魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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投稿遅れました。

あと伝えたいことが二つ。

後書きの「橘君の豆知識」を「魔法科世界の秘匿通信」という名前に変えます。総司だけじゃネタ』がつきるんじゃ…


それと原作キャラが強化されてます。今回は範蔵君ですね。

それではどうぞ


入学編 その六

昼食後に再び呼び出された達也と深雪は放課後となった今も生徒会室に向かっている。達也はげんなりしていて、深雪は兄が風紀委員になるかもしれないとワクワクしていた。といっても表情の変化は些細な物だが。ちなみに今総司はいない。総司は別に呼び出されてはいないからだ。

生徒会室に到着した達也は扉をノックする。

 

 

「失礼します」

 

「は~い、どうぞ~!」

 

 

所属も名前も聞かれずに開く扉に達也は更に気分を落とす。もはや退路を断たれているような感覚に襲われる。

しかしだ、入室を許可した真由美の声が若干楽しげだ。…まさか中で何か行われているのだろうか。別種の嫌な予感を覚えつつ、達也は深雪を連れて生徒会室に入室した。

 

 

「へえー!先輩の本名かっこいいっすねー!呼ぶときは一回一回フルネームでお呼びしても!?」

 

「茶化すな!あとそれは止めろ!」

 

「ありがとうございます!服部刑部少丞範蔵先輩!」

 

「おい!許可はしてないぞ!」

 

「え?今「ああ!いくらでも呼んでくれ!何ならそれを推奨するぞ!」って…」

 

「言ってない!記憶を捏造するな!」

 

「またまたー、照れ隠ししすぎですよー?」

 

「照れ隠しじゃない!」

 

 

そこでは副会長とおぼしき男子生徒と、呼ばれていないはずの総司がコント(ボケ:総司 ツッコミ:副会長)を披露していた。それを眺めながら、あずさはアタフタしており、摩利と真由美は楽しそうだ。

どうやら先程真由美の声が楽しそうと感じたのは間違いではないようだ。何故ここに総司がいるのかはよく分からんが。

 

 

「お!達也じゃん!紹介するぜ!こちらのあまりぱっとしない顔してる先輩が副会長の服部刑部少丞範蔵先輩だ!敬意を込めてはんぞー先輩と呼ぼう!」

 

「おい!敬意など微塵も感じない呼び方を定着させようとするな!」

 

「…」

 

 

妙に仲がいい二人を呆然と達也は眺める。呆然と言うか、ボーッとしてただけだが。

ふと我に返った達也は用件を伝える。

 

 

「妹の生徒会入りと、自分の風紀委員会入りの件で伺いました」

 

「風紀委員?」

 

 

範蔵は達也の発言に…具体的には後半の「達也の風紀委員会入り」という部分に反応する。

ここで達也にこの先輩は入学初日にこちらへと悔しそうな目線を向けていた。二科生を差別している故の嫉妬だったが、その点からこの人ならば自分の風紀委員会入りを阻止してくれるのではと期待する。

総司に目をつけられているという事を思い出した瞬間にそんな淡い期待は塵と消えたのだが。

 

 

「それじゃ、達也君はこっちだ」

 

「待ってください、渡辺委員長」

 

「何だ?服部刑部少丞範蔵副会長?」

 

「フルネームは止めてください!学校には服部刑部で届け出されています」

 

「まあまあいいじゃんはんぞー先輩」

 

「お前は礼儀を覚えろ!」

 

 

摩利が移動を促した時に彼女を制止する範蔵だが、摩利と総司の名前いじりに話が脱線する。

 

 

「それで服部副会長、いったい何の用だ?」

 

「自分はそこの二科生(ウィード)の風紀委員会入りに反対します」

 

「禁止用語を風紀委員長の前で使うなんていい度胸だな?服部」

 

 

先程まで緩んでいた空気が一気に張り付く…まさに一色触発と言ったところか。更には達也は自分が侮辱されたことに深雪がブチギレていることを感じ取る。このままでは不味いと思った達也は言葉を放とうとして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライダー!キック!」

