総司はスパイ活動に向いていないとは一概には言えないが、ボロを出して達也に問い詰められてしまった所を見ると、恐らくどこかの某ポンコツ総隊長様と同レベルの適性だろう。

 

 

「ええ…それもそうね。ごめんなさい取り乱して。北山さんもごめんなさい、貴女の大切な人を疑ったりして」

 

「大丈夫です。総司君は最強なので」

 

「脈絡がなさすぎるよ雫…!?」

 

 

何故か身内からの罵倒を受けている総司は何処吹く風と戦闘を継続しているだろう。

 

 

「総司君のクローンがどれほどの強さを持つのかは現状不明だけれど、もし仮にオリジナルと同レベルだった場合…」

 

「それはマズいな。奴の異能まで模倣出来るとは思えんが、そうなれば世界の軍事バランスが一気に崩れる。対抗できるのは奴本人以外では三高の一条ぐらいだろう」

 

 

実際はクローン兵はオリジナルほど強く無いし、異能を模倣出来なかった故に腕のいい魔法師なら簡単に倒せる位の強さしか無い。現に二割はオリジナルと、同レベルの中学生にボッコボコにされて道路のシミと化している。

その事を知っている達也は他のメンバーとは若干気楽な表情を浮かべている。それは余裕があると言い換えてもいい。故にこそ気づけた。

 

 

「…!十文字先輩!正面玄関に障壁を!敵の装甲車が突っ込んできます!」

 

「何!?…承知した!フゥン!」

 

 

敵兵の操る車の衝突は、寸前で克人が展開したファランクスによって阻止された。勢いを殺せぬまま衝突したため車は勢いよく爆散した。

 

 

「…達也君、今どうして気づけたの?」

 

「……」

 

 

真由美の問いに達也は答えない。克人がいた為『分解』までは見せずに済んだが、『精霊の眼』も充分隠すべき事項だ。どう言い訳をしようか悩んでいると、会議室に足を踏み入れてきた女性のおかげで、達也は問題を先送りに出来た。

 

 

「お待たせ」

 

「えっ?えっ?もしかして、響子さん?」

 

「お久しぶりね、真由美さん」

 

 

入ってきた女性…藤林響子は、旧知の真由美に挨拶をした後、達也の方へ視線を向けたのだった。




魔法科世界の秘匿通信


・原作一高生は大体強化されてる。されてないのはあーちゃんぐらい。


・しばらく総司君の視点はない。彼は琢磨とともに頑張って戦線を維持している。

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

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