 

「ぐわあ!?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

総司が範蔵に綺麗な跳び蹴りを直撃させる。勿論威力は制限されていたが結構なダメージだろう。

 

 

「た、橘…!?一体何を…!?」

 

「行って!摩利先輩!ここは私が引き受けます!私がこの悪のハンゾーマンを食い止めている間に!達也君を風紀委員に!」

 

 

コレには流石に驚愕した摩利が総司に問うと、総司は裏声で摩利を急かした。ここで痛みでまともに聞いていなかった範蔵以外は意図を察する。

つまるところさっさと風紀委員に登録して、既成事実を作ってしまえとのことだ。コレには真由美と摩利、ついでに深雪は笑顔を深め、達也とあずさは焦り出す。しかし、

 

 

「…橘、コレは私闘には当たらないか?」

 

「…あー」

 

 

摩利に僅かに残っていた良心が総司を制止する。コレには真由美と深雪は不満げだ。達也とあずさはほっとしているが。

 

 

「…じゃあこうしましょう。摩利先輩、何か困りごとはありませんか?」

 

「今はないが毎年の悩みの種がもう直ぐあるな」

 

「ではその悩みの解消をお手伝いしましょう。それと引き換えに見逃してくれませんか?」

 

 

ここら辺で話を聞けるようになった範蔵は流石に無理があるだろうと判断する。

 

 

「いいだろう」

 

「渡辺委員長!?」

 

 

そんな甘えは一瞬で砕け散るのだが。まさかの風紀委員、それも委員長の汚職である。これには範蔵とあずさ、達也も絶望顔をする。

 

 

「決まりね、総司君はここではんぞー君を抑えていてちょうだい。あーちゃん、ここは危ないから一緒に降りましょ?」

 

「え…私はご遠慮します…」

 

 

一高の生徒会室と風紀委員会本部は直通の階段で繋がっている。まあ、あずさは恐怖から降りたことは一度も無いのだが。今回も恐怖を理由に遠慮しているのだろう。

 

 

「今から戦場と化すこの部屋に残るのか?」

 

「降ります」

 

 

即断だった。怖い人がいっぱいいるところに行くのと、戦場になる予定の場所に居続けること。あずさは戦場の危険を回避することにしたようだ。

 

 

「それじゃ行きましょうか!」

 

「…はい」

 

 

とても沈んだ顔で風紀委員会室に降りる達也。それはまるで死刑囚が連行でもされているかのようだった。

一縷の望みを掛けて後ろを見た達也が最後に見た生徒会室では、三人に分裂している()()()()()()総司と、切り替えた顔でCADを構えている範蔵の姿だった。

 

 

 

 


 

 

初動を取ったのは意外にも範蔵だった。始まると同時にスピード重視で単純な基礎単一系移動魔法を発動…しようとして、嫌な予感を感じた範蔵は急遽自己加速術式に切り替える。

すると範蔵がいた場所に総司が既に拳を突き出していた。あと少し遅かったなら直撃していただろう。自分よりも劣っている劣等生という評価からすぐさま強敵だと認識を切り替えた範蔵はまずはサイオン弾で牽制しようと軽く十発は放つ。

しかし、サイオン弾は総司の体に触れた瞬間に()()()()()()()()()。それは直撃はしているだろう。だが客観的に見ると、魔法が無効化された気がした。

 

こいつなら大丈夫だろうという確信と、自身の認識の正否を確かめるため、範蔵は自己加速術式で今度は総司へと接近していく。

途中で自己加速術式を解除し、その慣性に身を任せながら、自身の腕を基点に新たな術式を発動する。

 

術式の名は「高周波ブレード」、刀身を高速振動させ、接触物の分子結合力を超えた振動を伝播させることで固体を局所的に液状化させて切断する魔法である。基本的には刀身を自壊させないための魔法と同時発動して使用される。今回は刀身では無く腕だが。範蔵程の使い手ならば腕に使用しても特に問題は無いだろう。

 

高速振動する範蔵の腕が総司に直撃する…その瞬間、やはりか今度は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。先程のサイオン弾は総司が耐えたのではなく、キャンセルされてしまったものだと確信した。

 

どのような手法かは分からないが、総司には魔法が効かない、もしくは効きにくいと判断する範蔵。となれば出来ることは物理でのアプローチである。体勢を立て直すため、以前友人に協力してもらい習得した魔法、「セルフ・マリオネット」で異常な体勢のまま移動する。

 

だが、体勢を立て直した瞬間には、目の前に総司の拳が迫っていた。避けられないと判断した範蔵は、障壁魔法を展開する。この学校の部下連会頭には遠く及ばないが、並の魔法師以上ものだと自負するソレを前に、総司の拳はまるで()()()()()()()()()()()()()()()範蔵の胸に直撃したのだった。

 

 


 

 

抵抗むなしく風紀委員にされてしまった達也と共に戻ってきた一行は驚きの光景を目の当たりにする。

そこには倒れる範蔵と満足げな総司が立っていたのだから。

 

 

「な…!?服部がやられた…!?」

 

「嘘、止めに来ないから納得してくれたのかと思ってたのに…まさか負けちゃうなんて!」

 

「いやー、はんぞー先輩結構強かったっすね」

 

 

真由美達はついぞ範蔵がやられるなんて想像もしてはいなかったのだが、達也は逆に総司に「強かった」と言わしめた服部の強さに感心した。いくら総司が身体能力をセーブしていても、超人である総司が褒めるほどの戦いをしたらしい彼への評価を達也は上げる。

これは確かに二科生を見下しても仕方が無いかもと。

 

 

「…司波達也、だったか?」

 

「はい」

 

 

立ち上がった範蔵が不意に達也へ声を掛ける。どうしたのだろうと達也が訝しむと、範蔵はいきなり頭を下げた。

 

 

「すまなかった。先程の無礼を許して欲しい」

 

「…先輩は二科生を見下しているのでは?」

 

「今までは、な。今このバカと戦って分かったよ。このバカは今魔法を使わずに俺に勝利した。戦闘に置いては、こと一科生は優れていると考えていたのだが、それは間違いだったようだ。魔法が劣っていても、俺達よりも『強い』奴は居るもんだな」

 

「…はあ」

 

 

実際は総司は魔法を使わなかったのではなく、実践レベルで使えないだけなのだ。この三日間の授業だけでも分かるほどそれは顕著である。

 

 

「そのバカが、危険な仕事である風紀委員になることに反対していない…ならばお前も、魔法では無い強みがあるのだろう。それだけじゃない、今に考えてみれば戦闘用の魔法は実技が悪くても使えるものはたくさんある。…一概に、一科と二科では区別ができんものだな…」

 

「…そうですね」

 

 

実際達也も九重八雲から教わった体術があるし、「術式解体」を使用することも可能だ。更に達也は魔法の多変数化が得意だ。試験の結果が、一科と二科だけが強さの証明ではないのだ。

達也は実感がこもった声音で肯定した。

 

 

「俺勝ったんでなんか奢ってくださいよ、はんぞー先輩」

 

「何でだ!?そんなこと聞いてないぞ!?」

 

 

まあ、総司が入ってきたせいでカオスになり出したのだが。




魔法科世界の秘匿通信

・服部刑部はこの後なんだかんだ奢ったらしい

・生徒会室は別に荒れてはいない。二人の技量が見て取れる



範蔵君強くね?と思われた方も多いでしょう。

この作品の範蔵君はスターズのカノープスレベルはあります。

てかこいつら生徒会室でなにやってんだよ。範蔵君との戦いの戦場を実習室じゃなくて生徒会室にしたの自分が初めてじゃないでしょうか。

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

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